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『光る君へ』感想あらすじレビュー第28回「一帝二后」定子と清少納言は永遠に

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『光る君へ』感想あらすじレビュー第28回「一帝二后」
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道長、危篤となる

三日後のこと。

源倫子は、道長が立て続けに高松殿の源明子のもとにいることに苛立っているようです。

するとようやく高松殿から「道長が倒れた」との使者が来ました。

慌てて倫子は高松殿へ向かい、二人の妻が夫の枕元で話すことになります。

なんでも薬師の話では、心臓に乱れがあるとか。

倫子は「(自邸の)土御門で倒れればよかった」と言いつつ、この容体では動かさない方がよいと判断し、明子に看病を託します。

そして、この体調不良は瞬く間に知れ渡ります。

藤原道綱は道長が死なないかを心配し、実資はそんなことをしたら朝廷が大崩れになると言います。

実資の分析によると、この異例の措置も道長の度量の大きさでまとまったとか。右大臣と内大臣では頼りにならないとか。

虚室重ねて招き尋ぬ

忘言断金契る

英(はなぶさ)は漢家の酒に浮かべ

雪は……

『蒙求』を賢子に読み聞かせるまひろ。

そこへ宣孝が戻り、言うべきか迷ったがと前置きし、道長の危篤を伝えます。宣孝に礼を言いつつ、目が泳ぐまひろ。

夜、月を眺めて道長に思いを馳せています。

逝かないで……まひろがそう願うと、道長は夢枕に立つまひろの姿を目にします。まばゆい光に包まれ「戻ってきて」と訴えるその姿。

「まひろ……」

そう呟きながら目覚めると、明子が安堵して覗き込んでいました。

なんだまひろじゃないのか――そんなことを思っていそうな顔で、とりあえず妻を抱き寄せる道長。

感動していいのか、困惑すればいいのか。なかなかどうしようもない場面です。

道長は土御門の倫子のもとへ戻ります。

ここでも「まひろはいない」と言いたげな顔に見えなくもない道長です。倫子はまっすぐな目を向けて夫の帰りを喜んでいるのですが。

 

いつも、いつも、あなたのことを

定子は三度目の懐妊を迎えました。

端午の節句のあと、清少納言は“青ざし”という麦の菓子を出します。これなら少しは召し上がれるのではないかとのこと。

礼を言い、菓子に敷いた紙を切ると、定子は歌を書き付けます。

みな人の
花や蝶(ちょう)やと
いそぐ日も
わが心をば
君ぞ知りける

人々がみな、花よ蝶よといそいそとしている日でも、私の心の中をあなただけは分かってくれているのね

「そなただけだ、私の思いを知ってくれているのは」

「長いことお仕えしておりますゆえ」

「いつまでも私のそばにいておくれ」

「私こそ、末長くおそばに置いていただきたく、いつもいつも、念じております」

「そなたの恩に報いたいと、私もいつもいつも思っておる」

「いつも、いつも」

そう言い合い、笑い合う二人。

「少納言と話をしていたら力がでてきた」

そう笑い、青ざしを口にする定子。それを見つめる清少納言。

「おいしい」

ああ……嘆息しつつ、その尊い姿を見つめる清少納言でした。

その年の暮れ、定子の兄弟である藤原伊周藤原隆家は弓を手にして、定子の出産を待ち侘びています。

すると暗い顔の清少納言がやってきました。

伊周が向かうと、そこにいたのは息絶えた定子の姿でした。内親王出産と引き換えに世を去ったのです。

清少納言は几帳にくくりつけられた何かに気づきます。

それは定子が残した辞世の歌でした。

「こんなにも悲しい歌を……全て……あいつのせいだ。左大臣だ! あいつが大事にしてるものをこれから俺がことごとく奪ってやる!」

そう怒りを口にし、叫ぶ伊周。

夜もすがら
契りしことを
忘れずば
恋ひむ涙の
色ぞゆかしき

一晩中、契りを交わしたことをお忘れでなければ、私がこの世から去ったあと、あなたは涙を落とすことでしょう。その涙の色が知りたかった

そう帝にあてた歌を残して世を去った定子。

帝は永遠の愛を失い、涙にくれるのでした。

 

MVP:定子と清少納言

定子は崩御してしまった。

もうこの世にはいない。

そう悲しみに沈むようで、同時に「本当に消えてしまったのだろうか?」と戸惑ってしまいます。

なぜなら、清少納言の『枕草子』を読むたび、定子の笑う姿が蘇るからです。

彼女の筆は定子に永遠の命を与えました。

様々な人の関係が見えた今回。

道長と妻二人、道長とまひろ、この残酷な対比は横に置きまして。

まず、道長と行成。

行成も敬愛する道長にああも言われて感動はしていて、美しい姿に見えます。

しかし、幼馴染としての関係のあとに、将来の出世を持ち出すことで濁ったようにも思えます。利益ありきに思えてしまう。

帝と定子の愛は純粋で美しい。

とはいえ、政治がどうしても絡んでしまう。定子の言うとおりで、家の都合で結婚しているといえばそうなのです。

その究極の姿が、まひろと宣孝にも見える。史実はさておき、このドラマではどうしたって、まひろと道長の関係を利用する宣孝の狙いが透けて見えます。

そんな政治的な思惑や権力とは無縁だった――ただ愛おしいだけの定子と清少納言の関係は、純粋でキラキラと輝き、透き通っていました。

定子も清少納言も、ずっとイメージ通りで素晴らしいと思ってきました。

最期の場面まで見届けると、これしかないと思えてくる。

こんな二人の姿が見られるなんて、感無量です。初めて『枕草子』を知った時の感動を思い出す、得難い時間でした。

藤原定子
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文:武者震之助note

【参考】
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