第2回ランキングの結果、第一位はなんと我妻善逸(あがつまぜんいつ)でした。
1位 我妻善逸
2位 冨岡義勇
3位 時透無一郎
4位 竈門炭治郎
5位 胡蝶しのぶ
6位 嘴平伊之助
7位 煉獄杏寿郎
8位 伊黒小芭内
9位 不死川実弥
10位 栗花落カナヲ
11位 竈門禰豆子
12位 甘露寺蜜璃
13位 宇髄天元
なぜ善逸が1位に輝いたのか?
圧倒的な人気作品だけに数多の解析記事があり、あの文春オンラインでも記事化されるほど。
◆意外?「鬼滅の刃」人気投票 1位は炭治郎ではなく……(→link)
◆『鬼滅の刃』キャラクター人気投票、なぜ我妻善逸が首位に? ランキングを徹底考察(→link)
◆善逸くんが堂々1位…『鬼滅」キャラランキングに見る今ドキの理想の「男の子」「悪役」とは(→link)
ここまで錚々たるメンツを取り上げた上で「オマエの意見はどうなんだ?」と問われたら、冨岡義勇のこんな脳内会話を妄想してしまいます。
不死川実弥「人気投票理由の推察ぅ? チッ そんな簡単なことでいいのかよォ」
義勇「これを簡単と言ってしまえる簡単な頭で羨ましい」
スミマセン。上掲の記事を煽っているわけでもないのですが……。
人気投票の意義とは?
作品の本質にどの程度関わりがある?
本当に解析そのものが正しいのか?
なんてことを考えると、色々と思うところも出てきてしまうのです。
例えば……。
・本作は複数回人気投票が実施されており、順位変動も激しい。最終的長期的な傾向解析は、今回だけでは測れないのでは?
・人気投票は、意図的な介入や操作の可能性もある。信憑性という点では、グッズ売上等の効果の方が確実かも知れない。
・真の理由は結局のところ、ある程度想像なり解析はできても、把握できないのではないか?
ここまで踏まえると、どうして1位が善逸なのか、ある程度の分析はできますが、「善逸が人気な理由はこれ!」とまでは断言できません。
ひとまず、順位を見た個人的な感想は以下の通りです。
「義勇が、現実世界にいたら真っ先に嫌われそうなのに、2位なんて凄い。他のフィクションでも、似たような性格のキャラはぶっ叩かれがちなのに……義勇、よかったな……」
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と、長い前置きで申し訳ありません。
9月3日は物語上で我妻善逸の誕生日。
そこで本記事では「善逸というキャラとその人気の理由」について考察してみたいと思います。
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我妻善逸、実は強い
善逸に人気があるのは、ある意味、当然とも言えます。
彼は主役の炭治郎、伊之助と並ぶ立ち位置にいて、ベストスリーに入ることが自然な存在。
他の二人が4位と6位であるあたり、そんな簡単にセオリーは通じないのかもしれませんが、露出度などから他のキャラクターより目立つのは間違いないでしょう。
そして誤解されがちなことではありますが、善逸は同期の中でも飛び抜けて資質があり、かなり【強い】部類だと思うのです。
理由をざっと挙げますと……。
・五感組でも実は一番使い勝手がよい聴覚! 視覚のカナヲは疲労が激しい。味覚の玄弥は使い方が限定的
・日輪刀損耗率が低い。炭治郎はむしろ割と壊している
・負傷も、比較的重くないことがある
・技数、手数が少ないうえに勝利する。そこまで共闘が多いわけでもない。単独戦闘力はかなり高い!
・戦い方が割とシンプルで真似しやすい
そんなわけで、
「弱いのにがんばる善逸くんはエライ! そこが好き! 俺って善逸タイプ!」
と思っていると、それは彼の普段の性格に欺かれていることになります。
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そもそも、なぜ善逸は弱い&ヘタレと思われるのか?
◆すぐ寝るから
絵柄とあいまってヘタレのように思えますよね。
しかし短期休息や睡眠で疲労をリセットし、突進力を出せる人はかなり強い。
現実世界で【パワーナップ】を取り入れてみるのもありでしょう。
◆弱音を吐くから
いつも涙目で、奇声を発するところがおかしくて、ヘタレに思えることは事実。
しかし実際は強いにもかかわらず、そう言っているだけであり……見様にとっては、卑劣な騙し方です。
空っぽの城でわざとらしく琴をかき鳴らす諸葛孔明かっ!
