市街の8割が燃えた空前の火災「天明の大火」は応仁の乱よりも被害甚大だった？

泰平の世――と思いきや、たびたび多くの死者が出ていた江戸時代。

その理由は小氷期などの影響による冷害、各地での地震や噴火、そして火災の多さにあります。

今回はそのうちの一つ、天明八年（1788年）1月30日に発生した【天明の大火】に注目。

大河ドラマ『べらぼう』の舞台と同時代ですが、この火災は京都で起きたもので、劇中でどこまで扱われるかは不明です。

しかし、その被害は江戸の大火にも負けず劣らずの凄まじいもので、真冬の大火災がいかに恐ろしいものなのか、現代人にとっても学びが多い。

本記事で全貌を振り返ってみましょう。

【TOP画像】天明の大火における被害や経過を記した『花紅葉都咄』／国立国会図書館蔵より

市街の8割が燃えた

天明の大火は、京都の鴨川東岸・宮川町団栗辻子（どんぐりのずし）に何者かが放火したことから発生したといわれています。

ここから「団栗焼け（どんぐりやけ）」という通称がつきました。

天明の大火は別名も多く、以下のような呼び方もあります。

どれも規模の大きさがうかがえますね。

間の悪いことにこの日は風も強く、あっという間に火が洛中へ燃え広がりました。

亀山藩主・松平信道など大名家による消火も試みられたものの、火の勢いは止まらず、2月2日早朝にようやく鎮火したとされます。

……と、広大な区域に壊滅的な被害を与えました。

現代でも京都市の中心区域と呼べる範囲であり、当時は「市街の8割が燃えた」とまで言われています。

寺院は201ヶ所 神社37ヶ所が被災

もちろん、朝廷や公家もタダでは済みません。

といった重要な建物も多く被災しました。

全体では

が被害にあったといわれており、これが一体どれぐらいの規模なのか？

2024年時天でiタウンページに載っている京都市内のお寺の数は1133軒、京都府神社庁のホームページに掲載されている神社は217社です。

実際の数字はもう少しズレるかと思われますが、寺院は約1/6、神社は約1/7の割合で被害にあったことになりますね。

このため、一説には「応仁の乱のときよりも、天明の大火による被害のほうが大きかった」ともいわれるほどです。

「京都では、”先の戦争”というと応仁の乱を指す」なんてジョーク（？）がありますが、天明の大火のほうが深刻だったんですね。

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