どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想レビュー総論・前編1~25話 悪夢の一年間を総括

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『どうする家康』感想レビュー総論「前編」
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第20回:うまい飯食って酒を浴びるほど飲んで女遊びしてぇ!

美味い飯!

美味い酒!

女遊び!

信康事件の元凶にされた大岡弥四郎というモブが叫んでいました。

いや、これ、製作者の本音でしょ?

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第20回「岡崎クーデター」

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第21回:屋内で合戦撮影

長篠の戦いです。

この辺りで「なんだかおかしい……」と気付いた方もいたでしょう。

そう、本作は頑ななまでにロケをしないんです。阿部寛さんも戸惑いつつそう明かすほど。

LEDウォールの前でちまちま撮影し、その割合が高すぎるものだから視聴者にバレてしまう。

『鎌倉殿の13人』や『大奥』でも同じ技術を用いていますが、ここまで露骨に「ロケしたくないんです!」という作品も珍しい。

なぜ、こんなことになってしまうのか?

ヒントとなる話が、韓流スターであるパク・シフにあります。

彼は端正な美貌で時代劇がよく似合います。ヒット作『王女の男』は伝説的な名作とされます。

けれども本人は、絵になるロケ地を求めるため移動が長すぎることが辛い。そのため「時代劇は苦手」と公言しています。

そんな幻のパク・シフ時代劇となれば、それだけで期待値最大級! ほぼ10年ぶりの時代劇『風と雲と雨』も大きな話題となったのでした。

パク・シフは潔い。

出たくないから、最低限に減らしています。そしていざ出ると素晴らしい演技を見せます。

じゃあ日本の松本潤さんはどうかというと……?

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第22回「設楽原の戦い」

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第23回:萌える女をともかく出そう、ギャルゲーみたいで斬新だww

「女性を応援しちゃうぞ! うちは可愛い子揃えてます! うちの会社で働かないカナ♪」

そんなしょうもない会社のPR動画を見て絶望したことがあります。

女性を応援すること=好みの女をエロエロ目線で見ること♪

こういう絶望的な勘違いをしている人います。

恐ろしいことに女性でもおりまして、セクハラを訴えたら「あら、女として見られるっていいことじゃない」と返されたりするとか。

そんなもん、肉牛が「あら、食べられるってことは愛されているってことじゃない」と言うようなもんでしょうよ。

コンプライアンス研修の時点でおかしいと気付いてくれ!

それが……NHKの看板ドラマがこのレベルの勘違いをしているんだよなぁ。

このあたりから瀬名がパワーアップしてマザーセナとして覚醒します。

発火点は鬱陶しい歩き巫女の千代でした。

本作の女性は老化しないし、巫女に、くノ一に……18禁ゲーでも遊びたい欲求をぶつけたような女性ばかりが出てきます。

で、結局、女大鼠なんて必要でしたか?

織田信長が娘の五徳の顔を掴む虐待じみた場面を「どや、かっこええやろw」と何度も宣伝材料に使う。人として何か感覚が欠落していませんか。

・『源氏物語』を理解しているのか?

この回では「『源氏物語』は書物ではない」というセリフがありました。

大河の作り手が『源氏物語』の重要性を理解していないのでしょうか?

連歌や和歌には『源氏物語』を詠みこむことが教養です。

屏風はじめモチーフとした工芸品も贈答の定番です。

それすら知らないってどういうことでしょうか。

そう思っていたら、最終回には『源氏物語』が一冊だけぺろっと出てくる。

はいはい、次作への伏線ですね。本当にあざといな。

・横光三国志みたいな滅敬

唐人医である滅敬の正体は、穴沢梅雪だった!

滅敬
滅敬って一体何者なんだ!武田の穴山が扮する唐人医は実在したのか?

