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『光る君へ』感想あらすじレビュー第6回「二人の才女」

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忯子の憔悴、斉信の焦燥

弘徽殿女御こと藤原忯子が寝込んでいます。

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すっぽんの甲羅を持参した兄の藤原斉信が、煎じて飲むようにと言うと、何も喉を通らないと返す忯子。

斉信としては奮発したのでしょう。

お高い漢方の薬剤です。いい医者に頼んだんだぞ。わざわざ手に入れたんだ!

そうしたモノで愛を示そうというのだろうけれども、忯子からすれば、もう飲めないのだからありがたいのかどうか。

それでも斉信は、元気な皇子を産んでいかねばならないと残酷なことを言う。

苦しそうな忯子は「はぁ」と返すしかない。

「実はお願いがありまする」

斉信の本題はこの話だったのでしょう。出産のため里に下がる前に「斉信は使える男だ」と帝に囁いて欲しいとか。帝のよき政には兄のような若い力が必要だってさ。

「そのようなことは……」

忯子は怒る気力すらありません。斉信は我が一族の頼みとするのは女御殿しかいないと頼み込んでいます。

もはや息も絶え絶えの忯子。

そんな妹に対して、どうして斉信はこうも酷い対応なのか。

高い薬があればいいわけじゃないんだってば! まずは彼女のことを第一に気遣いなさいよ。

そう思っていると、長い袴をぞんざいに扱いながら、花山天皇が入ってきます。所作の粗っぽさで彼の個性はわかります。

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なんでも忯子が気になって、政治に身が入らないとか。

「もったないお言葉……」

「朕がついておる、案ずるな」

忯子は、しおれた花に水が注がれたように、少しだけ気力を取り戻しているように思えます。

手を重ね握り合う花山天皇と忯子。この愛とぬくもりが癒しとなるのでしょう。

ここでようやく斉信に気づいた天皇は、めんどくさそうに言い放ちます。

「お前は誰じゃ」

そう言われてしまう斉信の胸中はどうしたものでしょうか。

帝王が寵姫の親族を引き立てることは、それこそ唐玄宗と楊貴妃のように、ごく当然のことだというのに、どうにもそうなっていないようです。

となれば、斉信には別の手段しかありませんね。

 

「漢詩の会」という策

優雅な藤原道隆が、愛妻である高階貴子とくつろいでいます。貴子に酒を勧め、夫婦で酌み交わす仲睦まじさがあります。

そこへ道長が来て、素早く貴子がもてなします。

「邪魔なことはない。わしと貴子の仲睦まじさはいつものことじゃ」

道隆が、優雅にそう言い放つと、貴子の合図で女房たちも下がってゆきます。

このドラマはクズ男にせよ、モテ男にせよ、解像度が実に高い。こんな夫婦を見せつけられたら、そりゃあ道兼も歪んでしまうのかもしれない。

道隆の魅力は顔だけではありません。

優美さでも優雅さでもない。愛妻にさりげなく酒を勧めるところ。

自分一人だけで飲んでいたらつまらない。酒を飲めば口は軽くなる。そういう妻の本音を聞き出したいさりげない貪欲さ。何よりも気遣い。そういうところが、圧倒的なオーラとなって出てきます。

しどけなく身を伸ばしていた姿もいいですね。貴子も惚れていると伝わってきます。

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そんな二人が、道長の様子から何かを察知し女房を下がらせ、密談モードになるところが実に素晴らしい。

道長は、四条宮で藤原行成から聞いた情報を兄に囁きます。

明日の夜、藤原公任、藤原斉信が、藤原義懐の屋敷で会う予定だとか。

義懐は若い貴族を懐柔し、その父もろとも帝一派に組み込むのが狙いのようで、道隆は素早く情報を分析します。

道長が呼ばれていないのは、右大臣家排除のたくらみだと理解して

「斉信はわかるが公任まで……」

と呟く道隆。義懐が、斉信と公任を懐柔する様子が見られます。

道隆は弘徽殿女御に皇子は生まれない、帝も長くは在位しないと言い切ります。それでも若い貴公子が義懐に与することはよろしくない。

なぜ皇子が生まれないと言い切れるのか?

