菅田将暉さん演じる竹中半兵衛が退場となった今回。
死に至るまでの痩せ方、顔色の悪化など、すべてを含めて圧巻の演技というほかなく、その迫力に圧倒され気づいたら第23回放送が終了していました。
同時に思いました。
「結局、今回って何が描かれてたん?」
というわけで、早速レビューへと進みましょう!
毛利の家中では
天正六年(1578年)、安芸の吉田郡山城にて。
毛利輝元率いる毛利家で軍議が開かれています。
「全軍を率いて織田の息の根をとめてみせます!」と鼻息荒い宇喜多直家。
輝元は、淡々と言います。
「そこに大義はあるか」
なんだか大地真央さんの「そこに愛はあるんか?」みたいっすね。
そんなことを考えていたら、今度は小早川隆景が続きます。
隆景は「自国の安泰が第一」という毛利の方針を掲げ、直家の申し出を却下するわけですが……うーん、ちょっと頭が悪そうなのよ!

隆景といえば毛利きっての智将であり、この先、秀吉とのギリギリの交渉術なども控えているはずなのに……。
ビジュ、モブじゃん。
半兵衛のような頭脳キレキレ感は無いし、輝元を支えているだけの重厚感もない。
こんな調子では、秀吉が中国大返しで京都に戻る直前、毛利と交わした交渉でも簡単に言いくるめられそうだ。
それこそ、大地真央さんに「そこに愛はあるんか?」と言われる芸人さん(今野浩喜さん)と同系統な感じ。
スミマセン、どうでもいいことばかりが頭に浮かんでしまいます。
光秀の村重説得は失敗
前回、安国寺恵瓊の説得に脅され、織田を裏切ることにした荒木村重のもとへ明智光秀が訪ねています。
信長様は許すと言っている。
だから戻ってこい。
そう迫る光秀に対し、村重は「一度壊れた信用はもう取り戻せない」と拒絶します。

果たしてそうでしょうか。
松永久秀は、二度目の裏切りのときですら「何が不満なんだ?」と信長から許される状況でした(実際は久秀が謀反を取り消さずに合戦で自害)。
今回の村重の言い分は、なんだか違和感が否めない。
明智光秀にしても「コイツを本気で説得しよう」とは思っちゃいない、というのが薄っすら感じられるんですよね。
そこで出番となったのが黒田官兵衛でした。
羽柴家の軍議で、竹中半兵衛に「絶対にヤメロ」と釘を差されていた官兵衛。
村重説得のため、強引に有岡城まで出向くのですが、やはり村重は「(安国寺恵瓊の)罠にハメられたような者を信長様が許すわけがなかろう」と取り付く島もありません。
気付けば官兵衛は、高山右近らに囲まれ、幽閉されてしまいました。
しかも村重は、官兵衛が寝返ったよう流言を広めるように命令します。
いったい官兵衛はどうなる?
松寿丸を処刑せよ
荒木村重に囚われの身となった黒田官兵衛。
織田信長は“寝返り”だと思い込んでしまい、秀吉に「松寿丸の処刑」を命じました。
官兵衛の嫡男であり、後の黒田長政ですね。

黒田長政/wikipediaより引用
そこで半兵衛が策を提案します。
「病死した子を見つけ、松寿丸の身代わりにしてクビを差し出しましょう」
すでに死期を悟っていた半兵衛。
万が一、松寿丸を匿っていたことがバレても、間もなく死ぬ自分であれば問題ないと言います。
しかし、竹中半兵衛には実子の竹中重門がいます。
そっちに信長の怒りが向くという懸念はないのかな?
それとも劇中で半兵衛の家庭のことはまるで触れられなかっただけに、無かったことになっているのでしょうか。
「進め!長浜城」
松寿丸を迎えるため、長浜城へ向かった竹中半兵衛。
豊臣兄弟の姉とも、妹あさひがが出てきて、「松寿丸はいません」と妙な雰囲気で官兵衛を追い出そうとします。
なんじゃそりゃ?
と、不思議に思っていると、ここから怒涛の「進め!長浜城」のスタートでした。
城内のそこかしこに様々な罠が仕掛けられ、半兵衛の行く手を防ぎます。
それがもう……とにかく「しょーもないクソ展開」としか言いようがない。

