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【鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第13回「幼なじみの絆」】
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頼朝のためなら何でもやるワケじゃねぇ!
安達盛長が、京都からの客人を告げます。
そこにいたのは真っ赤な衣を着た……文覚!
「……お前か」
「お会いしとうござった」
随分とまあ、綺麗な僧衣を着ちゃって。この布地は最先端の南宋からきたものですかね。
伊豆で頼朝に用いられた文覚はストーキング殺人事件疑惑のある破戒僧だった
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頼朝も羽振りが良さそうと察知すると、後白河法皇の庇護を受けてサクセスしていると自慢げに語ります。
「よくぞお呼びくださった! 藤原秀衡調伏の儀! この文覚におまかせあれぇ〜!」
市川猿之助さん渾身の口振りよ。見事なんだけど、言っている中身がゲスですね。
政子は「夫が人を殺す戦をしているのに、妻である私が仏のご加護を祈るなんて……」と戸惑っていましたが、ご安心ください。
高位の僧侶が、呪殺の依頼をウキウキと引き受けちゃっている。
そして全成の横へ座ると、錫杖を振り回し、ソウルフルな調伏バトル合戦に突入だ!
無茶苦茶なようで、仏具等にも考証がついていますからね。手間がかかった場面です。
義時が困惑しつつ、義村に案内されてゆきます。なんでも話を聞いて欲しいってよ。
向かった先は、真剣鎌倉御家人熱血トーク会場でした。
ワーワー叫ぶ御家人。なんか止めようとする土肥実平。困惑している畠山重忠。
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「解せねんだよ!」
和田義盛が元気いっぱいにそう言ってきました。
三浦義澄が論旨まとめます。
坂東を守るためならわかる。それが源氏同士の諍いに兵を動員するとはどういうことだ!
頼朝に籠絡されていた岡崎義実もこうきた。
「わしら鎌倉殿のためならなんでもするってわけじゃねえんだ!」
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義時が軍勢を率いていくのは形だけとなだめると、畠山重忠が穏やかに主張します。
軍勢を率いていくと、何かの弾みで戦になるかもしれない。戦にならない保証がなければ……と、そこまで話す重忠を、横から押し退ける義実。
「鎌倉殿のためならなんでもするわけじゃねえ」ってしつこい。
このままでは鎌倉殿から皆の心が離れてしまうと重忠が訴えかけます。
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もううんざりだ! 舅にも愛想を尽かされている! そんなわしらの思い=不満を鎌倉殿に伝えて欲しいと念押しされます。
義時よ、毎週なぜ、こんな目に……。
手際が良すぎて危険な景時
頼朝ファンクラブの効力も切れちまったんですね。
岡崎義実なんか、頼りにしているとハグされてうっとりしていたのに。
はなから会員でもなかった義村、そして義時あたりはまだいい。あんなに好きだったあの子がこんな奴だったなんて!という怒りは反動で激烈なものになります。
現在だって、推しに交際相手がいたと暴露されて激怒するのは、ファンだった層ですからね。
推しがゲス不倫をしていて、坂東武者の心はもうどん底なのよ。
義時は自分だけではどうにもならないということで、京都から大江広元たちを呼び寄せました。
が、しかし。坂東武者たちが怒り狂っている木曽出兵の件は、そもそも広元が言い出しているわけで。
中間管理職の苦労は減るどころか増えておりませんか?
