青天を衝け感想あらすじ

青天を衝け第10回 感想あらすじレビュー「栄一、志士になる」

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青天を衝け第10回感想あらすじ
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「顰(ひそみ)に倣(なら)う」

本作から漢籍引用がすっかり消えてしまいましたので、私が勝手に補わせていただきましょう。

今週の千代は、留守中に胸をおさえておりました。

そこで思い出したのが次の言葉です。

「顰(ひそみ)に倣(なら)う」

中国の絶世の美女・西施は胸を押さえる仕草をした。

それがなんとも美しく、周囲の女性たちも真似をするけど全然イケてない。

形から入ってもダメだな――。

ということでこの言葉が生まれたんですね。

千代は確かに顔は美しいです。でもそれだけ。西施には成りえてません。

どうも千代は、虚なめでボーッと突っ立っている場面が多くて何かが変。不安でもあるのでしょうか?

しょうもない騒音には負けずにがんばっていただきたいのです。

出演者のスキャンダルは気がかりですね。2019年のように呪いなんて言われなければよいのですが。

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前髪クネ尾高と栄一の野望

今週の剣術修行も、またも長七郎の前髪が気になって仕方ない。

おまけに栄一に真剣をいきなり持たせる愚かしさ。

百姓だからダメ……とか言う以前に、人間として何もかもがダメで終わっているとしか言いようがない。栄一くん、バイトでも探していればいいのに。

もう、これからは彼を前髪クネ尾高と呼びます。みんな大好き『あまちゃん』リスペクトですね。

橋本愛さんについて調べていて気づきました。

なぜ『あまちゃん』役者が出ているドラマ評価は高くなるのか?

数多のコメントを読み込んでいると、のんさんが出ると期待する心理を感じます。

『あまちゃん』で朝ドラを改革した奇跡がまた起こる! 自分たちが大好きなのんさんは、きっと大河でも華々しく活躍する……そういうシナリオがあるようです。

ご本人がそう明言したのでもなければ、そこを期待されてもちょっとよくわかりませんが。

それはさておき……前髪クネ尾高に話を戻しますね。

テロ計画を栄一と喜作たちに話す。もう倫理破綻していて意味がわからん。

武士の本懐だ、老中殺して名を残すぜイェーイ!

って、現代人から見てもドン引きですが、福沢諭吉が見たらどうなるのやら。豊富な語彙力で罵倒して欲しい。

しかも栄一まで、幕府なんて役人ぶっ殺すと言い出す。栄一さん……アナタはこの後、慶喜につき、立場を変えますよね……。

渋沢栄一がなぜこれまで大河にならなかったか?

理由は明確。

なぜ、こんな鮫島伝次郎じみた奴の人生をじっくり見なくちゃいけないの?というところでしょう。

テーマも悪いが、描き方も悪い。

しかもここでテロを止める理由が「仲間が死んだら困るから」ときた。

本当にこのあとの【戊辰戦争】なんかを考えるといっそ笑えてきます。

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志士とか気軽に言ってますけど、一説によれば志士の死者は2,480人。そういう危険な思想をワクワク気軽に身につけるんですか。

そして坂下門外の変です。安藤信正が暗殺されかけても、失敗。

今週も殺陣が雑だ。

なぜか?

水面下で『魔界転生』か『柳生十兵衛あばれ旅』でも進んでいるんではないでしょうか。一流の殺陣スタッフはそちらにとられたと。

あるいは2022年の大河かもしれませんね。NHKも番宣に気合入っております。

不祥事にも落とし前をつけたし、あとは進むだけ。そういう潔さは素晴らしい。

しかし、今年は手を抜き過ぎでは?

