べらぼう感想あらすじレビュー

背景は葛飾応為『吉原格子先之図』/wikipediaより引用

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『べらぼう』感想あらすじレビュー第10回『青楼美人』の見る夢は 蔦重の夢と共に

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上様献上なるか?

さて、その千代田のお城では、徳川家基が父・徳川家治に「願いがある」と申し出ています。

家治は勝手に吉原の絵を見ることに設定されておりますが、これは家治だからよいのかもしれません。

家治は歴代将軍の中でも、性的には淡白。御台所とは相思相愛、十代で婚約し、仲睦まじくしておりました。

知保はあくまで腹を借りると言いますか、世継ぎのために寵愛された存在ともいえます。

そして家治は文化に明るい。

良い絵だったら好奇心にかられて見ても不思議はない。蔦重の発想はなかなかよいのですよ。

将棋の名人でもあり、絵心もある。この家治直筆の絵をステータスシンボルとして伊達重村などは贈賄してまでもらっていたそうで、彼も時代の象徴です。

さて、そんな将軍は、最愛の我が子の願いを寛大に聞き入れようとします。

徳川家治/wikipediaより引用

蔦重が、いざ上様献上の秘策を語ると、忘八どもは目玉飛び出しそうなほど仰天してしまいます。この親父ども、浮世絵みてえなツラしてんな。

このドラマのすげえところは、顔の作りが浮世絵じみてる。

公式SNSに投稿された蔦重のオフショットを見て、ため息をついてしまいました。こういう表情は浮世絵だけのもんじゃねえと思ったもんです。どういう表情筋の使い方してんでえ。

蔦重は、源内を使ったら田沼まで届くという。そして上様ご献上となりゃあ、犬のクソでも売れると言い切りました。

これ、笑っちゃいけねえと思いますぜ。今だって、仕出し屋の高級弁当ランクが「殿様」や「大名」だったりするじゃねえですか。

さっき見た肥後ずいき通販サイトも、そんなランク付けしてましたぜ。各自、お調べください。

りつは「上様ご献上となれば上様が吉原に来ているかもしれない」と思い付けば、扇屋が重々しく「格が上がりゃあ客筋も良くなるな」と続く。

この扇屋は忘八の中でも知性派、諸葛孔明じみた面構えで、彼の特徴といえます。扇屋の女郎は知性派として名を馳せています。

客筋がよくなれば金も落ちる。豪気な身請けもぼんぼん出る。いいことづくめだと親父どもも納得。

ただし、知性派の扇屋は献上できるようになると値が張ると気にしております。

そんな高い本が江戸で捌けるのか?と。

蔦重には、何やら秘策があるようで……。

それを聞いた親父どもは、地本問屋が火を吹いて悔しがるだろうとノリノリです。

いいんですかい? ますまず溝が深まらねえか?

そこで蔦重が本のかかりをお願いしたいという。

「100両!」

金額を聞くやいなや、蜘蛛の子を散らすようにシラける忘八ども。

瀬川が1400両で身請けされ、うつせみが300両で身請けできるという概算を踏まえると、この程度でしらけ切る親父どもはなんとも言えんのですが……。

すると駿河屋、チャリンと音を響かせ、50両を出すと宣言しました。感激する蔦重。

「ただし、これは入銀じゃねえ。貸付だ」

そう釘を刺し、戸惑う蔦重に畳み掛けます。

「ふ〜ん。でかい口きいても返せる見込みは立ってねえってことか」

「いや! こりゃ売れますから! 売ってみせますぜ!」

煽られる蔦重。いけんのかい?

 


まるっきり新しい女郎絵本を作る

新たな本づくりに着手することになった蔦重は、さっそく勝川春章を吉原まで案内してきました。

随分と売れっ子を引っ張ってきたじゃねえか。

なんでもご近所の北尾重政が声をかけたそうで、これが江戸文化ってやつだ。

江戸はネットワークでウェブ上に繋がっているので、ご近所さん同士のコミュ力が大事(でぇじ)なんすよ。

その点、陰キャコミュ障だった『光る君へ』のまひろとは異なるんですね。あれはデカいスポンサーである藤原道長を見つけることで打破できました。

春章は「女を描けない」という評価もあるようで、それを打破したいとのことです。

いやはやどうして、春章の肉筆美人画は「春章一幅値千金」と評され、さる大名も持っていたそうですが、それはまたのちの話ってことで。

勝川春章『雪月花図』/wikipediaより引用

瀬川が赤い格子にもたれかかり、本を読む。

そんな松葉屋に蔦重が春章を案内します。そこは空き時間をくつろぐ女郎の姿がありました。

三味線や琴を弾き、花を生け、煙管をくわえ、おしゃべりを楽しむ、そんな姿です。松の井が「また本を作るのか?」と尋ねると、いねが瀬川の次を売り込むための本だと返します。

「次か……」

瀬川がぽつりとつぶやく。

蔦重は本に目を落とす瀬川を横目に、春章を案内してゆくのでした。

 


『青楼美人合姿鏡』完成

かくして、売れっ子絵師による吉原絵本『青楼美人合姿鏡』が完成しました。

完成本が、田沼意次の前に積まれております。

平賀源内が口上を述べ、上様へのご献上を頼みます。

「面をあげよ。そのほうら、何故かような本を?」

源内に連れてこられたのは、扇屋、駿河屋、そして蔦重です。扇屋は蔦重が説明すると促します。

蔦重は「僭越ながら」と切り出し、瀬川のめでたい落籍のことを話します。

「ありがた山……お前、ありがた山か?」

ここで意次、気づきましたぜ。

「覚えててくださったんですか?」

これが田沼意次のコミュ力なんすよね。実際、人当たりは抜群に良かったそうです。しかも美男でした。

田沼意次/wikipediaより引用

意次は破顔一笑し、「あのような物の言い方をするやつはほかにおらぬからな」と続けます。

驚く扇屋と駿河屋。

ここで、蔦重の「地口」が連発されるぜ。

・かたじけ茄子(なすび)

・大当たりのこんこんちき

・仰せの通りの油町

意次は調子のよい口調に笑います。そのうえで瀬川は今年よみがえった名跡かと尋ねる。

蔦重はその由緒ある名跡が蘇った記念だと説明。すかさず駿河屋が「徳川様の御意向をささやかながら世に伝える所存」と続けました。

意次は瀬川の道中について源内から聞かされ、それで日光社参見直しの算段を思いついておりますので、恩返しをしなければならないと言い出しました。なかなか義理堅いっすね。

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