本作について、こんなニュースを見かけました。
◆NHK大河ドラマ『西郷どん』で水川あさみの入浴シーン 視聴率は大幅アップに(→link)
お龍役の水川は、この回が初登場となったが、番組は冒頭、いきなりお龍の“入浴シーン”からスタート。これに“需要”があったかなかったかは定かではないが、大河としては異例の始まり方に驚愕し、チャンネルを替えなかった視聴者も多かったようで、結果的に上々の視聴率につながったようだ。
えぇと、余計なお世話ながら、提案なんですけど。
せめてメディア関係者さんが歴史ドラマを語るなら、『ゲーム・オブ・スローンズ』を見てからにしませんか?
紛うことなき世界最高ヒットの歴史系ドラマ。
全裸入浴も!
男の全裸も、女の全裸も!
イチャイチャも!
ついでに言えば惨殺シーンも何でも全部ありです。
「大河にヌードやBLを入れるとそれ目当ての視聴者が」というこの手の言説には、もう全て『ゲーム・オブ・スローンズ』を見ろと申し上げたい。
何が言いたいかって?
大河でやるべきもの。
それは『ゲーム・オブ・スローンズ』にはない、日本の歴史だってことなんですよ。
その点、本作は全然ダメ……。
数分の入浴シーンが視聴者を釣ると本気でお考えですか?
毎年このヌードエロを期待する話が出てきますけど、スマホでエロ動画漁りができる時代ですよ。Amazonプライムで『ゲーム・オブ・スローンズ』が見られる時代ですよ。
それなのに入浴シーンひとつでって、ンなわけあるかーい!
【一分あらすじ】伏線もないキャラ変にげっそり
「大政奉還」を断行した慶喜の裏側には、龍馬(というか土佐藩)の手引きがあったと悟る西郷どん。
俺がイキるためには武力倒幕が必要なんだよ、と繰り返す西郷どんに、ドン引きの龍馬です。
そんな龍馬、暗殺されました。
夫の喪中なのにメイクばっちり、衣装派手なおりょうが、アホっぽい怒鳴り込みをしてきます。
弟・信吾も兄は『何か悪いものでも喰ったのかな』と心配するほどキャラ変しているのに、西郷どんはアホの一つ覚えのように、武力倒幕ムーブをやめません。
なんでやねん。
本作に対して、こんなツッコミがあるようです。
「幕末史を知らない視聴者は理解出来るの?」
ご安心ください。幕末史を知っていても理解できないどころか、ガチギレ必須です。
大河ドラマはフィクションですから、創作が入ってもよいもの。しかし、本作の場合はそのねじ曲げ方に悪意をバリバリに感じます。
ともすれば
「京都と薩摩の人を殺す内戦は悪いけど、東日本はカッコ良く殺すで〜」
という風にも取れてしまう価値観。
幕末に生きていた東日本人を、ホラー映画のゾンビ並程度の扱いにする価値観。
こんなもんを作りながら、
「関東での視聴率ばかり見ないで! 関西では高いんです!」
って、どの口がおっしゃるのでしょうか。
とりあえず、今週は庄内藩に全力で土下座しろ、としか言いようがないです。
はい、それでは詳細を追ってみましょう!
【第35回の視聴率は11.7%でした】
今週のOPは大政奉還から
突如、大政奉還を押し進めた徳川慶喜。
そこへ松平容保と松平定敬がやってきます。
ここでバカ慶喜、どうせ「政権返されてもバカ公家なんて政治できないっしょw」と思ったことをペラペラと話します。
ただ、見方を変えれば、珍しいことに丁寧な解説。切ないことに、この慶喜の言うことは本当です。
明治政府の初期は、全国規模で国を統治したことのない薩長閥が、グダグダな政治にしてしまいます。
後の不平士族の反乱、自由民権運動も、そういう失政への反発があるんですね。
これを受けて、西郷どんは坂本龍馬に【慶喜ぶっ殺す!宣言】をします。
なんか、だっせぇなぁw
結局、無血開城だし、そのあと慶喜が降ったら、奥羽諸藩を八つ当たりみたいにボコボコにする――そんな状況が待っているのに、何をどうシナリオを考えていたら、こんな流れになってしまうのでしょうか。
龍馬に「撃ってみろよw」と凄む西郷どん。
キャラ変が、あまりに唐突で、不自然で、意味がわからない。
もうね、イキりたいから武力やると言い張っている、アホにしか見えない。
今までのウダウダ平和主義者はウソだったの???
