青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第11回 感想あらすじレビュー「横濱焼き討ち計画」

挙国一致して幕府を転覆させる!

と、尾高惇忠が吠え、坂下門外の変についての一報を聞いた栄一が、走る、走る、走る!

栄一は、尾高長七郎の定宿に飛び込み、江戸行きを止めました。

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そんな栄一には、父になる日が迫っています。

猛烈に走って産屋に駆け込み、我が子を抱く千代に喜びます。幸せに満ちた渋沢家です。

 

慶喜が将軍後見職に就任

けれども世間は騒々しい。

尊王攘夷を掲げていれば、天子様が夷狄を踏み潰すのだと、血洗島の青年たちは信じています。

作り話でもなく史料準拠だと丁寧に示されます。

ここで家康が登場です。いよっ、待ってましたぁ!

なんでも徳川慶喜が復活し、将軍後見職になったそうです。

薩摩の島津久光が上洛したからで、慶喜が失礼なほどに論破しまくっていますね。

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美賀君はそんな夫を労っています。

イチャイチャラブラブです。

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我が子を亡くしてしまった栄一……

栄一はまた走っている。

しかし、なんだかおかしい。千代が寝込んでいます。

「そんな……あぁ!」

「うそだ……うそだ」

なんと我が子が亡くなってしまいました。悲しむ栄一と千代。原因は江戸時代に何度も大流行した麻疹ですね。

この時代はとにかく乳幼児の死亡率が高い。栄一の母にも、そう慰められる千代です。

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それでも世の中は動きます。

尊王攘夷カルトにはまった渋沢青年たちが、何か話あっています。

と、思ったら、なんと横浜焼き討ちを計画!

京都も治安が悪化していて大変で、慶喜も公家の三条実美から攘夷をしろと迫られています。

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そんな慶喜のもとに平岡円四郎がやってきました。

熱い主従関係の復活!ってやつですかね。

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一方、横浜焼き討ちを計画をすすめる栄一と喜作は武器を集めます。

そしてついに、父に向かって栄一は自身の勘当をお願いするのです。

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千代は新たに子を産んでいて……家族も栄一に落ち着いて欲しいと説得しますが、結局、父も理解を示します。

仕方ありません、だって、志士だから――。

 

総評

面白いことに気づきました。

『青天を衝け』で検索をかけると、ついこの間までは

『麒麟がくる』
『真田丸』

あたりが関連語として出てきました。前の歳の作品が出るのは想定内です。

それが現在は

『西郷どん』
『花燃ゆ』

あたりが上位に来ます。

幕末大河だから? それとも……?

本作に関するニュースそのものも減少傾向にあるようです。

SNSに目を向けてみても、

「今年の大河主演はイケメンですよね。主演だけでなくイケメンパラダイス! 女優も美形だし、イチャイチャしているし、いいんじゃないですか」

「そうだね。でも私は……」

といった感じで、そこまでウケていない様子が感じ取れます。

視聴率も第10回放送では『麒麟がくる』を下回るようになり、減衰傾向ですね。

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そして『小吉の女房2』の番宣を見ていて思ったのですが、短い時間だけでも、こちらのほうが格段に洗練されています。

所作指導、時代劇に適した役者など盤石の布陣のようで、脚本家の体制もどうなっているのでしょう。

本作のツッコミどころや史実が気になる方は先に進みましょう。

 

そもそも「尊王攘夷」とは何か?

尊王攘夷とは?

徳川斉昭はじめ、本作の人物が高らかに掲げるこの言葉の出典は中国です。

周王朝を重んじ、夷狄を打ち払うという意味。

水戸学の根本思想には、儒教の陽明学がありました。明・王陽明が提唱した一派です。

ただ、日本の需要の場合、気をつけねばならない点があります。

幕府が朱子学を採用しており、多くの藩でもそのテキストを用いておりました。これに対し、アンチ幕府として陽明学が発展してきた点も重要です。

「明治維新を成し遂げた志士は陽明学を学んでいた」

そんなこともよく言われますが、そうした背景を知っておくと理解度が変わってくるでしょう。

中国由来の「尊王攘夷」を掲げた水戸学は、徳川以外の権威を求め、朝廷を重視します。

好色で悪名高い斉昭が側室を置かず妻を重視した背景には、現代人が考える夫婦愛以上に、尊王思想があったことは重要です。

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この尊王と攘夷がセットとなったことで、話がややこしくなります。

尊王=攘夷

徳川=開国

そんな単純な分類でよいのか? もっと真面目に政治や外交を考えた方がいいのでは? そう言いたくもなりますが、こういう図式が栄一はじめとする志士の間ではセットになったのです。

この国のために命を賭ける。

本作では予告でこんなテロップを流していましたが、栄一とその仲間たちがどこまでそう熟慮していたのか。ここは重要でしょう。

別に横浜を焼き討ちしようが、外国人を殺傷しようが、舐め腐った態度の老中を襲撃しようが、外国の学問に詳しい人を暗殺しようが。

そんなことをしても国は助からないどころか、賠償金を請求されて困るだけです。

事実、幕府だけじゃなく明治政府もこれに悩まされました。

しかし、暴れる者たちはそこまで考えておりませんし、仲間内で「ウェーイ!」できればよかったのでね。

栄一とも親しい幕末史を見届けた江間政発は、次のように核心をつく振り返り方をしています。

「尊王攘夷って、結局、アンチを叩き潰すための口実でしたよね」

会津藩士・山川浩も否定的に振り返っております。

「尊王攘夷って、神風吹けば勝てると信じる。そういうレベルのヤバいオカルトだった」

根底に愛国心があってもなくても、だから何だというのでしょうか。SNSで過激な発言をして問題視される人だって、「この国や社会をより良くする」という使命感を持って投稿していることが往々にしてあります。

尊王攘夷があったから、明治維新が成功したとは言えません。

むしろ賠償金問題が発生した。佐久間象山ら才能あふれる人材なども、多数犠牲になりました。

それなのに、その危険性や問題点を追及されず、幕末の青春であるかのような扱いをされるのは、結果論でしょう。

明治維新を成し遂げた側。渋沢栄一のような成功者。

彼らがはまっていたのだから、青春の煌めきとしてありなんじゃないかな……そううっすらと思われている。

だからこそ、実写映画完結篇が控えている『るろうに剣心』も通じるのだと思えます。

十代で思想洗脳を受けて連続殺人鬼を行なった人物って、少年漫画の主人公に適切かと問われると、私は何とも言えません。

それでもその思想が“尊王攘夷”だと、幕末らしいし、それはそれでありだと思えてしまう。

そんなマジックを感じます。

2021年にもなって、日本代表する大河ドラマが流していてよいかどうか。

イデオロギーの対立、こと内戦は、国家や社会に致命的な大打撃を与えます。

アメリカ南北戦争。メキシコ革命。ロシアの内戦、中国の内戦、スペインの内戦。アンゴラの内戦。朝鮮戦争。

幕末から、戊辰戦争を経て、西南戦争で終結を迎える動乱も、十分血生臭いものでした。

それでも明治が成功したとすれば、いくつもの多層的な幸運に支えられてのこと。

危険なイデオロギーの種が水戸学という形で蔓延し、悲惨な流血を引き起こしたことは否定できません。

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