『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ視聴率 第45回「西郷立つ」

2018/12/03

はい、皆さんお元気ですか。
この苦行も最終コーナーを曲がりました。

まずは先週放送のニュースから。

西郷隆盛と大久保利通という英雄の対立が激化していく最中にあった、どうでもエエ場面について、こんな記事を見かけました。

西郷どん』第44回で、愛妾役・内田有紀と、本妻役・美村里江が対面し反響(→link

覚えてらっしゃいます?
大久保の正妻と妾が正面切ってプチバトル。

ロクに政治も描かない割に、こんなしょーもないヤリトリ。
同記事では、こんな風に書いています。

また、美村演じる大久保の本妻・満寿と、内田演じる愛妾・おゆうとの穏やかながら緊迫の対面のシーンには「こ、怖いー」「火花バチバチやないか」と恐怖を感じる視聴者も多かった。

【感じる視聴者も多かった】って、誰がドコでどう言ってたんですかね。

こういうごく少数派と思われる反響を拾って、そびえ立つ酷評、伸び悩む視聴率を無視して、それとなく盛り上がっている雰囲気でも偽装したいんでしょうか。

あのですね。
そんなもん求められてないから!

泉ピン子さんを本寿院にキャスティングして、

「どうです? 篤姫をいじめる鬼姑ですよ!」
と、言わせた辺りでも絶望的でしたけど、センスが圧倒的にダサい。最後までしょーもない。

妻と妾の対立ならば、盛り上がった作品もあるにはあります。

『八重の桜』における山本覚馬の妻・うらの、夫の妾となった時栄への複雑な思いに、視聴者は涙したものです。

しかし、そんなことで盛り上げようだなんて、あの制作スタッフは考えていませんでした。あくまでキャラクターの描写として丁寧に描いたら、想像以上に反響があった――そういう流れを感じました。

本作が『八重の桜』に勝てた要素は皆無です。

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新島八重の生涯を辿れば幕末と会津がわかる|最強の女スナイパー86年の軌跡

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『花燃ゆ』になら、もしかしたら勝る部分があるかもしれませんが、それって主人公の知名度を考えれば当然ですよね。
かたや吉田松陰の妹、かたや維新三傑ですからね。

しかも番宣も盛んになされて、この始末。
本作は名実ともに史上最低最悪の幕末大河ドラマとなったでしょう。

ご愁傷様でした。

 


【20秒あらすじ】西郷どんはエエ人アピールだけ

西郷どんがロハスライフを満喫しつつ、税金を投じて創立した私学校。
ここに、チンピラみたいな若者が集まってギャーギャー騒ぎ出します。

まあ、私学校というけど軍事教練がカリキュラムにあるなら、大久保利通(瑛太)と川路利良(泉澤祐希)が警戒するのも当然では?

案の定、薩摩に密偵を送り込まれますが、これを西郷どんの取り巻きチンピラどもが捕らえてフルボッコ。
そりゃ怪しまれるだろうと納得しかありません。

このチンピラは、政府の火薬庫を襲い、銃や弾薬を運び出します。
こりゃもう駄目だわ。はい、西南戦争スタートですよ。

 


庄内藩をコケにすんなや

今週のアバンは、庄内出身者がやってきた案件。

これまた山形県民を怒らせたいのか?
芋煮鍋でコトコト煮込まれてしまえ、本作のスタッフ!

西郷どんと庄内の関係なんて、すっ飛ばしたでしょうがーッ!
詳しくは以下の記事をご覧ください。

酒井了恒(酒井玄蕃)
敵も驚くイケメン武士・酒井了恒|戊辰戦争で鬼玄蕃と畏怖された庄内藩家老

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庄内藩がここでいきなり出てきても、意味不明なんですよ。

最新の武器を備え、戊辰戦争でも抜群の戦いっぷり。
東日本では最強だったと思われる庄内藩の強さをガン無視されて、ただの西郷どんファン要員にするとかもう、もう……。

そしてまたも入浴ホームドラマが入ってきます。要らんわっ!

こういうホームドラマをやる代わりに、庄内のことも描くべきだったしか言いようがありません。しかも、アバンのラストには大久保のドヤ顔。あーあ、またかよー!

 

「反乱側にも理由がー!」

アバンの後は、菊次郎目線です。

原作では菊次郎目線のナレーションがそれなりに悪くなかったのですが、ドラマでは逆効果。
菊次郎の妹・菊草が引き取られてくる描写なんていらんっつうの!

