とっさまも武士に憧れていた
横濱焼き討ち計画は失敗――。
毎度サブタイトルに「栄一」と入る本作ですが、先週入らなかったのは、いくらなんでも主人公のテロ計画は語り辛い配慮があったのでしょうか?
ともあれ、母は嫌がり、父は放置気味の計画。これを実行していたら、どうなっていたことでしょう。
関東で攘夷に燃えた結果、散ってしまう、そんな赤報隊・相楽総三のような末路もあったわけで、回避できて幸いでした。
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栄一に振り回される女たちは苦労をしているよう。それでも母は理解を示します。
とっさまも、昔は武士になりたかった。でも、武家の端くれに加わったとしても、出世できるわけがねえ。百姓は腕で勝負できるからやりがいがある。
そう言っていたそうです。
栄一は、娘をあやす千代にもそっけない態度を取ってしまいます。そんな夫に、せめて娘を抱いて欲しい千代は訴えるのですが……。
焼き討ち計画は無謀!
栄一と喜作は、粋な江戸っ子・平岡円四郎と出くわします。
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広い江戸で、あまりに偶然が凄い。彼らが出会うように誘導されるような描写は何かありましたっけ?
こちらが戸惑っていると、その辺の説明はなく、円四郎は栄一と喜作を自分の家臣に誘います。
一橋家のお侍、つまりは徳川慶喜直々の家臣からスカウトされたと知って驚愕する二人。運命ですね。
しかし栄一らは、田舎に仲間がいるからと仕官の話を断ってしまいます。
このあと円四郎は、川路聖謨のボヤきを妻のいる場所で聞かされます。本作って、大事な話を妻に聞かせて、視聴者に説明するという流れが好きなようですね。
そんな中、高崎城乗っ取り計画は進んでいます。そこへ尾高長七郎が帰ってきて、突如、取り乱したように「計画は無謀だ!」と声を荒げます。
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彼なりに悟ったのです。
薩長の失敗。同志の死。苦い思いを語る長七郎。
「なんで死んだかわからねえ」
そう無念を語られ、栄一たちも計画の無謀さを悟ったようです。やむなく壮挙は中止に……。
慶喜は上洛
かくして栄一は千代の元に帰ります。
「おまえさま」
そう言われても素通りしてしまう。
けれども栄一は心根を語ります。長七郎が正しいと思ってしまった。浅はかだった。
栄一は家族を思い、やはり逡巡した気持ちもあったのです。
そんな栄一に、千代は愛娘を抱かせます。ほっこり場面ですね。
ここで聡明な千代は『論語』を引用します。
過ちて改めざる是を過ちという。
栄一はこのあと、父にも金を使ってしまったことを語ります。
160両の使い込みも許す寛大な父。よい親子ですね。栄一は礼を言い、再起を誓います。
一方で徳川慶喜は、天子様を助けるために上洛すると誓っています。これには美賀君も徳信院も気になるところ。
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順動丸で京都に向かう慶喜がカッコいいですね。でも美賀君にすれば、もう子はできないと悲しいところ。
栄一もさわやか笑顔で旅立ちます。
そして今回はラストに徳川家康さん。
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なんでも我が江戸幕府が終焉に近づくそうです……って、それで良いのでしょうか。びっくりの出番です。
◆ 青天を衝け:徳川家康の登場は最後まで? 北大路欣也の心意気 とっぴな仕掛けも「やるからにはしっかり」 (→link)
総評
今週でついに血洗島編も終わります。
栄一もすっかりたくましくなって、幕末情勢も全国で動いていきます。
あの週刊文春も本作の特集を組むぐらいですね。
ただ、視聴率は低迷を始めたような……と、そこは豪華出演者でカバーできるという読みでしょうか。
ここから先は辛口となりますので、気になる方だけ先をお読みください。
華流ドラマに学ぶ【吹き替え】の効能
GW明けの5/7に佐藤信弥先生の新著『戦乱中国の英雄たち-三国志、『キングダム』、宮廷美女の中国時代劇』(→amazon)が発売されます。
何かと話題の『三国志 Secret of Three Kingdoms』も扱うとか。
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いいから大河の話をしろ――それはそうですが、ちょっと華流に学びたい知恵がありまして。
華流ドラマでは当然のように吹き替えが使われます。
これには当然事情があります。
香港出身者は広東語で大陸は普通語。発音が異なりますので、出演者が多いときにはいっそのこと「吹き替えをつけちゃえ!」となったと。
結果、宦官役が去勢された男性特有の声にできたりして、なかなか興味深い。
このシステムを『青天を衝け』でも適用したらどうでしょう?
