伊東マンショとグレゴリウス13世の謁見の場面/wikipediaより引用

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MAGI(マギ)感想あらすじエピソード9三人の賢者【ヴァチカン篇】

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四少年は、ヴァチカンの地を踏めるのか?

歴史ものへの批判として、結果がわかっているのだからつまらない——というものがあります。
これには苦い経験もありまして。

大昔、『三国志』を読んでいる友人に、蜀滅亡について話してしまったんですね。
「ネタバレするなぁ〜〜〜〜!」
そう激怒されました。

いや、世界史で習ったでしょとその時は言い返したんですけれども、今ならこう答えます。

「歴史というのは、過程を楽しむもの。自分たちの知っている答えに、どう着地するかが楽しいものなんだ」

コレです、コレ。
ヴァチカンにはちゃんとたどり着けます。
問題は、どんな行程だったのか?ってこと!

 

『YOUは何しにヴァチカンへ?』

メスキータは、質問をしたいと言う少年たちに激怒。
おまえらはただ跪けばいいのだと怒ります。

これが本音。
カトリックはスゴーイ、と、そう言わせたいだけ。
『YOUは何しにヴァチカンへ?』ってなもんですわ。

ああいう番組って最近増えておりますよね。
ところが、技能実習生や難民に話を聞くことなんてまずない。

「ココは素晴らしいところだから来ましたぁ〜」
そうニコニコ笑顔になる外国人、しかも欧米人ばかりを求めている印象です。

この手の話は、今に始まったことでもありません。
それに、日本側だって宣教師の言動を誇張気味に利用しております。

大事なのは、キレイな誤魔化しの裏には何があるかってこと。
四人組は、メスキータとヴァチカンの本音なんてわかっているわけです。

怒ったメスキータは、日本人如きが西洋をなめるなと直球の差別をしております。
厳しい現実を噛みしめる四人。

一方でヴァチカンには、ドラーゴが馬で乗り付けます。ヴァチカンの法王庁前で、なんとかしたいと懇願するのです。
ギャーーー! ヴァチカンのスイス人衛兵だーっ!!

ヴァチカンの衛兵・なんとミケランジェロがデザインしたとされております(現在は改良を重ねてはおりますが)/hoto by Lars Curfs wikipediaより引用

スイス人傭兵はヨーロッパの歴史では有名です。
『アルプスの少女ハイジ』を思い浮かべる方もおられるでしょう。あのおんじが村の鼻つまみ者であるのは、実は若い頃傭兵をしていたからなんです。

「やーねー、あの人若い頃は人を殺したのよぉ〜」
とヒソヒソされちゃっている。

大人になってホロリとさせられる……映画『ハイジ アルプスの物語』

ルイ16世マリー・アントワネットらフランス王族が襲撃された「8月10日事件」において、命を賭して彼らを守ろうとしたのもスイス人傭兵です。

彼らの慰霊モニュメントとして、「嘆きのライオン像」があります。

嘆きのライオン像/photo by Coolcaesar wikipediaより引用

はーっ、こりゃ眼福だーッ! ありがてえ、ありがてえ!

ついでに言うと、本作の使用言語が英語というのもこのあたりに理由があるんです。

ディズニー版の『シンデレラ』にせよ、『美女と野獣』にせよ、本来、フランス語じゃないとおかしい。
こういうお約束というのもあるのですが。

スイス人傭兵ならば、ドイツ語を喋っていてもおかしくないわけです。

あまりに言語体系が複雑化するとさすがにマズイということで、考証としてはおかしいけどそこは妥協しているのです。
現時点までに、本作で使用されていてもおかしくない言語をあげますと。

日本語
スペイン語
ポルトガル語
コンカニ語
ラテン語
イタリア語
ドイツ語

無理でしょ、コレは……。

それはさておき、傭兵とすれば怪しい東洋人なんて相手にできるわけもないのです。
何度も追いかけされようとするのに、めげないドラードが悲しい……。

ドラードが戻ると、メスキータはそんなもんだと冷たい態度です。
それに対し、ゴアで東西のよいところ、悪いところを見てきたと語ります。今見ているのは、西洋の悪しき部分であると。
そこへ、マルティノが誰かが来ると告げます。

ドラードの指摘が重たいものですし、これが本作の迫りたい部分じゃないかと思うわけです。
東西にあるよいところ、悪いところ。それがみっちりと詰まっています。

メスキータはヴァチカンこそ世界の頂点だと返すわけですが、ここでのドラードもすごい。
異端者であるプロテスタントは、その法皇すら恐れていないのだと。

 

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法皇の権威を取り戻せ!

世界史の授業で習った事件として「カノッサの屈辱」があります。
破門されたらやっていけんわ、謝るわ!! と謝罪するあの事件です。

【関連記事】カノッサの屈辱

これが通用したのも、過去のこと。
破門されても「ふーん、あっそ」時代が訪れております。

その代表格がエリザベス1世です。

エリザベス1世/wikipediaより引用

「破門? ハイハイ、わかりました〜。別にどうでもいいし」
そんな冷たい態度そのものでした。

彼女の場合、父ヘンリー8世と母アン・ブーリンの結婚がそもそもカトリック側から認められていないので、彼らからすれば王位継承権すらない。
玉座に座る時点でそんな意志をガン無視しているから、どうでもいいんです。

カトリックの顔色をそれなりに気にしていたのは、スペインがキレたらちょっと面倒臭いから程度の配慮です。

ヘンリー8世の離婚再婚離婚再婚でぐだぐだイングランド【宗教改革500年】

この「法皇? どうでもエエわ」が頂点に達したのはいつでしょうか?

ナポレオンの戴冠式でしょう。
バッチリと絵にも残されました。

戴冠式ともなれば、法皇が冠を捧げてこそ。
しかし、この絵ではジョゼフィーヌに皇后冠を捧げるナポレオン自身が描かれています。

法皇は、背後で見守っているだけ。
ナポレオンはフランス革命が否定したカトリック信仰を認めたとはいえ、それは法皇の権利を戻したということではないのです。

ナポレオンの母レティツィアは熱心なカトリックでしたので、息子の法皇軽視に「この罰当たりが!」と激怒したとか。
だから彼女は、戴冠式にも欠席しております。それでも絵では参加したことになっているのです。

はい、振り返ってみましょう。
ナゼ、カトリック宣教師は前のめりになって布教していたのか?

それは、こういう追い詰められている危機感があったから。
こうやって地球儀レベルで見ないと、日本での布教がわかりにくいんですよね。




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東洋人蔑視。
権力争い。
そういうどす黒い事情が、てんこ盛りです。
そこに迫る本作はいいぞ、実にいいッ!!

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