光る君へ感想あらすじ 光る君へ

2024年大河ドラマ直前予想『光る君へ』は一体何が見どころなのか?

2023年は歴史的な節目として、記憶されることでしょう。

それは大河ドラマも同じことです。

『どうする家康』は「シン・大河」どころか、ひとつの時代の終わりでした。

あの作品は振り返りたくないものの、やらねばならないことはあります。

2023年に何が終わり、2024年に何が始まるのか?

そこも踏まえ考えていきましょう。

 


戦国・幕末ローテーションの終焉

大河ドラマといえば、延々と戦国と幕末を繰り返していると指摘されます。しかし、これは実のところ不正確ではあるのです。

ここに【江戸中期(綱吉〜吉宗)】時代も定番としてあり、実質的には三本柱でした。そして幕末は、実のところそこまで数字が取れるわけでもなく、定番のようで実はそうとも言い切れないものではありました。

それが1999年『元禄繚乱』を最後に、【江戸中期】という柱が抜けた状態が続きます。

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訣別すべき「プロパガンダ大河」

そうして抜けた柱に何が入るか?

2010年代になると、あやしげな柱が収まります。【プロパガンダ】です。

2013年『八重の桜』放映時、大物政治家が大変ご立腹であるという報道がありました。山口県民の不満も報道されました。

しかし、これは異常ではありませんか?

例えば1985年『独眼竜政宗』放映時、山形県民からは最上義光を必要以上に貶めることに対し、不満がありました。

この時はむしろ山形の不満は小馬鹿にされたものです。それがなぜ、山口県の意見はこうも特別視されるのか。

そしてその2年後の2015年、吉田松陰の妹のうち、最年少で最も影が薄い文をヒロインにした『花燃ゆ』が作られます。

当時、山口県は明治維新150周年の2018年をターゲットにして、長州ファイブあたりで誘致する動きがあったとされます。

それがNHK側が吉田松陰の妹を持ち出した。伊藤博文夫人といったヒロインではいけないのかと、地元でも困惑していたとか。

要するに、無理のあるヒロインを、『八重の桜』に対するあてつけのように持ち出してきたということです。山本覚馬なんて誰も知らんような男の妹が大河の主役になれるのならば、吉田松陰の妹でもできるだろうと。そういう意図は感じます。

兄の知名度でなく、本人の人生をふまえると、八重の方が文よりはるかに描くものがあると思いますが。

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それ以外にも、このドラマについてはおかしな事象が山ほどありますが、それは機会があれば別の時にでも。

大体そもそも、考えてみてもくださいよ。大坂の陣400年目が2015年です。それなのに、なぜ真田信繁が主役の『真田丸』は、401年めという間抜けなタイミングで放映されたのでしょう?

そして2018年『西郷どん』。明治維新150周年という区切りではあるものの、不正確で出来が悪く、胡散臭いドラマでした。

これにもおかしな要素がたくさんありまして、個人的にまとめてはいるのですが、それもまた別の機会にでも。

そして2019年『いだてん』。

大河ドラマが近代史路線復活を狙っていたわけでもない。本当にそうであれば、1980年代前半のように数年かけます。

それなのに、唐突にねじこまれた題材です。脚本家はスポーツに興味がないと公言していたにも関わらず、指名されています。提灯記事の異常なまでの大量生産も顕著な作品です。

あの東京オリンピックそのものが汚職まみれであり、札幌は招致が中止されました。

それでこの大河だけがクリーンだと、どうして言えるのでしょうか。

あのファンは固定ファンが多く、こちらから聞いてもいないのに「でも『いだてん』は好きだ」と語る人も多いものです。私は逆に問い返したい。

ドラマとして好きだと思うことは結構です。しかし、背景にあるプロパガンダとして側面をどう理解しているのかと。

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2021年『青天を衝け』。新札の顔が大河になるのだから、これぞお上の意向を反映させるに決まっているでしょう。

経歴や自身の性格を踏まえた上で、新札で最も大河主役に適している人物は津田梅子であると思います。北里柴三郎はあまり向いていない。

渋沢栄一は? どうして選ばれるのかわからない。全くもって不適切であり、将来的に禍根を残しかねない人物です。

くだけた言い方をすれば、渋沢栄一の自伝なぞ、若い頃テロ未遂で逮捕されかけたのち、のしあがったブラック企業社長の自分語り。伝記を執筆した幸田露伴がすっかり嫌気がさしたと言うのも、腑に落ちる話です。『花燃ゆ』『いだてん』と並ぶ、主人公が大河不適切枠だと思います。

