シーズンもあと一話。
ドラマそのものがあと一話。
こうなってきますと、超展開からは逃れられません。
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密書を書き、一服盛る宦官
デナーリスよりもふさわしい王はジョン・スノウ――。
そう確信したヴァリスは、彼こそが真の継承者だという密書をせっせと書いています。
情報網が彼の特技ですからね。
そこへ、誰かがそっとやって来ます。
まだ幼さを残した少女でした。
「彼女は何も食べません」
「また今晩も様子を見よう」
「誰かに見つめられているんです!」
そう切々と娘は訴えます。
このマーサという娘は、任務のハイリスクハイリターンを説明されてから、厨房に戻ってゆくのでした。
これは一服盛っていますね……相手はあの人でしょう。
そのあと、ヴァリスはティリオンやジョンと北部軍の到着を待っています。
トライデント川を渡り、二日後に到着予定とのことです。
ターガリエンの狂気
ストームズエンドの一室。
以前は、オレナやエラリアと軍議をした場所でもあります。そこでデナーリスは一人になって、何も食べずに引きこもっているのだそうです。
あの軍議の場面と比較すると、なんだか不安になります。
あそこにいてデナーリスに味方した者たちは、酷い死を迎えた者も多いもの。その復讐をデナーリスが考えているともさして思えません。
ミッサンディのことはあるのでしょうけれども、デナーリスって長期的なことは考えずに、目の前のことに向かっていくタイプですからねえ。
ヴァリスはデナーリスの懸念を募らせております。
ターガリエンが一人誕生したとき、その人物は狂気か正気しかいないと語ります。
これはよく言われていることです。
近親結婚を繰り返した結果なのか。中間の人間がいないのです。
正気:レイガー(ジョンの父、デナーリスの姉)
狂気:エイリス2世(ジョンの祖父、デナーリスの父)、ヴィセーリス(デナーリスの兄)
※ヴィセーリスは黄金の冠で消えましたっけ
この正気判定のレイガーにせよ、リアナ・スタークと突発的な結婚をして、全土を戦乱に巻き込んだわけでして。
ジョンはターガリエンとスタークの血を引いていますが、デナーリスはターガリエンのみです。
この時点で、ヴァリスが誰を選ぶかわかるというもの。
ヴァリスはジョンに立つように勧めてきているのです。
ジョンは、誰を推戴するかは自分が決めるとヴァリスに言います。
彼女の善悪はさておき、その資質で決めるとジョンに言うのです。
「王座は欲しくない、望んだことはない」
ヴァリスは、ここで何人もの王に仕えて来た経験を語ります。
その目から見ると、ジョンには資質があるものの、彼女はどうかと口を濁すのです。
これはヴァリスの失敗かもしれません。
ジョンはデナーリスよりも無欲で、ティリオンほど人命の損失を考えてもいない。
中途半端です。
ヴァリスの意見には半分だけ賛成します。
ジョンにもさして資質があるとは思えません。
ナイツウォッチ時代には油断しきって腹を刺されていますし。その結果、今は亡きメリサンドルに復活させられて、頭のチューニングが狂っていないとは言えません。
「彼女こそが女王だ」
ジョンはここで、ハッキリと言い切るのです。
裏切り者は許さない
ティリオンは、ここでデナーリスとの面会へ向かいます。
報告があると告げると、デナーリスはこう言い切ります。
「私を裏切ったものがいる」
「はい」
「ジョン・スノウ」
「ヴァリスです」
ティリオンは、ジョンではなくヴァリスが漏洩していると言い切ります。
「ヴァリスに伝えたのはお前、それを聞いたのはサンサ。その出どころはジョン。つまりジョンが裏切ったのだ」
しかし、デナーリスには通じません。
ティリオンは、サンサに聞けてよかったし、参謀であるヴァリスにも伝えるべきだった弁解しますが、デナーリスにはもはや通じません。
「情報漏洩」
これは全員事実です。動機は違うにせよ。
ジョン:家族には隠し事なしで!(善意、誠実)
サンサ:ティリオンに言わなきゃ(悪意、疑念あり)
ティリオン:ヴァリスと情報共有しなければ(善意、慎重)
ヴァリス:これは広めなければ(悪意、明らかな謀叛)
サンサが間に挟まることを知り、デナーリスはメラメラと悪意を燃やしています。
サンサの目的は何か。サンサから聞いたとは。
これはどういうことだ。猜疑心がグツグツと煮えたぎっています。
ヴァリスから狂気への疑念を聞いたあとですと、恐ろしさが増すというもの。
ティリオンは訴えます。
