鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第40回「罠と罠」

後鳥羽院が硯に向かって何かを記し「こんなものか」と満足げな表情を浮かべています。

なんでも火事で燃えた内裏殿を建て直すとのことで図面を引いている。

背後には藤原兼子慈円の姿もありました。

内裏に覗き穴をつけ「外を見てやる」とニタリと笑う後鳥羽院。

慈円が「覗けるということは覗かれること」だと返すと、兼子がこう続きました。

「実朝は内裏の修理を引き受けるだろうか?」

引き受けると後鳥羽院は確信。同時に、坂東武者には重い負担になるだろうと悪だくみをする顔でほほえみます。

それを北条義時がどう乗り切るか?

最近調子に乗っているからお灸を据えてやろうという算段のようです。

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土木工事を課して勢力を削ぐ――このやり方は、後に色んな場面で引き継がれましたね。

『麒麟がくる』では、御所の修理に大名がどれだけ金を出したか、斎藤道三が語っていました。そこであの今川義元よりも多額の金を出していた織田信秀が、今後のびると道三は見立てていたのです。

江戸時代を迎えては、今度は「城の工事」が各地の藩主に課されましたね。

それ以外にも参勤交代や江戸屋敷の整備、官位の売買など。

大名は何かと金のかかる生活に追い込まれてゆきました。

 


御家人の不満が義盛に集ってゆく

義時は事実上の指導者として将軍実朝を圧倒する。

その決意の固さは怯えの裏返しなのか、義時――。

長澤まさみさんがそう語る中、穏やかな日々に終わりを告げた鎌倉の物語が始まります。

御家人たちの不満に耳を傾けるのは、見事なひげをたくわえた和田義盛

なぜ、ほったらかしにしていた建物を直さねばならんのか? 上皇様が命じたとはいえ、他にもやることはある!

今にも爆発しそうな御家人たちが並んでいます。

一人離れたところに座っていた八田知家が、彼らから意見を求められると、立ち上がりながら断言しました。

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「命じられた仕事はこなす。俺はそういう男だ……ただし、相手が坂東に限る」

これには御家人たちも同意しかないようで、

「そうだ、坂東に限る!」

「坂東しかやらんぞ!」

「俺たちは坂東武者だ!」

荒々しく結束して不穏な空気が漂います。

確かに後鳥羽院は巧みだ。義時の足の裏を炙るようなことを始めました。

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その義時は、弟の北条時房から「内裏の件で御家人が不満を募らせている」という報告を受けています。

言わせておけばいい。

とはいえ、義盛の館で好き勝手に盛り上がっているとなると、不満分子の旗頭になる危険性があることは義時も承知しているようで、ため息が出てしまう。

そんなとき一つの事件が起こりました。

 


泉親衡の乱

事件とは?

いわゆる【泉親衡の乱】のことでした。

信濃小県の武士が仲間を集め、御所を襲って北条義時を殺そうと企んだのです。

三善康信からそう聞かされても、さほど動揺していない義時。

二階堂行政が、関連した者の名前を把握しており、大江広元がどうするか?と促します。

とりあえず全て捕らえて、厳罰に処す――義時がそう決断しますが、ひとつ困ったことがありました。

事件関係者の中に、和田義盛の身内の名前があったのです。

子息が二人、甥が一人。

和田義盛の子・和田義直が謝っています。

義盛はそもそも「泉なんとか」が誰かすらわかっていない。

どうやら甥の和田胤長が所領に戻る途中、声をかけられたとのことで、「いかに北条が汚い手を使ってきたか」と聞かされるうちに、気がついたら仲間に加わっていたそうです。

和田義重は平太(胤長)に誘われて聞きに行っただけだと弁解しますが……なんだか胡散臭い話ですね。

「泉なんとか」とは何者なのか?

いずれにせよ身内がトラブルに巻き込まれ、黙っちゃいられないのが和田義盛。

あとは任せろ、義盛が頭を下げりゃあ、大抵のことはなんとかなる! と言い切ります。

それにしても事件の大元である「泉なんとか」が問題でしょう。大江広元も気になっているようで、義時にこう告げています。

「乱の中心にいた泉親衡を調べても、霞のように消えてしまった。西からの雅なにおいがします」

上皇の企みか? しかし、上皇は鎌倉殿のことを気に入っている。

嫌っているとすれば……

「私か」

思わず義時が苦笑します。

上皇が嫌っているのは、実際に政を動かしている北条。その事実を御家人に浴びせ、揺さぶりをかけることで勢力を排除しようとしているのではないか?というのが広元の見立てでした。

坂東の北条と、京都の上皇がぶつかりあう。華夷闘乱の運命が確実に近づいてきていますね。

泉親衡とは結局誰だったのか?

突然現れ、御家人たちを唆し、フッと消えた――まるで霞のような男のために動乱が巻き起こるのですが、なんとその正体は源仲章でした。これはあくまでドラマ上の設定ですので、そこはご注意ください。

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本作はつくづく「兵形象水(兵の形は水に象る)」だと思えます。

孫子』「虚実篇」由来で「軍隊に定まった形はなく、敵の情勢や戦い方に合わせて対応すれば勝利を得られる」という意味ですね。

逆に、たとえ根拠が弱くてもいざ心が取り込まれて乗っかってしまうと、どんどんそっちの方向へ流されてしまう。

では、その流れを生み出すものは何なのか――人の心とは、実に恐ろしいものです。

 


息子は無罪 甥っ子は処罰

義盛が、俺の顔に免じて許してくれと頼み込んでいます。

本気じゃない、つい調子に乗っちまった、戦を起こす気なんてない、俺が言うんだから間違いねぇ!

