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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第25回「はるかに遠い夢」】
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その信康の自害をさらっと報告する井伊万千代は、どういう感覚の持ち主なのでしょう。言い方ってものがあるでしょうよ。
ぬぼーっとした愛。
突如わざとらしくバタっと倒れる家康。
誰が一番陳腐に演じ切れるか選手権でも見せられているようです。
これほどひどい死の場面になるとはさすがに思いませんで。
お口直しをご希望の方はBBC版『関ヶ原』でもご覧ください。
英国人から見た家康と関ヶ原の戦い!BBC版『ウォリアーズ』は一見の価値あり
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どうする時系列と移動
瀬名が死のうとする。信康が死ぬ。家康が止めにくる。
どういうこと?
あの湖のほとりに、瀬名はずっと座っていた?
本作は、妙な回想を入れたり、あっちこっちへ場面が飛ぶため、時系列がサッパリわからない方は少なくないはず。
今回は特に酷かった気がします。
地図でも具体的な時間経過でも明示してわかりやすくすればいいのに、ほとんど無いため、各人物の動きが掴めません。
そもそも今年の脚本って、距離感が現代人ですよね。
東京23区内でドラマを作っているような移動を繰り返す。
ドラマの作り方が、根本的に時代劇に向いていないのではありませんか。あんなに動き回ったら、家康のザルのような策なんて筒抜けですよ。
どうする為政者の志
家康はあの顔で「国より妻を守る!」と言い出しました。
為政者の資質が皆無。こんなチンピラが江戸幕府を開いたって? どういうジャパニーズジョークなのさ、ハハハハ!
家康は日本史上の人物でも、世界史の人物伝にも出てくる重要人物。
近世の江戸時代を築いた人物だからです。
それをこんなミニマム恋愛脳バカにするとは、一体何が目的なのでしょう。
『麒麟がくる』の場合、心優しいはずの明智光秀が、ずっと乱世を生きることに悩んでいました。自分の心の安寧と、泰平の世を天秤にかけて悩んでいた。
『鎌倉殿の13人』は、米の収穫高を木簡で数えることが好きだった北条義時が、時代の流れに巻き込まれ、修羅道を突っ走ってゆきました。
そういう何かを為すための気構えが全くない!
それが今年の家康です。
瀬名と信康を守る作戦で、名もなき犠牲者はかなり出ているでしょう。
そういう人物を弔うことはあるのでしょうか?
本作は、目の前で何かあるとギャーギャー大騒ぎするのに、その後の追悼をまともにする場面がありません。
自分の半径1メートルの外で死んでいく、名もなき人々は虫けらのように扱う。
こんな特権意識を丸出しにされて、何に感動しろというのでしょう。
やはり『麒麟がくる』の光秀は偉かった。たった一人の少女を救うために、彼は燃え盛る家に飛び込みました。
あれを「いい子ちゃんのカッコつけだしw」と冷笑するセンスが今年の帰結ですかね。
本質的には心優しい光秀が手を血に染めることそのものの悲劇が、作品の根底にずっとあったんですよね。
今年は、何もない。あるのは目先のウケ狙いだけ。
どうする説得力
瀬名の長いセリフは不気味。あやしげなカルトにハマったセレブ専業主婦のようです。
そしてここにきて、二人だけで暮らそうとか回想するのは何なんですかね。
実際のところ、家康は他の女に手を出しまくっています。側室の面接でセクシーな女性が来たらニヤニヤして腑抜けになっていたゲス男ですよ。
二人きりで暮らせるわけないでしょうよ。
感動を演出しようとして行き当たりばったりのセリフを並べるから、あまりにも説得力がありません。
兎が狼より強いって繰り返すのも『そういう教えのカルトなんですねぇ……』って思えてきます。
兎の木像に手をかざすと願いが叶うんですね。あれは一体500万円から?
どうする自害と浅すぎる湖
家康が子どものうようにベチョベチョと泣く姿をみて、何を思えというのでしょう。
自害するにしたって、夫の見ている前で、モロに見せつけるようにする必要はありませんよね。
見えないところで自害すればいい。
しかも介錯するために腹部を刺す女大鼠は、これでよく忍者が務まるものだとしか思えません。刺すにせよ腹部は死ぬまでに時間がかかって余計に苦しみますし、内臓が流れるからやめましょう。
瀬名が頸動脈を切っているのだから、そこをさらに深く切ればよいのです。
なお、日本における女性の自害は、喉か、胸を突くことが定番です。
中国だと頸動脈切りが定番ですが、あれは長剣を使うことが多い。女性の懐剣ならば、刃に伏せるよう、深く突くようにしましょう。
なぜ女大鼠が、内臓をぶちまける、嫌がらせにしかならないような介錯をしたのか?
もしかして半蔵とペアにするためですかね。そんなことでペアにしてどうするのか。
ブギャーと叫ぶ家康を見せつけられて、我々にも涙を強要しているのでしょうか。
そして湖の底が浅すぎる。船も何かおかしい。
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