青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第36回 感想あらすじレビュー「栄一と千代」

青天を衝け第36回感想あらすじレビュー

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青天を衝け感想あらすじレビュー

※文中の記事リンクは文末にもございます

ショッカー三菱には「合本」で対抗!

渋沢栄一は「東京風帆船会社」を設立しました。

日本にとって海運は非常に大切な産業です。

となれば、当時はどれほどの規模があって、三菱がどれだけ握っていて、では、どうすれば渋沢が勝てるのか。

あるいは合本であることのメリットは?

経済大河ならではの解説を期待していたところ、今週もまたショッカー岩崎の悪人描写に時間を取られてしまいます。

「風船球のように沈めちゃる! ガハハハ!」と、わかりやすいショッカーしぐさ。

 

成一郎も40歳超えて相変わらず

そのころ渋沢邸では、栄一の娘・うたがハキハキと縁談の話をしていました。

若い方にあまり厳しいことは言いたくありませんが、放送委員が文化祭でアナウンスをしているような口調に感じられて辛い。

成一郎がオタオタしながら渋沢邸へ飛び込んできます。

彼も既に40歳を超えたいい大人です。

明治初期であれば現代の50~60代の感覚でもおかしくなさそうなのに、相変わらず本作の人物は年齢にふさわしい成熟が見られません。

成一郎は、栄一が亡くなったというゴシップに驚きながら、ドタバタ進んでいくと、奥にはなぜか五代様がいる。

それにしても、成一郎は本当に栄一が死んだと思っていたんですか?

本作の登場人物は、フェイクニュースに釣られてテスラ缶でも買ってしまいそうです。

五代様は、今週もドラマの先々を見通せるようなメリサンドルスタンスで、説明セリフで語ってくれます。

※メリサンドル……『ゲーム・オブ・スローンズ』に出てくる赤の占い師

どうやら政府筋はデタラメ記事で五代や黒田を追い詰めようとしているとか。

まるで大隈重信岩崎弥太郎が全部悪いかのような描写ですが、そもそも火のないところに煙は立たないはず。

そしてショッカー岩崎はまた、大仰な土佐ことばでドデカイ啖呵を切っています。タップで商売の手も広げました。

そのころ貧民救済は赤字に陥っていました。

栄一は東京養育院の事業縮小を議会で求められますが、また目つきを悪くして周囲を睨みつけています。

「国が一番守らねばならんのは人だ!」

確かにその通りでしょう。

貧者を救済することは社会全体によい影響を与えることが期待できます。

しかし、そこで始まった論戦が異常なまでに子供っぽい。

「こっちを間違っているというお前が間違っているというこっちを間違っているお前が間違っている……」

って、いったい私達は何を見せられていたのでしょう?

近代大河で、経済が主軸。それなのに数字の話も、経済理念の中身も一切語られず、渋沢の功績のはずの東京養育院でも幼稚な反論に終始している。

とにかく驚くほどに説得力がありません。

案の定言い負かされ、ショッカー岩崎にコケにされています。

まぁ、仕方ないでしょう。成一郎だけでなく、本作の渋沢栄一はせいぜい高校の生徒会長ぐらいの印象です。

老獪で知的な舌戦など期待できません。

学級目標じみた歯の浮くようなセリフは言えるものの、弁論も何もあったものではないのです。

三国志』の世界観なら憤死しかねませんね。

 

開拓使官有物払下げ事件

教科書にも出てくる「開拓使官有物払下げ事件」がザックリと描かれました。

恐れながら申し上げます。本日、大河で見た同事件の顛末は全て洗い流したほうが良いと思われます。

五代友厚と黒田清隆
五代は死の商人で黒田は妻殺し~薩摩コンビ暗黒の一面とは?

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まとめると

「五代様は悪くないの! 悪いのは五代様に罪を着せて、本当はショッカー岩崎に利益誘導したい大隈なの!」

という、ムチャクチャな誘導。

同じ脚本家の作品『あさが来た』でも、この開拓使官有物払下げ事件は、以下のように口ポカーンの描写だったものです。

◆『あさが来た』での開拓使官有物払下げ事件は?

スコミの捏造だ! 五代様が悪いわけがない!

それまで無能で事業を全て妻にぶん投げていた新次郎が突如覚醒し、捏造だと見抜く。

優秀だったはずのヒロイン・あさは特に何もしない。

ともかく五代様は悪くないと証明された!

要するに『デスノート』の「ジェバンニが一晩でやってくれました」の朝ドラ版だったわけで、今回は新次郎不在のため伊藤博文がジェバンニになりました。

ジェバンニ伊藤は黒幕が誰かまで全てお見通し。

大隈重信という肥前閥佐賀藩出身者を追い出すことに成功したのです。

これまた【明治14年の政変】として日本史の教科書に出てきそうですが、出版社と歴史教師が頭を抱えそうな展開になりました。

前々から言われていましたように、大河ドラマで幕末明治以降の歴史を学ぶのは危険です。テストで不正解の確率が上がってしまう。

この政変、端的に言えば「薩長土肥の抗争が背景にあって、薩摩閥の黒田と五代、それに大隈をセットで追い出す」という構図がありました。

要はドロドロした政治抗争です。

それを「ショッカー退治だ!」という、スマホゲーのイベント気分で進め、最終的にはショッカー岩崎とデ・アール大隈が悪いとなる流れへ。

伊藤博文が大隈邸宅を訪問するときの演出もバカバカしくて声を失いました。

夜なのに照明もろくにない。そもそも夜中に訪問する必要があったのか。伊藤博文が変なBGMに乗っかって、足音を響かせてスローモーションで歩く。一体なんなんだ……。

この展開の何がお粗末か?

