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『光る君へ』感想あらすじレビュー第10回「月夜の陰謀」

安倍晴明が、兼家に告げます。

6月23日に決行せよ――それではあまりに急だと焦る兼家ですが、なんでも同日は十年に一度あるかないか、全てのものにとってよい日だとか。

「氐宿」(ていしゅく)とは、東洋の占星術である二十八宿です。

丑の刻やら寅の刻が大事で、運気隆盛の時。その日を逃せば事は成らないだけでなく、右大臣には禍がふりかかり、帝はずっと御位に留まるのだとか。

「わかった。23日、丑の刻だな」

兼家は納得します。

果たしてこの占いの結果は、正しいのか否か? 兼家には確認のしようがありません。

陰陽師は、「陰陽寮」という中国由来の天文学や占星術の書籍がある場所で学びます。

限られた人しか習得できませんし、読んだところで意味がわかるとも言えない。仮に、晴明が口からでまかせを言っていようが、話を盛ろうが、なす術もないのです。

こうして期限を切ることで、相手を急かす。逃げられないように脅す。典型的な計略のやり口といえばそうです。

陰陽師は当時の公務員でした。

『鎌倉殿の13人』では、陰陽師ではない仏僧の文覚やら阿野全成が呪詛や占いをしていました。

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あれはフリーランスが勝手にしているもので、ランクが低い連中です。

そもそも、坂東武者の場合はきちんと呪詛を書けません。直接、誰かを殴るなり、家を燃やす方がはるかに楽なので、そうなっても致し方ないところですね。

 

右大臣一族の陰謀

かくして決行準備を進める右大臣一家では、兼家により配置が決められました。

道兼:帝を連れ出す役。手懐けた女官を通して、袿(うちき)を手に入れ、帝に被らせておくこと。内裏を出たら元慶寺へ向かう

道隆:女車の牛車を手配する。剣璽(三種の神器)を確保して、梅壺(詮子と東宮)の元へ持ち込む

道綱:道隆と行動を共にする。危険が迫ったら命を賭けてでもどうにかしろ(捨て駒扱い)

道長:梅壺に剣璽が持ち込まれたら、関白に譲位したと連絡する

何がなんでも寅の刻までに御髪を落とさせるよう迫る兼家に対し、力強く返事をし、使命感を見せる道兼。

そしてナレーションが入ります。

二時間で出家させ、剣と玉璽を入手させる――そんな途方もない陰謀なのだ、と。

なんとも嫌な団結力を見せる一家であり、『柳生一族の陰謀』の柳生家並だと思います。

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真田丸』の真田家は、まだ弱小国衆のサバイバルだったからここまで酷くはありませんでした。

しかし、京都の貴族からすれば『鎌倉殿の13人』の世界観の方がはるかにひどいですよね。

大事な剣璽をそのまま海に沈めてしまう。そもそも天皇自身を海に沈めましたからね。

源義経は桁外れでありえない!

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花山天皇は愛ゆえに迷う

花山天皇は弱気になっています。

藤原忯子の霊を鎮めるためには、出家するしかない。

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藤原義懐は驚き、まだ即位から二年しか経っていない、全てはこれからだと止めようとします。

それでも、花山天皇は何より忯子を救いたい、朕の務めだと言い出します。

義懐はなんとか止めようとして、皇子を作ろうと言い出します。女御もいるし、新しい女も用意する……と、これが逆効果です。

そんなことを言えばまた忯子が嘆くのだ、おなごおなごと言うなと、義懐は遠ざけられてしまいます。

あいつらに嫌われてしまったと自嘲気味の花山天皇に対し、ここぞとばかりにつけ込むのが道兼です。

お上が出家するなら、私も一緒に出家するとまで言い出す。

「お前だけだな、朕の気持ちがわかるのは……」

藤原兼家たちの策略とは知らず、感動してしまう花山天皇。

どこまでもお供すると言われ、忯子は喜ぶだろうかと問いかけます。

力強く認め、浄土へ旅立つと太鼓判を押しつつ、「23日がよい」と提案する。納得する天皇を見る道兼の瞳には、喜びの色が見えます。

道兼はなんて残念な策略家なのでしょう。

いや、策が向いていない。絶対にうまくいくとなれば、何の感動もなく淡々とこなすものだというのに、こんなに素直に喜ぶとは初々しさすら感じさせます。

いずれ、この素直さが跳ね返ってくるとなれば、どこまでも哀れな人だ。

ちなみに、ここに藤原為時がいれば、一言でこの策を突破できるかもしれません。

子、怪力乱神を語らず。『論語』

まっとうな人間はオカルト話をしません。

成仏だのなんだの、そんなのそもそもおかしいでしょ、と花山天皇に冷静さを促し、晴明や兼家の策を退けられるのですが。

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