10月12日に発売された週刊文春で『どうする家康』の主役・松本潤氏が撮影現場で「殺すぞ」とか「あいつを外せ」とか横暴な振る舞いをしている――そんな暴露記事が掲載されたのです。
記事内容が本当ならば、NHKの制作陣はジャニーズの言いなり。
公共放送にあるまじき芸能事務所の私物化であり、非常に深刻な状況とも言えるのですが、一方で「記事にあるようなことは本当なのか? ガセネタじゃないのか?」という疑問も湧いてきます。
あまりにもショッキングな内容であるため、たとえスクープだらけの文春砲でも、にわかには信じがたい状況なのです。
もしかしたらAという話は事実だけど、Bという話は完全ガセネタで、Cは少し誇張が入っているという可能性もあるかもしれません。
そこで今回は、記事の指摘とドラマ内容を照合してみて、書かれたことがどこまで信憑性あるのか、周囲の状況などから徹底的に検証してみることとしました。
いったい何が本当で何がウソなのか?
【TOP画像】
『週刊文春 2023年10月19日号』(→amazon)
『どうする家康 公式ガイドブック』(→amazon)
電子タバコ片手に禁煙エリアで談笑
『どうする家康』主人公・松本潤さんに関する文春砲が掲載されたのは『週刊文春 2023年10月19日号』です。
オリジナルをご確認されたい方はキンドル版でもすぐに読めますので、まずはそちらをチェックしてください(→amazon)。
記事の中には何が記されていたのか?
同誌ではまず
「松本潤氏が椅子を蹴り、引き寄せ、喫煙室へ向かわずに喫煙しながら共演者と談笑する」
という描写から始まります。
これはただ単に「態度が悪いなあ」と思わせるだけのものではないかもしれません。
2022年5月3日、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で小栗旬氏の回では、彼が喫煙室へ向かう姿がありました。
同じ大河ドラマ主役でも、これだけ態度が異なる――大河ドラマの熱心なファンであれば異変に気づくのでは? そんな含意があるのでしょう。
そもそも禁煙エリアでタバコを吸っていたという話は本当なのか?
という点ですが、今回の記事はソースの出処がかなりの確率で現場スタッフであることが考えられます。
後述しますように「台本の画像」も一緒に流出していて、週刊文春に掲載されているからです。
今回の記事は、バッチリとそこが押さえられている点からして「ガセネタ」とは言い難い、むしろ「信ぴょう性高そうだなぁ……」という印象となっている。
まぁ、そうでもなければ文春側も訴訟リスクの高いジャニーズネタをそう簡単には採用しないでしょう。
あらためて記事内容を検証して参ります。
若泉久朗氏の関与
2022年6月5日にクランクインだった『どうする家康』。
その際、若泉久朗氏がジュリー景子社長(当時)の横にいたとされますが、これも重要な点です。
NHKとジャニーズ事務所による“癒着の象徴”として、若泉氏についての報道が数多のメディアから出ているのです。
◆ジャニーズ事務所の顧問になったNHK元理事(62)の評判 「どうする家康」のキャスティングにも影響力(→link)
◆NHK理事からKADOKAWA・ジャニーズへ 異例の移籍の背景(→link)
◆(ひと)若泉久朗さん NHK理事からKADOKAWAとジャニーズに(→link)
◆十勝へのメッセージ~企業トップに聞く「NHK札幌放送局 若泉久朗局長」(→link)
若泉氏は朝ドラ『なつぞら』にも関わっています。
『なつぞら』といえば、もう一人、本作に関わる重要人物がいますので、後述させていただきます。
特注の軽量甲冑を「重いよ」
家康といえば、狸親父のイメージがあります。
『どうする家康』では、そのイメージを刷新したかったのか。華やかな金陀美具足(きんだみぐそく)が、特に序盤、大々的に扱われました。
甲冑を新規で作ったのは、鹿児島県の「丸武産業」だと、この記事で明かされています。大谷翔平選手の兜を作ったことでも知られる職人集団ですね。
その会長が実名を出し、松本潤氏用の甲冑はかなり軽量化したと明かしている。
それなのに彼は「重い」とこぼし、通気性の悪さに文句を言っていたとのこと。
「丸武産業」の田ノ上賢一氏は、軽いはずだと語っています。
甲冑については、2022年『鎌倉殿の13人』と比較してみましょう。
平安末期から鎌倉時代にかけての大鎧は、戦国時代の当世具足よりも相当重く、着用しにくい。しかし、だからといって出演者が文句タラタラという報道は出ませんでした。
あの大鎧を着ながらワイヤーで釣られた源義経役の菅田将暉さんは、相当キツかったはずです。
松本潤氏の嘆きに対しては、ベテラン俳優が彼の甲冑を着た上で「こんなに軽いのに文句を言ったらダメだよ」と苦言を呈したとか。
2020年『麒麟がくる』では、現場ではとあるベテラン俳優が甲冑を着ると無言になると明かされていました。それだけ疲れてしまうということでしょう。
それでも彼はドラマで見る限りは堂々と演技をしていて、疲れなど感じさせません。
そうした大河現場の常識を踏まえると、「重い」なんて愚痴などこぼされたら、苦言を呈したくなる気持ちは理解できます。
大谷翔平選手の兜に続き、大河ドラマで特注された甲冑を手がけたとなれば、「丸武産業」としては名誉なこととして誇りたいはずです。
にもかかわらず実名を出してこう語っているというあたりに、告発の信憑性を感じます。
浜松まつり:家康公騎馬武者行列の仕出し弁当の舞台裏
「丸武産業」以上に、深刻なものを感じさせるのが、この仕出し弁当です。
仕出し弁当については売り出されたニュースもあり、一見するとよい関係のように思えます。
しかし、記事を読めばこれは怒りのあまり文春に告発したいと頷ける部分があります。
これだけのメニューを5日前に決められ、300食も作るとなれば、現場の苦労はいかほどのものか。
頼む側とすれば、宣伝にもなってよいとなるのかもしれません。こうしたニュースだけを見れば、美談に思えます。
しかし美談におさめきれないほどの不満があればこそ、文春に記載されている。
「竹泉」木俣昭彦社長が実名で不満を語っているからには、信憑性は十分にあります。
浜松まつりは、こうなったからには松本潤氏が再登板することはないでしょう。
2013年大河ドラマ『八重の桜』の綾瀬はるか氏は大河放映後から何度も会津まつりに呼ばれ、10年後となる2023年も参加していました。そうしたイベントと大河の結びつきをふまえても残念なことです。
なお、今年は人気定番の戦国時代を舞台とした大河ながら、ゆかりの地とのタイアップ行事が控えめです。昨年『鎌倉殿の13人』のときには盛況でしたが、勢いはすっかり消えてしまいました。
そればかりか山梨県の「信玄公祭り」では、冨永愛氏が信玄役を務めることで話題をさらいました。
なぜ大河俳優ではなく『大奥』からなのか……と疑念を呈する声もありましたが、わかったような気がします。
何らかの懸念材料があり、主催者側が避けたのかもしれません。
※続きは【次のページへ】をclick!