乳母のあさに任せっきりにせず、自らも育児に励んでいます。
弟の藤原惟規が「学問は得意でも乳飲み子の扱いは下手だ」とからとからかうと、認めざるを得ないまひろ。あさがいてよかったと納得する姉と弟でした。
おでこのあたり、耳も宣孝に似ていると惟規が言うと、やめて欲しいとまひろが答えます。
「おなごは父親に似るというから」
惟規がそう続けると、どこか複雑な顔になるまひろ。もしもこの子が実父に似てきたらどうするのでしょうか。
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どうやって帝を説得する?
詮子は、一帝二后の案を聞き「道長はすごいことを考えるようになった」と感心しています。
彼女は円融院から中宮とされず女御のままでした。
それをふまえ、女御のままでいれば彰子も傷つくと考えたのでしょう。道長はその言葉を帝に届けて欲しいと言います。
詮子は承諾し、蔵人頭の行成に文を取りに来させるよう伝えますが、私の言葉で承知するかどうかわからないとつぶやく。
道長が意外そうな表情で、女院の言葉に帝は逆らわないだろうと返すと、「そうね」と暗い顔で頷く詮子。
母子の齟齬が道長には見えていませんし、帝の心もわかっていないのでしょう。
二人のやりとりを受けて、藤原行成がうやうやしく、女院の書状を帝へ持ってゆきます。
しかし、顔を曇らせる帝。
考えを聞かせよと言われたら行成は口ごもり、目が泳いでしまいます。誠意あふれる性格がにじみ出ていますね。
帝はきっぱりと、朕の考えを女院と左大臣に伝えるように言います。
定子は皆から好かれていない。それでもこれは受け入れられない。
「朕の后は定子一人だ」
そう断言するのです。
困ったのは行成です。道長から「いかがであったか?」と事の成否を聞かれ、思わず「お考えくださるようだ」と言葉を濁してしまいます。
迷われるのは当然だ。そう道長は言いながら、そこをなんとかして欲しい、彰子を中宮に立てられないかと行成に懇願。
このドラマで描かれる道長は、ギラギラした権力者というよりは、鈍感で人任せに思えます。
これが藤原実資だったら即座に断るかもしれませんが、人が好い行成だから押し付けているように見える。
こういう人の良い鈍感タイプは厄介なものです。なまじ、悪どいタイプはら突っぱねても心は痛まないけれども、曇りのない目で嫌なことをしてくる相手にはそうしにくいこともあります。
道長の嫌な左大臣ぶりが、なんとも生々しくなってきましたね。
帝の心に入るには?
一方、妻の源倫子は、彰子が帝の心に入るためのコツを、その母である詮子に相談しています。
好きなものは何か? 読み物、遊びはどうか? と聞かれ、よく知らないと言葉を濁す詮子。好きなのは定子だとわかっていても、そうは答えたくないでしょう。
完璧なゴッドマザーのようで、実は我が子をあまり見ていなかったのかもしれません。夫である円融院を一途に思い続けたせいでしょうか。
詮子は倫子に「我が子の好きなことを知っているのか?」と逆に問いかけます。
すると倫子は、三人の子の好きなことを答えてきます。
しかし、息子二人と次女のことはスラスラと答えられるのに、肝心の彰子のことは語っていません。
もう手を離れたからか、あるいは娘とはいえもはや畏れ多い女御であるから飛ばしたのか、それとも把握できていなかったのか。一体どちらでしょう。
赤染衛門が彰子付きの女房となり、歌詠みの指導をしています。
年(とし)ふれば
よはひは老いぬ
しかはあれど
花をし見れば
物思ひもなし
長い月日が経ち、私もすっかり年老いたものだ。しかし、目の前に生けられた桜の花を見れば、物思いに耽ることなどないではないか。
先祖にあたる藤原良房の『古今和歌集』に選ばれた一首を教え、権勢を誇る摂政としてだけでなく、歌人として名高い人物であったと解説しています。
そんな先祖を持つ彰子ならばできると、やる気を引き出したいのでしょうか。
するとそこへ帝が渡ってきました。
頭を下げる彰子。帝は寒さを気遣い、暖かくして過ごすようにと気遣うのですが……小声で「はい」と言うばかりの彰子。
帝は「笛を聴かせたい」として、柱によりかかりながら吹き始めます。
彰子は俯いています。
困惑した帝が、なぜ朕を見ないのか、こちらを向いて聞いて欲しいと問いかけると、相変わらず黙ったままの彰子に焦った赤染衛門が、答えるように促します。
「笛は聴くもので見るものではございませぬ」
「これはやられてしまったな」と答える帝。彰子は「聴かせる」という点に一点集中し、見て欲しい帝の気持ちは理解できていなかったのでしょう。
帝は彰子に中宮になりたいのかと問いかけます。左大臣はそなたが中宮になることを望んでおる、そなたはどうかと問いかけます。
「仰せのままに」
「誰の仰せのままにだ?」
「仰せのままに」
同じこと返答を繰り返す彰子。
定子ならば、帝に明るい瞳を見せてきたことでしょう。自分の意見を言い、微笑んだことでしょう。
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