さすがに、こんなシーンを平気で流せるなんて、作り手が救いようのないバカか、視聴者をバカにしているのか、どちらかでしょう。
一応は「秀長と半兵衛の知恵比べ」というシーンのようですが、途中、「私の読みが読まれた」とかなんとか説明がゴチャゴチャとして、とにかくわかりにくい。
準備されていた罠は、半兵衛の棲み家(菩提山城)に設置されていたものと同じものもあったとか?
いや、そんなもん、どうでもエエんすわ。
なんせ、秀長の妻・慶(ちか)が産気づいて、みんな、松寿丸のことなどどうでもよくなってしまうのですから。
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松寿丸に信長が殺害命令|半兵衛が匿うことを秀吉は知っていた?
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ならば我々は、いったい何を見せられていたのでしょう……。
今回、唯一の見どころは菅田将暉さんの演技だけ。
赤ん坊が生まれたところから、最後に「死にとうない」と呟きながら亡くなるまで、まさに力技で全部を持っていかれ、他のことが全て色褪せてしまった印象です。
しかし、菅田さんの演技力を持ってしても、どうしても看過できないことが一点残りました。
半兵衛が眺めていた最後の戦場です。
最後の羽柴軍は誰が指揮してたん?
半兵衛が死を迎えるにあたり、羽柴秀吉、羽柴秀長、蜂須賀正勝、前野長康、藤堂高虎が見ていたこの戦場は、

三木城の周辺かと思われます。
白いほうが毛利軍で、黄色い方が羽柴軍なのか。はたまた逆なのか。
正確にはちょっとわかりませんが、とにかく宇喜多直家の寝返りにより、毛利軍が撤退せざるを得なくなります。
それに対して、無邪気に喜ぶ羽柴軍の首脳たち。

いや、いや、いや、いや。
アンタら、高みから何してんの?
なんで戦場にいないの?
追撃の場面では?
そんな調子で兵士らが本気で戦うんかい!
羽柴秀吉、羽柴秀長、蜂須賀正勝、前野長康らの指揮官クラスが持ち場から離れ、こんな🌸お花見スポット🌸で見物なんて、そんなバカなことがあっていいのでしょうか。
挙句の果てに「わーい、勝ったー!」とか喜ぶ姿があまりに幼稚すぎて、見ているこちらが恥ずかしくなってしまいました。
ところで半兵衛の戦術は?
三木城の救出や兵糧搬入のため、毛利軍と羽柴軍が激突した戦闘は実際にあります。
上記の場面は、それをイメージしたものでしょう。
できれば、そちらを膨らませて欲しかったものです。
この菅田半兵衛ならば、三木城をどうやって囲み、敵軍の兵糧入れをどう防いだのか?
毛利軍に対しては、どんな警戒態勢を構築していたのか?
黒田官兵衛とはどんな意見の相違があったりしたのか?
初登場時に、自ら「戦術マニア」と語っていた半兵衛。
一番の見せ場であるはずの「三木城包囲戦」で、何も実力を見せずに消えてしまったことは本当に悲しいものがあります。

なお、荒木村重については以下の別記事を併せてご覧いただければ幸いです。
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荒木村重は本当に卑怯者だったのか?妻子を捨てて逃げた男の実像
続きを見る
参考文献
- 天野忠幸『荒木村重(シリーズ・実像に迫る)天野忠幸』(2017年5月 戎光祥出版)
- 河内将芳『図説 豊臣秀長 秀吉政権を支えた天下の柱石』(2025年 戎光祥出版)
- 岡田正人編著『織田信長総合事典』(1999年 雄山閣出版)
- 黒田基樹『羽柴秀長とその家臣たち 秀吉兄弟の天下一統を支えた18人』(2025年10月 KADOKAWA)

