『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』/wikipediaより引用

西郷どん感想あらすじ

『西郷どん』感想あらすじ第15回「殿の死」

2018/04/23

こんばんは。

再来年の大河がいよいよ決まりました。

明智光秀を主役とした『麒麟がくる』で、主演は長谷川博己さん。

題材、主演、脚本家と三拍子揃ったこの発表を受けまして……。

「今年を乗り切れば、再来年に戦国のまともな大河が待っているぞ!」と、既に思う大河ファンもチラホラ。

◆20年大河、長谷川博己さんが明智光秀役「麒麟がくる」 (→link

これもあの『花燃ゆ』のときを思わせる流れなんですよね。

2015年から2016年にかけて。あの年も、大河ファンは翌年放映予定の『真田丸』キャスト発表ばかりを楽しみにしていたものです。

鈴木亮平さんの熱演が悲しくなる今日このごろ。

 


年長者で人望ある者を将軍で一橋に決定?

今週は近衛邸からスタート。

「年長者で人望があるものを将軍とする」という詔(みことのり・天皇の命令)を得た、との話です。

ただ、これも問題がありまして。

孝明天皇自身は、将軍継嗣問題には関心がほとんどありませんでした。

彼が気にしていたのは、条約問題です。

意図的に捻じ曲げたのか、それとも単に間違いなのか、それとも「どっちでもエエやん」程度に考えていたのか。

こうしたミスリードは止めて欲しいなぁ……むしろ有害じゃないですか?

結局、孝明天皇の意思は、またもや捏造されてしまうわけで。

まともに孝明天皇の意思を描いたドラマが。会津側の『八重の桜』だけというのも妙な話ですよね。

このあたりの調停工作、水戸の徳川斉昭がぐちゃぐちゃに引っ掻き回した悪質な過程、そしてそれによる一橋派の失敗が丸無視です。

さすがに改ざんレベルでは……。

月照の数珠がバラバラ落ちたり、笑い合う西郷どんと橋本左内がガッシャーンと砕けたり。

他の演出で描けませんでしたかね……。

チョット恥ずかしくなってしまいました。

 


柿を通じて心を通わせたようで

このあと、島津斉彬の軍事教練場面が入ります。

意味がある場面とは思えません。カッコいい渡辺謙さんを見せたいだけ?

ここで、篤姫と家定の場面です。

家定がドラマのように慶喜派に回っていたとは言い切れませんが、そこも無視。

【心通わせた夫婦の会話】が入るのです。

これまたなんだかなあ。

秋になったら柿が食べたい、ならば薩摩から樽柿を取り寄せるとか。

これで夫婦の心が通い合ってますということ?

細かいことですが、樽柿は大奥では下品な食べ物扱いで、食べる篤姫が例外的でした。

そういうことを考えると、将軍・家定にホイホイと勧めるものでもないよなぁ、と思いました。

そのあと、家定が倒れます。

本作の病気描写って、ピンピンしていたところからいきなり倒れますよね。

ドラマチックにしたいんでしょうけど、むしろ陳腐かも……。

 

井伊に自ら赤鬼の面を持たせるのはさすがに……

病床の家定のもとに、井伊直弼がやってきます。

無理に遺言を書かせようとする場面は、『真田丸』に似た場面があったことを思い出しました。

小日向文世さん演ずる豊臣 秀吉が亡くなる直前、山本耕史さんの石田 三成が――というシーンですね。あちらはもう一度見たいなぁ。

家定は柿を描き、御台に食べさせたいと言います。

柿はラブアイテムですね。

って、さすがに家定をバカにしすぎでは?

このあと、家定が危篤になったタイミングで、井伊直弼が大老になって登場。

赤鬼の仮面を持っているのがダサすぎてぶっ倒れそう……。

赤鬼ってアダ名、ホメてないんですよ。いわゆる陰口のようなもので。

なのに本人が赤鬼の仮面持参って、どう見ても中二病を拗らせてます。もう、ホントやだ、この幕末。

更には、いちいち背景に昨年から引き継いだ井伊グッズを置くってのも、どうなのでしょう?

なんでそんなもんを、政務する場所に置く?