「あなたのもとで、ヴァリスともどもよりよい世界を目指したいのです!」
「そうね……」
これはもうあかん。
厨房にいるマーサは監視されている。ヴァリスは一服盛りかねない。
ヴァリスは絶対に何か企んでいます。
デナーリスは学ばない
そのあと、デナーリス、ジョン、ヴァリス、ティリオンが勢ぞろいします。
ヴァリスは逮捕、そして処刑へと向かって行きます。
あーあ……人間生き字引レベルのレジェンドを、活かせぬままにこれか。
しかもお約束の生きたままドラゴン焼き。
この手段は、エイリス2世がスターク父子にやらかした悪名高いやり口です。
ウェスタロスの人々は恐怖と反発を感じることでしょう。ターリー父子という悪しき前例もあります。
このドツボだって、ある意味ターリー父子を発作的に処刑したことが原因でしょうに。
それでサムが怒り、悪意を込めてジョンに出生の秘密を漏らしたわけですから。
もしもデナーリスに柔軟性があり、ティリオンの声を聞いていたら、歴史はここまでこじらなかったでしょう。
女性による残虐行為だから、デナーリスは叩かれているわけではありません。
サンサによる犬の餌。
アリアによるミートパイ。
サーセイの大聖堂大爆破。
女性の残虐行為ですが、後顧の憂いをきっちり絶つ処置です。
私はあれはあれでよいと思っています。ジェイミー曰く、今は戦争中です。
デナーリスの発作的な殺害は、リスクが大きすぎるからいけません。
サンサ:ラムジーを生かしておいてどうなるの? 惨殺により、ボルトン配下についた北部諸侯に警告できる
アリア:動機は復讐であり、北部の理解を得られる。フレイ滅亡で、母方の親族タリー家の領土を取り戻契機にもつながる
サーセイ:タイレルと雀聖下(ハイスパロウ)を殺す最も効率的なやり方
デナーリス:ターリー一族の怨みを買う、ヴァリスの知識を失う
また生きたまま処刑とは、ターリー父子の大失敗から何も学んでいないのです。
それに、この処刑にデナーリスがスッキリする以外の意味ってありますかね?
持ち上げた側ではなく、持ち上げるだけの大義名分の持ち主を始末せねば、何の意味もありません。
情報が広まった可能性がある以上、ジョンを生かしたままではヴァリスを殺す意味がありません。
それに、この処刑の動機は隠蔽されますから、世間からすればわかりません。
気まぐれに父祖に仕えた功臣を焼き殺す。完全に暗君の愚行です。
こういう時は、派手に処刑をするのではなく、自殺用の毒を送るなりしてもっとやりようがあるものですがねぇ……。
デナーリスは本当に何も考えていません。
あんた何も知らないんだね、デナーリス。
先週殺害されたミッサンディを思い出そうが、もうデナーリスにはついていけない気持ちになりますって……グレイワームは気の毒ですが。
お前の女王じゃない、ウェスタロスの女王だ
そこへ、ジョンがやって来ます。
「どうして妹のサンサに伝えたの?」
とデナーリスタが問い詰めて来ます。サンサへの怒りを切々と語るのです。
その怒りでヴァリスを生きたまま焼きましたからねえ。
錯乱気味のデナーリスは、自分よりもジョンのほうが民から愛されていると語ります。
そこまで自覚があるなら、ナゼ人間を丸焼きにし続けるのか?
ジョンはどうしようもない言葉をつぶやくのみ。
「愛している。きみは永遠に俺の女王だ」
「それだけ? あなたの女王?」
ここでキスをするのですが、まったく盛り上がらない!
そりゃ、そうだ、そういう問題じゃないだろう!
ティリオンに今すぐ聞いて。軍師を連れてきて。
もう全然ダメだ。
「分かったわ。恐怖を選ぶのね」
そう言い切りおった。
ここでティリオンがやっとこさ進言します。
「王都の民は敵ではありません。いわばサーセイの人質なのです」
「しかし、暴君に従っているからには、仕方ないこと」
デナーリスにはまるで通じていません。
それどころか……。
「民という弱みを利用するサーセイには負けない! 穢れなき軍団と北部を進軍させる! ともかく進軍あるのみ!!」
「無実の子供達まで犠牲にするのですか!」
ダメです。
聞く耳ゼロでした。
軍師は苦しむ
これはデナーリスが、ウェスタロスに愛着がないこと、内政センスゼロであることも大きな要因だと思いますよ。
ここでちょっと歴史上の人物で、ティリオンと同じ考え方の例をあげましょう。
「最上義光歴史館」のこどもページ(→link)から引用します。
ワシはたくさん戦争をしたが、ムダな命はとらなかった。降参(こうさん)した人やかしこい人は自分の家来(けらい)にしたりしたゾ!