大江広元は、もしかすると坂東武者の持つ忠誠心を観察し、その値踏みをしたかったのかもしれませんが、こんな形でやられると義時はたまったものではありません。兄は亡くなり、父は伊豆へ去ったというのに。
そしてもうひとつ。
梶原景時が目を光らせ、大江広元が策を練る――鎌倉は季節が変わりました。青春から次へ移りました。
もう【富士川の戦い】の時のような、武衛と呼び合う酒宴はないのかもしれない。どこで誰が聞いているかわかったものではない。発言にも気を遣わねばならない。
そういう立場のある人間としての責任が問われるようになりました。
世の中は何事も移り変わっていく、それは当然、鎌倉とて例外ではありません。
義時はこの訴えを頼朝に伝えます。
しかしこの面々がなんとも……比較能員がまたいます。彼は基本的にイエスマンで、頼朝に賛同するか、あまり当たり障りのない意見を口にするばかり。
こういう側近になることは権力を得るには早道のようで、リスクもあります。
一方で梶原景時は、三浦館にいた者のリストを作っている。
相変わらず手回しがよいと評される景時。彼はこういう嗅ぎ回る猟犬じみたことが得意だ。こういうことばかりをしていると、これまた危険なのですが……。
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そして大江広元が、新たな策を出してきます。
信濃に使者を送り、真意を確認する。軍を派遣するかどうかは、その後で決める。
使者には、頼朝の弟・源範頼が立てられました。
なんだかんだで頼朝を信じている広常
義時が、上総広常の元へ向かいます。
彼は三浦館にはおりませんでした。その発言力も下がってきているのかもしれない。
義時が言うように、頼朝には兵がいません。ゆえに多数の兵を持つ広常は力があった。
それが変わってきている。
姻戚の北条。
乳母である比企一族の勢いが伸びています。
それでも広常は素直というか、人がよいというか、武衛こと頼朝の器の大きさを信じているのです。その上で鎌倉が割れないか心配している。
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義時はそんな広常に、割れたらどちらにつくのかと尋ねます。
「さあ、どうするかな」
答えをはぐらかす広常。本音は頼朝を選ぶのでは?と私は思うのですが、もしここで義時に真意を告げていたら、後で「ああ、あのとき、どうして彼の心を読み取れなかったのか!」と嘆く姿が予想できるようで、辛いものがあります。
広常が翻意する可能性なんて、もうなくなっていると思うのです。
野心のみならず、鎌倉に縛られてそういう危険性はない。
狼は、もう猟犬になってしまった。
飲み会をしても気が晴れない義時を、源義経が待っていました。嗚呼またか……。
義経は、戦の臭いを嗅ぎつけ、木曽へ行きたいと言い出しました。
亀の前事件で義経の暴走に懲りていた義時は、謹慎中だとして断ろうとしますが、ついていくだけと義経は譲らない。
自分の主張が通らないと、「ワーワー!」と叫んで足踏み。
こうしてイライラを発散しないと耐えられない性格なんですね。現代人なら、パンチングボールやハンドスピナーをお勧めするところです。
仕方なく義時は、明後日の朝に出立すると教えます。嬉しそうに「心得た」という義経。
比企の娘を共にして寝過ごす義経
比企能員と道夫妻が寝転びながら何か考え事をしています。
ハッキリ言いますと、能員はそこまで切れ物でもない。側近としての実力はもはや大江広元に差をつけられつつある。でも、権力は欲しい。
そこで道は、北条がそうしたように、源氏に取り入る策を思いつきます。
先例としては頼朝の弟・阿野全成と義時の妹・実衣があります。娘たちを送りこみ、権力の中枢へグイグイ。
そのころ、そうした野心と無縁の義時は、八重に山菜デリバリー作戦を展開中でした。
八重は辛い。勝手すぎる。
だって八重は山菜を食べる人を探さねばならないし、なんで探さなきゃいけないの?と不満を訴えます。
それでも義時は、信濃出張を伝えるばかり。そしてこうだ。
「私は好きなのです。八重さんの笑っている姿が」
八重は笑えないと返す。
「いつか、八重さんに笑いながらおかえりなさいと言って欲しい」
「笑いながら言う人なんていません」
「だからまた来ます!」
「また来ますって自分の家でしょ」と八重が静かに突っ込んでいる。
義経は、範頼に信濃行きのことを話しています。範頼は素直に喜びながらも、頼朝には無断との話を知って不安を覚えています。
この兄と弟はなぜ共にいるのか?