ちなみに『獅子の時代』は、渋沢栄一が主役候補だったという説もあります。ただ、あまりに不向きとされて変えられたとか。真偽はさておき、渋沢栄一がでた大河は『獅子の時代』と『青天を衝け』しかありません。

渋沢栄一が主人公として、どう不適切か? さらに指摘しましょうか。渋沢栄一が紙幣の顔となるのは、これが初めてではありません。日韓併合前夜の大韓帝国時代、彼の顔も紙幣を飾っていたのです。ドラマに政治的な火種を持ち込んでいます。

◆ 「渋沢紙幣」大韓帝国下で発行 韓国メディアは反発(→link

そんな題材の時点でおかしいこのドラマは、ペース配分も異常です。渋沢の主な業績である明治以降は最低限に圧迫され、幕末までの配分が異常に長い。

日本近代史に詳しい方に、この大河の話をしたことがあります。明治よりも幕末偏重構成だと語った時点で、相手はため息をついたものです。それで渋沢栄一を主役にする意味はあるのかと。

ただ、制作側がこの異常性に気づいていなかったとは思えません。隠蔽は万全でした。

人気のイケメンを主演にし、やたらとラブコメとセクシーな場面を入れ込む。『あさが来た』でブレイクしたディーン・フジオカさんを、同じ五代友厚役で続投させる。

そして極め付けは、徳川慶喜をカリスマ的な人気のある元ジャニーズタレントに演じさせること。

こうして【プロパガンダ】という柱から、別の魔星が飛び出したのです。

 


アイドルプロモ大河というカードの裏

『青天を衝け』と『どうする家康』は、カードの裏表のような大河ドラマでした。

『青天を衝け』放映前、準主演俳優のファンがこう書き込んでいて、ゾッとしたものです。

「つよぽんが演じるんだから徳川慶喜はいい人に決まってるよね」

演者のイメージに歴史上の人物を合わせてはいけない。基本のはずが、破られたらどうしよう。ファンが多い役者だけに不安だなと。

懸念は的中しました。

それどころか、脚本家はじめスタッフまで、堂々と役者からのイメージで慶喜を描いたと語っていたのです。

その結果、島津久光を侮辱して怒らせる幕末最大のオウンゴールは「快なり!」と叫ぶ爽やかな演出をさせられるわ。

倒幕最大の要因であった慶喜が、綺麗な善人にされるわ。その過程で、天狗党大量虐殺からすら、慶喜が免罪されるわ。

あまりの歴史修正ぶりには愕然としました。ドラマ10『大奥』の慶喜は、この歴史修正を上書きする良識的な描き方でした。

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影響はここで終わらなかったと、2023年に判明します。

ジャニーズ喜多川氏の性犯罪がBBCにより報道されると、事務所そのものの異常な姿勢まで明かされるようになりました。

ジャニーズ事務所が嫌う“辞めジャニ”(ジャニーズ事務所を退所したタレントのこと)を起用すると、事務所が臍を曲げてしまう。そのリカバリが大変なのだと。

“辞めジャニ”というカードを使った『青天を衝け』に対し、 NHKが大盤振る舞いをする羽目になっていたとすれば?

これはあくまで私の推察ではあります。ただし、『どうする家康』が事務所上層部のお気に入りであったことは確かです。

そしてアイドル人気に頼り切ったこの2作には、嫌な共通点もあります。

・時代考証がアリバイ的でお粗末である

・脚本家の歴史知識が甘い(そうは言ってもかなり差はある)

・脚本家の歴史修正への忌避感が希薄(これは『青天』のほうがマシなようで、近代史であるぶん悪影響は強い)

・お色気サービスの多さ

・小道具、VFX、衣装の作りが粗雑

・所作、殺陣指導が粗雑

・短時間で作っていると思われる部分が多い、脚本の仕上がりが遅い可能性がある

・提灯記事がやたらと多い

・大河に辛口のライターは仕事を振られていないと思える

あくまで推察ですが。そうはいっても『どうする家康』の方がはるかにお粗末であったことは確かです。政治的なブーストもかかりにくいためか、『青天を衝け』ではごまかせたことが通じなくなりました。

大河ドラマの2010年代から2020年代前半を振り返ってみると、【プロパガンダ】と【アイドルプロモ】によって枠ごとズタズタにされたことがわかります。大河は自らを破壊したともいえる時代です。