「だましてあいてを殺したズルイ殿様」だって?
ノー!!ノー!!そのやりかたが一番死ぬ人が少ないんだゾ!!
たくさんの兵隊があつまって戦うよりも、あいてのえらい人だけやっつけた方が、死ぬ人の数が少くないし、大切な町や田畑がこわされなくてすむのダ!!そんなことも知らないのか!?
ワシは人の命が一番大切なものだと思っている。
最上義光といえば、謀略を駆使したというイメージがあります。
しかし、それこそが一番犠牲が少ないからだという理屈でして。ティリオンなら「それだよ! 俺らってなんだか話が合うね!」と頷くことでしょう。
これは性格だけの問題でもありません。
攻める土地への愛着の問題です。
最上義光の領土拡張戦争は、あくまで元最上領でした。
もともと最上家が「羽州探題」として治めていた土地に、国衆が割拠してきたという認識です。
いわば、自宅によくわからんものが住み着いたから、追い出すという感覚です。
それならば、家ごとぶち壊さずに、住み着いた侵入者だけを最低限のダメージで排除するという考え方になるでしょう。
ティリオンもそうなのです。
彼にとって、王都は長らく住んでいた場所。
どういう人が住んでいるのか。何を食べているのか。どこに行けば綺麗なおねえちゃんといやらしいことができるのか。
何もかも、知っています。そういう麗しの都を壊すことに、彼は耐えられないのです。
だから策を!
謀略を!
しかし、デナーリスには通じません。
コーエーのゲームなら、知略は一体いくつになるだろうか……。
ラニスターの兄弟愛
しかも、ここで恐ろしい話が告げられます。
王都に向かう途中のジェイミーが、デナーリスの軍勢に捕まっているのです。
「サーセイを見捨てなかったのね。また私を失望させたら次はないわ」
次はない、って……デナーリスはもう、処刑を脅迫に使う暴君になりつつあります。
かくしてティリオンは、兄とデナーリスの板挟みになりました。
地獄だーーーーー!!
そんな中、ジョンとティリオンは味方を待っています。
夜明け前には後衛がつく、夜明けには進軍開始。そういう状況です。
ティリオンは、ダヴォスにウェスタロス一の運び屋として頼みがあると言い出すのでした。
そんな中、アリアとハウンドが王都間際に到着。
サーセイを殺せば終わると言い出します。なんだかんだで彼らが切り札かもしれません。
このあとティリオンは、拙いヴァリリア語で囚人と話しと頼んでいます。
共通語に切り替えて、誰の命令かと聞かれるのですが、【女王の手】だからとティリオンは頼み込むのでした。
そこにいたのは、捕虜となったジェイミーです。
一番愚かなラニスター。姉のサーセイからそう呼ばれてきたジェイミー。
「愚かと言い切ったその姉のために死ぬのか?」
ティリオンは訴えます。
「姉を説得したことはあるのか。できるのか?」
兄にに訴えるティリオン。
サーセイが生きる理由とは、胎内に宿されている子である、と。ジェイミーとの間にできた子供達を守るために、悪事をしてきたのだと兄弟は姉を振り返ります。
確かにその通り。
ブライエニーに切々と語った通りの事実がそこにはある。
「勝率はもはや半々だ、ドラゴンも一頭になった」
ジェイミーはそう言い切り、王都陥落の危険性を訴えるティリオンに反論します。
そこで彼は諭すのです。
「逃げるんだ。レッドキープにあるドラゴンの頭蓋骨をたどると、そこから小舟に乗れる。ペントスに向かって、そこから新しい人生を生きろ」
なるほど、ダヴォスに依頼したのはこのことですね。
「鉄諸島の水軍が海にいるのに? サーセイの勝利を信じた方がいい」
ジェイミーはそう聞き入れません。
そんな兄をティリオンは説得するのです。
「約束を守れ。王都降伏の合図を出せ。そうしろ。そうすれば借りを返せる」
かつて、ティリオンはジョフリー殺害の冤罪により、死罪寸前でした。そこをジェイミーに救われているのです。
これが発覚したら、デナーリスはティリオンを殺すことでしょう。
それでも、ティリオンは王都を守るために命をかけるのです。
「王都の民と小人の命。公平な取引ではないかもしれないが、この小人は命がけだ」
ティリオンはここで、切々と兄弟愛への感謝を訴えます。
タイウィンにとって最愛の妻に産褥死をもたらした、ティリオンの誕生。
タイウィンはそんな息子を愛さず、サーセイも母の命を奪ったと憎みました。そしてこの小人という外見です。
それでも、ジェイミーだけは弟を愛しておりました。
「小さい頃、孤独でなかったのは兄のおかげだ。あんただけが俺を怪物扱いしなかった、あんたしかいなかったんだ」
そう言い合い、抱き合う兄弟なのでした。
ドロゴンはあまりに強かった
そして朝。
ユーロン艦隊が待機中です。対ドラゴン弩であるスコーピオンも構えています。
ラニスターの弓兵も待機中。
戦が始まるぉ!
