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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第21回「旅立ち」】
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検非違使別当・実資により伊周捕縛
藤原実資が、妻の婉子女王からマッサージを受けています。
なんでも伊周探しで疲れ切っているとか。
教養あふれる実資がそんなことするなんておかしい!と、妻が訴えると、実資も同意しつつ、逃げた伊周を見つけなければ検非違使別当をやめられないとぼやいています。
婉子女王はつまらないそうです。なんでも帰宅しても疲れたと言ってすぐに休んでしまうのだとか。
「いま少しじゃ、今少し、今少し……」
身体をマッサージさせながら何気なく語る実資ですが、健康マニアらしい発言にも思えます。
相手がいかにかわいらしい妻であっても、実資は自己抑制ができている。かつて宣孝から贈られたスケスケ衣装美女の春画を喜んでいた実資は、色好みでもあります。
しかし、東洋医学で寿命を縮めるものといえば「酒」と「色」。
疲れが溜まっているときは、この二つは遠ざけるべし――そう考えていても不思議はありません。
疲れたと言いながらエッチなコンテンツに耽溺する誰かがいたら、実資は「ありえん、命を縮めるぞ!」と呆れることでしょう。
飲酒とエロスは健康なときに、ほどほどにしておくこと。
そんな実資は「北山から宇治まで探してもいない」と道長に報告しています。
「宇治」の地名に注目ですね。当時は都でも郊外で、少し離れていることが把握できます。『源氏物語』「宇治十帖」の舞台です。
やはり二条第に潜んでいるのではないか?と推察する実資。
そういえば、まひろも伊周が外に出ていく姿を見ていません。実資は、二条第捜索の許可を得て、再び探索へ向かいます。
と、伊周が現れました。
「探さずともここにおる!」
潔く名乗り出てきたようでいて、実際は、袈裟と頭巾をまといながら「出家したから任地にいけぬ!」と声高に叫び、その旨を帝に伝えよと言い切ります。
いかにも往生際が悪い態度であるのにに対し、実資は、被り物を取るよう執拗に指示。
「うるさーい!」
切羽詰まった様子で、その場から逃げ出そうとしますが、あっさり捕まってしまい、被り物を外せば髪の毛が出てくるではありませんか。
これから剃髪する予定だったと言い訳している兄に対し、定子が言います。
「見苦しい!このうえは帝の命にすみやかに従うように!」
かくして伊周は太宰府へ出立させられることになりますが、なおも嫌だ嫌だと激しく抵抗。
「ここを離れるわけにはいかぬ! 亡き父上に家を守ると誓ったのだ!」
藤原伊周なりに責任感もあったのでしょうか。
母の高階貴子は「私がいかせる」といいながら、優しく語りかけます。
「母と子で太宰府へ向かおう……」
事ここに至り、泣きじゃくるしかない伊周。
話の顛末を聞いた帝は、都に留まりたいというだけでなんと愚かなことをしたのか……と呆れ果てています。実資に、母と子を引き離せと命じるのです。
しかし、そんなことは知らず、牛車で都を離れる母と子。
多くを背負わせてしまった……と貴子が伊周に謝っていると、実資たちが追いかけてきました。検非違使の一行が凝った再現装束を身につけていますね。
実資が、母の同行は罷りならぬと帝が仰せであると告げ、貴子を連れ出そうとします。
泣き叫ぶ親子。
中宮の母に何をするか!と伊周が訴えるも通じません。
定子も出家し、もう伊周しかいないと貴子が訴えれば、伊周も道長に見逃してくれと懇願するしかありません。
しかし実資は、ここから先は騎馬で下向するよう淡々と告げ、母と子は引き離されるのでした。
道隆の死からわずか一年、その子たちは全て内裏から姿を消しました。
伊周や定子の母・高階貴子~没落する中関白家で彼女はどんな生涯を送ったのか
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中宮の失墜と女院の安堵
さらに追い討ちをかけるような悲劇が起こります。二条第から火の手があがったのです。
当時は、ろくに消火もできない。
炎が燃え盛る中、定子はジッと座ったまま。清少納言が駆けつけ、逃げるように促すと……。
「そなたのみ逃げよ。私はここで死ぬ」
「なりませぬ」
「生きていても虚しいだけだ。私はもうよい、もうよいのだ」
もはや死ぬ覚悟の定子に、清少納言は「お腹の子のためにも生きねばならない!」と訴えます。
かなり燃えていて、かつ逃げ出しにくい服装ですが、どうにかなったのでしょうか。
藤原詮子が、兄は自分の命が短いと悟っていたのかと源倫子に語りかけています。
定子を中宮にする。伊周の昇進を促す。今日の悲しいありようは、すべて兄上の焦りから始まっている。
中宮を憐れむ倫子に、詮子は先のことはわからぬとしみじみ。
死人に責任を押し付けるような誘導は、ちょっといかがなものでしょうか。
伊周の一件がようやく落ち着き、帝は、実資と道長を労います。
実資は昇進して中納言となり、検非違使別当を免じられました。道長は正二位、左大臣に出世。
めでたいことなのに浮かない顔をしている――実資がそう指摘すると、道長は否定していますが……。
気のせい、気のせい。そう自らに言い聞かせるようにつぶやく実資です。
定子の出家に伴い、詮子が、次の妃探しの話を始めました。
藤原顕光の女である元子が候補に上がると、それがいいと詮子。なんでも村上天皇の孫で、血筋がよいのだとか。
すると倫子が笑い始めます。
何かと思えば、詮子が元気になって嬉しいのだとか。もう呪詛はされていないと詮子が答えると、あの呪詛は不思議だと倫子が何やら意味ありげに語り始めます。
道長と女院の父である兼家は仮病が得意だった――。
詮子は焦ったように、倫子は出産が近いから気が立っている、労わっておやりと道長に告げていますが……きょうだいの中で最も兼家に似ているのは、やはり詮子でした。
呪詛の黒幕は詮子のようです。
皇室しか使えぬ呪詛の様式を利用できた謎も解けました。
だからこそ、わざわざ「兄のせいでこうなったのだ」と強調するようなことを、倫子の前で語ったのでしょう。
倫子がいつその真相に気づいたのか不明です。
ともあれ、詮子の策に乗れば夫の地位はますます盤石。
共犯者となったうえで、詮子にこうして脅しをかけておけば最善の策が取れるといえます。
こちらが恨んだ相手から呪詛されたら、安倍晴明にでも頼みましょう。
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ぞれにしても、道長が哀れです。
兼家はチーム内で策を共有していました。詮子はそれすらしない。倫子も放置。そりゃ顔色も悪くなりますよ。
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