一口にウィンタースポーツといっても多種多様ですが、その中で王様とも言えるのが【スキー】ではないでしょうか。
種目はアルペン、モーグル、ジャンプ、クロスカントリー等と多岐に渡り、更には自分で楽しむにも最高に贅沢な趣味です。
その歴史も実は相当古い。
なんと紀元前2500年まで遡るというから驚きで。
当時はもちろんスポーツではなく、実用的な移動ツールであり、積雪の多い地方では狩猟の際に用いられた薄い板が始まりでした。
1月12日はスキーの日(後述するレルヒが日本で初めて指導をした日から)。
只者ではないスキーの歴史を見てまいりましょう。
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スキーの歴史は人類と共にあり
前述の通り、スキーは狩猟に用いられたのが始まりです。
ただし、雪がある場所ならドコでもOKというわけでもなく、例えば森の中を移動するなら、かんじきやスノーシューの方が効率的。
長い板でシューッと滑ることができる広々としたエリアで、スノーシューが長く薄くのばされて、原始的なスキーになりました。
ヨーロッパ、ロシア、日本の北海道(アイヌ人)等の間では、古くから重宝されています。
スウェーデンでは、紀元前1500年頃のものであろう「2メートル前後のスキー板」が発掘されています。
「白樺の脚」伝説
時代が下ると、ものすごい速さで谷や坂道を滑り降りる者が出てきます。
北欧の国ではこうした者が、
「あっぱれ、勇者である!」
と賞賛されるようになるわけです。武士が馬術を褒められるようなものですね。
ヴァイキングもスキーを用いており、彼らの間ではいかに急斜面を滑り降りるかという、技試しも行われるようになりました。
13世紀のノルウェーでは、伝説のスキーヤーも生まれました。
二人の勇者が反乱者の手から幼い王子(のちの名君ホーコン4世)を救出。
王を殺し、幼い王子までも手に掛けようという追っ手から逃れるため、二人は吹雪の中55キロという距離をスキーで滑り抜けました。
人々は彼らの勇気を讃えて、二人を「白樺の脚」と呼んだのです。
なんだか二人の絵を眺めていると、劉備の子供を抱いて戦場を駆け抜けた【北欧版趙雲】にも見えますね。
当時は、現在のように両手にストックを持つわけではなく、武器と盾等を持ちながら滑りました。
ちなみにこの「白樺の脚」の偉業を記念して、ノルウェーでは55キロを滑る競技会が現在も開催されているそうです。
1800年頃、スポーツとしてのスキーが確立
上記の通り、人々は、狩猟、移動手段、武術の鍛錬としてスキーを利用してきました。
ではスポーツとして確立するのはいつのことなのか?
考えられるのは1800年頃。
北欧ノルウェーのテレマルク地方で、レジャーとしてのスキーが広まりました。
1本のストックでバランスを取りながら、一定のペースで滑る――この地方の方言で「スラローム」と呼ばれたのです。
そのうち、スキーを得意とする人々は、ビールグラスを持ったり、落ちているものを拾ったりしながら滑るように……要は、タイムを競うのではなく、パフォーマンスを楽しんだのですね。
さらにはコースの傾斜を生かす「ゲレンデシュブリンク」という遊び方も発生。
ジャンプをしているうちに、思い切って高く跳ぶ者が出始めます。
このころのスキージャンプは、現在のように飛距離を競うものではなく、高さを競うものでした。
飛距離はせいぜい10メートル以下。道具も環境も整ってない場所では、それでも十分だったのかもしれませんね。
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