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『光る君へ』感想あらすじレビュー第13回「進むべき道」

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第13回「進むべき道」
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兼家、正気を失う

そして政治の場面へ。

国司の横暴に耐えかねた民が訴状を送ってきたそうです。悪どいことをして私腹を肥やす者がいるのだとか。

しかし道隆は、民に対して辛辣な姿勢です。

彼らの言うことを一々聞き入れたら、どんな小さなことでもすぐに訴えてくることになる。よって、帝には上奏せず、握りつぶすと言い出します。

これに対し、弟の道長が反論します。

訴えてくるとはよほどのこと、訴状は吟味すべきだ。今回から髭を伸ばした藤原実資が、道長に感心している様子で頷いています。

「民なくば、我々の暮らしもありません」

道長がこう言うと、無言なのにイキイキとする実資の顔がいい。理想が高い人物ですね。

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すると兼家が、道兼に橋の修繕を行えと指示します。そのあと、こうきました。

「わしは何か今申したか?」

ボケてしまったかのような兼家の発言に、周囲は困惑するばかり。

その後、道兼は廊下で道隆の足を止め、父が正気を失う前に後継者を指名してもらうべきだと迫ります。

「そのようなことは申すでない、父上にはまだまだ働いていただかねばならぬ」とたしなめる道隆。

綺麗事ではなく本心を言うように迫る道兼。

道隆は「わしはお前とは違う。口を慎め」と返していますが、もうちょっと綺麗事を言ってもよさそうなものです。

孫の一条天皇が即位したとか、元服して孫・定子が入内したとか、満貫成就となったばかりなのに死ぬなんて虚しいとか。その程度のことすら思いつかないのか。

そんな兄二人の様子を道長は離れたところから眺めていると、実資が「精進、精進」とつぶやきながら前を通り過ぎていゆく。

帰宅した道隆は、妻の貴子には本音を明かします。

「父上はもう今年の夏は越えられまい、今日は内裏で正気を失った」

そして、何かあれば私が摂政になるといい、貴子にも忙しくなると心づもりをしておけと伝えると、彼女は、心づもりは昔からできている、明日そうなっても心配はいらないと語ります。

野心を隠さない愛妻に満足げな道隆。

当時はまだまだ儒教思想が根付いていないことがわかります。親の死を前提として子が前途を語るってどういうことなのか。道徳心の形成はまだまだ先のようです。

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兼家の息子たちは

藤原道兼は納得できない様子。

俺がおらねば父の今日はないと毒付いています。

酒を飲む相手の藤原公任は、兄に出世を抜かれた道兼を慰める。亡き父・藤原頼忠から聞いたことをそのまま、摂政が一番頼りにしているのは道兼であり、後継者もそうなると持ち上げています。

そう言われた道兼も嬉しいようで、自身が摂政、関白になれば公任を取り立てるとほくそ笑んでいます。

さらには、後ろ盾がないから俺を頼れと請け負うと、それをありがたがる公任。蔵人頭であり帝にも父にも近い公任から、父の様子を逐一伝えるさせるのも目的のようです。

「尽くせよ、俺に」

そう言われて賛同する公任……ここまで堕ちてしまいました。後ろ盾をなくすだけでこうなってしまう。父を早くに亡くし、幼少期から後ろ盾がない藤原行成よりも酷いものです。

あの自信に溢れていた頃の表情はもう戻ってこないのでしょうか。

公任の悲しいところは、聡明で本来いろいろと考えることができるはずなのに、父を愛しすぎて、その言葉を疑えなかったことでしょう。

持ち前の観察眼からすれば道兼には未来がないと冷静に判断できたかもしれない。愛に縛られ堕ちてゆくところが本当に悲しい。

なぜ、これほどまでに身も心も美しい人が、こうも酷い目に遭うのか。自分自身でもおかしいと薄々感じてはいないのだろうか。

本来、花鳥風月に心を動かし、歌や詩を読む方が向いているのに、なぜ合わないことをする運命に陥ってしまうのか。まるで籠の中に閉じ込められた鳥のようです。

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源倫子には一の姫、藤原彰子が生まれていました。

母の藤原穆子と娘の顔を覗き込みながら、彰子は言葉が遅いとか、道長もぼんやりしていたから似たのだろうかと話していると、「倫子を笑わせるためでは?」と穆子が返す。あんな凛々しい方がぼんやりしていたはずがない、と。