自分の屋敷か城にでも置けばいいじゃないですか。

こんなことをする理由は、未だに井戸をさまよう井伊直虎ファンへのアピールですね。

昨年の熱心なファンに媚び売るの、ダサすぎませんか。

夢のコラボって……。

井伊は将軍を慶福にする、と言い出します。

そりゃあ、そうでしょ。

屋敷まで押しかけてきて、「大バカもの!」と怒鳴ってイキってるチンピラ慶喜さん、将軍にしちゃダメです。

 


息子が危篤な最中に嫁いびりでニヤニヤ?

このあと西郷どんが走っています。

本寿院は、慶福が見舞いに来てニヤニヤうれしそう。

って、タイミング悪すぎでは? 息子(家定)が危篤となってる直後にこの下品なふるまい。

歌橋らしき侍女も下品です。

泉ピン子さんを起用して鬼姑キャラにしたいのでしょうけど、息子が死線を彷徨っているのに嫁いびりでニヤニヤって、やっぱり普通じゃない。

ここで井伊の態度にキレて怒鳴りだす篤姫も、御台所とは思えない下品さ。

お殿様から御台所まで、感情の高ぶりを怒鳴ることでしか表現できないのは寂しいものがあります。

一方、西郷どんは走っています。

おーい、まさか江戸から薩摩まで走るんですかね?

できれば、馬を使ったらどうでしょう。

山道でショートカットするためジャンプしたり。街道を歩いた方が効率的な気がしてなりません。

いや、わかりますよ。汚しメイクで一生懸命さを出しているのでしょう。

けど、水分補給なんか見ていると、山中で遭難する行動パターンに見えるんですよね。

山をなめてはいけません。

 

馬を走らせる斉彬 それを追う吉之助

そして薩摩に到着します。

汚い格好のまま斉彬の元へ向かう西郷どん。

「やどんしはこげな人じゃなか!」

って、西郷糸子さんが見たら激怒しそう。

西郷どんは身なりを気遣う人でした。

あまりにビジネスマナーがなっていません。

そして斉彬は、突如、馬で走り周り、頭を下げる農民の姿を見ます。

頭を下げる農民たち。増税した殿様である、ということは野暮なツッコミですね、スミマセン。

西郷どんは走って追いつきます。

その足の速さはさておき、二人は初対面の、思い出の場所におります。

この辺も混乱してくるのですよね。

初回では、竹林みたいなところから即座にこの場所に来たようでした。たぶん、いろいろ突っ込んだら負けです。

 

肝心要なところで……打たれ弱いなぁ

「夢は砕けた」

と、言い出す斉彬。

せっかく美しくて異国に負けない国にしたかったのに、一橋が将軍にならないから駄目だった、とか言い出すわけです。

なんなんだろう、この打たれ弱さ。

美しい国だの、外国の脅威だの、綺麗な言葉をペラペラ喋るけど中身がない。

なんせ担ぎ上げたのがあのバカボン慶喜です。

慶喜は、結局、頭脳明晰な部分を一度も我々には見せてくれておりません。

設定上はそういうことになっているのでしょう。

しかし何ら説得力がないのです。

驚いたのは、今頃になって「農業が大事なんだ、皆、腹一杯米を食えるべきだ」とか言い出すところです。

なんと言いましょうか。

色んな理想が同時に掲げられすぎて、結局のところ何がしたいのか、いまいちピントがずれてしまっているような……。

この殿様、場当たり的に思いつきで喋っているだけでは?

そんな印象を抱いてしまいます。

 

又吉さんの家定は堺雅人さんを超えていたのか?問題

西郷どんが帰宅し、ここからは恒例の薩摩ホームドラマタイム。

このあと、大久保正助どんがやって来ます。

ホームドラマにしても毎回同じですよね。

ニコニコと美味しいご飯を作っている女たち。明るい男たち。そして青春トーク。

よほどネタがないのでしょうか。ちびっこ相撲タイムも性懲りもなく入れて来ますが、やたらと俳優を脱がせたがる傾向が見て取れる。

一生懸命【わっぜよか場面用BGM】を流されても、何の感慨も湧きません。

『西郷や大久保の幼い頃も、毎日が一生懸命だったなぁ』

そんな風に思わせたいのでしょうかね。

場面は再び江戸へ。

大奥では、篤姫に家定の形見として柿の絵が渡されます。

柿をやたらとラブアイテムとして推されますが、逆に、仲の良い夫婦に、

「一緒に柿が食べたいね」

という思い出しかないのか……と複雑な気持ちに。

ここで家定が亡くなったと判明。

「上様〜〜〜」

涙を流す篤姫ですが、ふーん……という感慨だけですね。

これのどこが、堺雅人さんを超える家定だったのやら。

◆「西郷どん」CP 家定役の又吉直樹を絶賛「堺雅人を超えているのでは」(→link

 