道長がそう尋ねると、兼家が安倍晴明に頼んだ呪詛のことを語ります。

依頼の場所には関白・藤原頼忠も、左大臣・源雅信もいた。皇子が生まれないのはこの国の意思だと言い切るのです。

さすがに嫌悪感が滲み出てきそうな道長。

道隆は今までマイペースだった弟が、内裏の政治に興味を持ったことをおもしろがっています。

心を入れ替えたのか?と問われ、今でもさほど興味はないと返す道長。

それでも帝を支えるのが義懐は国を乱す。父上の方がずっとよいと考えている。

道隆は、父と道兼には黙っておけと言います。

彼らは力で押さえつける。そのやり方では若い者の憤懣をかえって煽ってしまう。それよりも、うまい策を考える。

すると愛妻の貴子が「漢詩の会を開催してはどうか」と言い出します。

漢詩には選んだものの人柄が出る。若い方々は学問の成果を披露する場に飢えている。

道隆はそんな妻の策を認めます。道長は和歌ができても漢詩は苦手だと言い、参加を断り、その場には和やかな笑い声が響くのでした。

ここで左大臣の姫君サロンも様子が映し出されます。

倫子が「父の顔にほくろが増えたと思ったらハエだった」という、しょうもない話をしている。

笑い転げる姫君たち。

ひきつった笑みを浮かべる、まひろと赤染衛門でした。

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詮子の“裏の手”

藤原詮子が東宮懐仁といるところに源雅信がやってきます。

詮子の言う“裏の手”でしょうか。

何の御用かと尋ねられ、詮子は先帝の退位は父が促したことだと言い切ります。

雅信が言葉を濁していると、先帝に聞いたのだからそうなのだと詮子は言い切ります。

もう父を信じられない詮子。

都合が悪ければ、彼女自身も懐仁も手にかかりかねないと危惧しており、雅信が曖昧に否定するものの、詮子の決意は固い。

表立って反対することは危険だが、父とは違う力が欲しい。

「もうおわかりでしょう。もう私の言葉を聞いてしまった以上、あとにはひけない。覚悟をお決めなさい」

雅信に対し、末長く東宮と私の味方となれと迫る詮子。

さもなくば、雅信から手を組むように誘われたと父に訴えると脅してきます。

詮子は父が嫌いです。

しかし娘であり父に似ていると開き直っています。

円融天皇も指摘していました。為時とまひろにせよ、同族嫌悪に陥る父と娘の関係があるようです。

雅信が、言葉を絞り出すように答えます。

「私なりに東宮様をお支えいたしまする」

すると詮子は距離をぐいっと縮めて、雅信の手をとり、こう言います。

「ああ、ありがたいお言葉! 生涯忘れませぬ!」

芝居ががかった振る舞いが、父にそっくりですね。

しかし、詮子の策はここでは止まりません。左大臣には姫がいたな、として年齢を確認し、殿御から文が絶えぬはずだと言い出します。

雅信は答えます。

「それが殿御に関心がない、殿御が好きではないのではないか?と妻と話しているところです」

「入内して辛酸を舐めるよりはよい」

詮子は、ここでも父同様に探りを入れているのでしょう。入内してしまえば、雅信も下手に出るとは限りません。

先手を打つためにも、その姫君をどうにかしたい。

思考パターンが似ている父と娘は、その姫君と道長をめあわせたいと思うわけです。

詮子は道長に会うと、左大臣家の一の姫をささっと勧めます。評判の姫だと言い、その割に歳はちょっと上だけど味があるとゴリ押し!

味ってなんだと戸惑う道長に、こうきました。

「私の言うことに間違いはないから、いいわね」

断れない状況です。

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