◆戊辰150年に女優・綾瀬はるかさん 会津藩公行列5年連続参加(→link)
大人八重と、チビ八重のコンビが出演。
しかも二人とも会津訛りでコメントだ!
綾瀬さんは「今年も会津まつりにお声かけいただきありがとなし。良いお祭り日和となって、皆さんにお会いできるのを楽しみにしています」、鈴木さんは「皆さん、お元気だったがし? また会津に行くことができてとてもうれしいなし」とコメントを寄せた。
このように地元からの大河愛があり、出演者の心にも根付いていて、シッカリと行動に移す――そんな場面を見ると嬉しくなってしまいますよね。
『真田丸』でも、出演者が地元のお祭りに参加していました。
嬉しいのは全国のファンや地元住民だけではありません。
大河出演が、役者としての転機になることもあります。
綾瀬さんがまさにこの好例。
後にアクション女優としての素質を開花させた契機は、まさしく八重を演じたコトだったでしょう。
社会や歴史に寄り添う番組にも多数出演しており、女優として確実にキャリアを駆け上っていることを感じます。うれしいですよね。
大河が地元でこんなにも愛され、出演者がその経験を大事にしている――。
そういう力が大河にはある。
一方で、こんな悲報もありまして……。
◆「西郷どん」PR用のぼり、1週間で53本損壊(→link)
「西郷せごどん」放映に合わせて同市加治屋町に開設した観光施設周辺で17日までに、PR用に設置されたのぼり計53本の支柱が折られたり、引き抜かれたりしているのが見つかった。
こういう事件はさすがに笑えません。
単なるイタズラなのか。それとも何らかの怒りがあるのか。
もしも不満を抱いているのでしたら、正面切ってブログを書くなり、NHKへ手紙を送るなりした方がいい。
大切なのは、来年以降の作品がより良くなることでしょ……っていうのも実は違うかもしれないんですよね。
地元薩摩で、しかも生粋の大河ファン。
犯人像がそんなプロファイリングだとすれば、今年の本作に対する怒りは理解できてしまう。もちろん、のぼりを壊す等といった幼稚な行為は許せませんけど。
ただ、『花燃ゆ』の時も、銅像が資金不足でなかなか建立できなかった、なんて話もありました(八重は即座に建立できました)。
◆花燃ゆ 銅像、やっと完成 寄付金不足で5カ月遅れ(→link)
あるいは大河ドラマ館ががら空きだなんてニュースや。
◆花燃ゆ大河ドラマ館 客少なく目標30万人「ちょっと厳しい」(→link)
主演女優の井上真央さんも随分と苦労されたなんて記事も。
◆井上真央「花燃ゆ」爆死でギャラが3分の1に下落、松本潤との結婚も遠のいた(→link)
駄作大河の印象が強まると女優としてのキャリアすら傷つけられる、そんな一例になりました。
『西郷どん』の主役・西郷隆盛も、元々は堤真一さんで決まり――そんな報道がありながら直前で主演を蹴ったという報道がありました。
負のチカラを放射しているとしか思えない、2015年と2018年の幕末大河。
放映年に舞台地が賑わうのは当然のことですが、問題は、愛を継続できるかどうか。
残念ながら史上最低レベルとなりつつある薩長同盟大河は、シラケムードと黒歴史だけを残しそうです。
5年後の我々は『西郷どん』をどんな思いで振り返ることでしょうか。
鈴木亮平さんのキャリアに致命傷が与えられないことを祈るばかりです。
【TOP画像】
『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』(→amazon)
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【一分あらすじ】トイレに行きたいのか……
今回の舞台は鳥羽伏見の戦い!
海外ドラマの合戦シーンを思い出し、意識が遠のきます。『八重の桜』はもっと迫力があったのに。どうしてこうなった……。
捏造丸出しの「錦の御旗」で勝利をゲットし、弟との信吾(西郷従道)が撃たれて倒れますが、死にそうな緊迫感は薄い。第一回放送でその信吾が西郷糸子(岩山糸)と出演されているんですよね。まぁ、誰も覚えちゃいないか。
慶喜は史実通り、江戸へ向かいます。
そして辿り着いた江戸城には勝海舟と山岡鉄舟しか家臣がいない! これは幕府なのか!?
