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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第6回「二人の才女」】
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ききょうとまひろ、そして道長
藤原公任の詩を評価する際、まひろは白楽天(白居易)のようだと言いました。
すると、ききょうが突然カットインして「そうは思わない、白楽天の親友である元微之(げんびし・元稹)のような闊達の歌いぶりだ」と発言します。
同意を求める娘に、咳払いで返す元輔。
ちなみに道長の引いた詩は、白楽天が元微之を思い詠んだもの。漢詩にはこうした親友を思い詠むものも定番です。
そして友情と愛情のハードルが低いと言いますか、区別がつきにくい。
海外の研究者からみると「これはもう恋愛関係でしょう」と言いたくなるほど切ないものが多い。
そんな詩人の交流を思い、引用した道長はなかなかのもの。
白楽天は平安貴族の人気ナンバーワン詩人なのです。
まひろはそんな道長のことが気になって仕方なく、どことなくぼーっとしています。
道長も、気もそぞろの様子。
ききょうは「まひろ様はお疲れなのか」と聞いてきます。そして貴公子たちの噂話を始め、さすがに元輔から「ですぎたことを申すでない!」と叱られてしまうのでした。
道長以外のF4も、歩きながら話し始めました。
彼らはやはり、道隆殿だと思っている様子。義懐じゃないと思ったようです。
そして話題は元輔の娘であるききょうへ。
あの小賢しげな鼻をへし折ってやりたいと、なかなか妙なことを言い出した斉信。
いや、これは強がりというか、本音はむしろああいう強気で生意気な女性に、頬を引っ叩かれてうっとりしたいタイプなんじゃないですか。
後に斉信は、ちょっとしたストーカー状態というか、頻繁に清少納言へちょっかいを出し、彼女の元夫に「お前さぁ、彼女の居場所わかってるだろ?」としつこく迫ったりしていますからね。
一方でまひろと道長は、また交錯した互いのことをうっとりと思っているのでした。
さて、ある夜、道長は盗賊の窃盗現場に駆けつけました。
弓を放ち腕に命中させるものの、相手は布を投げて撹乱。その間に逃げてしまいます。
そして、まひろのもとへは“三郎”の従者が何かを届けてきました。
花山天皇が最愛の忯子が命を落としたことに狼狽える一方、まひろは道長の書状を抱き締めています。
ちはやぶる 神の斎垣(いがき)も越えぬべし 恋しき人の みまく欲しさに
神が囲った斉垣も超えてしまいそうだ。恋しい人に逢いたくて
『伊勢物語』より
MVP:ききょう(清少納言)とまひろ(紫式部)
二人の顔合わせを、こうもキッパリと見せてくるとは思いませんでした。
案の定、圧倒的な陽キャオーラの持ち主であるききょう。
貴公子たちもすでに惹かれていて、彼女にちょっかいをかけたいことが見えてきます。
一方でまひろは、道長にしか理解できない陰キャ。
月光が似合うと言えば聞こえはいいかもしれないけれど、その前に「陰キャ」という表現がしっくりくるからたまらない。
まひろの不器用さ、対人スキルの残念さも出ていた前半部。
これもききょうだったら、軽やかに舞うように、ささっと会話して、むしろ人気を上げたのだろうと思うと切ないのでした。
空気を読むことだけでいいのか?
まひろが空気を読むスキルを身につけようと努力し、それに疲れ果て、胸に迫るものがあった今回。
姫君サロンで浮くけれども、あの感受性があればこそ見えてくるものもあるでしょう。
人と感受性の範囲が違うばかりに苦労して……そして大河ドラマそのもの、いやひいてはドラマ鑑賞のことも思い出してしまいました。
こんな記事を見かけました。
◆『セクシー田中さん』原作者と宮藤官九郎の“苦悩”に共通点。クドカンも被害「TV局の改悪と作品私物化」を芸能記者が解説(→link)
「いだてん~』の視聴率がにわかに怪しくなってきた時、クドカンは関係者にこんな言葉を漏らしていたといいます。
「本(脚本)が面白くないから数字(視聴率)が獲れないっていうけど、本をメチャクチャにしたのは局の方だョ。大河は時代考証とかの検閲を5回位経て台本が完成するんだけど、完成された台本には最初に書いた地の文章なんて跡形も無く消えてしまっている…これで面白くないって言われてもね…」
これを私なりに解釈すれば“脚本家・宮藤官九郎という名前が欲しかっただけで、実際の脚本は大河の優秀な演出家さんたちのもの”となります。
私が聞いたわけではないけれど、そうなんだろうな、と思います。
序盤から作風がどんどん変わっていきました。
彼ならこんな雑な伏線放置をしないという箇所がでてくる。
当時の語彙を面白おかしく混ぜてきたのも序盤だけ。語彙力そのものが落ちていきます。
コメディタッチのシーンもセンスが悪い。差別やおちょくりのものが増えていて、これが彼の作風なのかとずっと疑問でした。
しかし、そういうことを指摘できる空気でもない。
むしろかえって「クドカンにケチつけるのか!」と険悪な空気になりますよね。
でも、私はこれほど残酷なことはないと思います。
書いている彼自身が俺の作品じゃないと思っているのに、彼の作風を知り作りしているというファンが、「これぞクドカンだ! クドカン最高だ!」と褒めてはしゃぐのですから。
それって、彼の作風ではなく、名声やファン同士てはしゃぐことが好きなだけなのではないか。私にはそう思えてきてしまいます。
推しを無闇に褒めるだけでなく、推しの状態が明らかにおかしいとか。
抑圧されている気配があったら、見て見ぬふりをせず、どうにかできないか考えることも大事ではありませんか。
といったところで、気のせいだの考えすぎだの言われるだけなのでしょう。
私はなるべくフラットな状態でいきたいから、特定の脚本家や役者のファンだと思わないようにしています。
魅力があると思ったとしても、その気持ちをドラマが終われば全部捨てて、やり直すくらいでないといけないと思っています。
そうはいっても、そんなものは私の勝手なルールであり、他者に強要できるものでもないし、空気を読んで共感を稼げることがメディアの勝ちセオリーですもんね。我ながら無駄な努力をしているもんです。
みんなで楽しくはしゃいでいれば、それでいいんでしょうけど。
自分に嘘をついてまで忖度することと、空気を読まずに見えたものをはっきり言うことと、どちらか疲れずに済むのでしょうか。
清原元輔(清少納言の父)は底抜けに明るい天才肌!光る君へ大森博史
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【参考】
光る君へ/公式サイト