善逸は、心の底にある不安感や嫌な気持ちを素直に出してしまう。しかも出し方が極端ですよね。
自身への過小評価が根底にあり、かつそれが表面化しやすい。
ゆえに誤解されがちですが、何度も言う通り実際は強い。
善逸は無限列車で【稀に見る自我の強さ】の持ち主だと証明されてもいます。
そんな善逸は、実は2位の義勇と遠いようであり、近いところもあるのかもしれません。
善逸も、いつまでたっても死んでしまった錆兎と自分の比較をやめない。ゆえに自己評価が低い。
ただ義勇は徹底して隠す。隠蔽する。おまけに言葉足らずで誤解を招く。
両者ともに、自己評価が低く自己嫌悪に悩まされているにもかかわらず、そのアウトプットが歪んでいるために誤解を受けやすい。そんなタイプですね。
それが人気投票でワンツーというあたりに、本作らしさを感じます。
漫画やアニメで見ているぶんにはおもしろくとも、学校や職場で接する上ではトラブルになるかもしれません。
ギャーギャー弱音を吐いているくせに、いざ本番になると無茶苦茶強い善逸くん。嫌味か! ってなる。
自己評価が低く、全然しゃべらないし、何を考えているか不明。なのにやっぱり仕事ができる義勇さん。
隣にいたら困っちゃいませんか?
善逸は禰豆子ちゃんラブ!
「善逸はエッチでセクハラをしている! やっぱりそういう男子がいいんだよ!」
そんな意見も、善逸の誤解されている点だと思います。
『鬼滅の刃』で一番色香を理解し、粋に遊んでいる――そんな伊達男は圧倒的に宇髄天元でしょう。
顔がよいだけではなく、女性や弱者をさっと助ける男ぶりがお見事。三人も妻がいることは忍びの掟ありきとはいえ、相思相愛であることが凄い。
彼ほど、大人の色香がムンムンと漂うヒーローは、少年漫画では稀有な存在でありませんか。
そんな天元と比較すれば、善逸はひよっこ。男と女のなんたるか、なんて1ミリもわからねえガキだろ!……ってなところです。
天元は大人の男であり、女を守ることが何かをきっちり理解しています。女がいれば幸せになれるほど単純なものでもなく、与えて支えあってこその関係性。そこまで到達しています。
善逸はどうか?
彼は幼く、孤独な家庭環境もあってか、かわいい女の子を人間ではない、何か神秘的なものであると思っています。
女の子さえいれば、幸せになれる!
女の子さえいれば、きっと全ての悩みが消えてゆく!
生身の女の子ではない、何か理想のものを追い求めている。
善逸がヨダレを垂らして近づく女の子は複数おりますが、彼の目から見た理想の女の子像には、最近きっちり定義されつつあります。
【マニック・ピクシー・ドリーム・ガール】
【ボーン・セクシー・イエスタディ】
こういうヒロイン像が悪いというよりも、都合のいい、逆らわないヒロインでないと萌えられない、それってどうなのよ?
そんな問題提起の概念ですね。
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善逸の禰豆子ちゃんへの愛情は、幼い少年の無邪気なもののようでいて、実は結構問題がある設定かもしれません。
というのも、禰豆子は話すこともできず、同意が取れない。あくまで善逸の一方的な目線での愛です。
天元と比べるとわかりやすい。三人の妻全員ときっちりコミュニケーションを取っている一方、善逸と禰豆子にはそれが成立していません。
禰豆子が人間に戻って、意思の疎通ができたとき――それでも善逸の愛が通じていて、お互い確認が取れるまでは、どう転ぶか決定的ではない愛だということです。
といっても、善逸の愛はあくまで純粋であり、卑劣な犯罪じみたことでもない。
禰豆子が動けない時に何かするとかではなく、花を持って笑顔で捧げているところに注目しますと……善逸だって悲しいのではありませんか?
笑顔で花を捧げるところではなく、奇声と共にセクハラするところが人気の理由とされたら、彼自身だってショックなのではないでしょうか。
これでもか!
そうダメ要素が多いとされる善逸ですが、決定的におかしいと思えるところは実はそこまでありません。
言われるほど嫌われる要素もないし、意外でもない。
それが善逸だとは思えるのです。
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