どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第21回「長篠を救え!」

2023/06/05

瀬名がにっこり笑い、千代を迎える。

「なんと素敵なところでしょう」

あのよくわからんお手紙でのこのこやってくる千代の行動も疑問ですが、二人の会談場所も不思議です。

オープンな茶室というか。なぜ、このドラマは雨風吹き込んできそうな場所ばかりなのでしょう。

本作は、日本の気候を無視しているようで、毎度リアリティがない。

茶室で密談が行われるのは、密室だからでしょうよ。

それがこんなLEDスクリーンが背景にあるオープンスペースで茶を飲んでどうするつもりなのでしょう。

千代はニタニタ笑いに集中しすぎているのか、棒読みの状況説明が頭に入ってきません。

しかも、夫と子を亡くして忍働きなのかと理解する瀬名ですが……なぜ千代は急に心を開き、身の上話に応じるのか。

◆次回、千代の過去が明らかにされる? 予告で瀬名「あなたから幸せを奪ったのは…」 “直接対決”にドキドキ(→link

突然の展開すぎて意味がわかりません。

『麒麟がくる』の伊呂波太夫と正親町天皇の話と比較すると、天地ほどの差がある。

ちなみに今後、家康の側室となり、徳川秀忠を産むお愛の方も、ほぼ同じ経緯で家康の側室になります。

ドラマではSMコントにするそうで、作り手の性癖を大河で披露されても困るばかりです。

◆「どうする家康」広瀬アリス、作中で松本潤のお尻をパチーン!「殿が“強く来てくれ”って」(→link

合戦で夫を失うことは珍しくないでしょうよ。ついでに言えば殺人や事故死だって多い。

治安そのものが悪く、合戦があろうとなかろうと、船で移動するだけで殺されて金品を奪われるようなこともあったのが中世です。江戸時代以降とは異なります。

そこをもっと意識的に描いてこそ、徳川家康のもたらす泰平の重みもわかるのではありませんか?

瀬名の感覚って、せいぜいが昭和中盤以降の専業主婦ですね。戦がなければもっとハッピーな専業主婦ライフだと。

ちなみに昭和でも戦争体験者が多い時代は、こんな能天気なことは言わなかったものです。橋田壽賀子さんなんか、もっとシビアですよ。

そんなことは関係なく、瀬名は千代に言う。

「幸せを奪ったのは誰?」

手を結べば何かできる。お万から聞いてそういうことを言い出したって、ただの受け売りですね。

一方、千代もわけがわからない。

急に笑い出したかと思ったら、瀬名の目が綺麗だから話しすぎたって……なんでしょう、この曖昧すぎる言い訳は。

よくぞ武田と徳川の裏で暗躍する忍びなどをやれたものです。

二人のやりとりからよくわかる。このドラマは計画にいちいち具体性がない。大雑把。

いかにも重々しい雰囲気にはしていますが、こんな無能と無能が外に筒抜けの状態で話したところで、いったい何が変わるというのでしょうか?

 


どうするショートコント

亀姫が、何かが倒れていると走ってきます。

生死を確認せず、石をぶつけることを面白がる、どうしようもないセンス。

小石をぶつけるだけならまだしも、人の頭くらいの石までぶつけようとするのは何かがおかしい。

なぜ誰も止めなかったのか。

相手が小動物だろうと殺す気満々で、もしも本気で危険を感じたら逃げるでしょうよ。あんなしつこく石をぶつける? 何してんの?

って、真面目に考える方がバカを見ますよね。要するに、このドラマは昭和のギャグ漫画なんでしょう。かわいい女の子が石をいくつもぶつけてギャハハ! って、絶望的につまらないセンスだ。

なにより倒れている人を動物と見間違える亀姫って、どうかしてませんか。

 


どうする時系列いじり

その前日、長篠城が包囲され落城寸前と説明されます。

いやだから、どういう状況でそうなったのかを描くのがドラマじゃないんですか。

説明セリフで雑に言われても、わけがわからないでしょうよ。

本当に、このドラマはしょうもない時系列いじりが好きですね。この先も、何度同じことを繰り返すのでしょう……。

 

あらすじ:おじさん構文バージョン

ヤッホー( ◠‿◠ )

瀬名たんハァハァ千代たんハァハァ亀タン萌え〜〜!( ^∀^)