緊迫感がなさ過ぎて、しかめ面をしている西郷どんが、電車内で便意を我慢している姿程度にしか見えないのがポイント。
我ら薩摩は天下万民を守る正義の軍隊と言い出します。
結局、「戦の鬼」という突然のブラック西郷になっても、綺麗事が基本なのは変わりなさそうな……。
幕末の公家はもっと芯が強いでっせ
我ら薩摩は天下万民を守る正義の軍隊と言い出す、西郷どん。
それはわかった。
でも、戦闘シーンの演出がしょぼいのはどうにかならないものでしょうか。八重のノウハウはどこに消えたのやら。
「こいでよか」
と戦いをグイグイと強行する西郷どんの言葉もむなしいばかりです。
その頃京都の真ん中では、鳥羽伏見の開戦で公家たちはオタオタするばかりでした。
その描写も酷い。
幕末の公家はもっとしゃっきりしているのに、なんでこんな一山いくらのバカ麻呂ばかりなの?
以下に幕末貴族の記事リンクを貼っておきますね。
意外と過激な幕末の皇族&公家18名!武闘派は戦争にも参加している
続きを見る
さらにダサい戦闘シーンが続きます。
にしても、八重の桜の2013年から5年で、ナゼここまでダメになっちゃったんでしょうか
何度も申し上げますが『ゲーム・オブ・スローンズ』あたりと比べると悲しくなって来ます。
錦の御旗は美談にあらず
大人数の幕府に押され、戦況不利な薩摩。
「退くなー! 退いてはいかーん!」
配下の藩士たちに発破をかける西郷どん。戦場における西郷の決まり文句も、なんだかどこかの時代劇で聞いたような台詞です。
大久保一蔵(大久保利通)と、おゆうが登場し、【錦の御旗】の描写が始まります。
岩倉具視が歓喜してはしゃいでおりますが、これ、史実では岩倉の秘書がテキトーに作っただけのアヤシイ奴っすね(以下に参考記事)。
疑惑と陰謀にまみれた「討幕の密勅」薩長が慶喜を排除して幕府を潰すためだった?
続きを見る
おゆうが協力したという設定にするのはいいのですが、ちょっとした美談っぽくなってません?
この逸話、本来は
【大久保が妾に作らせた、テキトーな旗です♪】
という、どちらかというと『小馬鹿にするニュアンス』で語られることが多いです。
それをエエ話のつもりだと思う本作のセンスって、やっぱり絶望的にやばい。
時代物を書くセンスがすっぽ抜け。底が見えません(´・ω・`)
『花燃ゆ』の脚本家は、それなりにあった――というか、その意志をねじ曲げさせられた苦悩を感じたものですが、本作はそれすらない。どういうことなんでしょうか。
軟弱すぎる薩摩隼人なんて見たくない
テキトーな経緯で作った【錦の御旗】が掲げられるや、薩摩が幕府に勝利してノリノリ。
このとき弟の信吾が、とても薩摩隼人とは思えないほどヌルいことを抜かして、撃たれてしまいます。
にしても、なんですか、この薩摩隼人は?
制作陣は、彼らをどうしたいん?
今、日本のフィクションで一番アツイ存在って薩摩隼人ですよ?
実際の薩摩隼人はフィクション以上にパワフルだった?漫画やアニメで検証だ
続きを見る
薩摩の剣術・薬丸自顕流。
カッコよくてちゃんとした自顕流を使う薩摩隼人は、『ゴールデンカムイ』の「鯉登少尉登場までお待ち下さい!」ってか?
それとも朝ドラ『あさが来た』の再放送でしょうか。
確かにそれが賢いかもしれません。
本作では、「幕末の四大人斬り」として恐れられた中村半次郎(桐野利秋)ですら、きちんと自顕流を使えている気がしないのです。
寺田屋事件の殺陣も、自顕流の動きならありえない描写でした。
戦場で撃たれ、後方へ運ばれる信吾。
ここでお虎が、怪我をしたのは西郷どんの弟だから!と叫ぶあたりが、本当に歴史物を作るセンスに欠けていると感じてしまうのです。
セリフが違うでしょ!
こういうとき、むしろ美談となるのは、こんな感じの内容では?