んで、西郷どんは「慶喜のことをよく知っている」と言い張るのです。
いや、それもおかしいですって。
島津斉彬も西郷隆盛も、そんな危険人物を将軍に担ごうとしていたの?
違うでしょ?
史実では評価の高かった一橋慶喜(徳川慶喜)の器量を、劇中ではガン無視して、ゲスでアホみたいなところに焦点を当てまくったせいで、島津斉彬の人を見る目すらも否定しにかかってます。
あまりに急変な西郷どん。
それにドン引きしたのか、龍馬は乗る船が違うようだと立ち去ります。
そしてここでもしつこい「ええじゃないか」の登場。
龍馬と西郷どん、最後の別れとなりました。
藩主親子に出兵を請う
西郷どんは薩摩まで、島津久光(国父)・島津茂久(藩主)の親子に倒幕の許可を取ります。
これは大嘘ですな。島津父子の承諾は、京都でも得ることができたんだな。しかし、西郷どんらは、藩主の意見をガン無視して強引に倒幕決めたんですわ。
しかもこの当時の薩摩。
天災からの復興が課題としてあるわ、金がないわ、そんな遠くまで出兵したくないわで、大反対していたんです。
このあと、西郷どんが寅太郎をあやす場面があります。
だから、こういうクソみたいなヒューマニズムを入れるのが逆効果なんだってばぁ。
自分の妻子は可愛いけど、江戸でテロを起こし、奥羽を戦火に巻き込む――そんな人でなし感が浮かび上がってきてしまうのです。
しかもこのあと、西南戦争で自分の子を危険に巻き込むと思うとなぁ。
ゆるすぎるわ!
史実のおりょうさんは、そんな野暮じゃない
このあと近江屋で、坂本龍馬が『武力以外に倒幕のやり方がある』と思っていたところ、刺客に襲われます。
ここはまあ、わりとスタンダードな龍馬暗殺描写。へんなアレンジなし。
刀に映る自分の傷を見る演出が見どころの一つだったでしょうか。
でも盛り上がらない。
照明、殺陣、演出が全体的に物足りない。現場のやる気が尽きていないか心配です。
その後、3千の兵と共に上洛した西郷どんの元へ、おりょうが飛び込んできます。
おりょうのしみじみした嘆き――要は史実と比較すると最低です。
実際のおりょうさんは断髪したのに、ドラマでは派手な衣装に髪型。
しかも西郷どんが犯人と詰め寄るあたり……アホかと。
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史実の彼女は、夫の龍馬が新選組始め、多くの敵から狙われていることくらい知ってました。
西郷どんに怒鳴り散らすほどバカで礼儀知らずだったとも思えません。
「商売したいだけなのに殺されなきゃいけないなんてひどすぎぃ!」
っていうセリフもどういうこっちゃ。
自分の夫が何をしていたかすら知らんの?
大政奉還に関わって、命狙われないわけないでしょ。
ちゃんと歴史を調べて脚本を書いていますか? ねえ?
ここでまたええじゃないか。
はいはい、民衆も倒幕支持アピール?
『花燃ゆ』でも、京都府民の支持があつい長州藩をやたら強調したのを思い出しました。
薩摩御用盗を描くのか!
西郷どんは、おりょうの新時代なんていらないという言葉を反芻します。
はぁ……、なんなんですか!
倒幕したいってイキっていたのに、おりょうの言葉ひとつで迷うのかよ。
ここで西郷どん、江戸で浪士五百人を集めるといいます。
で、放火するって!!
お、お、薩摩御用盗やるんだ!!
そこだけはエライ!
よくぞ逃げずに描いた。
西郷どん、ブラックモードだから描けたんですね。
いや、ちと足りねえか。
史実では放火どころか、殺人、性的暴行、強盗までやらかしたんだよなぁ。
ここまでやるなら、相楽総三の斬首もありかもしれません。
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このあと、岩倉具視と西郷どんと大久保が、慶喜を追い詰める策を語ります。
ここで慶喜、御所を包囲されたと容保らから聞きます。
にしても、ここまで策士になっても、あまりかっこよく見えない西郷どん。
なんなんでしょうね。
これまでずっと「民のため」と美しい言葉を連ねてきたので、無理しているようで辛い。
ダブルスタンダード野郎にしか見えない。
小御所会議スタート
このあと、王政復古の大号令。
明治天皇の幼い顔は見せないあたりは、まぁ、しゃあないか。
小御所会議で山内容堂が、慶喜を呼べといいます。
「まだ若い天皇を操って好き勝手してんじゃねえよ」
と言われ、岩倉が逆ギレ。
ここでみんな、幕府に寛大な処置を望む意見が多いと語られます。
御所門前に西郷どんが立っているから射殺しろと松平容保らがいい出します。
このドラマ、会津に何か恨みでもあるのでしょうか?