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いや、もう勘弁してください。

本作は「歴史はフィクション」と豪語する脚本家が書いているだけに、なんでもかんでも自由自在。

穴山梅雪にしてもそう。千代だって馬場信春の娘であると後から判明します。

重臣の娘が忍者になるものでしょうか?

確かに過去の大河ドラマでもこういうことはあります。

『天地人』では真田幸村の姉が忍者でした。『鎌倉殿の13人』では平知康が押松となりました。どちらも相当無理がある設定です。

とはいえ『どうする家康』はそうしたフィクションだからと、許される枠を広げすぎる。

さらにはお粗末な唐人衣装がおかしい。

横光三国志か!

そう突っ込みたくなるようなシロモノです。もっと真面目に作れませんか?

ちなみに同時期、別のNHK番組にでできた明代中国人の衣装はまっとうでした。それで当然です。

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第23回「瀬名、覚醒」

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第24回:これがシン・瀬名だ!

このドラマ最大の問題点は、瀬名がマザーセナとして覚醒したことでしょう。

そのせいでプロットをうだうだと引っ張り、2023年らしいカルト臭が存分に発揮されました。

慈愛の国だのなんだの唐突に語り出すマザーセナ。

うっとりと聞き入る家康とその家臣団。

マザーセナに性的暴行をしかけておきながら、ノコノコやってくる今川氏真

そんなDV夫についてくる糸。

漂うのは圧倒的なカルト臭です。

木彫りウサギは教団の収入源ですね。どこぞの壺のように法外な値段で売られるのでしょう。

・空鉄砲で誤魔化せるんだ!

マザーセナ妄想に基づいて、家康と勝頼がやらかすのが空鉄砲の撃ち合い。

なぜ誰もこれを止められなかったのか……。

鉄砲だけで戦ができるわけもない。火薬が必要です。

日本国内だけでは生産が間に合わず、海外貿易も駆使して手に入れるため、相当な苦労を伴ってしまう。

『麒麟がくる』ではその辺りをプロットに組み入れていました。

2022年から高校の授業で、海外との関係を重視する「歴史総合」が導入されました。18世紀以降を扱うとはいえ、その前史として戦国時代の海外との関係も重視されることでしょう。

そんな高校生から見たら、この大河ドラマがいかにナンセンスか……。

「火薬はどこから持ってくるの? 湧いてきたの?」

こう失笑されかねない恥ずかしい展開が予測できます。

将来、恥となるとわかっていて、どうしてこんなものを肯定できますか?

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第24回「築山へ集え!」

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第25回:はるかに遠い彼女との距離

なんでも「この回が一番重要である」と、主演はじめ、ドラマ制作者は語っていたとか。

いま思い出すと赤裸々な回だったと思います。

家康は「国より妻を守る!」と叫ぶんですよ。今にして思うと、実際これが本音だったんでしょうねぇ……。

主演が脚本家に「俺ならこう言うけど」とでも語ったのか。最終回の前、このドラマの制作風景が放映されました。

そこではおどおどした監督、歴史に詳しくなさそうな脚本家、何もかも口出しする強気な主演俳優が映されておりました。

◆『どうする家康』名場面第1位は「瀬名の最期」 松本潤「だいぶ引きずりましたね…」【全ランキング掲載】(→link

・瀬名をなぜ再評価するのか?

なぜ瀬名をここまで強引にプッシュするのか?

当初は本当に不可解でなりませんでした。

脚本家と磯CPはじめ製作者たちは「悪女説が江戸時代以降である」と同じことをやたらと繰り返す。

◆《NHK大河「どうする家康」》脚本・古沢良太が語った松本潤と有村架純の今後と、頼りにする“実力派俳優”(→link

古沢 近年、徳川史観が見直されているんです。

家康は死後、神格化されました。そのため、江戸時代になって作られた史料は家康の行動を正当化する一方、瀬名や信康の悪行が記されています。

ところが、倒幕運動が起き明治の世になると、一転して狡猾な男と評された。

その両極端のフィルターを通した家康像が現代に伝わってきているので、どちらもいったん取り外して、等身大の家康とその家族を、なるべく自分や視聴者が共感できるように書いていくつもりです。

近年も何も、徳川史観の批判など、ずっとあったでしょうよ。

明治以降、それが顕著になるとはいえ、識字率が上がれば江戸時代の庶民だってつっこんでいました。

それより、もっと別の切り口はできなかったのでしょうか?