信吾「俺が吉之助の身内だからって気を遣うな! もっと傷ついている者は他にいる! 先にそっちを見ろ!」
こんな感じで、動揺するお虎を信吾が止めてこそだと思うんですけどね。
戦場で油断して背後を撃たれ、その挙句、女の口利きで治療を優先してもらうって最低最悪にカッコ悪いじゃないですか。
なんだこの、薩摩隼人屈指のカス描写。もう「チェスト関ヶ原」されてしまえばいいのに……。
※『衛府の七忍』由来のネットスラング
大事な描写をすっ飛ばしたせいで土台グラグラ
西郷どんはすっかりブラック化しております。
テキトーな流れの中、西郷どんがカッコつけ、慶喜がセコイという描写だけが続く。
このへん、ちょっといいところがあるとすれば、慶喜の「偽りの官軍」というところでしょうか。
まぁ、密勅といい錦の御旗といい、怪しさマンマンですからね。
ダメなところは、水戸徳川家の勤王思想をガン無視するあたりです。
偽の錦の御旗とはいえ、勤王思想の強い慶喜なら、旗に対して『へへーm(_ _)m』となってもいいような場面なのに、戦うと言っておきながら、結局、逃げるという、くそどうしようもない展開。
だから言ったじゃないの……。
島津斉彬が生きていたころ。将軍継嗣問題の時、ろくすっぽ慶喜周辺を描かず、屋台骨がグラグラです。
若き西郷にも強く影響を与えた水戸藩の藤田東湖を出しておりませんでしたが、そういう思想的背景が薄っぺらで、だからこそドラマの展開もワケわからないんですよね。
藤田東湖は水戸藩を過激化させた危険人物だった?斉昭や西郷の思想に影響与える
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でも、それでも慶喜のほうがそれでも西郷どんよりマシに見えますからね。
西郷どんも信吾も、バカすぎるんだもん。
ワンパターンのしかめ面。
電車の中で腹痛をこらえて、トイレを探している人に見えてしまう。
同じ状況でも、『八重の桜』の時の西郷と大久保はゾッとするほど迫力がありました。
敵なのに……なんで会津目線から描いた薩摩も長州もカッコいいのよ!
そんな風に思えたものです。
カッコいい薩摩隼人が見たい、見せてくれよ><;
合間に挟まる信吾の容態。
老人の姿で一話にも出てきたコイツは、どうせ死なないんだ――史実を知らんでもわかることです。
『八重の桜』では八重の弟・三郎が鳥羽伏見で戦死しましてね。あれには泣きましたよ。
それに比べたら信吾はどうでもええ。
むしろ、長岡戦争で戦死する西郷吉二郎が気になりますわ。
ちなみに史実での西郷従道(信吾)は、貫通銃創です。
結局死なずに転戦するし、意識を失うほど大げさな傷とも思えない。死なないとわかっている傷を大げさにするなよ。
薩摩隼人なら、強がる場面でしょ?
川路利良なんて、睾丸に貫通銃創負って戦って、それで尊敬を集めていますけど。
それでこそカッコいい薩摩隼人でしょ!
ふきの性格が完全にぶっ壊れ
ここで、慶喜の逃走する軍艦描写も最低です。
ふきが笑うのも最ッ低。
そもそも彼女、史実で該当する人物って、火消し・新門辰五郎の娘なんですよね。
なぜ、こんな、誰も得しないバカみたいな改変した挙句、幕末史でも貴重な新門辰五郎の描写を削ったんですかね。
偉大なる親分・新門辰五郎とは? 将軍慶喜に愛された火消しと娘・芳の生涯
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それにしてもふきの性格はどうしたもんでしょうか。
慶喜の寵愛を受けながら、産業スパイのような役割をして、妄想じみた「幕府が薩摩をフランスに渡す計画」を漏らす。
ここでは、軍艦が沈むと言うし。
なんだこいつ?
貧しい自分を救ってくれた慶喜を貶める、性格が腐りきった女にしか見えません。
しかもこのふき、後に西郷どんに謝ればいいとか言うのです。
もう、バカ!
バカ、バカ、バカ!ってフザけてる場合じゃありません。
謝ればいいって、ガキの喧嘩でもヤンキー漫画でもありませんて。いろいろ吹っ飛ばして何ホザいてんの?
これが閨で二人きりになったとき、言うのであれば、ありっちゃありですよ。
本作はどこまでも歴史的センスがない!
歴史物で守るべき身分差とか、TPOとか、ガン無視している。
見ていて恥ずかしくなってきます。
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