いくらなんでも本作は発声がキツすぎる。聞いているだけで気分がちょっと不安定になってしまう。いっそ音声を消して字幕で見ようかと思うほどです。
筆頭に上げて申し訳ありませんが、まずは美賀君の京都ことば。せめて関西出身の方にできなかったのかと胸が痛みます。
時代劇経験が浅いうえに、関東出身で京ことばを使う。手一杯だと伝わってきて心苦しい。
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栄一も辛い。まだ幼い娘を抱いて、かなり近い位置で大声で喋る。娘の安眠や安静を無視していて、どこまで酷い父なのかと困惑するばかりだ。
大声を出さないと聞き取ってもらえないと不安ならば、やはり吹き替えは機能するのではないでしょうか。
千代もですね。
今日は頑張って『論語』を出してきました。
過ちて改めざる是を過ちという。
昨年の長谷川博己さんは理解して読んでいるとわかったのですが、今年は中学生が漢文の授業で読んでみた感がすごい。
古典を理解せず、ただ読んでいるだけ。そう伝わって辛いものがあります。
テスト前の一夜漬け感ですね。やはり吹き替えが必要だ……。
そして、一番辛かったのが彼です。
長七郎の説明セリフ!
熱くこれみよがしに泣かれても、あまりに発声が無茶苦茶で頭に入ってこない。
幕末の状況を精一杯説明しますけど、こんな場面でこそ必要となるのが家康ではないでしょうか?
「家康が説明するから、このドラマは説明セリフが少なくできているんだって! すごい発明だね!」
そんな意見を見かけたこともありますが、えぇと……何かの間違いですよね。すでに家康のことを持て余し始めた感が滲み出ています。
本作は「攘夷の狂気」が描かれているとかなんとか言います。長七郎の血走った目と説明セリフなどもそうなるんですかね。
しかし、やたらとウオウオ叫んで泣いたりするイコール狂気じゃないでしょ。
結果、取りやめになった【横濱焼き討ち計画】ですが、なぜ、こんなしょうもない計画失敗に尺を割くのか?
こんな雑テロ計画、なんの学びもなく、役にも立たない。渋沢栄一の良さを見せるなら、さっさと明治へ入るべきでは?
これはもう役者のキャリアや演技力ではカバーしきれないと思えます。
円四郎の江戸弁。わざとらしく、鼻にモゴモゴかかっている。説明セリフ満載のうえに発声がこれだから、全く頭に入ってこない。
妻もハキハキしたわざとらしい喋り方で、円四郎夫婦は一体何なのか?と疑念が募るほどです。
人間の声って大事ですね。
英語圏だとベネディクト・カンバーバッチ、そして「ミルクチョコレート・ヴォイス」や「ベルベット・ヴォイス」と評されたアラン・リックマンが有名です。
『麒麟がくる』の十兵衛光秀は、発声が抜群に綺麗だったとふと思い出してしまったり……そう、それはまるで美濃名物・栗きんとんヴォイスでした。そりゃ信長も夢中になるわ。
8ビットRPGのような出会い方
「昔の暮らし」などの展示にファミコンがあると、ドキッしちゃったりしませんか?
ファミコンは古くなったのか。そうかそうか……と、思ったら、本作ではそうでもない。
なんなんでしょう。円四郎と栄一&喜作コンビの出会い方は。
まるでファミコン時代、8ビットRPGのようでした。
そして大した説明もなく謎な演出のまま面接試験へ。照明効果、演出、脚本まで、RPGイベントムービーのようです。
驚きの安っぽさ。RPGはRPGでも、KOTY作品だ。KOTYの意味は各自お調べください。
「俺の家 に パーティメンバー として参加しねえか?」
「俺たちは 田舎に パーティメンバー が いるんだ」
「一橋家 に 戻るぞ」
「なんと! 一橋家 だったのか!」
説明セリフだらけだわ。ぎこちない動きだわ。ちょっとこのRPG、ライターやスタッフのギャラをケチりすぎてません?