やっぱり、女の子は、結婚して、子供を産むしか幸せがないじゃんww

そんなオイラは、『麒麟がくる』の、伊呂波だの、駒だの、リアリティなさすぎて、ウンザリするんだナϵ( 'Θ' )϶

戦国大河の歴史に残る、駄作でしょwど家の方が、絶対面白いしwネット特化型だしw

オイラのフォロワーも、全員、駒UZEEEEEEEってwあんなの好きな大河クラスタいるのwいたら、バカすぎてウケるwww

信長も、こっちの方が、イケメンじゃんw南蛮服も、着ない信長とかw麒麟はほんとバカww

援軍率いて、信長と家康の、対峙wwwタイトルも、回収してまじ、毎回神回www

※私は『麒麟がくる』は好きです。念の為。

 


どうするルッキズムでウケ狙い

阿月マラソンの二番煎じにせよ、なぜ鳥居強右衛門にそんな大役を任せたのか?

普通ならば、もっと若くて脚力ありそうな人を選びますよね。

城内で死にそうになっている将兵がいるんだから、凄まじく切羽詰まった状況です。

でも、岡崎体育さん演じる恰幅の良い強右衛門。

ようするにルッキズムでウケ狙いをしたいのでしょ?

「こんな人が全力疾走ってウケるでしょww」

といった、昭和平成のダメで下劣な中高生並のセンス。2020年代のボディポジティブなんて知るわけもない。

ちなみに、このルッキズムお笑いネタは『新解釈三国志』という映画でもありました。

絶世の美女であるはずの貂蝉が実は……というもの。そんな滑ったギャグで笑えるのって、センスと良識が子どものまま止まった人だけです。

 

どうする使い回し

このルッキズムギャグのせいで、鳥居強右衛門が侮辱されたと思います。

彼は浮世絵の定番題材でもあり、長い年月の積み重ねがあります。

それがこんなしょうもないギャグで消化されるとは、嘆かわしいにもほどがある。

しかも阿月のせいで二番煎じに思える。正確に言えば、阿月が強右衛門の二番煎じなのですが。この脚本家はネタを平然と使い回しにします。

映画『レジェンド&バタフライ』と比較しても、あからさまに被った要素があり、例を挙げますと……。

・金平糖が特別なアイテム扱い

・主人公の妻が夫を動かしている

・無事に戻る妄想シーン(映画では、本能寺の変で信長が寺から逃げ出し、その後、帰蝶と共に南蛮へ渡るという盛大な妄想)

・『麒麟がくる』の雑な逆張り

映画は2023年1月に公開されたばかりですよ。

それと同じような描写をわずか数ヶ月の大河ドラマで使い回すなんて、あまりに視聴者を馬鹿にしてませんか?

普通はネタの使い回しはボツにされそうなものですが、そうしたチェック機能が働いていないんですかね。

しかも今回はマラソンネタをかぶらせているし、おそらく今後の関ヶ原では、姉川で信長が家康の陣に鉄砲を撃ち込んだことも使い回すことになりますね。

やはり本作脚本家の能力は民放ワンクール特化型なのでしょう。

※以下は映画『レジェンド&バタフライ』のレビュー記事となります

レジェンド&バタフライ
ド派手な話題作りで中身は空っぽ|映画『レジェンド&バタフライ』

続きを見る

 

どうする井伊直政

井伊直政は美少年だとされていますし、役者さんはもちろん美しい。

しかし、本作はあまりにも役作りがお粗末だ。

日焼けすらしていない真っ白な肌。甲冑をつけられると思えないほど細い、小枝のような手足。

所作もどこか甘くて、武士の緊張感がありません。

若手俳優の美形枠では『鎌倉殿の13人』の市川染五郎さんと並べたいのかもしれませんが、このドラマでは武士に見えないという一点で何もリアリティがありません。

『青天を衝け』は、幕末温室育ちのお坊ちゃまだからどうにかなりましたが……。

そうしたリアリティの欠如を補うにはどうすればよいか?

もっと真剣に考えるべきだと思うのですが、制作サイドでは提灯メディアにネタを投下するというお決まりの手法です。

◆板垣李光人、NHK大河「どうする家康」井伊虎松は家臣団の〝Z世代〟「今作においての魅力…僕が演じる意味にもなる」(→link

出ましたZ世代。

若けりゃなんでもそうなのか。そもそもZ世代の多くは韓流や華流を見ているのでは?

