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【『どうする家康』感想あらすじレビュー第9回「守るべきもの」】
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どうするクールキャラ描写
しかし、この「正信が殺した女が初恋の人だった!」というのもいつの時代のセンスなんでしょうか。
誰だろうと殺したら、せめてまずは合掌ぐらいしませんか。ましてや女性ですよ。
それに正信は当初「遊び女か」と冷たく言い放っていました。
もう何度目でしょう。本当に「遊び女」という言葉が好きな作品ですね。
家康に捨てられた瀬名が氏真に「遊女」扱いされるなどあり得るのか?
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クールな世界観にしようとして、結局は中世人らしさも失い、現代の中二病こじらせのような展開になっているのが見ていられません。鵜殿長照もこじらせていましたね。
『鎌倉殿の13人』では、壇ノ浦の戦いで和田義盛や畠山重忠が、海に飛び込む平家を見て合掌していました。
そういう武士の情けって大切ではありませんか?
冷酷さを表現するなら『麒麟がくる』の織田信長のように淡々と描けばいいのに、このドラマだとひたすら中二病に陥ってしまう。中世でも令和でもありません。
どうする「冷蔵庫の女」
時間稼ぎなのか。本作は合間合間に雑な恋愛描写が入ってきますね。
複雑な背景を描写したり、心理描写に割けばいいのに、ともかく色恋沙汰を入れたいようです。
しかも、女性が苦しむシーンの多いこと……。
“夜伽役”として、今川氏真の性的暴行未遂の対象にされた瀬名。
登場した途端、殺されてしまう本多正信の初恋相手。
瀬名の母である巴も、死ぬ前に見どころが入れられてました。
そして今後は田鶴も死にますね。
なんだか今からウッキウキで、どうやって酷い殺し方をしようか考えているかのような印象すら受ける。
期待するニュースも出ているほどです。
◆ 有村架純の瀬名はどのように殺されるのか 『どうする家康』が描く「大河史上かつてないこと」(→link)
来週は「どうする側室!」ですので、たとえ瀬名チャンが死んでも、次のかわい子チャンがいるんだから大丈夫♪ってところでしょうか。
最終盤のみどころは、千姫があわや死にかけてイケメンの本多忠刻に惚れる描写と、淀の方の惨死辺りになるかもしれません。
史実準拠で女性が酷い目に遭うならばわかります。
そんな歴史は繰り返してはならない――という教訓になりますよね。
しかし今年は作り手の趣味では?
史実でも十分死屍累々なのに、わざわざオリキャラ女(本作はこういう呼び方で十分でしょう)を殺す。
泣かせようとしているのでしょうが、あまりに突然でくだらなく「あっそ、“冷蔵庫の女”だね」で終わってしまうんですよ。
「冷蔵庫の女」というのは、男の動機づけのために、やたらとヒロインを殺すことを指します。
アメコミの『グリーンランタン』で、主人公のガールフレンドが殺害され、冷蔵庫に入れられていた――男を奮い立たせる動機づけのために、女を性的暴行にあわせたり、殺したりすること。
そんなのはあまりに陳腐だと揶揄する概念です。
『鎌倉殿の13人』の八重はどうか?
彼女のケースは複雑です。頼朝との愛のため入水して亡くなった伝説を換骨奪胎しています。
八重はいてもいなくても、義時の選択が変わったとも思えません。陳腐になることを避けた考え抜かれた描写でした。
八重と北条義時の結婚は史実的に“あり”なのか 北条泰時の母はいったい誰なのか
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三谷さんが新垣結衣さんが好きだから出番を増やしたという、ゲスな推測記事がありました。そんなわけないだろうと呆れたものですが、今年はそうでもないようでして……
『麒麟がくる』の駒がずいぶんと叩かれたものですが、今にして思えばやはり良心的だと思います。
今年だったら、駒は光秀と一夜を共にしたあとですぐ山賊あたりに殺されていたのではないでしょうか。あるいは斎藤義龍が奪ったせいで死んで、それに光秀がキレる。
そんな描写じゃなくて本当によかった。
と同時に、駒が叩かれていた意味も理解できた気がします。
女の役割はエロか、恋愛要員か、殺されるか、妻か、母か、家事労働だけ。それ以外の女なんてありえねーし、うぜーし!
そんな概念が広がっているのではないでしょうか。
ドラマのキャラクターを叩くだけならまだしも、SNSで女性政治家や研究者を叩くのと構図が似ている気がします。
どうする時間稼ぎとコスパ
ろくに合戦の作戦を出さず、弓矢を射って幼馴染とラブラブしている正信と、ビエビエ泣く家康。
今週はそんな描写が延々と続きました。
松山ケンイチさんの頑張りを見ていると非常に心が痛みます。
しかし、あまりに地味で安っぽい絵面に、視聴者離れが加速してしまう懸念ばかりが頭をよぎるのです。
今年はコスパ重視で、削った予算を『大奥』に回しているんじゃないか?と思うほど。
役者数名がずっと長いこと話すだけで引っ張るって、色々と節約しすぎでしょう。
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