これも必然でしょう。

長い間権力を握っていると、腐敗します。フィクションのファンダムは荒廃します。

テレビ視聴者数は減少し、大河ドラマの視聴率も右肩下がりです。

それのみならず、社会的な影響も減りました。昭和行動経済成長期、大河ドラマは観光とのタイアップが重視されました。

大河の舞台を、家族揃ってマイカーでめぐり、旅館に泊まる。土産も売れる。

大河ドラマは、地方経済に恩恵がある。

そうなると、どういう使われ方をするか。郷土の偉人を褒めることで得点稼ぎをしたい、政治家の影がちらほらと見えて来るとされます。その契機は2002年『利家とまつ』からであると。それが膨れ上がった結果が、前述の【プロパガンダ】路線ですね。

しかし、時代は変わりました。観光業は大河にそこまで需要を見出せない。

今はもう海外からの観光客が圧倒的に多い時代です。海外に大河ファンがいるかというと、そこまで多くはない。城や日本刀をモチーフとしたソーシャルゲームの方が、一年限りでもなく、若い世代にまで届きやすい。

招致運動がなくなったわけでもありませんが、かつてほど盛り上がりません。

大河といえば、観光業の一区切りは、2023年に象徴的な出来事がありました。「信玄公祭り」の信玄役として、大河ドラマからではなく、ドラマ10『大奥』で話題をさらっていた冨永愛さんが起用されたのです。初の女性による信玄は大いに盛り上がり、海外からの観光客も熱心に画像をSNSにアップしていました。

こうした変化を経てきて、今のNHK大河は、『アナと雪の女王』のエルサ状態かもしれません。

もうやっと自由――観光需要でもない、プロパガンダでもない、あのアイドル事務所でもない、私たちの作りたいものを作る。そこに回帰できたのかもしれません。

この流れは2023年には存在していたと思えます。ドラマ10『大奥』です。

実質的にこちらが大河だという意見も多かったこの作品。『光る君へ』はその流れを汲んでいると思えます。

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大河ボーイズクラブとの訣別

そんな新時代、視聴率だけではない新たな試み、存在意義が求められるようになるのは当然のことです。

2023年の失敗は、ある意味良かったのかもしれません。戦国時代・三英傑・アイドル主演・人気脚本家という、外さない要素で固めておきながら、実質的にワースト作品になりました。

これだけ勝てる要素を揃えても勝てないなら、いっそ、そこからはみ出してもよい。そう発想を転換させたのであれば、それは良い材料なのです。

そもそも2023年大河が揃えてきたこの勝てる材料というのは、考えてみれば大きく欠如している要素があります。

多様性です。

この勝てる要素は全てボーイズクラブ――男性目線でしか数えていません。どれも“男の子”が好きそうな要素ばかり。女性向けアイドル主演という要素にせよ、男の子が考えた「女子が好きなピンクのおもちゃ」のような話ですから。

この“男の子”のおもちゃが大河で、朝ドラは“女の子”のものというよくわからない区別は、一体なんなのでしょうか。たどっていけば少年と少女雑誌に分かれていた時代あたりでしょうか。

いずれにせよ、近代的なジェンダー観の残滓でしかありません。嗜好の男女差は刷り込みであり、最近は嗜好を進めるアルゴリズムから性差は排除されているといいます。

この「大河、あるいは歴史ものは男の子のものだ」幻想はいち早く捨てましょう。ただの邪魔です。

たとえば2010年代世界的ヒット作である『ゲーム・オブ・スローンズ』。海外ではファン層の男女比にそこまで差はない。Wikipediaにはドラマの項目欄に「フェミニズム批評目線での人物像」とあるほど。

華流や韓流でも、ことさら男性のものだという認識もありません。イケメンキラキラ時代劇の本場と化しております。今の若い世代は『陳情令』『魔道祖師』に夢中。そもそも日本だって、かつては女性が美男時代劇俳優に夢中になっていたものです。そういう時代もの美男が好きな女性ファンが海外に流れていく、危機的な状況を認識してください。

それなのに、日本となると「男はやっぱりこういうのが好きだよな!」と誘導されます。その結果、ボーイズクラブと化した大河は陳腐化してゆくのです。

そうそう、「時代劇は合戦だ!」というのも古い。今は予算がかかるし、往年の合戦とはまた別の工夫を凝らした見せ方が重視されています。

「やっぱり大河は男のものだよなw」

「合戦がないとなw」

「戦国じゃねーと見る気しないしw」

こういうまとめサイト的な意見は無視しましょう。完全に訣別すべきとは言わない。しかし、本気にしすぎると危険なノイジーマイノリティの言葉でしょう。

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2024年と2025年は、女性が脚本はじめ、主要スタッフ上位に並ぶことが続きます。大河の歴史をたどれば、数年に一度は女性を狙った題材が選ばれてきました。

そうではなく、続けて。女性に向けてあえてサービスするのではなく、女性が手がけて当然だという認識が見えます。

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