せっかく『鎌倉殿の13人』で大河に戻ってきた若者層は、本作で瞬く間に散ってしまい、半数以下に減ってしまったことも以下の記事で指摘されてましたね。

◆ 岡田准一や阿部寛の存在感は抜群、はっきりしてきた「どうする家康」の弱点は?(→link

 

どうする重力

このドラマはそもそも甲冑の重量を考慮していないのではありませんか?

ヒョロヒョロでも甲冑を着ている。甲冑を着た雑兵までもが軽やかにジャンプして殺陣をこなす。

そして今週いきなり出てきた鳥居強右衛門ね。

彼はどちらかといえば痩せていて、精悍な人物として描かれることが定番です。

飢えて苦しみやつれている。それでも敵の目を欺くために水に飛び込み、狭い場所に潜む。

そういう歴戦の勇士で体力がある者でなければ、リアリティがありません。

あんなに重たそうな人物を鳥居強右衛門にする時点で、前述のルッキズムとギャップ狙いの薄寒いギャグにしか思えないのです。

本当に、このドラマのリアリティは、こんな宣伝文句を彷彿とさせます。

「飲んだだけで一週間で12キロ痩せた! しかも実質無料! この広告動画一回しか再生されません!」

 

どうする南蛮風

信長が月代を剃り、衣装がますます南蛮風になりました。

しかし、それが祟ってか、時代考証が甘いように思えます。

大河の弱点として、日本史以外の考証の甘さがあります。南蛮衣装にしても考証があっていない。

それでも、『麒麟がくる』のバテレン服、『らんまん』のドレスは違和感がなかったのに、本作はどうしたことか。

それだけではなく、日本の武士や女性の衣装も何かおかしく、毎回衣装を見るだけでも嫌気がさします。

どうしてあんなペールカラーなのやら。日本伝統色パレットを無視しているし、素材もおかしいし、シルエットも汚い。模様もおかしい。

要するに作り手は和装に全く興味がないのでしょう。

武田勝頼の長ラン陣羽織が嫌だったと以前書きましたが、本多忠勝も長ランでした。黒いぶんより長ラン度が高い。

そういうのは、現代物ヤンキードラマでお願いします。

 

どうするホームドラマ

いつでもどこでも瀬名やら亀やら五徳やらが、ホイホイ出てきて緊張感がなさすぎる。

女性が同席することが悪いのではありません。『鎌倉殿の13人』の秋元才加さんのような切羽詰まった迫力がない。

役者さんを悪く言いたくはありませんが、ふんわり癒し系の女性ばかりがホイホイ出てくるのってどうなのでしょう。

脚本家の手癖もあるんでしょうね。

『レジェンド&バタフライ』でも帰蝶役が綾瀬はるかさんでした。しかし、彼女の癒し系ばかりを引き出していてどうにもならない。

綾瀬さんが迫力ある女性を演じられることは『八重の桜』等で証明済みでしょう。

あるいは『鎌倉殿の13人』で活躍していた宮澤エマさんもよかったですね。

宮澤エマさんは『らんまん』で明治の芸者役なのですが、ニヤリと笑って和菓子を食べるだけで何か不穏。そこにいるだけで不穏になる、そんな個性を活かす方向性をなぜ本作は出せないのか。

『鎌倉殿の13人』ロスのみなさんは『らんまん』を見ましょう。

宮澤エマさんは、春日局もお江も演じられる、そんなポスト斉藤由貴さん枠だと期待しています。

また大河で見たいですね。武士も町人も、平安も江戸もいける。素晴らしい方です。

 

どうするメイク

宮澤エマさんから本作に戻しまして、今週気づきました。

このドラマはメイクの質が落ちていませんか?