といいますと、五代様と栄一を仲良しにしたことでしょう。

薩長閥それぞれ背景にいる商人同士が睨み合うカタチにすれば、それはそれで盛り上がったと思います。

そこに大隈と岩崎を絡めれば、なお面白い。骨のある展開を書ける脚本家だったら、そうされたのでは?

薩摩→五代
長州→渋沢
土肥→岩崎

それが、いつにまにかへなへなと、腰砕けしたような関係になっています。

イケメンが演じていてファンもいるし……どうしよう! そんな見苦しい戸惑いが透けて見えてきて、何が何やら。

 

五代様は汚い商いなんてしていない?

場面は、娘うたのお見合いへ。

伊達家(伊達宗城)ゆかりの穂積青年は、東大で働く好青年で、良い話のようですが。

突っ込みたいのは、うたと穂積の所作指導。

うたは和装所作と発声指導をもっと真面目にやらないと、明治の御令嬢にはとても見えません。

なぜ彼女は、いちいち放送委員が読み上げるように話すのか。若手女優をここまで投げっぱなしって、本当に画面を見るのが苦しくなってきます。

脚本と演出の問題ですが、うたの魅力もわかりません。

自分のことを一方的にペラペラペラペラ喋って笑う。「敢えてそういうキャラを狙ってる」みたいなことを言われても、ただ単に幼稚な女性にしか見えないのです。

そもそも二人の結婚なんて、ナレーションで済ませてよいはずでは?

もしかして時間稼ぎ?

娘の恋愛を、見つめる親も気持ち悪い。自分だったらこんなの耐えられません。

傷ついた五代様はどこへ行くのか?

と思ったら東京商法会議所の栄一のもとへ。

他に友達がいないのでしょうか。実際、地元の鹿児島では嫌われていたようですが、【西の五代に東の渋沢】って、そういう意味ではないと思います。

そして五代様はこうきた。

「北海道の開拓使事件はマスコミの捏造なの! 汚い商いなんてしてないの!」

そんなことをここで言ってどうしたいのでしょうか。

本当に、このドラマの「突然告白」な世界観には驚かされます。

土方歳三も出会ったばかりの渋沢栄一に、思っていることを全部ペラペラとしゃべっていました。そんなことが近藤勇沖田総司にでも伝わったらどうなっちゃうのよ、歴史変わっちゃうんでは?と心配した程です。

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五代に対して栄一はまっとうなことを言います。

「なら反論すれば? 汚いことしてないんでしょ?」

珍しく正論を言いましたね。それに対して五代は?

「そのうちどこかのマスコミが、何かいいこと書いてくれるかもだし!」

栄一もここで「なら福地桜痴なんてどう?」とお仲間を紹介してもよいでしょうに。

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福地を目的としていたのであれば、五代様の来訪も理解できなくはありません。

しかし栄一はそうしません。まぁ、五代の言い訳も嘘くさいですしね。もしも、調べて無実という証拠が出てこなかったら書けません。

それでも五代様はまだグチグチ言い訳をしています。

「北海道の開拓には関われなかったけど、いいもん、これからは別のことをするんだもん! 欲しいのは名誉や金だもん!」

なに言ってんだ、この人……。

開拓使がアイヌの土地や資源を奪い、屯田兵に色々と丸投げした悪事は北海道の歴史を学ぶ上で避けられません。

五代様とお友達である黒田清隆は、さしたる理由もなく漁民の家を砲撃、中にいた若い女性は苦しみながら亡くなりました。

そしてその責任を周囲に押し付け、本人はお咎めはナシ。

五代様は郷中仲間の黒田清隆のコネを使い、開拓には絡まなかったくせに、利益だけ得ようとした。そう自白しているようなものです。

うん、やっぱりこいつは有罪だべな。

そもそも屯田兵親族の中には、五代様がグラバーから買い取った銃器で亡くなった方も相当いるはず。

そんな奴が「武器で儲け、開拓で儲ける」なんてことを言うわけです。

しかも、自分たちはお金にキレイで、三菱の金儲けだけが悪いというスタンスなんだから、小賢しくて、見ているのが辛いのです。

長州閥の井上馨がやってきます。横には三井の益田孝。

五代と黒田の薩摩コンビも相当黒いですが、それでも彼等が霞んでしまうのは井上馨ら長州閥のおかげでしょう。西郷隆盛が「三井の番頭さん」と皮肉ったほど、井上は真っ黒です。

そんな井上が、海運会社の再挑戦クエストを持ってきた!

「ガチャをひけ、渋沢栄一! ガッツリ政府が重課金するぞ!」

「よし! SSR共同運輸株式会社ゲットぉ!」

いくら綺麗事を並べていても、結局、政府のお金を使ってガチャを引く。

どういう経緯でショッカー岩崎に負けたかさっぱり描かないものだから、政府の重課金チートプレイヤーにしか見えません。

井上と仲良しという時点で何の説得力もないのです。

このあと、また時代考証をしない明治の女子会。まぁ、需要があるから仕方ないですね。大手メディアでも見出しになるぐらいでした。

◆『青天を衝け』35話。千代「ぐるぐるいたします!」明治の女性たちがアメリカ前大統領接待で大活躍(→link

絶望的に痛い一文がコチラです。

「キャッキャウフフと明治の女子会が盛り上がる

なんなんでしょう、これ……。

◆あでやか!『青天を衝け』橋本愛ら女性陣メイン回に「奥様方かわいい!!」の声 元宝塚・愛希れいかにも注目集まる(→link

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