彼らの「子・孫・ひ孫」がいささかぶっ飛んだ性格で、奔放な暮らしを楽しんだ――と以下の記事で報じたところ、
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「いやいやハノーヴァー朝に比べたらマシで、むしろヴィクトリア女王たちが例外なのでは?」というご指摘を頂戴いたしました。
確かに、記事内でも軽く触れましたように、ハノーヴァー朝は唯一の例外を除いてロクデモナイ連中ばかりでした。
例外とは1820年1月29日に亡くなられたジョージ三世(1738-1820年)。
本人がデキた人物であったのに対し、彼の祖父や父、さらには多くの子供たちはどうしようもなく……と、そんな簡単に済ませられる問題ではないかもしれません。
ジョージ三世は、子供たちに悩まされた挙げ句、ついには正気を保つことができなくなり、政務執行すら不可能となってしまうのです。
いったい何が起きたのでしょうか。
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誰が言ったか英国紳士 歴史的にはヒドかった
英国紳士という言葉があります。
礼儀正しく控えめで、スーツを着こなしたイメージです。
しかし、こうした紳士像はわりと最近のもの、というか、お堅いヴィウトリア朝時代(1837年-1901年)に作られたものです。
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それまでのイギリスの人物像は、あまりお行儀のよろしくないものでした。
例えば17-18世紀。当時、上流階級の青年は、学問の総仕上げとして「グランドツアー」という大陸旅行を行いました。
名目上は文化や歴史を学ぶ旅でしたが、これが現地の人からするとなかなか迷惑なものでして。
行く先々で酔っ払ったり、売春宿に入り浸ったり、エロ本を買いあさったり……羽目を外し過ぎる若者が続出したのです。まぁ、血気盛んな若者がパーッと旅に出るわけですからね。
国民の模範たる英国王たちも人格的に問題がありました。
それが1714年から1901年まで続いたハノーヴァー朝の君主たち。前述の通り「一人(ジョージ三世)以外、全員ダメな人」なのです。
愛人を作り遊び惚け、人格はゲス。
政治的には無能。
不愉快極まりない粗野な連中として、国民から嫌われていた――と絵に描いたようなボンクラ王たちばかりで、同時期の江戸幕府を考えると徳川将軍ってかなりマトモかもしれません(子供を55人も作った徳川家斉は……)。
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では、ハノーヴァー朝君主たち、ジョージ一世から四世までをザックリ見てみましょう。
ジョージ一世:がりがりに痩せた女性と肥満体の女性二人を愛人にする。赤ら顔で目が突きだし、英語は話せない(ドイツ生まれでドイツ語やフランス語等はOK)。馬、女、食事にしか関心がない。最初の妻を幽閉した
ジョージ二世:粗野で無能。美しく聡明な王妃は人気者で有能。国民に「あの馬鹿王は、王妃様が素晴らしいからやっていけるようなもんだ」と囁かれる
ジョージ三世:唯一まとも
ジョージ四世:離婚騒動で世間に嫌われる。放蕩ばかりの遊び好き。崩御後は新聞に「最低のゲス王だった」と書かれる
いかがでしょう。
ゲスの極み王たちばかりではありませんか。
仲睦まじき夫妻は9男6女に恵まれたが……
唯一の例外がジョージ三世。彼はジョージ二世の孫にあたります。
放蕩を好み、国民から不人気だった祖父や父のようにはなりたくない――そう考えたジョージ三世は、22才で即位すると、若い頃から交際していた恋人と別れます。
彼女は貴族の娘に過ぎず、結婚相手としては身分が低かったのです。
そしてシャーロット・オブ・メクレンバーグ=ストレリッツ王女を妃として迎えると、彼女一人を愛し抜き、夫妻は9男6女に恵まれました。
勤勉で夫婦仲にも恵まれた国王夫妻。ジョージ三世は子供たちを誘惑から守ろうとしました。
しかし、期待が大きすぎたのか、あるいは厳しすぎたのか。
全員ゲスな成長を遂げてしまうのです。
これまたリストで確認して参りましょう。
皇太子ジョージ(のちのジョージ四世):ゲス(詳細後述)
フレデリック:愛人が詐欺行為をしていたと発覚し、大スキャンダルに
クラレンス公ウィリアム(のちのウィリアム四世):13才で女官二人を誘惑する。女優ドロテア・ジョーダンと交際し、10人の庶子をもうける。海軍人で、ネルソン提督とも顔見知り
カンバーランド公アーネスト:強姦未遂、従僕殺害を犯したチンピラ王子。実妹ソフィアとの間に隠し子を作ったという噂も
ケント公エドワード(ヴィクトリア女王の父):フランス人の愛人と30年間同棲
サセックス公オーガスタス:旅行先のイタリアで勝手に結婚。比較的マシな性格でヴィクトリア女王に慕われた
ケンブリッジ公アドルファス:ハノーファーで軍人となる。比較的マシ
成長した王子たちはこんな感じです。
完全に子育て失敗でしょう。やたらとオラついた不良王子ばかりでして、暴力沙汰や下劣な言動でしょっちゅう問題を起こしていました。
では王女たちはどうでしょうか。
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