ったく、子役にしか頼れない哀れなドラマよ。

このあと明治9年の廃刀令が描かれます。
って、廃刀令なんか真面目にやるわけないですよね。知ってた。

廃刀令
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この廃刀令とその反発も、ヤンキーがギャースカ騒いでいるだけでなんだか意味不明です。

福沢諭吉を呼び出して来て、こう言って欲しいです。
「なんで刀いるのw 文明開化の時代じゃねw 意味わかんねえ。それで誰殺すつもり? 笑わせんなよwww」

そして士族反乱がすごーくざっくり描かれます。

「反乱側にも理由がー!」
「力でねじ伏せられたー!」
ってうっさいわ!

戊辰戦争の会津藩、庄内藩、その他佐幕藩にも、戦う理由があったんですよ。
それが急に、とってつけたように何なのでしょう。
とことん雑で、不愉快なドラマです。

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だいたい、士族反乱を潰した政府に参加して、武力倒幕を「戦の鬼(ドヤァ)」と進めたのは誰でした?

西郷どんでしょうが!

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それなのに、政府が悪くなった理由はろくに描かず、いいひと全開。
とにかく無責任野郎にとことん都合よく、見ていて白けるしかありません。

西郷どん、最初から最後まで偽善野郎だったなぁ。

 


「シサツセヨ」にも新説が

密偵がいたという話も、わけがわからないんですよ。

密偵潜入がどういう理由かすらまともに描かず、ガラの悪いチンピラがフードコートでギャースカ騒ぎ、それを笑って見守る西郷どんというどうしようもない構図。

やっせんぼという単語も、島津斉彬以来使いすぎてうんざりです。
はいはい、斉彬と同じって言いたいんでしょ。もうええわ。

さて、その密偵の電信が大久保に川路経由で届きます。

役者さんについて語るのはもうウンザリですが、やっぱり川路役あたりは若すぎるんですよね。言いたくないけど、重みも何もない。

『新選組!』のような、若さを強調するドラマなら若手中心でもありっちゃありですよ。
こんな高校生が頑張っているような大警視・川路って、もうがっかり感が半端ない。ま、それを言うならば明治新政府全員薄くてペラペラですけどねえ。

ここで「ボウズシサツセヨ」の、例の電信文が出てきました。

うーん、このあたりもねえ。

近年の研究では、この電信文原因説にもいろいろ出てきておりまして。

意欲的な脚本家ならば、そのへんの最新説を踏まえてきたと思います。

『八重の桜』における川崎 尚之助。

『真田丸』における豊臣 秀次の切腹。

『おんな城主 直虎』の小野 政次。

彼らは新しい姿を見せることに成功していました。

しかし、本作にそんなこと望んでも無駄無駄。

知ってた(´・ω・`)

 

西南戦争での西郷って結構えげつない

密偵・中原が捕まるうだうだ感。
無駄としか思えない入浴シーンも入ります。

このへんも桐野利秋が可愛そうで、まーた桐野が悪いことになっちまったな感が満載です。

最近の研究だと西郷隆盛をかばうために、桐野が使われちまった感があるとされているわけですが、まあ、そんなことを本作スタッフが考えて描くわけがない。
明らかに西郷が悪い局面でも人任せにばかりしてきましたからね。

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西郷どんが、密偵の中原すら「かばいます」と描くのも白々しい。

だって西南戦争での西郷って結構えげつないですよ。

民家も被害甚大だし、奄美大島を脅して軍資金を調達するし。
政府軍の兵士が、拷問にあった挙句ズタボロに切り裂かれて死んでいた――なんて記録もあります。

そういうことは全部無視して、西郷どんはクリーン!
悪いのは周囲だ、大久保だ!とやりたいようです。

あーあ、もう、うんざりだな。

 

黙って戦場へ出向く その覚悟に胸打たれるんでしょ

「好みを犠牲にしてでも政府を軌道修正するんだもん!」
「先人たちの願いを背負ってまつりごとの誤りを正すんだもん!」
と、ピアノBGMを背負って言うのもアホくさです。

西郷どんが政府のトップだった頃だって、汚職ガンガン発生して止められなかったじゃないですか。

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西郷から大久保にトップが変わって悪くなったって?
いやいや、維新以来そんなものでしたよね。

西郷どんがうんざりすぎて、刺殺でもなんでもしてしまえよ、という気分になってしまってつらいです。大久保がんばれ、応援しているぞ!
こんな偽善アピールしている暇があるなら、もっと描く政治情勢あるでしょ。

西郷菊次郎の従軍しますアピールも鬱陶しい。

『八重の桜』における、八重、山本三郎あたりと比較すると笑えますよね。
八重なんて黙って軍服着て銃を担いで、颯爽と城に向かいました。

こんなしょうもない場面を見どころだと言い張る本作。意味がわかりません。

どうして、西郷どんとその家族が戦うのは「かわいそ〜〜」ってダラダラやるんですか?
戊辰戦争で降伏していた会津藩以下、戦いたくない国を無理に戦に引きずりこんだ「戦の鬼」のくせに今更何なんだ。

「戦う西郷どんかわいそーっ!」って、今更何を言ってんだこいつ?