一橋派の自滅ですよね

かくして南紀派の勝利が悲劇的に演出されます。

ところが……。

担ごうとしていた慶喜がアホボンであることをはじめとして、今まで、一橋派の愚かさ、厚かましさ、クズとしか言いようのない所業を目の当たりにしてきましたので、南紀派を祝いたいぐらいの気分です。

井伊直弼、よく頑張った!

いや、井伊直弼が頑張ったというより、完全にこれは一橋派の自滅ですよね。

慶喜が本気をだしたのが先週ラストで、今週でもう完全敗北って、ギャグだとすれば最高のセンスだと思います。

ここで、物に当たる斉彬が写されるのですが、気に入らないことがあるから物二当たるっていうのが幼稚なんですよね。

ケン・ワタナベを迷走させるって罪作り……。

 

京都への出兵 とても難しい判断のハズ

黄昏れる斉彬のもとに、正助どんに励まされて復活した西郷どんが駆け込んできます。

西郷の計画は、出兵です。

京都に出兵することで朝廷にプレッシャーをかけ、改革を迫るというもの。

これも、なかなか微妙な話ですよね。

斉彬の弟・島津久光による、文久2年(1862年)の上洛はうまくいきました。

しかし、時勢の機微が難しく、長州藩の場合は、元治元年(1864年)「禁門の変」で大失敗しています。

本作では、自分の言うことが通らないからヤケになった斉彬が、とても幼稚で、残念な人に見えます。

斉彬は「今からお前はわしになれ!」と迫るわけですが。

これまた西郷どんの無能ぶり、落ち込んだら友人に励まされないとウダウダしている情けなさを考えると、人選ミスにしか思えないのが痛いところです。

 

そして斉彬は軍事教練中に……

ここで上洛計画が持ち上がり、ゆかいな郷中フレンズが騒いでいます。

未だに彼らの見分けがつきません。

有村俊斎有馬新七を一瞬、勘違いしてしまうほどで、誰かがなんか叫んでいるな、という程度の認識しか持てない。

増田修一朗さん演じる有馬新七

と、思ったら有村どんはカジュアルに脱藩して京都に向かいますし、本当にこの時代の制度をあまりに軽んじ過ぎではありませんかね。

その京都には西郷どんもおります。

お虎という女性といい感じになる様子。

西郷どんの魅力が全くわからないまま、政治情勢もグチャグチャなまま、お虎とのLOVEを無理矢理ぶち込むのだから始末が悪いなぁ。

そして薩摩では。

軍事教練中の斉彬が、突然、バターンと倒れて亡くなりました。

「西郷……西郷……」

最期まで西郷どんの名前を呼ばなくてもいいのに。

 

MVP:徳川慶福

慶喜が駄目すぎて、圧倒的にこちら。家定の見舞いに来るならいい子でしょ。

 