住民たちが必死で城へ逃げ込もうという中、アリアとハウンドも入り込みます。
【ゴールデンカンパニー】は、迎え撃つ準備を整えます。ティリオンは鐘の音が降伏の合図だと告げ、ジョンとともに待ち受けています。
サーセイは、この成り行きを城から見守っているのでした。
避難する住民の前で、扉が閉まります。
門に押しかける民があまりに痛々しい。
すっかりパニックになっています。こういうことを引き起こす。そういう人間こそいかん。そんな気持ちになって来ます。
【死者】よりえげつない。
それを見るサーセイの顔も険しいものがあります。
そのころ、ユーロンはドロゴンの襲撃を受け、スコーピオンで撃退しようとします。
しかし、ドロゴンは船を焼いて回ります。
本領発揮したドラゴンは強いぞ!
あっという間に薙ぎ払っていくのです。
前回はなんだったのだろう。そう言いたくもなります。
強い。あまりに強い、圧倒的です。
弩も、発射前に焼かれてしまえば無力なものです。【ゴールデンカンパニー】ですら、圧倒的な炎に焼き払われます。
王都を焼き払い、突撃するデナーリスとドロゴ。
おぞましさの境地へ到達しつつあります。
ここへ、ドラスク人騎馬兵も突入。圧倒的な強さです。爽快感どころか、一方的な虐殺にしか見えません。
ティリオンはこれを避けたかったのに!
サーセイは、呆然とした顔でこの大殺戮を見つめています。
それにしても、こんなふうに支配した女王デナーリスにウェスタロスの民は従いますかね。
虐殺が止まらない
クァイバーンは、敗報をサーセイに告げます。
弩のスコーピオン、全滅。
鉄諸島艦隊、全滅。
ゴールデンカンパニー、全滅。
ドラゴンが強すぎる!
サーセイは、スコーピオンが前滅したと聞きます。
そう報告されても、サーセイはなおも立ちち向かうと言い切るのでした。
そんな中で、グレイワームは復讐の鬼と化して、ラニスターを討つ先頭に立っています。
ティリオンは、唖然とした顔で王都を見上げるほかありません。
その頭上には、恐怖のあまり逃げ惑う民の頭上を飛び回るドロゴ。城に飛び乗り、吠えるドロゴ。
あまりの惨状の中ラニスター兵は武器を落とし、鐘を鳴らせという声が響きます。
ジェイミーはそんな中、決然とした眼差しを見せながら、目標を目指し歩いていました。
デナーリスはドロゴの背で、サーセイは城の窓から、そんな悪夢のような光景を見つめているのです。
そのとき、鐘が鳴り響き始めます。
安堵や諦念の表情が、そこにいる人々に浮かんでいきます。
しかし、デナーリスは止まらない。
ドロゴに乗って飛び立ち、逃げる人々を容赦なく焼き尽くす。
降伏の後にも殺戮を続ける。
これは完全に暴君です。降伏勧告を無視することは許されません。
こんな総大将ならば、止まるはずがない。
デナーリスの軍は、武器を捨てたラニスター軍を襲い始めます。
ジョンが止めようとするものの、もう歯止めが効きません。
グレイワームは完全に復讐に取り憑かれています。かくして地獄絵図が広がっていくのです。
こんなことがあったいいのだろうか。
サーセイの目にも、ティリオンの目にも、絶望が浮かんでいます。
女性も。幼い子供も。容赦なく虐殺されてゆく。
ジョンの顔も絶望しきっています。女性を襲う卑劣な仲間を殺し、逃すジョンでした。
王を殺してみろ