テカリがちゃんと消せていないし、顔色が悪いように見えます。

表情もどこか虚というか、迷いながら演技しているような、動揺を感じます。

皆さんの体調が気になるところです。

振り切ってゲスになりきっているムロツヨシさんなんか、どこか捨て鉢に見えるんですよね。

 

どうする同盟関係

本作は清州同盟をしょっちゅう小馬鹿にしますよね。

家康の特徴は律儀さであり、あれだけ裏切られることが多かった信長なのに、家康はずっと同盟を堅持した。

それが信用にもつながるわけですから、大きな魅力の一つでしょう。

それをただのウケ狙いだけで曖昧な理解にする。

同盟強化のための五徳を、ホイホイと連れ帰ろうとする信長の軽薄さは何なのか。

それにしても、この家康と信長の決裂がアリバイじみていてしょうもない。信長が瀬名と信康を殺す展開に入ったから、雑に五徳とセットで邪悪さを増してきたな、と。

秀吉も下劣に描いていますが、家康は信長に対しても秀吉に対しても、彼らの生前には裏切るような真似はしていない。

それが本作では、下劣な人間だろうと我が身可愛さのためにアリバイじみた綺麗事をたまにぶちまけるだけで、従っている。そんなしょうもない人間性に見えてきます。

 

どうするフェイス・トゥ・フェイスシステム

顔と顔を近づけて怒鳴り合えば、緊迫感がでるという誤解がありますよね。

映画館に行って、邦画の予告でこういう使い古された演出を見ると、それだけで嫌気がさします。本作は、それをずーーーーっとやっている。

しかもパワハラ信長と白兎家康って、ドS王子路線の古代BLでしょ?

今のご時世にそんなことでよいのでしょうか?

国民からの怒りに大手メディアもいよいよ重い腰を上げたのか。ジャニーズ忖度もいよいよ終わりに近づいているようです。

◆ 相葉雅紀、平野紫耀が出演してきた「ムヒ」CMキャラが交代 広告業界にちらつく「ジャニーズ離れ」の影(→link

本作では、よりにもよってこの事務所の俳優同士が、ハラスメントじみたじゃれ合いを展開する。

NHKの看板番組で性懲りもなく続けるつもりでしょうか。

◆ジャニーズのセクハラ問題でわかった…!日本のドラマが「漫画」と「韓国」に負けた「本当の理由」(→link

しかし、たとえば大河ドラマの「どうする家康」を例にとると、多くの人に個々の「家康像」があるために松本潤を家康とする配役にたとえ違和感を感じたとしても視聴者は受け入れざるを得ない。「あまりにミスキャストだ」「あまりにも大根だ」という批判は、昨今ではまず起こらない。

どうするNHK?

 

どうする陳腐演出と歌

鳥居強右衛門の歌は、考証として正しいのでしょうか?

『麒麟がくる』や『鎌倉殿の13人』では歌う場面や楽器を演奏する場面はきちんとしていました。

それに引き換え本作は呆れるばかりのワンパターン演出。

突然出てくる。死ぬ。ピアノ。

って、なぜこれで泣かないといけないのか?

鳥居強右衛門が信長に対して、長篠を救えといきなり言い出すし……セキュリティはどうなっているのでしょう。

号泣するような忖度を要求されてばかりで、ストレスばかり溜まってきます。

 

どうする若手女優の使い方

亀役の俳優さん、ドラマ10『大奥』は非常に素晴らしかった。

瀬名も、言うまでもなく上手な方です。

それが本作ではその魅力が感じられない。

本作の制作陣は

『べちゃべちゃ甘ったるい喋り方をしないと萌えないんだ〜w』

とでも思っていませんか?

日本人女性の声が高いことは、悪名高いものでした。近年は修正されているとされるものの、このドラマの作り手はそんなアップデートと無縁です。

信長は髭と月代になりましたが、家康と瀬名は変わらない。

本作は、成熟した人間関係や女性像の表現が苦手だとはっきりわかって痛々しい。

『花燃ゆ』の文の方が、ずっとマシな女性でした。

 

どうする磔刑

甲州金につられて長篠城を見捨てようとした鳥居強右衛門。

まさか「さっさと磔にせよ」と思う時がくるとは思わなかった。

もしかして『おんな城主 直虎』の小野政次の二番煎じなのでしょうか。井伊直政も雑になぞっていますよね。

亀は結局、死ぬ間際の妄想に見るかわいこちゃん。

亀のことを知っていてそう描けるっていうのが辛い。

 

