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【冨岡義勇】
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低すぎる自己評価と足りない言葉
そんな義勇には悲しい過去がありました。
最終選抜における錆兎との過去を誰にも言えないまま、劣等感を抱えていることがそれです。
義勇さんにそんな悲しい過去が……ホロリ。そうなって理解を示せるのは、炭治郎だからこそかもしれない。
他の柱からすれば「めんどくさい」となりそうではある。
ましてやしのぶなら「劣等感を制御できないなんて未熟ですね」と言い切られそうでもある。
それにこの劣等感もおかしい。
最終選抜を潜り抜けたところで、大半の隊士は柱になれません。きっちり柱になっているからには、義勇はちゃんと功績を残しているのです。実力派です。
それでも、いつまでも錆兎と自分を比べるからよろしくない。
死んでしまった錆兎は、永遠に乗り越えられない存在なのに、いつまでも自分との比較をやめられないのです。そして自己評価がどんどん落ちてゆく。謙虚が裏目に出て、ひねくれたうえに感じが悪い奴になってしまうのです。
素直に語ることで、何か解決するかもしれない。
そんなことすら拒み続ける。お館様の気遣いと、心の壁を打ち砕く特性ゆえに選ばれた炭治郎のアプローチがなければ、義勇はこじらせたままであったと思えます。
義勇の過去は、悲しいし同情はする。
でも、その傷に向き合えず、無駄にこじらせていったことについては、義勇が悪いとしか言いようがないのです。めんどくさい奴だな……。
では、義勇の過去にあんなことがなければ、笑顔の優しい青年だったのか? 錆兎が生きていたら?
どうでしょう。生まれつき、めんどくさいこじらせ野郎だと思います。
錆兎にせよ、炭治郎にせよ、数少ない理解者の前では心を開けても、他の柱相手にはああいう態度であるのではないでしょうか。
あとファッションセンスですね。
姉と親友の羽織を半分組み合わせた羽織。そういう由来を聞けば泣けるし、良い話です。
しかし、半々に組み合わせている時点でかなり個性が強い。半分は女物ですからね。はなっから世間の評価や目をぶん投げていないと、なかなかできないセンスだ。
いろいろ言われている義勇ですが、やはり相当個性が強く、マイペースではある。改善の余地はあるのです。
本人がなんとかするか、周囲が理解するか。
歩み寄りが大事であり、だからこそめげない炭治郎は貴重な存在でした。
言葉足らずの裏にあるものは?
そんなめんどくさい義勇は、天然だの意外と可愛いだの、いろいろ言われています。
【コミュ障】というネットスラングもつきまといます。
けれども、義勇はそれでいいと思うのです。
トラウマがなければ普通のイケメンであったとも思えない。周りが理解し、合理的に配慮することで、なんとかなるとは思えます。
義勇は天然で【コミュ障】……そう片付けてもよいのですが、どうしてそうなったのか、彼なりの特性を考えてみました。
第1回で出てきたとき、饒舌に炭治郎に語りかけていました。
彼にしては珍しく、感情が昂っていたのでしょう。
そしてモノローグが圧倒的に多い。
どんだけですか。主役差し置いて、モノローグだらけ。彼の脳内がわかる珍しい局面です。
義勇本気の脳内処理は、基本的にこのくらいだいたい情報過多なのでしょう。義勇が出てくるたびにモノローグで埋め尽くすわけにはいかない。
ゆえに、よほどのことがない限り、彼の思考回路は見えないのだとは思います。
本作はワニ先生自身の個性なのか、脳内がどういう状態なのか、という点についてかなり描写されています。
そんな中でも、義勇はかなり思考回路がごちゃごちゃしている情報過多なのです。
五感組は鋭すぎる五感ゆえに、インプット過多で苦労が多い。義勇の場合は、観察眼と思考力が鋭すぎて、本人としても困り果てているタイプなのでしょう。
五感組がセンサーが高性能ならば、義勇はもっとややこしい。
敏感だし、処理する情報領域が高性能なのです。ゆえに、義勇は際立った言動をします。
初登場時からして、彼はそうでした。
義勇が禰豆子を見逃したのは、彼の優しさ由来だけとは言い切れません。
どうもこの鬼は何かが違うようだ。
この鬼の兄とやらも、洞察力がありそうだ.その上で庇っている。俺自身が告げている。この鬼は、殺してはならないと。そう確信している!
こういう自我の強さ、観察力、精神力を持って、思考回路をフル回転させて、禰豆子を救いました。
もしも、彼が空気を読める人物ならば……
「うーん、でも他の隊士の目があるし。逃したら俺まで処分受けるよな……」
「鬼は見逃すなと言っている、そもそも鬼は姉の仇。うん、なんか違うかなと思ったけど気のせいだな!」
こうなりかねない。
空気が読めないからこそ、義勇はえらい。個性があって、使えるのです。
鬼殺隊にいながら鬼を庇う。姉の仇である鬼でも見逃す。家族愛が根底にある炭治郎とも異なり、自分の思考力、しかも短時間の判断で義勇はそうしました。
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