こういうニュースも出てきました。

◆ NHK大河『青天を衝け』視聴率“大不満”で悪あがき~銭で見えてくる『テレビ・芸能マル秘報告書』 (→link

ゴシップですので信じてはいませんが、こうして視聴率低下でアクセスを稼げるというのは、黄信号です。

本作関連ネットニュースのコメントも減ってきている。

飽きてきたという意見も。どうにも不穏です。

 


尊王攘夷とエコーチェンバー

歴史好き、大河好きの皆様なら、もうすでに耳には入っているでしょう。

ベストセラー『応仁の乱』の著者として知られる呉座勇一氏が、数々の問題発言から大河の考証担当を外されました。

その原因を分析する記事、あるいはその手の事象を説明する言葉は複数あります。

◆ツイッターは今や「2ちゃんねる」!気鋭の歴史学者も陥ったエコーチェンバーとは(→link

◆秦正樹 「正しい知識」が陰謀論を助長する|政治・経済(→link

◆今日もコロナのデマをラインで…家族が誤情報を信じてしまう「3つの心理」(→link

では、誤情報を信じさせてしまう「心理的な仕掛け」にはどんなものがあるのか、いくつかあげてみたいと思います。例えば、占いで誰もがあてはまる言葉をいわれているのに、それが自分に特にあてはまることがらだと思うことがあります。これをバーナム効果といいます。

第三者からの情報は信じられるように思えてしまうことを、ウィンザー効果といいます。これは、多くの人が口コミを信頼する心理のことで、マーケティングなどの研究では、口コミが消費行動に影響を与えることが示されています。

あるものが持つ強い特徴により評価がゆがめられることを、ハロー効果といいます。ハロー効果のもっともわかりやすい例として、権威があげられます。誇大広告における「○○大学名誉教授推薦」や、「ノーベル賞の成分」などがこれにあたります。権威のある人の意見であれば、専門外のことがらであったとしても、もっともらしく聞こえてしまいます。

これを踏まえて『青天を衝け』のニュースを見てみますと……。

◆橋本愛が“初夜シーン”巡り謝罪?「青天を衝け」ごっそりカットに呆れた声(→link

上記アサ芸プラスの読者層は「フェミが悪い!w」「ポリコレ棒!w」と言いたいのでしょう。

自分らの求めた表現がないとそういう何かのせいにする。単純にどうしようもないほどくだらないか、橋本愛さんの口が滑った可能性は考慮しない。

妥当性のある論理を排除し、自分たちの好きな結論ばかりに飛びつく。典型的です。

そして次。

井伊直弼さえもチャカポンな弱者として描く 大河『青天を衝け』のもたらす衝撃(堀井憲一郎)(→link

井伊直弼の「チャカポン!」に驚いている層ばかりかのか?

ざっと調べてみると、歴史に詳しい、幕末史に詳しい層は(この層はそもそも脱落者も多いのですが)、「最低の井伊直弼描写」と呆れ果てている模様です。

要するに、知識が乏しい層が騙されている、と。

それをこういうYahoo!ニュースなんかで流せばますます陰謀論は拡散します。

◆『青天を衝け』草なぎ剛、慶喜として見せた“無言の20秒” 大河ドラマ史に残る桜田門外の変→link

次の記事は、わかりやすいのでちょっと引用させていただきますね。

◆『青天を衝け』悲劇の名場面が話題に 「桜田門外の変」を過去の大河と比較(→link

今後、津田梅子北里柴三郎や、樋口一葉、夏目漱石、福澤諭吉、岩倉具視、高橋是清、板垣退助伊藤博文新渡戸稲造など続々お札の顔になった人たちが出てくることを期待する。そう思うと江戸末期から明治期はお札の顔になった人を多く輩出している。

