我妻善逸

『鬼滅の刃』3巻/wikipediaより引用

この歴史漫画が熱い!

我妻善逸が義勇をも上回る人気の秘密は「強さと成長」がカギ~鬼滅の刃徹底考察

『鬼滅の刃』の人気キャラは誰なのか?

第2回ランキングの結果、第一位はなんと我妻善逸(あがつまぜんいつ)でした。

1位 我妻善逸

2位 冨岡義勇

3位 時透無一郎

4位 竈門炭治郎

5位 胡蝶しのぶ

6位 嘴平伊之助

7位 煉獄杏寿郎

8位 伊黒小芭内

9位 不死川実弥

10位 栗花落カナヲ

11位 竈門禰豆子

12位 甘露寺蜜璃

13位 宇髄天元

なぜ善逸が1位に輝いたのか?

圧倒的な人気作品だけに数多の解析記事があり、あの文春オンラインでも記事化されるほど。

◆意外?「鬼滅の刃」人気投票 1位は炭治郎ではなく……(→link

◆『鬼滅の刃』キャラクター人気投票、なぜ我妻善逸が首位に? ランキングを徹底考察(→link

◆善逸くんが堂々1位…『鬼滅」キャラランキングに見る今ドキの理想の「男の子」「悪役」とは(→link

ここまで錚々たるメンツを取り上げた上で「オマエの意見はどうなんだ?」と問われたら、冨岡義勇のこんな脳内会話を妄想してしまいます。

不死川実弥「人気投票理由の推察ぅ? チッ そんな簡単なことでいいのかよォ」

義勇「これを簡単と言ってしまえる簡単な頭で羨ましい」

スミマセン。上掲の記事を煽っているわけでもないのですが……。

人気投票の意義とは?

作品の本質にどの程度関わりがある?

本当に解析そのものが正しいのか?

なんてことを考えると、色々と思うところも出てきてしまうのです。

例えば……。

・本作は複数回人気投票が実施されており、順位変動も激しい。最終的長期的な傾向解析は、今回だけでは測れないのでは?

・人気投票は、意図的な介入や操作の可能性もある。信憑性という点では、グッズ売上等の効果の方が確実かも知れない。

・真の理由は結局のところ、ある程度想像なり解析はできても、把握できないのではないか?

ここまで踏まえると、どうして1位が善逸なのか、ある程度の分析はできますが、「善逸が人気な理由はこれ!」とまでは断言できません。

ひとまず、順位を見た個人的な感想は以下の通りです。

「義勇が、現実世界にいたら真っ先に嫌われそうなのに、2位なんて凄い。他のフィクションでも、似たような性格のキャラはぶっ叩かれがちなのに……義勇、よかったな……」

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と、長い前置きで申し訳ありません。

9月3日は物語上で我妻善逸の誕生日。

そこで本記事では「善逸というキャラとその人気の理由」について考察してみたいと思います。

『鬼滅の刃』3巻(→amazon

 


我妻善逸、実は強い

善逸に人気があるのは、ある意味、当然とも言えます。

彼は主役の炭治郎、伊之助と並ぶ立ち位置にいて、ベストスリーに入ることが自然な存在。

他の二人が4位と6位であるあたり、そんな簡単にセオリーは通じないのかもしれませんが、露出度などから他のキャラクターより目立つのは間違いないでしょう。

そして誤解されがちなことではありますが、善逸は同期の中でも飛び抜けて資質があり、かなり【強い】部類だと思うのです。

理由をざっと挙げますと……。

・五感組でも実は一番使い勝手がよい聴覚! 視覚のカナヲは疲労が激しい。味覚の玄弥は使い方が限定的

・日輪刀損耗率が低い。炭治郎はむしろ割と壊している

・負傷も、比較的重くないことがある

・技数、手数が少ないうえに勝利する。そこまで共闘が多いわけでもない。単独戦闘力はかなり高い!

・戦い方が割とシンプルで真似しやすい

そんなわけで、

「弱いのにがんばる善逸くんはエライ! そこが好き! 俺って善逸タイプ!」

と思っていると、それは彼の普段の性格に欺かれていることになります。

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そもそも、なぜ善逸は弱い&ヘタレと思われるのか?

◆すぐ寝るから

絵柄とあいまってヘタレのように思えますよね。

しかし短期休息や睡眠で疲労をリセットし、突進力を出せる人はかなり強い。

現実世界で【パワーナップ】を取り入れてみるのもありでしょう。

◆弱音を吐くから

いつも涙目で、奇声を発するところがおかしくて、ヘタレに思えることは事実。

しかし実際は強いにもかかわらず、そう言っているだけであり……見様にとっては、卑劣な騙し方です。

空っぽの城でわざとらしく琴をかき鳴らす諸葛孔明かっ!