ついでに言うならば、西郷は征韓論だって朝鮮半島で武力衝突やる気まんまんだったんですよ。

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こんなしょうもないことをやるくらいなら、いい加減政治事情やってくれよ!!

 

誰? 相も変わらず西郷どん仲間は全員モブ

この後、雪の中で桂久武がやって来ます。

誰でしたっけ?
なんか西郷どんの仲間が出てきますが、もう全く見分けがつきません。
全員モブだな。誰が退場してもどうでもエエわ。

今更ながらに、しょうもない犬アピールも急に入ります。
結局、最後まで犬と子役とホームドラマに頼るしかない、どうしようもないドラマです。

妹・琴子は「従軍する息子を無事返せ」というのですが、こういう時代ものを描くセンスが欠落しているとしか言いようがありません。
武家の女が、我が子を無事戻せなんて言うかっつの。

だいたい、戊辰戦争のときに琴子の息子、一人戦死していますよね?
それはスルーしたのにな。
急にどうしたんよ。

あの西郷も倒幕の重圧でメンタルはボロボロ?いつだって中間管理職は辛いよ

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菊草に島唄歌わせるセンスも最低です。
西郷隆盛が軍資金確保のために、奄美大島に対してどれだけ酷いことしたと思っているんですか。

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もうね。
とにかく最初から最後まで西郷どんを持ち上げるため、周囲を徹底しておとしめる――本当に胸くその悪い最低ドラマです。

はい、ついに西南戦争スタートし!

大久保利通がブチギレ、岩倉がまたヘタレ麻呂を披露。
どこまでもどうしようもないドラマです。

本作のよいところ?

あと数回で終わることくらいですかね。あーもううんざり!

 

総評

◆描かれた西郷どん展:関連イベント「餅のような人」脚本家・中園ミホさん語る 小倉北(→link

餅?
それって、結局、どんな餅ですか?
その餅を柔らかくするために、周囲はとことん小馬鹿にされたのですか?

もうひとつ。
本作がらみで辛くてたまらなかったニュースがこちら。

◆【西郷どん】国父・久光のイメージアップに貢献 青木崇高の熱演に称賛の声(→link

なんでしょう、この提灯記事は。
まぁオリコン相手にムキになるなよ、ってツッコミもあるかもしれませんが、本作の島津久光描写の酷さは、現島津家当主も苦言を呈したほどです。

しかし、そうやって意見を表明できたのも、子孫である殿だったから……。
地元民は、ただただ辛いだけかもしれません。

確かに青木崇高さんは頑張っていました。

それを、よりによってNHKが
「ひさみちゅ」
だの
「国父チャンネル」
だの、バカみたいなオモチャ扱いしてしまう。

一体どこが再評価なの?
『八重の桜』の松平容保が、そんな扱いされましたか?

青木さんの工夫と比較するつもりはありません。
が、あのときの綾野剛さんは重圧をひしひしと感じているとご本人も語っておられました。

◆綾野剛:「精いっぱい魂をぶつける日々」 初の大河出演「八重の桜」松平容保役への思い(→link

容保役のオファーがきたとき、綾野さんは「殿様というと年配の方が演じるイメージがあったので驚きました」と笑うが、演じると決めたときは「どう演じようかとかは考えなかった」という。「書物やインターネットを通じて容保を知ることはできるが、実際の容保を知っている人は誰もいない。あるのは松平容保という人が生きていたという事実だけ。僕はその事実を曲げずに体を使ってきちんと容保を生きるしかない。どう演じようかとか“変化球”なんて考えられなかったです」と率直な思いを語る。

これは役者としての差というより、現場に漂う空気感や、脚本の質も大きいのでしょうね。

むしろあの容保像は、その美しさや健気さに、視聴者がこれぞ本物の殿であると感動したほどです。
そりゃ、松平家現当主も5年の時を越えて絶賛しますよ。

◆「苦渋の歴史、会津に誇り」=戊辰戦争150年で式典-福島県(→link

ラストに至るまで、ありとあらゆる人々に侮辱を投げつけ続けた本作。
西郷どんを庇うためなら、大久保も、桐野も、庄内の人々もどうでもいい。

そう言いたげなエッセンスが凝縮された、不愉快な回でした。

この作品が『八重の桜』のように何年経っても愛されていることなんてありません。
むしろさっさと忘れ去られたい作品となるでしょう。

八重と同じ放送局がナゼこんな酷いものをこしらえましたか?
きっちり反省してください。


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【TOP画像】
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【参考】
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

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