お札の顔にせよ、首相経験者にせよ、爵位の数にせよ。

「幕末から明治期はお札の顔になった人が多いんだね! ドラマに出て欲しいなぁ」ではちょっと突っ込みが甘いのではないでしょうか。

出身階層、地域……そういうものをデータ照合して、格差や政治背景を読み取ると面白い。

ついでに言いますと、有名人がカメオ出演しまくるフィクションがお好きなら山田風太郎明治小説集でもどうぞ。

あんまりいい形で出てこなかったりしますけど。

川路利良はフランスの列車でやらかす場面が出てきます。

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さらには【桜田門外の変】について。

対して『西郷どん』と同じく西郷隆盛が主役の『翔ぶが如く』(1990年 直弼役は神山繁)では第14回の中盤の見せ場になっていた。薩摩藩士が「チェスト!」と叫んで活躍する。同じ桜田門外の変でも描き方はいろいろで、『青天を衝け』では最後のひと太刀は「きえええい」だった。

これは主役が薩摩閥ということでなく、史実でもとどめを刺したのが薩摩藩士だからだと思います。

むしろ今年は不正確ですし、今後の展開を考えるとよろしくない描き方です。

「きえええい」は一応示現流猿叫とわかりますが、それにしたって実際の稽古と比べるとお粗末すぎてもう。

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そして同記事の中で、かなりよろしくない書き方をしていたのがここでしょう。

折り合いをつけながら激務に向き合う直弼、強引に見えて、敵を作ってしまったことを気にする斉昭、尊皇攘夷の気運のなかふと考える栄一……誰もが少しずつ揺れている。誰ひとり正解をもっていない。より良い世の中をどうしたら作ることができるか、迷いながら先に進んでいく。その姿はまるでタイトルバックの墨の滲んだような軌跡のようだ。ちりちりと揺れる人生の道筋にこそ魅力があるように感じる。

【桜田門外の変】では、揺れるどころか日本人の善悪正邪のタガが外れます。

アメリカ議会襲撃事件がありました。あれが成功して、Qアノンが「ウェーイ! 俺ら暴力で世直しできるぅ!」と思った世界をご想像ください。

◆ 米議会襲撃、FBIがこれまでに逮捕した人々(→link

 

その結果が、大久保利通、伊藤博文……こうした大物政治家の寿命を縮めたと言えなくもありません。

伊藤博文の暗殺犯は日本人ではない。しかし、弁護する日本人の中に「義士ではないか」とみなす者がいたことは重要です。

そのあたりは一坂太郎氏『暗殺の幕末維新史』(→amazon)でもどうぞ。

尊王攘夷でウェイウェイしていた連中が出世して「まぁあれも青春だったね!」とごまかした。

それにコロっと丸め込まれているだけ。精神構造は危険です。

さらに本記事では、徳川斉昭が死を前にしてキスするシーンについても言及しております。

例えば、「案ずるべきはこの水戸ぞ」と言う斉昭。彼が亡くなる直前、妻・吉子(原日出子)に「ありがとう」と口づけをしたこともSNSを沸かせた。この時代に日本にも口づけは存在していたとされるが、欧米のように挨拶のようにカジュアルに用いられてはいないはずで、別れ際にすることは欧米的と考えられる。開国をあんなに反対し強引過ぎるほどだった斉昭が欧米的な別れの挨拶を行うこと、妻への愛をあったことを示すことが極めて興味深く、斉昭の人物として深みがいっそう増したように感じる。さすが竹中直人。

そもそも「欧米のように」という括りも雑だな……と思ってしまいます。

これを東洋と置き換えてみたらわかりやすいでしょう。

「神秘の東洋、京都にあるテコンドーの本場・の少林寺」みたいに言われたらどう思います?

当たり前ですがイギリスとフランスではキスへの捉え方も違う。だからこそ“フレンチキス”なんて呼び方もあるわけです。

そしてもうひとつ。

キスって病気感染の危険性があります。口内に切り傷なんてあると大変。粘膜と体液の接触は慎重になりましょう。

体液って?この場面では唾液ではありません。血液です。これは後述でも。

先週の桜田門外の変は、私としてはとてもジューシーでフルーティに思えました。

雪にばら撒かれた血のりが、いちごシロップかき氷みたい。あのあとスタッフがおいしくいただいていても納得です。

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