どうするNHK

NHK内部でも最近は色々とあるようで、報道チームはジャニーズのことを放映しましたよね。

◆異例の民放批判も…NHK「クローズアップ現代」がジャニー喜多川氏の“性加害”に斬り込んだ意味とは(→link

それなのに看板ドラマがジャニーズ主演と副主演とは……今後どうなるか暗雲が立ち込めています。

そもそもこの大河は評価が低い。それもあるのかないのか、すごい番組が出ました。

『偉人たちの記者会見』です。

本能寺の変にあわせまして、明智光秀が織田信長を討った事を謝罪するわけです。

光秀を演じるのは『鎌倉殿の13人』で善児を演じた梶原善さん。光秀も信長も、『どうする家康』と比べることも失礼なほどにうまい。しかも『真田丸』の音楽が使われています。

こういう番組では現在放映中のものを使うと思いますが、戦国時代に合わないのでしょうかね。

番組はおちゃらけているようで、実は真面目です。

史料も持ち出してくるし、動機解明は『麒麟がくる』と同じ路線。

黒幕説は触れず、君臣間の齟齬が原因でした。最近の研究をふまえた解釈といえます。

なぜ信長は何度も裏切られたのか『不器用すぎた天下人』を読めば疑問がスッキリ

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民放ならウケ狙いで黒幕説を入れそうだし、史料を出せないかもしれない。NHKの強みを存分に発揮していました。

NHKは軽やかなギャグと歴史を絡めるコンテンツは得意です。

『鎌倉殿の13人』の時は、「拝啓、鎌倉殿!」という漫画を公開していました。おちゃらけているようで、考証をちゃんとしていて「旅籠振舞」みたいな奇習までネタにしていました。

そういう本気を見せてきたと思えましたね。レギュラー化を期待します。

『らんまん』の主人公モデル周辺はいろいろ問題ある言動もある面々が揃っていますので、朝ドラコラボなんてあればよいかなと。

 

どうするネット特化、そして夜郎自大脱出

このドラマはネットに特化しているという評価が一部であるようです。

それは大河ドラマのファンダムが大きいだけのこと。

偏った意見だろうと、ハッシュタグをつけた投稿はそれなりに多く、ゆえにトレンドも取る。

ファンアートが投稿されると、その絵師のファンが喜んで、RTといいねを繰り返す。

お互いWin-Winだからそれを繰り返す。なんなら作中にない描写を二次創作して、それがウケる。

そういうエコーチェンバーを構成しているだけのことでしょう。

「夜郎自大」とも呼びますが、そこから抜け出す手立てはあります。

まず、ネットばかりに頼らず、実店舗の書店に足を運びましょう。

毎年、大河関連書籍は歴史雑誌コーナーにありますが、ここにあるのは当然のこと。

そうではない一般誌にまで記事があれば、世間でも大いにウケていると判断できます。

ネットではなく、紙媒体となると売上に直結するため、駄作大河は取り上げられない。

ゆえに真実が浮かび上がってきます。

私が見る範囲では、家康本人を特集する記事はあっても、ドラマそのものに触れられるケースは少ない。

主人公の知名度で言えば、家康ドラマのほうが絶対的に有利なはずなのに、去年のほうが確実に盛況です。

雑誌や書籍以外の判断材料としますと、民放のテレビ欄ですね。

大河が好調だと便乗番組が出ますが、今年はどうか?

さらにはSNSをさほど利用してない層に聞いてみると、大河の反応も浮かびやすい。

唐代の詩人である白居易は、文人仲間ではなく、その辺のおばちゃんに読み聞かせて感想を聞いていました。

それで受けてこそ、詩の価値がわかると判断した。

仲間だと忖度して褒めますからね。

白居易
『長恨歌』の作者・白居易は史実でどんな人物だった?水都百景録

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要は、普段と別の場所に行くことで、見えることもあるんですね。

もうひとつ、点と点をつないでユニコーンを描かないこと。

とある歴史をテーマにした本が、大ヒットをして受賞ラッシュでした。しかし、どうにもおかしい。なんか思いつきを大胆に語ったら受けただけでは? そういう検証本を読みました。

これは大河にも当てはまることでしょう。

特にSNSだと先鋭化して、深読みだの考察だの広まります。それを動画にすれば再生数も稼げる。

しかし、考察するにせよ、点と点を繋いで線を引いて、洞察する手続きがいる。星座もそうですよね。

「この星と星をつないでいくと、さそりに見える。さそりがなぜ星座に? それはオリオンを殺すために放たれたからだ。だからオリオン座はさそり座がいない空にしか登らない」