ジェンダーと歴史学観点とか……できるわけないですね、本作は古臭くておぞましい女性観ばかりが披瀝されていますもんね。

結局、どんなインタビューを見ても、一生懸命暗記した作文を読み上げる小学生みたいな受け答えですし、皆が揃いも揃って同じような主張を繰り返すのも妙な話です。

だからといって、彼女をここまで無茶苦茶な教祖にする必要はあったのでしょうか?

その答えは、文春砲に正解があったのかもしれません。

松本潤さんは、共演した女優の中でも有村架純さんにばかり気を遣い、様々なプレゼントを贈っていたという報道が過去にもありました。

そして大河にかこつけて両者が接近するよう、ドラマ外の紀行までお膳立てされていたというのです。

この文春砲が正確であれば、公私混同があまりに酷い。

そう思っていたら、最終回の放送日翌日、有村架純さんの交際報道が流れました。お相手は6歳下のジャニーズ俳優で、3年前、つまりはドラマの制作前から交際していたというものです。

彼女も大変だったことでしょう。

ジャニーズ俳優と交際中なのに、その先輩である松本潤さんにアプローチされて。

と、そんな風に瀬名を持ち上げておきながら、劇中で、性的暴行未遂のシーンを無理やり入れるあたりが、このドラマ製作者のわけのわからないところ。いや、わかりやすいところでしょうか。

女なんてトロフィー扱い。人間性なんかない。その主張だけは貫かれています。

瀬名は初回から、家康と氏真がタイマンで取り合うトロフィー扱いであり、いつの時代かと言いたくなるような扱いをされてきました。

その結果が、あの最終回直後の交際報道とは……。

本作の制作陣は、お姫様を救う王子様のお膳立てを受信料でしていたつもりなのでしょう。

しかし、実際にしたことは町娘の帯を解こうとする悪代官に金の最中(つまりは賄賂)を渡す悪徳商人となっていた。

賄賂の原資は受信料……いや、もう、いい加減にしろて。

有村架純さんの交際報道の後に、「マザーセナが自害して、浅すぎる湖でバチャバチャした家康」を思い出しました。

現実とドラマが見事に合致していたとは、不覚にも笑いそうになりました。家康、全身全霊のボケがすごいなっ!

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第25回「はるかに遠い夢」

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以上、前半の振り返りです。

ちょうど半分のところで、ドラマの腫瘍のようだったマザーセナは消えました。

では、後半ではよくなるのか?

確かにそういう評価はあります。時間が足りなくなり、年表通りにコマ送りにした結果、家康ドラマとして見やすくなった、と。

しかし、それはマザーセナに捧げる展開が不要になった分、マシに見えるだけであり、ドラマが面白くなったワケではありません。

◆ 低迷する「どうする家康」一転して盛り上がる必然 家康は「築山殿事件」をどう乗り越えるのか(→link

私は一年間を通して、この大河を批判してきました。

理由は簡単なことです。

つまらないから。

誉めたら恥ずかしいから。

忖度しないから。

忠臣とは諫言を恐れぬ者を指します。

私は別に大河を主君とは思っていませんが、忠臣の心意気だけは持ち合わせておきたい。

以下は「後編」となりますので、併せてご覧ください!

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『どうする家康』感想レビュー総論・後編26~48話 悪夢の一年間を総括

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皆さま思うところがあれば、直接NHKへよろしくお願いします。

◆NHK みなさまの声(→link

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文:武者震之助note

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【参考】
どうする家康/公式サイト

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