しかし8ビットRPGリスペクトだと思えば納得です。
まぁ、誰が喜ぶんだ?という疑問は残りますけどね。
青だらけな衣装
本作は藍色の衣装が多い。
血洗島名産だからにしても、それ以外も青が多い。
新選組が浅葱色の羽織だったことは有名です。
しかしあまりにダサい色であるため、隊士、特にアパレル店員出身でファッションリーダーの土方歳三は絶望したそうです。
着ようとしない隊士も多かったとか。
結果、かなり早い段階から、隠密にも有利な「黒」が定番になりました。浅葱羽織も一応廃止ではないので、長く着る隊士もいたそうですけどね。
そんなわけで浅葱羽織はフィクションでは定番です。本作も着ています。黒に切り替えたのは、2021年の『燃えよ剣』あたりからですね。
話がズレましたが、要するに栄一と喜作はダサいってことです。
雄藩が攘夷を止めた理由は?
ナレーションがこんな風に語っていたのを覚えておられますか?
長州藩や薩摩藩はイギリスをはじめとする諸国の艦隊との戦いに敗れ、攘夷は無謀であることを知りました。
京でも過激な攘夷を唱える公家や志士たちが突然追放され、事態は混沌としていました。
薩英戦争は、単純に「敗北」とは言い切れないと思うのです。
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攘夷が難しいと悟ったのは確かです。
ただし、商業(貿易)を重視したから方針を変えたのであって、その辺の説明があまりにお粗末。
薩摩にせよ、長州にせよ、海が近く、海外の脅威を感じやすかった。それは水戸も同じですが、どこが違ったのか?
というと薩長はいち早く貿易の可能性に気づいたのですね。
こうした感覚は海のない会津あたりとは大きく異なる点ですし、海はあっても水戸藩が抱けなかった視点です。
世界史的に機運が高まっていた国際貿易に気づいたからこその躍動と言える。
そして主役が渋沢栄一となれば、多少の誇張はしてでもその視点を取り入れて欲しいと思ってしまう。
攘夷で盛り上がりながら「家族のことを思ったから無理だよね」でなく
「あの異人に藍染を売ったら儲かるんじゃないか?」
ぐらいにした方が、クレバーに見えませんか? さすが栄一、銭の感覚には鋭いなwとなりませんか?
今のように感情論ばかり振りかざされてもその辺の凡人と同じでアホ臭く見えるだけです。
放送時に「栄一の賢い頭脳が描かれているんですよね」みたいなツイートが投下されれば、多少はバズるのかもしれません。
しかし私には、栄一の頭脳がわからない。その鋭さは全く読み取れない。
むしろ気になるのは、先週の号泣シーンで涙が流れていないように思えたところとか。それを誤魔化すために照明が暗いように思えたこととか。
軽薄で、誤魔化し体質で、嘘つきで、自分勝手なことばかりが伝わってくる。
去年と比較するのは申し訳ないながら『麒麟がくる』の光秀は賢かったと思います。
これは他の複数名の人物もそうでしたが、彼は【アブダクション】を使っていました。だからこそ、一乗谷の街で会話しただけで、朝倉 義景の軍備がお粗末と見抜けた。
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それにしても、近現代大河に対する目線って甘くありませんか?
渋沢栄一と関係の薄い京都情勢が省かれまくって具体的な事件名すら出てこない。
今後、戊辰戦争は描かれないと私は予想しておりますが、栄一目線でいくなら戊辰戦争スルー、帰国したら幕府滅んでいた路線は確定ですかね。
幕末描く意味はあったのか?となりそうです。
卑劣だろうと、生き延びればいいだに
このドラマはイケメンだの初夜だのうるさい割に、愛がないと思います。
千代に頼まれるまで娘を抱こうともせず、背中を向けている栄一。娘の抱き方があまりにぎこちない千代。
せめてもうちょっと練習できなかったのでしょうか?