これが事実の分析です。

それをすっ飛ばして、こういうことをしたらただの陰謀論です。

「んー、さそりとか怖くない? そういうのなんかヤダ! 私の目にはピンクのユニコーンに見えるんだもん、これはピンクユニコーン座です♪」

『どうする家康』にまつわる物事は、一事が万事、この調子です。

ストロングゼロを数本飲めば、そう解釈できるのかと戸惑うような話がバンバン出てきますが……そんなものは本作の本多忠真だけで間に合ってます。

 

どうする実は優しくないネット戦略

ネット特化型どころか、今年の大河は昨年と比較すると公式のサイト等が不親切です。

『鎌倉殿の13人』の場合、「かまコメ」というショートインタビューをSNSで流して、公式サイトにも掲載していました。

公式サイトには時代考証の先生がコラムを書いていて、読み応えがあり助かりました。

それが今年はスカスカです。

SNSの非公式な解説、動画、関連書籍はあります。関連番組を見ないと理解できないこともある。

まるで大河が、利益誘導へと導くコンテンツみたいなんですよね。

公共放送でこれは健全なスタンスでしょうか?

去年はより深く知りたいから関連書籍を読んだけど、今年は読まないとそもそも話が通じない。

ゲームの完全版商法みたいです。

 

どうする歴史への敬愛

本作からは「歴史ファンは陰キャでめんどくさいw」という、小馬鹿にしたスタンスが伝わってきます。

一方、世間では、歴史好きにもピンときそうな映画があります。

◆北野武監督、日本の映画製作に警鐘「大作は人をいっぱい使わないとつまんない。CGはダメ」(→link

確かにその通りだよな……と思いながら『首』のプロモを見ました。

古典的な時代劇に固執するわけでもなく、軽いと思えるところもある。それでも衣装も所作も何もかもが『どうする家康』とは比べものにならない。

そして思わず身を乗り出してしまったのが、荒木村重が信長から刀に刺した饅頭を突き出され、喰らいつく場面です。

これだ、こういうのが見たかった!