慶喜が切れるのも意味不明です。
「御所に銃を向けるなどできぬ」
おう。それ、禁門の変で長州藩がやってたけどな。
本作ではあの事件、何もかも会津が悪いみたいになってたけどな。
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それにしても、慶喜を全て知っているはずの西郷どんがバカすぎてお話にならないっちゅうか。
全部知っていると言うわりには、水戸徳川家の天皇への忠誠心とか、まるっと無視
ここで「短刀一本あれば事足りる」と西郷どんがいいはります。
史実準拠にするなら、先週から残酷キャラにしちゃダメだよ。キャラが変わりすぎていて意味がわからない。アナキンがフォースの暗黒面に堕ちるところなんか、フラグあったでしょ!!
結局、小御所会議もヤンキー漫画になっていた……
このあと、形勢が逆転と説明されるんですけど。
逆ギレしたり、短刀でぶっ殺す宣言でまとまっただけですよね。
これを美談にするってどういうこと?
緊迫感とか史実を無視しすぎて、小御所会議までヤンキー漫画の高校生レベルだよ。
このあと、西郷どんが慶喜を脅す夢の場面が最・低!!
いちいち顔をつきあわせないと盛り上げられないのかよ。
『八重の桜』が恋しくなることはわかっていた。
しかし、『花燃ゆ』までまさかマシに思えることがあるなんて、と思っていると幕末が流れてゆきます。
慶喜もとっとと大阪へ逃げます。このあと江戸まで高速で逃げるよ~。そして……。
大阪で、江戸城の火災について聞く慶喜。
江戸っ子を殺しまくり、篤姫をキレさせた薩摩御用盗も、結局は、本質を描かれません。
ともすれば目的のために美化されるような雰囲気さえ漂っていて、庄内藩による薩摩藩邸焼き討ち(というか砲撃にパワーアップ)を描きます。
江戸の民まで犠牲になった――と語る西郷どん。
ん?
んんん?
江戸っ子は、庄内藩と会津藩が大好きだったんですよ。
ガチで嫌われていたのは薩摩藩士。
江戸っ子を! 殺しまくったのは!! 庄内ではなく、薩摩サイドの人間だよ!!!
なんで薩摩隼人がこんなにぬるいんだろう?
本作がナゼ関東で視聴率が低いって?
何もかも東日本が悪いんだもんと幼稚な責任転嫁をして、東日本の民を殺すことをシューティングゲームの的かゾンビ映画のゾンビみたいに描いたら当たり前でしょ。
ラストで慶喜が「必ず勝つ!」とかいうのも意味不明。
慶喜は、江戸城内の主戦論派をなだめて、処分すらして、勝海舟らと和睦に持って行こうと努力していました。
史実を真逆に描いて何がしたいんですか?
本当にナゾです。
慶喜がフランスに日本を売ろうとしたうそまでまた持ち出すし。
「大戦を前に喜ぶなんてドン引き」と言われても、カッコつけてニヤニヤしている西郷どんが最低すぎる。
信吾もぬるい。
なんで薩摩隼人がこんなにぬるいんだろう?
偽善者、嘘つき、ぬるい、バカ。ただの最低集団にしか見えないです。
「戦の鬼になってしまった、西郷どん」
はいはい。もうええわ。
【総評】
今週のよかった点:薩摩御用盗を出した
今週の最低最悪だった点:庄内藩に謝罪せよ
先週の時点で、何もしていない薩摩藩邸を庄内藩が焼き討ちにするんじゃないの、と予測しました。
ところが斜め上を行く展開。
砲撃にパワーアップされた上に、江戸っ子を殺しまくったことにされていて、流石に激怒しています。
SNSで検索をかけたら、
「幕末の庄内藩はひどい」
という、庄内藩は悪いと言う書き込みを見かけて頭を抱えてしまいました。
いや、江戸っ子に人気があったのは、新徴組で警備をしていた庄内藩と、京都を守っていた会津藩です。
江戸っ子を殺したのは、暴れまくった薩摩御用盗。
煽るだけ煽ってコントロール出来なかった西郷の責任も大きいでしょう。
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本作ではしつこく「ええじゃないか」をさせますけど、それはあくまで西日本のみ。
江戸っ子は、会津と庄内に期待を寄せていたのです。
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「江戸が見たくば会津へござれ、いまに会津が江戸になる」
という流行唄があったほど。
庄内藩を悪役にしたことには、強い怒りを感じます。
庄内藩の名将・酒井玄蕃は、戊辰戦争でも正々堂々と戦いました。占領された場所ですら、庄内藩将兵の振る舞いがあまりに人道的であったため、喜ぶ民がいたと伝わるほどです。
そんな庄内藩をダークな悪役にしおった本作。
駄作大河として悪名高い『天地人』は、長谷堂合戦をスルーしたことで山形県民を失望させました。
放映後の舞台地トークショーでも、容赦ない質問が浴びせられたとか。
んで、今回の庄内藩貶め……NHKの大河チームは、山形県民に恨みでもあるんですか?