そこへ藤原道長が帰ってきました。穆子は娘夫妻のために席を外します。

浮かぬ顔で父の異常を訴える道長。もののけにでも取り憑かれたのではないか、話の最中にわけのわからないことを言うと表情を曇らせると、倫子が「摂政様も人の子、老いたのではないか」とフォローします。なんでも彼女の父・源雅信もすっかり老いたのだとか。

それでも倫子はそんな父が労わしい。ここまで一生懸命働いていたと言います。

道長も、父はこれまで戦ってきた、帝が即位し、定子が入内し、気が抜けたのかもしれぬと納得しています。

倫子に優しくするように言われ、同意する道長です。

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この時代は隠居という概念がないようなもの。元気ならばどんな老体でも働き続けます。年老いたから引退しろと言えないとは、大変なものです。

源氏物語』では光源氏の死が描かれません。亡くなる巻は「雲隠」という名前だけ伝わっています。

兼家も複数いる光源氏のモデルとされることがありますが、この姿を見ていると、光源氏の死が描かれない意味がわかった気がしますね。

ついでに小麻呂のことでも。

4年間経過した間に世を去ったと思われます。平安時代後期の藤原頼長は、猫が10歳まで生き延びるよう願ったところ、その歳に死んだと日記『台記』記しています。

当時としては相当の長寿猫であるからこそ記録したのでしょう。小麻呂はそこまで長生きしていないのではないかと思います。

 


宣孝、独特のファッションセンスを見せる

藤原為時の家に、藤原宣孝が来ていました。

随分と変な服装で一体何事か?

と思えば、なんでもこの格好で御嶽詣をしてきたのだとか。参拝客が多いから目立とうとしたとか。これで加護があればいいとかわすまひろに、そうなったら祝ってくれと笑っています。

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宣孝が、相変わらずまひろの結婚話に触れると、彼女は困った人を救うために文字を教えていると答える。楽しいしやりがいもある。

実入りもないのに楽しいのか?と宣孝はまひろを面白がっています。

すると為時が、宣孝のご子息を婿にできないか?と提案。

即座に「駄目ダメダメ!」と全否定する宣孝。

なんでも賢いまひろに太刀打ちできないとかで、話をそらすように、摂政(藤原兼家)の先が短いことを告げてきます。

目の色の黒いうちは為時を仕えさせぬといっていたものの、その死によって風向きが変わるだろう。

まひろが、父は人の死を願わないと言うと、宣孝は「すまぬ」と謝りながら、去ってゆくのでした。為時はしつこく宣孝の子息のことを聞こうとしていましたが……。

それにしても、まひろはなんと真面目で堅苦しいことでしょう。

実子の道隆ですら兼家の死を待ち望んでいる。道兼との違いは、表に出すか出さないか程度。それなのに、まひろは政敵の死すら望まないと言いきりました。

そしてこの場面はなかなか笑えます。

御嶽詣でTPOを無視して無茶苦茶派手な服装で参拝した宣孝父子は、清少納言が『枕草子』で酷評したため記録に残りました。

紫式部が清少納言を嫌っているのは、夫のファッションセンスをダメ出ししたためともされます。

実際、その程度の話なのかどうか、そこは意見が分かれるところ。どうやら本作はもっと深い意味が出てきそうですが、どうなるでしょう。

為時はそんなまひろに、夫を持たぬ気持ちの真意を聞いてきます。

言いたくなければ言わなくてもよいとしながら、自身の将来を前もって決めつけすぎないほうがよいとも。

まひろが、誰か良い人が現れるかもしれないということかと聞き返すと、それを認める父。

すると彼女は、どこかお屋敷に働きに出たいと訴えます。為時はそれを許しますが、五位の受領くらいの娘でないと就職は難しいと言います。無官の貴族の娘では雇ってもらえるかわからない。

やるだけやってみると答えるまひろです。

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