そう興奮しました。

この逸話は史実をもとにしているかどうかは保留としましても、定番の場面です。

2025年大河ドラマ『べらぼう』の舞台となる江戸時代の中盤以降、技術が向上した浮世絵で定番の題材にもなりました。

歌川国芳が有名で、その弟子たちも師匠を越えようとアレンジしつつ描く。

そういう何百年にもわたる積み重ねがあって、荒木村重と饅頭という絵が積み重ねられてきます。

大河はそうした数百年間の伝統を、映像で再現する役割もあります。

『鎌倉殿の13人』の畠山重忠もその典型例でしょう。

月岡芳年の浮世絵と、中川大志さんが演じる重忠は重なって見えました。

どちらにも滲んでいる何かがある。どうしてこうなったのかわからない困惑と、無念と、虚しさと、死が避けられないなかで己の高潔さを見せたい意地。

そういう思いが出ていて、見ている側も感無量でした。

作品同士がリンクすると、脳内に何かが出てくるんですよね。

とはいえ、そういう積み重ねを無視する悪いコンテンツも確かにある。

荒木村重の場合、女体化ゲームで村重自身が饅頭を刺した刀を持つ美少女になっているものがある。

逆です。村重は饅頭を口にくわえさせられているか。信長が饅頭を刺した刀を持つか。そうでないとおかしい。

「荒木村重といえば饅頭と刀っしょw」

そう前後の因果関係を考えないまま、描いてしまったんでしょう。もう、見ているだけで悲しくなります。

そうはいっても、女体化美少女ソシャゲならまだ許せる。

一方で大河はどうか?となるわけで……今週の鳥居強右衛門ですよ。

彼も浮世絵定番で、精悍な青年が死地から逃れようとするものが多い。

歌川国芳の弟子である月岡芳年は、彼を題材にした作品を複数描いています。そんな中でも印象的なのが「魁題百撰相」の19番堀井恒右ヱ門です。

磔刑になった姿です。

浮世絵にしてはデッサン力が高いとか、リアルだとか。そういう言葉は忘れましょう。

売れた浮世絵は画力がそもそも高い!「にしては」は余計であり、江戸時代後期の絵師は西洋画からデッサン手法を吸収しています。

そんなリアリティのある浮世絵師代表格が、この月岡芳年です。

なんでも彼はしばしば弟子を磔刑にしてスケッチしたといいますから、圧倒的にリアリティがあります。

簡潔でありながら陰影があり、死にゆく顔はおそろしいほどの生々しさがある。

それを今年の大河が、ああいう傑作を駄作に上書きしかねないのかと思うと、改めて怒りが湧いてきます。

今後、鳥居強右衛門で画像検索をかけると、あの弛緩し切ったニタニタ笑顔が出てくることでしょう。本多忠真なんかは既にそうなっています。

鳥居強右衛門の話となると、あのニタニタ笑顔がウケたとか、号泣とか、これからそんな意見が返ってくるとなると憂鬱でしかありません。

大河はイメージを再現すればいいというわけではない。それは理解しています。

例えば義経と弁慶といえば五条大橋での出会いが定番であり、浮世絵もたくさんあります。

とはいえ、歴史的根拠に乏しいからやらなくなった。『鎌倉殿の13人』でも出てきません。

弁慶の立ち往生も、三谷幸喜さんがこの主従を笑ったまま退場させたいと願ったことから、描かれませんでした。

そういう配慮抜きにして、ただの逆張りルッキズムネタ狙いが今回です。

歴史になんの思い入れもない作り手のせいで鳥居強右衛門が汚されてしまった。いやな上書きをされてしまった。

私はファンの皆様から、「どうして私の好きな大河を悪く言うの、侮辱するの!」としばしば批判されます。

しかし、そもそも私はこう感じている。なぜ、出来の悪い大河は、私の好きな歴史上の出来事や人物を改悪して描くのかと。侮辱するのかと。

そのことがとてつもなく悲しい。ただただ、虚しい。

歴史を描くというのは、資料を追いかけるだけではないでしょう。

私たちの先祖が描いてきた「これが見たい!」と追い求める需要と供給の一致。

それを表現する配慮と技術。

英雄への敬愛。

そういうものが入り混じって構成されてきたはず。

それを大河が断絶させるって、何がしたいのでしょう?

例えば、酒井忠次のえびすくいが、あまりにくどいと私が愚痴を言ったとしましょう。

するとこう返ってくる。

「酒井忠次がえびすくいをしたという資料はあるんですよw 歴史ライターを名乗りながらそんな基本的なことすら知らないんですか? そんなんで大河批判とか恥ずかしくないんですか?」

そうじゃないんです。

資料に出てくるかだけでなく、酒井忠次のえびすくい需要と供給が一致しないのが辛い。とにかく供給過剰です。

ただのウケ狙いでしつこくえびすくいをする。そういうドラマは、果たして歴史を題材にした作品としての伝統を踏まえているのでしょうか?

大河という名前に値するのでしょうか?

ドラマとして出来がよいのでしょうか?

私が問い掛けたいのはそこであり、こんな古典に注目しました。

 

必ずや名を正さんか

必ずや名を正さんか。『論語』

まず、ものごとに正しい名前をつけるね。

弟子の子路が、孔子に問いました。

「まず政治をするなら、何を一番にしますか?」

すると孔子はこう言います。

「まず、ものごとに正しい名前をつけるね」

子路は返しました。

「先生はいつもこうですよ。周りくどいっていうかさ。名前なんてぶっちゃけどうでもよくね?」

孔子はなおも説きます。

「そういうところだぞ、子路。君子は自分が知らないことについては口を慎むんだ。名前をきちんとつけないと、物事の中身まで成立しなくなる」

「ほー……」

「たとえば、これだ『どうする家康』。センスとしてわけわからんが、それでも逡巡の中身が政治や軍事ならば、まあ許容範囲だがね。それがどうだ。側室だのお手つきで迷っている。そんなもん視聴者が求めていると思う? なんかタイトルが伏線回収とかよくわからん記事が出るけどさぁ」

「これとかすね」

◆【来週のどうする家康】第21話 月代姿・岡田信長がタイトル回収「まさか」次回予告の台詞にネット沸く(→link

「それな。じゃ、子路に教えておこう。提灯記事がやたらと多いだろう? そのタイトルにはこう入る」

・伏線回収(朝ドラ『カムカムエヴリバディ』以来の定番)

・***ロス(朝ドラ『あまちゃん』以来の定番)