というと先程、色々と画策していた比企夫妻セッティングのおしゃべり会に呼ばれていました。
範頼が用件を聞くと、常と里という娘二人が紹介されます。比企尼の孫娘で、夫妻が赤子の頃から育てていたとか。
範頼は警戒し、頼朝の許しを得ないでは困ると言い、信濃へ向かう支度があるとこの場を立ち去る。
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しかし、義経は興味深そうに娘をじっと見ている。範頼に促されても、まだ娘を見ている。そして里に目をつけ、獲物を見た猫のように近寄ります。
「……里にございます」
里はそう名乗り、チラッと目線を流します。
この目の動きだけで只者ではなく、三浦透子さんを起用した意味がわかるかもしれない。義経の心が掴まれました。
翌朝――。
義時と義村、そして範頼が信濃へ旅立つために馬に乗っています。
しかし義経は来ないし、仁田忠常が館を探してもいない。
義時は範頼に置いて行ってもよいかと確認を取りつつ、出立します。
腕組みをして待っていて、「出立!」と言いながら馬の腹をポンと脚で叩く動きがいいですね。小栗旬さんの乗馬稽古が素晴らしく、馬と息が合っていることが伝わってきます。
さて、義経ですが。
里とともに筵の上に寝ていました。朝に出かけるのではないか?と里が尋ねても眠る義経。
信濃行きを思い出して慌てて外へ飛び出すも、そこは浜辺でした。俊敏な動きはまるで猫のようですね。
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この場面は、大河でも新たに導入した、スクリーンを背景にしておりますかね。
ロケの手間を省くのならばありでしょう。静止していればわからないし、この先こなれてくるだろうし、期待しています。今年は全体的に、映像の処理が去年よりよくなっています。
「楽しいだろう、生きてきて」
一行は信濃の木曽義仲の陣につきました。
義仲は釣りをしているようで留守。そこへ行家が柱の影から出てきました。
どこぞの誰か(要するに頼朝)とは違い、義仲はもてなしてくれるってよ。だから自分という逃した魚は大きいってよ。
もういっそコイツは木曽の大木に縛り付けてそのままでいい。
義村が「魚が自分で言うか」と呆れていると、範頼は一応実の叔父だからと会いに行きます。彼は実に善良ですね。
二人きりになった義村が、義時に父不在となった最近のことを聞いています。義時は目の前のことをこなすだけで精一杯だと返す。
「楽しいだろう、生きてきて」
義村は退屈のようです。
三浦の嫡男として生まれ、そう生きていくしかない。だから義時が羨ましい。
ハプニング好きな彼にとって、その生き方は退屈なのでしょう。女をからかって遊ぶくらいが関の山だってよ。
ゲーム感覚で女遊びをする――ある意味最低の本音を打ち明けてきました。
三谷さんが新聞のコラムで、役者に当て書きしていないとおっしゃってましたが、そりゃそうですよね。
「やっぱ山本耕史さんはこうでなきゃ!」
そう思ってこういう人物像を書いたら揉めるかもしれない。
義村はめんどくさい。神経質でイライラするから、和田義盛が怒鳴っていると顔が険しい時があるし、りくの臭さに心が折れて遊ぶのをやめました。
そのくせ、スリルは求めるんだなぁ。
んで、思い通りにならないとキレそうになるのに、毎日平穏だと「退屈だ! ああ、退屈だ!」とイライラだってよ。
義時はそんな盟友に、こんな展開になるとは思いもしなかったと打ち明けます。頼朝が家に転がり込んだ日から、全てが変わったと。
北条家は、頼朝という万馬券を当てたなどと言われたりもしますが、巻き込まれる側とすればたまったものではないのでしょう。
そこへ義仲が帰ってきます。
彼は遊びで釣りをしていたのではなく、客人をもてなすため魚を取りにいってました。根が善良な方ですよね。
そして川魚バーベキューパーティに。
人質を要求された義仲は?
義仲は、源氏が一つになって平家を倒すことを目指していると言います。
しかし義村は、口だけではなんとでも言えると皮肉っぽく返す。
義仲からすれば、鎌倉の疑い深さに困惑しているのでしょう。義時が平家と通じている噂があると言うと、義仲は「噂は流す方に都合が良い」と飄々としている。
要するに、源氏団結を阻むための流言飛語の類だと。
野生味ある見た目とは裏腹に、義仲は賢い。
義時の魚を食べる手が止まります。
なぜ木曽義仲は平家討伐に活躍したのに失脚へ追い込まれたのか?
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もう少し焼いた方が好みだと義仲に告げると、生焼けだったと気づき、焼き直しています。範頼は食べてしまったと焦り、義仲も「腹は壊さん」と返している。
この辺が迂闊かもしれません。
客人をもてなすことが雑な義仲。
生焼けでも食べてしまう範頼。
座も落ち着いて、範頼が条件を話そうとすると、腹が鳴って厠へ。
純粋に腹を下したかもしれませんが「腹は壊さん」という言葉で疑心暗鬼になり、神経にきたのかもしれません。
義時は人質を差し出すように言います。
そして源行家が提案されますが、あれじゃ人質にならないだろ、と義仲も即座に断る。義時も「お守りするような方ではない」と言います。彼も単に善良なだけでなく、行家のように愚行を犯す者など知ったこっちゃないのでしょう。
しかし義仲は、叔父は渡さないと言う。
俺は自分を頼ってきた者を追い出すようなことはできぬ――そう剛直にして誠実に返す義仲。
不誠実な叔父と我が子を秤にかけて、我が子を差し出すのかと義村も困惑しています。
「男には守らねばならぬものがある」
義時が引き換えを求めても「何もいらん」と言い切る。義仲は義を大事にする人物なのでしょう。
「これは俺の誠だ」と言います。
そして我が子・木曽義高のもとへ。
「父上」
そう返す弓を引く義高は、これまた父ゆずりの澄み切った目をしています。
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