家庭科の授業で赤ちゃん人形を抱っこする中学生コンビのようで、夫婦愛がまるで感じられません。
それに、家族愛もアリバイじみている。
とっつぁまにせよ、栄一にせよ、いちいち入るわざとらしい挿話を辿れば、結局、自分が出世したいだけのように思える。
攘夷計画を中止するときだけ、普段はあれだけ冷たい態度をしていた家族のことを取ってつけたように思い出す。
焼き討ちにあう被害者のことを思った方がマシだったかもしれない。
日頃は周囲に冷たいくせに、いざとなるとアリバイに家族愛を持ち出す――要するに卑劣なんですね。
160両ちょろまかした息子をテキトーに誤魔化しているように見える。そんな父子もあまりに薄っぺらい。鉄拳制裁するくらいの方がまだマシでしょう。
結局、生きるか死ぬか、金がなくて明日死ぬかもしれないなんてことがない。
甘やかされたお坊ちゃまの、しょうもねえ自己満足を見せられているような感覚。
『花燃ゆ』の方がそこはマシだったかもしれない。あれは吉田松陰が叔父にかなり厳しくされておりましたから。
このドラマは作り手が「生き延びればいいだに」みたいなことを言うのが聞いちゃいられないというか、日本人はそんな簡単にご先祖の苦労なり経験なりを忘却するものかと愕然とさせられます。
水戸藩が提唱したテロリズム思想のせいで犠牲に遭った者もいる。その子孫だって今の時代を生きているんですけどね。
“通俗道徳”の明治は藩閥コネまみれ
このドラマは大変有害です。
確かに江戸時代は福沢諭吉が「門閥制度は親の敵でござる」と嘆いたような身分構造はありました。
では、明治政府はそれを正したのか?
というと、そうではない。
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藩閥政治が跋扈する。
西南戦争では、会津出身の山川浩が無理ゲーを強制され、それを跳ね除け大戦果を挙げたにも関わらず、
「山川は会津じゃろが」
と長州出身の山県有朋が文句つけたというのだから、どうしようもありません。
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浩の弟・山川健次郎が活躍したことで、この流れを否定する意見もありますが例外でしょう。
留学生は薩長が多い。それがなまじ同郷出身者同士で遊んでしまうため、「負け組のガッツに期待だ!」枠に健次郎が入っただけです。
山川兄弟の妹・捨松、そして津田梅子の場合、「まっとうな女は留学させられないから」という理由で選ばれています。
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捨松は困窮した家庭における口減らしというどうしようもない裏事情がありました。
しかも留学から帰国したら、
「英語できる女がいてもしょうがないわ! そこのところ無計画に留学させちゃった、適宜嫁にでも行け。って、もう歳を取りすぎたか」
とぶん投げられる最悪の展開に遭遇します。
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そう考えると、新札の顔として津田梅子の方が断然大河向きだと思いますけどね。
朝ドラですって?
なぜ女性だとそうなるのか……。
近現代が朝ドラなら、渋沢栄一だって朝ドラでよかった。『マッサン』や『あさが来た』という先例もあります。
話を戻しますが、本作で誘導するような「身分差別のない明治時代」なんて大嘘は危険でしょう。
渋沢栄一が出世できた理由は幸田露伴が分析しています。
時代の子。上向きの明治にうまく乗ったのです。
彼が一番才能があったかどうかは正直不明。たとえ才能があっても、負け組として屯田兵になるしかなかった人もいたでしょう。
ドラマにおいては鋭い才覚を見せるワケでもない。
浮かれ騒ぐ軽薄なラッキーボーイ。
一年通してやる意味がわかりません。
10倍楽しみたい昭和の理想像
この大河は成功作にされているようです。
どの層でそう捉えられているのか?
