オランダ極東進出の背景にあった宗教改革

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家康と鎖国政策にも影響したオランダの極東進出~背景にあった宗教改革とは?

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宗教改革から独立へ

1566年は「飢餓の年」と呼ばれるほどの不作でした。

日本における「島原の乱」も、宗教だけではなく政治への不満があったと言われています。

このように政治への不満と宗教的な情熱が結びつくと、極めて深刻な事態に陥る――そのことを、フェリペ2世も認識していました。

不穏な気配はありました。

三百名ほどの下級貴族たちが、異端審問中止の請願書を出すために集まり始めたのです。

「乞食(ゴイセン)」と呼ばれた彼らは、ゲリラ的に聖像破壊運動を行いました。

※「ゴイセン=“乞食”」の表記はウィキペディアに準じてそのまま掲載させていただきます

もはや力での弾圧あるのみ!

二万の軍勢を率いたアルバ公フェルナンド・アルバレス・デ・トレドがフランドル伯領を目指します。

彼は異端の疑いがある者を片っ端から捕らえ、迫害を加えました。

アルバ公の開催した「治安維持評議会」は、別名「血の評議会」と呼ばれるほどです。

血の評議会前にいる貴族の家族を描いた、19世紀の絵画/wikipediaより引用

さらに、アルバ公から激しい弾圧を受けた「乞食」の中には、海外に亡命し「海乞食」と呼ばれるようになる者もいました。海の上で海賊活動を行う者もいました。

もう我慢ならんぞ!

ついに、人々の我慢は限界に達します。

 


東インド会社を設立し、日本を含めたアジアへ進出

最初に蜂起したのは、有力貴族オラニエ公ウィレムでした。

当初は多勢に無勢で彼らに勝ち目はないかと思われていましたが、1572年に「海乞食」たちが敵の補給経路を遮断に成功すると、一気に形勢逆転します。

スペインに従うカトリックの州と、反カルヴァン派の州。

彼らは一進一退の争いを繰り広げました。

その最中にウィレム1世が暗殺されると、今度は二男のマウリッツが抵抗を継続。

1600年頃までに、北部7州が後にオランダとなるネーデルランド連邦共和国として独立します。

彼らは東インド会社を設立し、「極東の国・日本との交易」も含めてアジアへの進出を目指しました。

卓越した海軍力で海上貿易を制覇したオランダは、新興国ながらぐいぐいと力をつけてゆくのです。

そして1609年、アントウェルペンでオランダとスペインは、ついに「12年停戦協定」を結びます。

当初、格下の小国を鎧袖一触できると思っていたスペインにとっては、屈辱の極みであったことでしょう。

ただし、まだまだ戦いは終わりません。

1618年にはドイツで、プロテスタントとカトリックの争いに端を発した三十年戦争が起こるのです。

オランダ側はプロテスタントとして参戦。

1648年のウェストファリア条約によって、正式にオランダは独立国として認められました。

八十年という長期におよんだ独立戦争は、かくして終わりました。

江戸時代出島で交易を続け、何かと縁の深い国オランダ。

出島/wikipediaより引用

独立戦争の最中に日本までたどり着いていたというのは、なかなか凄いことですね。

戦争で火花を散らしていた敵対国同士ですから、オランダとスペインの仲が悪いのも納得できます。

徳川幕府が、なぜカトリック教国を締め出し、プロテスタントのオランダ(当初はイギリスも)と貿易したのかもわかる気がします。

オランダ人から、スペイン人の異端審問やら「血の評議会」やらの話を聞いたら、警戒するのもやむを得ないことでしょう。

小さな国ながら経済と交易を重視して存在感を増していったオランダ。

彼らにとって、東アジアのゴールともなる日本は、重要な交易ルートであったことでしょう。

地球の裏側で起こった宗教改革は、非常に遠い出来事のようで、実は日本の政策にまで影響を与えています。

歴史って本当に面白いですね。


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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】

『図説 宗教改革 (ふくろうの本/世界の歴史)』(→amazon

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