こんばんは、武者震之助です。
龍雲丸率いる盗賊団は「ガラじゃねえんで」という言葉を残し井伊谷から去りました。
って、なんじゃこれは~!
すっかりしょげかえった井伊直虎は、井戸端で失恋気分を味わっております。
するとそこへ小野政次がちょっと嬉しそうな口調で「此度は残念でございましたな」とやって来るのでした。
直虎は龍雲党の自由な生き方にあこがれを感じているようです。
好きなように生きるっていいよね、としんみりする直虎。あなたも結構自由に生きていますよね。政次は「買いかぶりが過ぎますな」と言い残して去って行きます。
政次なんて呪われているのか、と思うくらい行く道(しかも向かう先は破滅)が決まっていますからね。
直虎は百姓に読み書きだけではなく、薬草知識、護身術も教えることにします。百姓の子に手習いも教えるようにしました。
こうした善政のおかげで、直虎の名は広まっていくのでした。
信長ついに登場! 家康は威圧感に押されっぱなし
時は永禄10年(1567)。駿府に呼び出された政次は、今川氏真から何かを頼まれます。
その頃、今川家では武田家への報復として、塩留めを行うことにします。塩という必需品を止める、経済制裁です。海がない武田にとって苦しい状況です。
こうなると俄然張り切るのが瀬戸方久です。このような状況では塩を密売するだけでぼろ儲けが期待できます。塩留めでビジネスチャンスを見いだす商人の姿というのはなかなか面白いです。
政次が今川から頼まれたのは、新野左馬助の三女・桜と今川家重臣・庵原家の縁談でした。縁
談というのは表向きで、国衆から人質を集めているのです。井伊としては受けたくない話ではありますが、断ったらば痛くもない腹を探られます。
一方、岡崎では徳川家康がある人物を前に緊張した表情でおりました。
こちらも縁組の話です。金糸モールをつけたで踏みそうなほどに長いマント、立て襟、ブーツ(つまりは土足)細い口ひげ。そして迫力に満ちたこの口調。
織田信長です!!
薄暗い謎の照明(灯りくらいつけようよ)、大事な同盟相手を脅しつける圧迫縁談持ち込み、「弟を二度殺すのは御免だ」という明白な脅し。
史実の信長は、家康のことを丁寧に扱っているのですが、まあ、初登場ですしね。パンチを効かせたい演出でしょう。
信長の威圧感に家康はコテン、とひっくり返ってしまいます。
二年連続のビビリっぷりを見せ付ける家康でした。
久々に訪れた夫を膝枕で迎える瀬名は……
直虎は桜のことで思い悩んでおります。
母親の祐椿尼は、瀬名と家康のように望んでいない縁談でも結果的に良縁となることもある、と諭すのでした。
直虎の乳母・たけは仕事上のミスを注意されます。歳のせいもあってか疲れた様子です。
直虎は祐椿尼に名を出された瀬名のことを思うのでした。
その頃、瀬名は、実質的に軟禁されている岡崎・惣持寺で久々に夫・家康を迎えておりました。
家康の訪れは滅多にないことのようで、念入りに化粧をして夫を待ちます。
瀬名は息子・竹千代(のちの信康)に、信長の姫(徳姫)との縁談が持ち込まれた、と瀬名に説明します。
結局、飼い主が今川から織田にかわっただけだ、今川はのどかだったなあ、別に駿府なんていらないのに、と愚痴る家康。瀬名は夫の愚痴にちょっとあきれているようです。
妻に癒しを求めて愚痴をこぼしたい家康は、膝枕をしてくつろぎます。
瀬名は家康に駿府へ入ってもらいたい、と叱咤激励します。
家康は皆そうやって野心のために俺を利用するよね、とやはり弱気。長生きすれば信長も信玄もいなくなりますよ、と励ます瀬名です。
短時間の訪問で去ってゆく家康。その夫に、瀬名は井伊のことをお忘れなきよう、と念を押すのでした。
夫を見送る表情が、何とも切ないです。
庵原家に嫁ぐ新野の姫 なぜか三女の桜が選ばれて
新野家に縁談が持ち込まれると、三姉妹は複雑そうな反応を見せます。
なんで長女と二女をさしおいて三女、というのはそりゃあ思いますよね。そもそもこれが良縁かどうかも難しいところですし。
直虎は祐椿尼に、当時、敵対していた今川から井伊に嫁いで嫌ではなかったのか?と尋ねます。
祐椿尼は夫(井伊直盛)が素敵だったのでどうでもよくなった、とのこと。
直虎は念のため、庵原家の嫡男と面談したいと南渓に頼みこみます。
女だからと舐められていた方が気楽だった、と成長を見せる直虎。縁談相手がもしも駄目男なら、機会を見て離縁させちゃえばいいし、と相談します。
南渓は猫と遊び戯れながら、「つまらんなあ。わざと粗相して断らせてしまえばいいじゃない」と言い出します。
そういう策は以前の直虎なら言いだしそうではありますが。
直親の正妻だったしのは祐椿尼に、この縁談はよろしくないのではないかと不安に思っていると意見をしに行きます。
祐椿尼はしのに、直虎も同じ考えで既に手を打っていると言います。
なんとあのしのが「いっぱしの殿様みたいになってきたじゃない。なら出しゃばることもないわ」と微笑み立ち去ります。あのしのが。
「スケコマシ」と共に叫んで(第20回)友情が芽生えたということか……しのも成長しました。
そこへたけがやって来て、何かを祐椿尼に頼みこみます。
「まだ私は若いし、若く見えるっていうし!」
駿府に向かった直虎は、縁談相手の庵原助右衛門(朝昌)の屋敷に乗り込みます。
一通り直虎を褒めたあと、助右衛門は直虎の意図を見抜きます。