もう、芋煮鍋で煮られてしまえっ!
考察:脚本家が一人だから一貫性がある?いやいやいや
【それでも『西郷どん』は、『花燃ゆ』と違って脚本家が交替しないから、話に一貫性がある。そのぶんだけでも本作はマシ!】
そんな擁護を見かけます。
一年という長期スパンで描く歴史ものならば、脚本家交替はそこまでマイナスでもない、むしろ個人的には取り入れてほしいものです。
『八重の桜』や『坂の上の雲』ですら、脚本家が複数おりますからね。
『ゲーム・オブ・スローンズ』はじめ、海外の長期スパンドラマならば、むしろ脚本家のチーム体制は当たり前です。
まぁ『花燃ゆ』の場合は、そういう狙って交替したわけではないから、ちょっと別ですけれども。
んで、本作。いつから一貫性を感じておりましたか?
「将軍継嗣問題」であれだけ熱心に推していた徳川慶喜をゲスなバカに描く。
あの問題で協力していた越前・松平春嶽の扱い。
ソレより何より、
「内戦で同じ日本人を殺すのは悪いんだーーー!」
と連呼していた主役の変貌ですよ。
「内戦で慶喜をぶっ飛ばさないと駄目なんだーーーーー!!」
ダブルスタンダードっていうか、もう完全におかしい。
せめて内戦を起こすことへの苦悩もあればいいのに、振り切って「戦の鬼」(ドヤ)と言い出しています。
ここまで主役が変貌する話の、どこに一貫性があるというのでしょう?
本作の脚本家について言うのならば、『花燃ゆ』で最終バトンを受け取った、アンカーの作風によく似ております。
それまでの脚本家は、史実を描きたい葛藤を微かに滲ませることがありました。
あの作品のあと、時代劇で秀作を書いた方もおりますし、せめてもの抵抗があったのではないかと。
それがすっぽ抜けるのは、アンカーがバトンをキャッチしてから。
あの戦国ワースト大河候補、直江兼続主役なのに慶長出羽合戦をすっ飛ばした『天地人』の脚本家氏になってからでした。
私は、本作の脚本家人選の鍵はこのへんにあると思いますね。
大河脚本家という名誉が得られるのであれば、史実を完全無視しても心が痛まない、そういうタフネスさで選んだのではないでしょうか。
『花燃ゆ』アンカーは『天地人』、今回は『花子とアン』で。
史実を土足で踏んづけてでも書き上げると実証されておりますからな。
新キャスト
次々にキャラを登場させては消費していく本作。
新たに出演者が発表されました。
明治天皇…野村万之丞さん
別府晋介(べっぷ しんすけ)…篠原悠伸さん
山県有朋(やまがた ありとも)…村上新悟さん
大隈重信(おおくま しげのぶ)…尾上寛之さん
三条実美(さんじょう さねとみ)…野村万蔵さん
ざっと注目人物だけ挙げてみました。
この中で大隈重信は、来年の『いだてん』にも登場します。
大隈と言えば早稲田や政治家のイメージが強いので、幕末~維新の過渡期をどう描くのか?
今回の興味はそこになりますが、どうせだったら慶應義塾の福沢諭吉も出せば、ねぇ。
福沢は中津藩から幕臣になったという経緯の持ち主。
スマートな慶応ボーイというイメージなんかゼロで、かなりぶっ飛んだ武士であります。
美味しいネタは史実にいくらでも転がっているんですよね。
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【TOP画像】
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【参考】
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

















