

半べー「“もんた”、やるな……」
官べー「そっちの“みの”じゃねーわ」
半べー「そうそう、美濃の斎藤龍興ね。フィクションではバカ殿と描かれがちだよな」
官べー「織田信長と関わって滅亡した人たちは皆んな悪く描かれる傾向があるね。今川氏真も武田勝頼も」
半べー「志村けんは?」
官べー「そっちは本物のバカ殿だろ! いや、本物って何だよ」
半べー「まさに龍興もドリフターズの一人だったなーって」
官べー「ドリフターズは“漂流者”とか”放浪者”という意味だから、たしかに龍興も……上手いこと言ってんじゃないよ」
半べー「龍興は、放浪しながら、信長に強烈なリベンジするのがいいよね」
官べー「永禄十二(1569年)本圀寺の変のこと?」
半べー「そう、光秀さん、早くも登場です!」
官べー「本能寺(ほんのうじ)じゃなくて本圀寺(ほんこくじ)だからね。ややこしいこと言うなって。明智光秀は、本圀寺の変でも戦っているんだから」

明智光秀/wikimedia commons
半べー「本圀寺では、足利義昭を守っていたんだよね」
官べー「そうそう。他には細川藤孝なんかもいて」
半べー「お寺に泊まってさ、夜は、みんなで恋バナでもしてたんかな? オマエ、誰が好き? 俺はヒロコのことが気になってて……みたいな」
官べー「修学旅行じゃねーんだから」
半べー「将来、俺達に子供ができたら、結婚させようぜ、とかさ」
官べー「いや、それは実際に結婚させてるから! また話をややこしくすんなて!」
※細川忠興と細川ガラシャ(明智たま)
半べー「そんな人の恋バナを邪魔するなんて、龍興も野暮なやつだな」
官べー「国を追い出されてんだから命がけだわ」
半べー「でも、未練たらしく三人衆と付き合ってたじゃん」
官べー「本圀寺の変で龍興と一緒に戦ったのは三好三人衆ね! 美濃三人衆はもう信長の家臣になっていたの」


半べー「それなのにバカ殿扱いだもん」
官べー「江戸時代の軍記物の影響だね。詳しくはこっちの記事「斎藤龍興は本当に“バカ殿”だったのか?」に譲るけど、信長や秀吉を持ち上げるため龍興は評判を落とされた」
半べー「龍興が悪政ばかりやってるから、信長が美濃を治めることにした、みたいな?」
官べー「そうそう。酷いものになると、龍興が人の妻や娘を奪ったり、逆らった者を火あぶりや釜茹での刑にしていた、なんてウソまで堂々と書かれている」
半べー「そりゃ龍興も本圀寺を襲いたくなるよね。オレが好きなのは人妻じゃなくて美魔女だ!つって」
官べー「言うわけねーだろ!」
半べー「あれ?深芳野さんは?」
官べー「斎藤義龍の母親だろ! 確かに美しかったという話だけど、龍興から見たら祖母じゃねーか」
半べー「おばあちゃん子だったのね」
官べー「知らんわ」

斎藤龍興・浮世絵(落合芳幾画)/wikimedia commons


半べー「安藤と氏家とイナバだっけ? あと97人は誰が乗ってたの?」
官べー「何の話よ?」
半べー「イナバは“百人乗っても大丈夫”でしょ?」
官べー「物置じゃなくて稲葉一鉄だよ!」
半べー「ハハッ、慌てんなよ」
官べー「お前がテキトーなことばかり言うからだろ!」
半べー「美濃三人衆はどうやって降ったの?」
官べー「秀吉とか丹羽長秀あたりが調略したんじゃないかな。信長は、それを知った瞬間に軍勢を繰り出して城下を焼いた。それで龍興は逃げ出したんだ」
半べー「いざというときの信長さんは、ほんと動きが早いね」
官べー「本圀寺の変で足利義昭が攻撃されたときも、鬼早かった。一報を聞いて、岐阜から京都まで2日で駆けつけている。マジで強弱の付け方がすごい」

半べー「新幹線で言えば“のぞみ”だね」
官べー「微妙な喩えは止めなさいよ。のぞみだと名古屋から京都まで30分で着いちゃうんだから……」
半べー「信長なら2日かかる!」
官べー「だから止めなさいって……」
半べー「あっ、そうか、名古屋からだと馬でも2~3日必要か」
官べー「いい加減にしろ!」


半べー「3つの候補って?」
官べー「岐山(きざん)と岐陽(きよう/ぎよう)と岐阜(ぎふ)だよ」
半べー「なんだよ、沢彦も信長もセンスねーなー」
官べー「どういうことだよ?」
半べー「オレなら岐陽軒にしたわ」

官べー「シューマイ弁当かよ! そっちの崎陽軒は“岐”じゃなくて“崎”だわ」
半べー「んじゃ、蓬莱は?」
官べー「今度は、新大阪駅のぶたまんを彷彿とさせるな」
半べー「だって信長、新幹線、好きじゃん」
官べー「だから京都までは馬を飛ばしたの! 新幹線を例に出すと信長のスピードが遅く感じるからヤメロ!」
半べー「名古屋からだと駅弁食ってる途中で京都に着いちゃうもんね。ビール、500缶を買っちゃったのに!みたいな」
官べー「もう博多駅まで寝ててくれ。そのまま東京駅まで戻ってくれ」
半べー「浜松あたりで家康さんを乗せてく?」
官べー「のぞみは止まらんわ!」
了
👉️ということで、その後の龍興については別記事「斎藤龍興は死なず!」も併せてご覧ください
参考書籍
木下聡『斎藤氏四代:人天を守護し、仏想を伝えず』(2020年2月 ミネルヴァ書房)
太田牛一/中川太古『信長公記』(2013年10月 KADOKAWA)
岡田正人『織田信長総合事典』(1999年9月 雄山閣)