「泥舟から逃げ出すだけではなく、泥舟を堅い船にすることも考えていただけませんでしょうか」
そう己を売り込む助右衛門。戦で命が危うくなっても忠義を貫けるのか、と問いかける直虎。
助右衛門はこう答えます。
「できます。忠義を貫くことが生き延びる道だからでございます。最後まで忠義を尽くした者こそ、敵にまで惜しいと思われるのではないでしょうか」
申し分のない若者、と評価され縁談は進められるようです。
少々ネタバレになりますが、この助右衛門はこの先いろいろと活躍することになります。
直虎は桜に「この状況で庵原家に嫁ぐのは不安かもしれないが、相手はなかなかいい若者だから嫁いで欲しい、何かあればSOSを出していいぞ」と告げます。
桜はおずおずと「年齢差は無視して、嫁ぎたいと思いましたか?」と若干失礼な質問をします。
「まだ私は若いし若く見えるっていうし! 嫁げるなら嫁ぐし!」
そう口を尖らせる直虎ですが、正直この人の男を見る目はあんまりない、と思います(直親とか龍雲丸とか)。
ともかく縁談は成立です。
直虎はその後、たけが里に下がったと祐椿尼から聞かされます。後ろ髪を引かれるため、直虎には告げずに去ったのです。
そのたけを追いかけ、直虎は馬を走らせます。
役に立てずとも側にいて欲しい、このまま年老いて井伊で死ね(看取るとかそういう言い回しでないところが直虎らしさ)、と訴える直虎。
乳母の進退も描くのは今年のようなスケールのちんまりした作品らしさですね。主従、涙の別れです。
直虎、北条家との縁談も画策する
直虎と政次はその夜、碁盤を挟んで語り合います。
たけとの別れもふまえて、覚悟を固める直虎。直虎は政次に、桜の姉(二女)・桔梗と北条家の者との縁談を進めて欲しい、と持ちかけます。
北条は今川唯一の同盟相手であり、かつ動きも知りたい家です。
政次もおとわの考えに感心した様子です。
「われは幸せじゃ。井伊の為に身を捧げてくれる者に囲まれて」
「今更気づいたんですか」
このやりとりが、あとでジワジワと効いてきそうです。周囲の献身を知ったことで、直虎も一歩成長しました。
翌朝、たけの幽霊が出たと直虎が聞きます。確かにたけの幽霊か、ドッペルゲンガーというレベル、要するに役者が同じ人物がいます。
たけの姪・梅でした。
どういう演出なんだよ! ちゃんと演じ分けておりますので、たけはよろよろした老女、梅はしゃんとした中年女性、ではあるんですけどね。芸達者です。
岡崎では、徳川家嫡男・竹千代と織田家の徳姫との婚儀が行われます。
それに伴い、竹千代の母である瀬名も惣持寺から岡崎城に移ったのでした。このときは幸せそうですが……。
政次は、桔梗と北条家臣・狩野家の縁談を早速まとめます。ここの場面、いい感じで直虎と政次が微笑みあっているのに、方久が駆け込んで来るとぱっと離れます。
この空気がなかなかじれったいです。
方久は、井伊での材木を中村屋で取引できることになった、と知らせを持って来ます。ビッグなビジネスチャンスです。
直虎は様々な試練を経て、成長しました。
おとわとして、姫としての日々はついに終わります。
MVP:織田信長
この圧力、迫力は今川義元退場以来ではないでしょうか。
本作の信長は、歴史的考証に基づくというよりも、衣装や演出としてはスタンダード路線、皆がイメージする信長像そのものかと思います。
まあ『信長の野望』のパッケージから飛び出して来たようですね。だからこそ、信長ってやっぱりカッコイイ、と素直に思えました。
カッコイイだけではなく、市川海老蔵さんが歌舞伎役者らしい発声とやや大仰なまでに演じており、これがまた異様さを醸し出していいんですねえ。
先週まで「戦国ビッグネーム不足」であったところに、ガツンとストレート直球の信長を投げ込んでくる。
やっぱり信長ってカッコイイね、としみじみと思えました。
総評
さらば、おとわ、姫としての日々……でしょうか。
ほぼ折り返し地点まで来て、第二部終了といったところでしょう。
第二部からは女領主としてスタートを切った直虎ですが、女と侮られて怒ったり、過去の失恋をひきずったり、新たな恋の予感にどぎまぎしたり、どこか姫らしさも残していました。
そんな姫としての部分と今週は別れを告げました。
乳母のたけとの別れがその象徴でしょう。
女として侮られる経験も受け止め、女性を政治上の駒として使うスキルも身につけた直虎。
彼女の人生は例年と違い、結婚や出産といった明確な区切りがないため、精神的な成長を見せることでステップアップを描く必要があります。
本作はそれをうまく描いていると思います。
そんなちんまりとして直虎との物語に、投げ込まれたのが信長です。
成長した直虎の前に立ちふさがる戦国乱世の象徴として、まさにこのタイミングで登場しました。
他の人物と比べて明らかに異質で、恐ろしくもある信長。
殺気をギンギンにたぎらせた彼を見ていると、やっとこの時が来たという感覚があります。
戦国の小さな幸せや生活が、大きな激流に飲み込まれる。
そんな新展開が待っています。
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絵:霜月けい
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【参考】
NHK大河ドラマ『おんな城主 直虎』公式サイト(→link)
