私なりに見えてきたのは、
日本人
中高年
男性
プロパー
そういうエリートとしての自意識がある層ですね。
ここでは【四拍子層】と呼びましょう。
彼らの心をくすぐる仕組みがあって、かつ日本のメディアはこの層からの影響が強い。
週刊文春で『青天を衝け』特集していたぐらいです。
「でもイケメン揃えてスイーツアピールしているでしょ?」
◆ NHK大河「青天を衝け」出演者に志尊淳、犬飼貴丈、福士誠治ら11人発表(→link)
はい、それはその通り。見事なイケメン揃いですね。
でも、このドラマに出てくる女性像って、こういうエリート男性様が好きな、昭和の理想像にあてはまるんですよ。
例えば千代役の橋本愛さんは、初夜をやたらと強調。テロップで役名が渋沢千代になってキュンとするような趣旨のことを語っていました。
「やっぱり女っていうのはさ、好きな男の名字になるとときめくもんだろ!」
夫婦別姓論で出てくる王道の話ですね。選択制なら、そういう方は夫婦同姓にすればよいだけ。そもそも夫婦同姓って幕末ではどうでしたっけ。
一方で、朝ドラ『おちょやん』はこの手のメディアから叩かれます。過去には『スカーレット』もそうでした。
『スカーレット』の場合、ヒロインの家に婿入りするので結婚や離婚により女性の姓は変わらない。
『おちょやん』は、離婚して旧姓に戻った週のタイトルが「竹井千代と申します」でした。離婚によって開放感を味わっていて、ヒロインが同居する継母と姪は全員姓が違う。それでも消えない絆がある。
要するに、朝ドラは家族制度に「異議あり」と言い切っているのですね。
言い換えれば、受信料を使ったドラマから「おっさんの価値観もういらねえっすよ」と言われている。
一方で『青天を衝け』は四拍子層にとって最後の砦でしょう。
そこには『麒麟がくる』の駒みたいな、生意気なキャリアウーマンは出てきません。
ですから、おなじみ日刊ゲンダイさんもニッコリするんですね。当初は四拍子層が大嫌いなイケメン主演で叩いていたのに、今ではニコニコえびす顔でこういう記事を出すわけですね。
◆「青天を衝け」“渋沢栄一劇場”を10倍楽しむオモテとウラ(→link)
彼らが何にニヤニヤしているか?
せっかくだから分析してみましょう。
名実ともに「大河の顔」になってきた(吉沢亮さん写真のキャプション)
幻の初夜シーン…(橋本愛さん写真のキャプション)
栄一には知られているだけでも3人の妾がいた。
その1人である大内くには、何と神保町にあった当時の栄一の自宅で千代の許しを得て「妻妾同居」した。
栄一の2人目の妻・兼子との間に生まれた四男・秀雄はその著書「父 渋沢栄一」で、「社会的な活動は則天去私に近かったろうが、品行の点では青少年の尊敬を裏切るものがあった」と嘆いている。
妾のほかにも芸者や住み込みの女中などにも次々と手を出し、庶子や隠し子が一説には約50人もいたと言われる。
「英雄、色を好む」というが、NHK大河ドラマの主人公としては少々、「不都合な真実」かもしれない。
英雄、色を好む――。
って、それ上杉謙信にも言えるのか。あくまでケースバイケースであり、明治時代でも、渋沢栄一の女癖の悪さは悪評まみれでした。
それがNHK様が取り上げてくださる!セクハラ王道の言い訳ができる! ありがてえ!ということですね。
また次の記事。
◆『青天を衝け』攘夷にのめり込む栄一「みんなが幸せなのが一番」の精神で (1)(→link)
こういうレビューも相当危険なんですよ。
以下に引用させていただきますが、性的逸脱を本能で片付ける本能論に依っています。
これって「子孫繁栄につながらない」という名目のLGBT否定につながりかねませんし、「性的暴行は本能」という危険な論調にも直結しかねないのです。
ゑいの言ったことで印象的なものはまだある。
市太郎が亡くなったとき、嘆く千代に「どんな偉いお殿様だって何十人と子をつくってちゃんと育つのはほんの一握り」と栄一が生まれる前に2人の子を亡くしていると語っていた。
この場面を見て、この時代、男性が正妻以外に子どもをあちこちに作っていたのは、1人でも未来に子孫を残そうという生物の本能からだったのかもしれない。
それもひとつの「みんなの幸せ」を考えてのことであろうかなんてことを思った(あくまで個人の感想です)。
生きるためにどうすることが正しいのかも、よくわからなくなってくる。
本能論で庇うなら『麒麟がくる』で信長が松平広忠を殺した話も問題なくなります(あの信長は現にそう思っていたと推察できます)。
だって広忠は潜在的恐怖。
それを除去するのは本能的に正しいことになる。
たかがドラマの感想なんですけどね。四拍子層を調子づかせそうな「わきまえた意見」だと感じたので、突っ込ませていただきました。
ちなみに、この手の記事ってなぜ「10倍楽しむ」が好きなんですか?
