1859年(日本では幕末・安政六年)11月23日は、西部開拓時代のガンマンとして有名なビリー・ザ・キッドが誕生した日です。
西部劇の主人公っぽい人物を連想していただければ何となくイメージがつくかと思います。
まずは「西部開拓時代」にスポットを当ててみましょう。
金を求めて人が急増 アウトローの代表・ガンマンが発生した
西部開拓時代とは、だいたい1860年代~1890年代ぐらいの時期をさします。
1848年にカリフォルニアで金鉱が見つかり、文字通り一山当てようとした人々が集まって「ゴールドラッシュ」が開始。
アメリカでは人の往来が急増しました。
南北戦争や大陸横断鉄道の開通、世界中からの移民が押し寄せたりなど、この時期は、アメリカの歴史における主要な出来事が数多く起きております。
また、負の面に注目しますと、白人の移動によってインディアンの虐殺が頻発していた時代でもありました。
現地では「ネイティブ・アメリカン」という言い方をかえって差別的だと感じる方もいるそうなので、当コーナーでは「インディアン」で統一しています。
部族にもよるようですが、自ら「インディアン」と名乗る人たちもいるそうなので、どれが差別的なのかそうでないのかというのは難しいところですね。
「先住民」も蔑称に感じる人がいますし。
というわけで次々にアメリカへ人が流れ、そうなれば悪い奴が出てくるのも必然。
それがアウトローと呼ばれる無法者たちでした。
当時のアメリカでは法律が行き届いていたわけでもないので、微妙に違う気もしますが、こまけえこたあいいんだよ。
アウトローの代表例が「ガンマン」です。
この呼び名だとカッコイイですが、現実のガンマンは連続殺人犯といったほうが近い気もします。
NY生まれ、アウトロー育ち
ガンマンの一人がビリー・ザ・キッドです。
ニューヨークで生まれ、ニューメキシコ州で育ったといわれています。
本名はウィリアム・ヘンリー・マッカーティ・ジュニアといい、10代前半でアウトローになり、アリゾナ・テキサス・メキシコといったアメリカ南部で強盗や殺人をしていました。
……ここだけ見たら完全にただの犯罪者なんですが、射撃の腕前と顔の良さでヒーロー扱いになっているような気ががが。
1880年に保安官に捕まり、翌年4月に脱走。
その3ヶ月後にニューメキシコ州で闇討ちに遭って殺されました。
「21人を殺して21歳で殺されたガンマン」ということになってますが、殺害人数やその他の逸話は真偽が怪しいとか。
ただ、馬上から鳥を撃ち落としたり、上に向かって投げた空き缶が地面に落ちるまでの間に六発弾を当てたなどは証言があったそうなので、腕は確かなんでしょう。
近年でも写真が億単位で落札されるほど、人気のある「ならず者」の一人です。
同世代のガンマンとして「カラミティ・ジェーン」と呼ばれた女性もいます。
インディアンとの戦争で斥候を担った女性ガンマン
同世代のガンマンとして「カラミティ・ジェーン」と呼ばれた女性もいます。
女性なのにガン”マン”というのも妙に感じますが、英語で”gunman”だと性別関係なく「銃の名手」らしいのでこのままでいいでしょう。
カラミティ・ジェーンの本名はマーサ・ジェーン・カナリー。
6人きょうだいの長女で、一家揃ってあっちこっち転居を重ねているうちに両親が亡くなってしまい、弟や妹達を養うため、飲食店での下働きや看護婦、牛飼いなど何でもやっていたのだとか。
絵に描いたような苦労ぶりですね。
そんな生活だったので正規の教育は受けられなかったのですが、最低限の読み書きができたからか、軍のお偉いさんに認められてインディアンとの戦争における斥候(スパイ)として働きはじめます。
同時に男装も始めていて、写真を見るとなかなかサマになっていますね。
西部劇も時代劇も最近見かけませんよね
彼女を雇ったお偉いさんの名については、彼女の証言がアテにならないためはっきりしていません。
自伝では他の凄腕ガンマンと結婚していたとかいなかったとか、エライ将軍に目をかけられていたとかいろいろ書いているので、いっそ作家になったほうがよかったんじゃないかという気がします。
二人ともいつ銃を扱い始めたのか、どこで手に入れたのかなど詳しいこともわかりません。
アメリカが当初から銃社会だったために、かえって記録に残らなかったのでしょうね。
一昔前は毎週のようにどこかのチャンネルでやっていた西部劇。
最近あまり見かけないのは、そういった理由が影響しているのでしょうかね。
日本の時代劇もどんどん無くなってきているので、東西でなんだか似たような現象になっている気もします。
社会的背景が以前とは大きく変わっているからですかね。
長月 七紀・記
【参考】
ビリー・ザ・キッド/Wikipedia
カラミティ・ジェーン/Wikipedia
西部開拓時代/Wikipedia