このあと、小舟で逃げようとするジェイミーに、こう声がかかります。
「キングスレイヤー、もう一人王を殺してみないか?」
「王?」
「女王とやった俺は王ってわけだ。てめえの首を切り落として、サーセイとキスさせてやらぁ」
ドロゴの攻撃による建物崩壊の中、二人は死闘を繰り広げます。
重傷を負い、転がるジェイミー。
そのころ、彼の目標であるサーセイは、クァイバーンからメイゴルの天守へ避難するように勧められるのです。
やっと彼女は、その場を去る決意を固めるのでした。
王都では、緑の炎も燃えています。
【炎素】を設置していたのでしょう。
サーセイとジェイミーは、再会できるのか。ジェイミーは重傷に苦しんでいます。
「そんな手でよく戦ったじゃねえか」
そう健闘を讃えるユーロン。
ここでジェイミーは這いずり回ってなんとか武器をとり、油断したユーロンの腹部を刺すのでした。
彼は苦悶の表情を浮かべつつ、こう言います。
「また一人王を殺したってわけか。だがあんたも終わりだ。終わりだ! 俺がジェイミー・ラニスターを殺した男」
かくしてユーロンは死んでゆくのです。
憎たらしい、いい悪役だったと思います。
殺しあうクレゲイン兄弟
ハウンドとアリアは、城に入り込みます。
「あの女は焼け死ぬか、ドラゴンに勝てるか。お前はここを去れ」
「私は復讐を誓ったんだ!」
「俺は生涯を賭けて憎む相手がいる。俺みたいになるつもりか」
アリアは復讐をしたいと言いますが、ハウンドは生涯憎んできた。俺みたいになるつもりかとアリアに迫ります。
俺みたいになるつもりか?
そう告げ、アリアを置いて行くハウンド。そんな彼に礼を言うのでした。
サーセイは、崩れる中避難していきます。
命からがら、避難するサーセイに、ハウンドがこう声を掛けます。
「陛下」
しかし、目的は違う。
傍の兵士を殺し、マウンテンにこう声をかけるのです。
「久しぶりだな、兄貴」
サーセイが傍にいてくれと訴えても、マウンテンには通じません。
かくしてクレゲイン兄弟の一騎打ちが始まります。
マウンテンは兜を取り、そのおぞましい変わり果てた顔を見せるのです。
「それがあんただ、ずっとそうだった」
ハウンドはどこか納得した表情を見せます。
兄弟が戦う中、サーセイは一人逃げ惑うのでした。
潰し合う二人
そこへ姿を見せたのが、瀕死のジェイミーです。二人はしっかりと抱き合うのでした。
ジェイミーの前で、やっと涙を見せるサーセイ。それまで無表情だったのに、無防備なほどの涙が滲んできたのです。
「怪我をしてる」
「たいしたことはない」
「血が出てる」
短い言葉で、互いの無事を確認し合います。
一方で、ハウンドは兄の腹に深々と剣を刺し、自らも倒れるのでした。
剣を抜くマウンテン。ここで弟を掴み、持ち上げるのです。やっぱり改造マウンテンは強かった!
どうする、ハウンド!
アリアは、王都を彷徨っています。
妻を探す夫が走り惑う、まさしくそんな地獄の中。皆が苦しんでいます。
マウンテンに首を絞められ、絶体絶命のハウンド。ここで、恐ろしいことが起こります。
「死ね!」
そう言いながら、笑い出してしまうハウンド。マウンテンは、そんなハウンドの目に指を突っ込みます。
あーっ、これはレッドバイパーことオベリン・マーテル、そしてバドナイトを殺した一手だ!
※ハウンド、バドナイトの仇討ちだぞ!