そもそも1の状態がわからない時点ではあまりに根拠薄弱であり、理解できません。
日本スゴイ論
渋沢栄一の持ち上げ記事を読んでいて、気づくことがあります。
日本スゴイ!論調が漂っている。
そもそも「日本資本主義の父」と言われたところで、なんなんでしょう。
終わらない不況がどんどん伸び、「まだコロナで伸ばす気らしい」だの「オリンピックとか正気か?」と海外から突っ込まれる2021年。
日本が凄いのならば、今の状況ってどうなんです?
物価は上がらず給料も据え置きあるいは減収で、若い世代は未来は描けない。ごく一部、高収入の高齢化世帯だけが安泰という現実に包まれている。しかも高齢化社会は今後さらに進み、それを支える世代もいない。
要は日本全体が沈んでいる最中でしょう。
そんな最中、無責任に日本スゴイの賛美を見せられ、初夜の話をして、気を紛らせてる場合でしょうか。
上司との接待カラオケで拍手するノリに、私は付き合いきれません。
むしろ『麒麟がくる』の光秀みたいに、上司から帰れと言われれば帰宅し、宴会でダメ出しする。そんな人生だった!
そんなわけで、特に頼まれていませんが、歌いたいと思います。ハーヨイショ!
『バイオハザードヴィレッジ』の宣伝見ていて思いつきました。
はぁ~!
算盤(そろばん)無ェ
論語が無ェ
史実かどうかもわから無ェ
知恵も無ェ
愛も無ェ
説明ばかり 毎回ぐーるぐる
イケメンで 誤魔化され
踏み潰される史実要素
センスも無ェ
笑いも無ェ
見続けるためには 堪えねば無ェ
俺らこんな大河いやだ
俺らこんなドラマいやだ
突っ込むしかねえだ
見届けたら
銭コア貯めて
来年の予習するだぁ
幕末の水戸藩が闇鍋状態
最後に。
◆ 吉沢亮主演「青天を衝け」が低迷 V字回復に必要な恋愛パートと「田中みな実」(→link)
この手の記事を見ていて気づいたことがあります。
四拍子層にせよ、その他の皆様にせよ。水戸藩の幕末知識があまり浸透されてない?
市販されている書籍にしても、薩長土肥関連は豊富(肥前は影が薄いけど)で、会津と新選組も揃っている。
しかし、水戸関連はまるでブラックホールのように空いている。
なぜ水戸藩はピックアップされないのか?
凄惨な過去が曖昧にされているから、『青天を衝け』では、ああも明るくはしゃげるのでは?と思うようになりました。
ガイドなりインタビューを読む限り、水戸藩に対する理解が非常に脆い。
あまりに能天気だと思うのです。
◆ 満島真之介、「青天を衝け」は今を生きる我々に勇気を与えてくれる作品(→link)
こういうインタビューなんて『まぁそういう丸め方しかないよなぁ……』と同情してしまいますが、もしも水戸藩の展開を知ってしまったら、どこから生きる勇気を得ればいいのか。
勇気どころか顔を引き攣らせながら落ち込むばかりでしょう。
しかし本作の作り手やキャラクターは、その辺、都合の悪いところは一切無視。おそらく面接試験はお得意なタイプでしょう。その場しのぎで良いことを言えちゃう。
一方『麒麟がくる』は、信長にせよ、光秀にせよ、筆記で通って面接で落とされるタイプでした。
陽キャ優等生の、陽キャ優等生による、陽キャ優等生のためのドラマ――それが『青天を衝け』なんですね。
★
土曜ドラマ『今ここにある危機とぼくの好感度について』がいいです。
渋沢栄一よりも、このドラマの理事会と自分を比較することで、きっと得られるものがある。
◆『今ここにある危機とぼくの好感度について』第2回(→link)
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【参考】
青天を衝け/公式サイト

















