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【薩摩隼人】
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犬を食べる
『ドリフターズ』では、島津豊久が織田信長に対して、「えのころ飯」の作り方を説明します。
まとめるとこんなところです。
1. 犬を捕まえる
2. 腹を切開して内臓を抜く
3. そこに米をつめる
4. 針金でくくって焼いて食べる
大田南畝の『一話一言補遺』に記載があります。
実は「犬を喰らう薩摩人」というイメージは、江戸時代からありました。
川柳では薩摩武士といえば、やたら犬を食べる連中というお約束があったのです。
赤犬か 紛失したと 芝でいい
【意訳】赤犬がいなくなったと、芝の薩摩藩邸付近で言っているよ。きっと薩摩藩士が食べたんだね、やーねー
幕末に来日したロシア人の記録にも「薩摩人は死んだ犬を食べる」とありますので、実際にあったことなのでしょう。
ただし、犬食文化そのものが日本各地にあったのです。
縄文時代の遺跡からは、犬を食べたあとの骨が見つかります。
戦中戦後の食糧難の時機も食べられており、映画『仁義なき戦い 広島死闘編』でも犬の肉を食べる場面が出てきました。
※ただし映画では積極的に食べるというより困った顔をしている設定でしたが
こうした犬食のタブーは、江戸時代の【生類憐れみの令】以降広まったようです。
そんなものをものともせず、未だに犬を食べている薩摩武士って怖いよね〜、というのが江戸っ子の感覚だったようで。
結論から言いますと、
【犬を食べる薩摩武士怖いよねえ〜、は江戸時代からあった感覚】
ということになります。
戦国時代から薩摩では当たり前だった豚肉食も他の地域の人からすれば異様だったようで。
現代人からすれば、何ともありませんね。
何かあるとやたらと切腹する
フィクションにおける薩摩武士は、『衛府の七人』の中馬大蔵のように、何かあれば切腹しているイメージもあります。
これについてはある程度史実準拠と思われます。
薩摩藩は名君揃いであった反面、政治的な処断が多くなるという一面もありました。
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そうした御家騒動や政治的対立の結果、全国屈指の切腹者が多い藩となった一面があります。
別に、メンタリティが切腹大好きということではないのです。
ひえもんとり
『衛府の七忍』で描かれる、死刑囚の内臓を取り合う風習。
完全な創作ではなく、鹿児島を代表する作家・里見弴は、この風習に取材して短編『ひえもんとり』を書いています。
ただ、江戸時代に処刑人であった山田浅右衛門は、人間の内臓で薬品を製造し、収入源としていました。
内臓を取るという時点で荒々しい風習ですが、時代ということも考えないといけません。
薩摩の示現流・自顕流が怖い!
史実です。
防ごうとしてもそのままヒットする、一ノ太刀の素早い即死攻撃。
これは怖いです。
誇張の多い『衛府の七忍』ですが、薩摩ぼっけもんのチェスト攻撃の威力はわりと史実に近いと思われます。
それだけでも十分怖い。
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性質がともかく激しい
「郷中教育」で厳しい教育を受けたからには、武士の中の武士とも呼べるほどストイック。
精神的にも、肉体的にもパワー溢れる人物が多かったのは確かです。
明治維新以降は、薩摩藩出身者が政治の中枢におり、他の地域よりもその性質が印象付けられやすかったこともあるでしょう。
反感を買われることもあるけれども、ともかく薩摩の人々は強い。
そんなイメージがついても不思議じゃありません。
結論から言いますと『衛府の七忍』のような作品ですら、突き詰めると、史実にある程度の元ネタがある、ということです。
これは薩摩がとりわけ強く、畏怖の対象であり、明治維新でその激しさが、全国的に知名度が高くなったかということかと思います。根拠はあるのです。
薩摩はやっぱりパワーにあふれていました。
これからもパワー溢れる薩摩隼人たちは、フィクションで存分に暴れ回って、私たちを魅了してくれることでしょう。
チェストー!
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文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
原口泉/大木公彦/中村聡志『増補改訂版 かごしま検定―鹿児島観光・文化検定 公式テキストブック―』(→amazon)
今村規子『名越左源太の見た 幕末奄美の食と菓子』(→amazon)
ほか