善逸は、心の底にある不安感や嫌な気持ちを素直に出してしまう。しかも出し方が極端ですよね。

自身への過小評価が根底にあり、かつそれが表面化しやすい。

ゆえに誤解されがちですが、何度も言う通り実際は強い。

善逸は無限列車で【稀に見る自我の強さ】の持ち主だと証明されてもいます。

そんな善逸は、実は2位の義勇と遠いようであり、近いところもあるのかもしれません。

善逸も、いつまでたっても死んでしまった錆兎と自分の比較をやめない。ゆえに自己評価が低い。

ただ義勇は徹底して隠す。隠蔽する。おまけに言葉足らずで誤解を招く。

両者ともに、自己評価が低く自己嫌悪に悩まされているにもかかわらず、そのアウトプットが歪んでいるために誤解を受けやすい。そんなタイプですね。

それが人気投票でワンツーというあたりに、本作らしさを感じます。

漫画やアニメで見ているぶんにはおもしろくとも、学校や職場で接する上ではトラブルになるかもしれません。

ギャーギャー弱音を吐いているくせに、いざ本番になると無茶苦茶強い善逸くん。嫌味か! ってなる。

自己評価が低く、全然しゃべらないし、何を考えているか不明。なのにやっぱり仕事ができる義勇さん。

隣にいたら困っちゃいませんか?

 


善逸は禰豆子ちゃんラブ!

「善逸はエッチでセクハラをしている! やっぱりそういう男子がいいんだよ!」

そんな意見も、善逸の誤解されている点だと思います。

『鬼滅の刃』で一番色香を理解し、粋に遊んでいる――そんな伊達男は圧倒的に宇髄天元でしょう。

顔がよいだけではなく、女性や弱者をさっと助ける男ぶりがお見事。三人も妻がいることは忍びの掟ありきとはいえ、相思相愛であることが凄い。

彼ほど、大人の色香がムンムンと漂うヒーローは、少年漫画では稀有な存在でありませんか。

そんな天元と比較すれば、善逸はひよっこ。男と女のなんたるか、なんて1ミリもわからねえガキだろ!……ってなところです。

天元は大人の男であり、女を守ることが何かをきっちり理解しています。女がいれば幸せになれるほど単純なものでもなく、与えて支えあってこその関係性。そこまで到達しています。

善逸はどうか?

彼は幼く、孤独な家庭環境もあってか、かわいい女の子を人間ではない、何か神秘的なものであると思っています。

女の子さえいれば、幸せになれる!

女の子さえいれば、きっと全ての悩みが消えてゆく!

生身の女の子ではない、何か理想のものを追い求めている。

善逸がヨダレを垂らして近づく女の子は複数おりますが、彼の目から見た理想の女の子像には、最近きっちり定義されつつあります。

【マニック・ピクシー・ドリーム・ガール】

【ボーン・セクシー・イエスタディ】

 

こういうヒロイン像が悪いというよりも、都合のいい、逆らわないヒロインでないと萌えられない、それってどうなのよ?

そんな問題提起の概念ですね。

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善逸の禰豆子ちゃんへの愛情は、幼い少年の無邪気なもののようでいて、実は結構問題がある設定かもしれません。

というのも、禰豆子は話すこともできず、同意が取れない。あくまで善逸の一方的な目線での愛です。

天元と比べるとわかりやすい。三人の妻全員ときっちりコミュニケーションを取っている一方、善逸と禰豆子にはそれが成立していません。

禰豆子が人間に戻って、意思の疎通ができたとき――それでも善逸の愛が通じていて、お互い確認が取れるまでは、どう転ぶか決定的ではない愛だということです。

といっても、善逸の愛はあくまで純粋であり、卑劣な犯罪じみたことでもない。

禰豆子が動けない時に何かするとかではなく、花を持って笑顔で捧げているところに注目しますと……善逸だって悲しいのではありませんか?

笑顔で花を捧げるところではなく、奇声と共にセクハラするところが人気の理由とされたら、彼自身だってショックなのではないでしょうか。

これでもか!

そうダメ要素が多いとされる善逸ですが、決定的におかしいと思えるところは実はそこまでありません。

言われるほど嫌われる要素もないし、意外でもない。

それが善逸だとは思えるのです。

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