・神回

・ネット絶賛

・ネット号泣

・ネット爆笑

・ネット沸く

「きっとテンプレがあるのであろう。視聴率が下がると『最低だけど最高』みたいなのも来るんじゃないかな」

「それなんスけど。SNS号泣、ネット悲鳴、泣きすぎてバスタオル用意とか。そういうの、どうやってオンライン上の、顔も見えない相手のリアクションを確認するんスかね。だいたいそんなバスタオル必要なほど人間って泣けんのかなあ? 横光三国志みてえに、オオオオオオオ……って泣くのかよ。感動して涙ぐむならわかるけどさあ」

「白髪三千丈みたいなもんよ。断腸の思いっていうけど、実際腸が裂けているわけじゃないだろ。それこそ怪力乱神(オカルト現象)の類、君子は気にすんな!」

「弟子が殺されて、その肉が塩漬けになったら、師匠が泣くとか。そういうことなら理解できますけどね」

「子路オオオオオオオ……って、やめんか!(※このネタは後述)」

「へへっ、先生優しいなあ。んー、話を伏線に戻すと、俺の知ってる伏線と違うんスよね……伏線と回収って、フィクションの定番じゃないすか。で、回収されるまでの構成を組み立てる、その緻密さが大事。最後にピタッとハマってグッとくる」

「言わんとするところはわかる。『鎌倉殿の13人』の風を呼ぼうとする全成とか、おなごはキノコが好きだと誤解する義時とか。最後の最後で因果がめぐって圧巻だったもんな」

「それっスよ、滑ったギャグかと思ったらそんなことはなかった。なのに今年のネット記事って、アイス食い過ぎたら腹壊したみたいな程度のものばかり褒めるじゃないスか。高度な作品は伏線回収が標準装備だからスルーされて」

「タイトル回収が秀逸なら『麒麟がくる』と、ダブルミーニングだと最後の最後で判明した『鎌倉殿の13人』だろうな」

「うんうん、それ! 本当に秀逸な伏線回収は、予告だけでわかるわけないス」

「ドジっ子の子路でもやはり気づくか。名前の話に戻すとだな、もう、『どうする家康』は、大河ドラマと称してよいのか。儒教倫理的にはそこも問題だね」

「あー、確かにもうこれだと、“小川寸劇”って感じすね」

「うんうん、“ドブ川宴会芸”だよ。飲み会の二次会でカラオケに連れて行かれて、つまらん物真似を聞かされているような感じ。ひたすら苦痛。そういう名前で放送すればまだマシ。儒教教養が学べて名前も正しい、清らかな大河がこんこんと流れる。そんな『麒麟がくる』からたった数年でこれとは……」

 全身膾(なます)のごとくに切り刻まれて、子路は死んだ。

魯に在って遥かに衛の政変を聞いた孔子は即座に、「柴(さい、子羔のこと)や、それ帰らん。由(ゆう、子路のこと)や死なん。」と言った。果してその言のごとくなったことを知った時、老聖人は佇立瞑目(ちょりつめいもく、真っ直ぐに立って目を閉じる)することしばし、やがて潸然(さんぜん、さめざめと泣く)として涙下った。子路の屍が醢(ししびしお、塩漬け)にされたと聞くや、家中の塩漬(しおづけ)類をことごとく捨てさせ、爾後(じご、この先)醢は一切食膳に上さなかったということである。

中島敦『弟子』より

直情径行型の子路が政変に巻き込まれたならば、生きては帰れないと悟る孔子。

その死を予測しながらも、そうなったと知るや、呆然と立ち尽くし、涙をさめざめと流しました。

そして子路の死骸が切り刻まれ、塩漬けの刑罰にされたと知ると、家中にある塩漬けを全部捨て、二度と食卓にあげませんでした。

決してギャーギャー泣き叫ぶことはないけれど、その行為からどれほど孔子が嘆き悲しんだかわかります。

こういう情景が歴史を学ぶ意義でしょう。

己の命のために戦場から逃げ出し、幼児のように手足をバタつかせ、泣き顔を晒す。

そういう人物はただの「幼稚な人間」であり、リーダーではない。単なる悪ふざけは求めていません。

『どうする家康』は、大河の名に値しない。それが私の結論です。

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文:武者震之助(note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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