総評

今週は陳腐な演出が頂点に達した回だと思います。

月照の数珠が切れる

・西郷どんと橋本左内が笑っているとガラスが割れるような演出

・突然の柿プッシュ

・家定、突然倒れる

・息子が死にそうなのに嫁いびりして楽しそうな泉ピン子さん

・鬼の面を持ち歩く井伊直弼

・執務スペースにご先祖グッズを並べる井伊直弼

・西郷どんの『ダーウィンが来た!』風サバイバル珍道中

・斉彬、突然倒れる

中身のなさを、オーバーで陳腐な演出と役者の熱演で埋めても、限界はあります。

面白くもなんともないどころか、ウンザリしました。

今週は渡辺謙さんが退場しました。

何の感慨もないどころか、ホッとしています。

◆「西郷どん」渡辺謙演じる“カリスマ名君”島津斉彬の格好良さの秘密とは?(→link

こんな記事もありますが、私は本作の島津斉彬がカッコイイと思えたことは一度もありません。

思いつきでものを言い、失敗すると愚痴愚痴していて、西郷どんの提案がなければ腐っているだけ。

俺は意識が高いんだアピールをするだけで、中身は空っぽ。

カッコよさの秘密は、以前書きましたが【忖度】ですね。

レジェンド級の俳優が演じているんだ、ありがたがれ、ひれ伏せ。

そういうことを忖度すれば、カッコイイと思えるんでしょうね。

本作には島津斉彬という人物はいなかったと思います。

そこにいたのは、島津斉彬コスプレをした大物俳優です。

斉彬の退場を引っ張って、スローペースで来たツケはこの後ずっしりとのしかかることでしょう。

西南戦争はカットされるかもしれません。

戊辰戦争も同様でしょう。

さすがに禁門の変はクローズアップされるでしょうけど……にしても、そこまで他を圧迫しそうな時間をかける価値があったのでしょうか?

西郷隆盛の人生を描くはずが、大物俳優に【忖度】して中途半端な展開になるのだとすれば。これほど舐めた話もありません。

 

蛇足:「負のスパイラル」がやってくる

さて本作については、その出来の悪さのわりに好意的なニュースが多かったのですが、ここに来てそれも停止しつつあります。

渡辺謙さんが出なくなればこうなるだろうと思っていました。

特別編の影響もあってやや早めにこの日が来たな、と。

本作が、その内容のつまらなさにも関わらず、一応、成功作品という印象を与えることができていたのは、視聴率と好意的なニュースのおかげです。

しかし、先週11.9パーセントに沈んだことで、褒めるだけの記事が激減していきました。

これは【負のスパイラル】に、落ち込むということです。

過剰かつ強引な番宣も、かえって反感を買いつつあるようで、これまた使いにくくなっています。

そもそも大河ドラマは、夏場以降どうしても苦しくなります。

夏場以降、主人公の親世代のベテランが抜けて、それ以降は主人公より年下の、若手キャストが多くなるからです。

これが、今年はより悪化しそうで。

3年前の『花燃ゆ』に状況が近づきつつあります。

夏場ベテラン中心に退場者が増える

脚本の出来の悪さ、評判の悪さに追加出演者が売り込み中の若手、お笑い、モデル、アイドルといった本業以外の者ばかりになる

ますますドラマの出来が悪くなる

こうなってゆくわけです。

『花燃ゆ』よりも悪い部分もあります。

売れっ子有名原作者&脚本家コンビが売りであったため、『花燃ゆ』のように脚本家交替という手段を使えないためです。

斉彬退場、離島のダラダラした生活で、最低でも二度底が抜けます。

既にクオリティ的には『江』、『花燃ゆ』と並ぶとされているほどの本作。

視聴率でも悪夢の二桁割れが見えて来たのではないでしょうか。


あわせて読みたい関連記事

桐野利秋
桐野利秋(中村半次郎)は幕末最強剣士か|人斬り半次郎の生き様・実像

続きを見る

島津久光
西郷の敵とされがちな島津久光はむしろ名君か|薩摩を操舵した71年の生涯

続きを見る

勝海舟
なぜ勝海舟は明治維新後に姿を消したのか?最期の言葉は「コレデオシマイ」

続きを見る

坂本龍馬
坂本龍馬は幕末当時から英雄扱いされていた?激動の生涯33年を一気に振り返る

続きを見る

西郷菊次郎
西郷の息子・西郷菊次郎は西南戦争で右足を切断|その後は台湾や京都で活躍

続きを見る

【TOP画像】
『西郷どん完全版第壱集Blu-ray』(→amazon

【参考】
NHK西郷どん公式サイト(→link)等

TOPページへ


 



リンクフリー 本サイトはリンク報告不要で大歓迎です。
記事やイラストの無断転載は固くお断りいたします。
引用・転載をご希望の際は お問い合わせ よりご一報ください。
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-西郷どん感想あらすじ

右クリックのご使用はできません
目次