そう言った矢先から、正反対でのことを並べる。

「俺は皆に頼まれて来てるんだ。いい返事がねえんだったら、こっちにも覚悟がある!」

もはや脅迫です。

理屈も何もない。義盛は北条時政と同程度の段階で止まってしまった。

人間としては嫌いではないけれど、幕府の侍所の頂点にいると考えるとこれはどうなのか?

義時の気持ちもわかります。せめて武装解除とか、人質を差し出すとか、何らかの保証を持ってくるのが筋でしょう。

義盛はなおも続けます。

相撲で決めようじゃねえか!」

相撲が駄目ならば戦しかねえ。戦か相撲か。結局、腕力じゃないですか。

いきりたってもらっては困る、まとまる話もまとまらぬ――義時がそういなすと、義盛は二度とこういうことなんかならぬよう、眉毛を剃らせようかと提案します。

俺も両方剃るとかなんとか……思わず義時も吹き出してしまいます。和田殿の顔を見ていると、真面目に話しているのが馬鹿馬鹿しくなると。

「よく言われる」と義盛自身がそう返すんだから、もうどうにもなりません。

二人の間へ入るように時房が処罰の内容を読み上げました.

四郎義直と五郎義重はお咎めなしですが……。

「この男だけはそうはいかぬ。和田平太胤長……」

義盛の甥に対しては厳しい処断がくだされることとなりました。騒動のキッカケを作った人物ですので仕方のない話でしょう。

義盛は、なおも“かわいい甥っ子”を庇おうとしますが、相応の罰を受けてもらうと義時が突き放す。

「小四郎、つれないこと言うなよ!」

そう懇願しても、命を取らぬだけよしとしようと時房も繰り返すだけ。

確かに義盛は愛嬌たっぷりですが、もう少し深く真面目に事態の重さを考察すべきでしょう。それこそ眉剃りでなく、剃髪して出家しては? 岡崎美実という前例もあります。

自分の価値を本当に知っているのならば、そうして嘆願することもできたはず。

それが相撲だの眉剃りだのでは、まるで成長していない。ふざけているのか?

思わず義時の気持ちになってイライラしてしまいそうです。

 

98人の和田義盛

そのころ和田邸では、巴御前が義盛の子の多さに驚いておりました。

「義母上!」

叫ぶ大勢の義盛の子たち。明日、この大勢で御所へ出向いて、平太を許すよう訴えるのだそうです。

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これだけの髭面が押し寄せれば小四郎もわかってくれると言う義盛ですが、何の根拠もないところが痛々しい。

確かに、相手が時政ならばグッとくるかもしれない。

実朝だったら許す。

しかし相手は、義時です。むしろ威圧と取られかねない。

と、そこへ暗い顔の朝比奈義秀がやってきました。どうにもうかくいかねえ、とか、せめて一目だけでも娘に合わせてやろうと、和田胤長を案じています。

「煩わしい……実に」

やはりため息をついてしまう義時。

大江広元は、上総広常を思い出すと声をかけました。

「同じことを考えていた」

和田は今や御家人の最長老であり、最も頼りになるものが最も恐ろしいと義時が続けます。

となると……よい機会かもしれない。義時と広元の意見が一致します。

確かに上総介広常と状況は似ています。

広常も義盛も、圧倒的な軍事力を保有するだけでなく、人望とカリスマも備わっている。

それらをいかにして消すか……ということですが、かつて義時は眼の前で広常が殺されたとき、大いに動揺し、苦悩していた。

それがです。今やあっさり始末する側に回っています。

時房が慌てて義時のもとへ。

なんでも無数の和田義盛が集まっているとか。

赦免を求め、実に98人もの和田一族が御所へ来たのです。

政所で皆が話し合います。

和田義盛の甥・和田胤長はすでに陸奥へ流罪と決まっている。

ここで和田一族の訴えを聞き入れ、許したら、今後、同様の事態が頻発する可能性があり、とても対応できない。

息子は許したのに何が不満なのか!と二階堂行政が憤っていますが、確かにその通りで、もはや義盛の話の通じなさは煩わしいとしか言いようがないのです。

「慌てるな、考えがある」

義時はそう返しますが、いったいどんな策が……。

”無数の義盛“の前に、縛られた和田胤長が引き立てられてきました。

義時の策とは挑発。あまりに酷いと言えばそうでしょう。

「平太! 平太!」

鎌倉殿に会いたいという訴えを時房が遮り、平太と呼ぶ声が虚しく響く。

和田一族が不憫でならない。感情面から考えればそうなりますが、そもそも訴え方がおかしいのも事実。もしもこんな要望が通ったら秩序も何もなくなってしまうでしょう。

義盛、頼みの綱である鎌倉殿はどう対応するのか?

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