そのマウンテンの目に、短刀を指すハウンド。
しかし、両目は潰れてしまっています。
目を突き刺しあい、兄に突進し、崩れゆく建物ごと倒れる兄弟なのでした。
ひとつになるふたり
【炎素】まで引火し、赤と緑の炎が炸裂する王都。
ジョンが撤退するように告げても、完全に崩壊しています。
もうデナーリスとドロゴは、敵味方関係なしに焼いているのですが。
アリアは、崩れた路地でなんとか息を吹き返します。
アリアは、避難民にここは危険だと訴え、導いて逃げようとします。
走って逃げようとしますが、彼女を助けた避難民は倒れ、その子がしがみついて泣くのでした。
そのアリアにも炎が迫ります。
彼女は逃げられたのですが……。
ジェイミーとサーセイは、二人で逃げ惑っています。
「私たちの子を生かしたい。私たちの子を生かせたい。お願い死なないでよジェイミー、死にたくない」
「俺を見ろ」
「こんなふうに死にたくいない!」
「俺を見ろ! 他のことはどうでもいい! 大切なのは、俺たちだ」
そう誓い合う二人でした。
アリアは滅びゆく王都を見つめ、呆然としています。
焼き焦げた死体。
燃える建物。
呆然と佇む馬。
アリアはその馬に手を伸ばし、触れます。そして馬に乗り、どこかへと向かうのでした。
そのあと――サーセイとジェイミーは、支配され行く王都の中、ひとつに戻るのでした。
崩れ行く建物の下で、圧死してしまうのです。
かつて母の胎内にいたように、同じ死に場所でひとつとなる双子の最期でした。
MVP:サーセイ、ジェイミー、ティリオン
あまりに候補が多すぎて迷う中、演技が圧巻でした。
呆然と戦況を眺めつつも、心ここにあらずといった風情であったサーセイ。
それがジェイミーを見た瞬間、涙を浮かべ、死にたくないと切々と訴えるのです。
憎たらしい悪役でしたが、あっぱれ見事な悪役でした。
素晴らしいキャラクターの退場です。
よくぞここまで生き延びた!
ジェイミーは愛に溢れています。
サーセイとの愛も見事でしたが、ティリオンへの愛があればこそ。その愛が、ティリオンを裏切らせていることではあるのですが。
予言が外れ、ジェイミーとともに亡くなったサーセイは、ある意味幸せかもしれません。
ウェスタロスどころか、悪の女王降臨
今週はデナーリスがともかく最悪でした。
ヴァリス処刑からの、王都大虐殺。
先週のブロンはぬけぬけとこう言い放ったものです。
「数人を殺せばケチな人殺しだが、数百人なら英雄。千人万人ならば王侯貴族ってわけだ」
このセリフをそのままなぞる、大虐殺女王の誕生です。
このデナーリスの悪事と比較すれば、【レッド・ウェディング】も、ラムジーの拷問大会も、サーセイの大聖堂爆破もかすむほど。
彼女の父であるエイリス2世をも上回る暴君の誕生です。
彼女が怯えながらドロゴに嫁いだことを思い出しますと、そのドロゴの名をとったドロゴンで大虐殺をしているというのも、皮肉な話。
あの怯えていた少女が、大虐殺女王となるなんて。
奴隷解放者が、殺戮の暴君となるなんて!
おそろしいドラマです。
待ち受けていた人が名君だとどうして言えるのか?
本作は奥が深い。
血統よりも知性や能力こそが統治者に必要であると、突きつけて来ます。
若く美貌に恵まれた、正当性を主張するデナーリスのような人物は、救世主と思われるものです。
しかし、本作では違った……。
家族から追い払われて、デナーリスを支えると誓ったティリオン。
愛していると言い切り、家を捨ててまで支持を表明したジョン。
彼らは絶望しきっています。
熱望した女王が悪夢そのものであるとしたら、どうすれば?
この構図にも、二重にも三重にもひねった、本作の恐ろしさが潜んでいます。
◆あんな悪人を見抜けなかったの?
離婚した妻やDVに苦しむ女性に、こういう決まり文句が言われるものです。
「そうなる前に見抜けなかったの?」
それを言うのはナシってものでしょ。
しかし、ティリオンとジョンにはそれが言えるのかもしれない。
◆悪女とは何だろう?
今週退場したサーセイ。
その悪事の動機は我が子への愛だったと言われます。
悪女の動機とは、このパターンが多いものでして、我が子可愛さに秀頼をスポイルしたとされがちな淀の方が典型例でしょう。
しかし、デナーリスはどうでしょうか。
彼女はあくまで私が女王であると言う使命感だけで、突き進んでいます。
そんな彼女は、ジョンが愛を誓っても突っぱねる姿勢を見せています。
なんともまあ、厄介なドラマです。
来週がいよいよ最終回です。
恐ろしい展開になることは確定しています。さあ、待つんだ!
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【参考】
『剣嵐の大地 (中)〈氷と炎の歌 3〉(ハヤカワ文庫SF1877)』(→amazon)

