こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
【オットセイ将軍】
をクリックお願いします。
お好きな項目に飛べる目次
化政文化が花開き財政傾く
もしかしてオットセイの効果は健康面全体に及んでいたかもしれません。
というのも家斉は実に50年もの間、将軍の位にあり、反面、大した政治の結果は残しておりません。
「松平定信を老中に登用し、寛政の改革を行った」には違いないのですが、結局のところ「定信は質素倹約が厳し過ぎるからクビね!」と6年でお払い箱にして、その後は我慢の反動なのか贅沢三昧の暮らしをしています。
それが江戸の風俗や文化には良い方向に働いたのでしょうか。
家斉の元で化政文化は花開き、そして幕府の財政は傾きました。
それを補うため、小判の質を落とす鋳造政策を8回も行ない、結果、インフレを招いて経済を混乱させるなど、将軍としては痛い経歴しか見当たりません。
そう、子作り以外は……。
漢方薬の『海狗腎』 は栄養バッチリ
先程も申し上げたように、家斉は28男・27女と合計55人もの子供をもうけました。
神君家康ですら16人だったのに、55人ともなればもはや異常です(53人説もありますが、本記事では国史大辞典の55人説に準拠)。
たしかに将軍にとって血筋を残すことは大変重要な仕事でしょう。
無事に成人したのは25人でしたので、当時の子供の死亡率がいかに高いかも見てとれます。
しかし、家斉はなぜそこまで子作りに励んだのか
実家の一橋家から「子女を多く作るように」と訓告されたのも大きいですが、やはり栄養面での補助も働いたのかもしれません。
パワーの源として服用していた「オットセイのペニス」。
実は漢方薬として昔から飲まれていたものなのです。
『海狗腎(カイクジン)』という名前で、豊富なタンパク質と男性ホルモンを含み、腎気を補うとのこと。
あくまで個人的な意見ですが「アザラシの雄はハーレムを作る」という性質が、「性的に強いイメージ」に繋がり、それがオットセイでも精力剤効果がある――という流れなっているのでは?と思ったりします。
また、簡単には手に入らない希少価値もポイント高いですよね。
『海狗腎』は家康も使用していたようで、蝦夷福山城主に「献上するよう」命じた記録も残っております。
健康ヲタクで知られた家康も実際に子沢山なであり、本当にそれなりの効果があるのかもしれません。
家斉はオットセイのペニスを粉末化したものを愛飲していたため『オットセイ将軍』というあだ名をつけられました。
今風に例えると「バイ@グラ社長」といったとこですね。こんなあだ名が付くあたりで色々ご推察下さい。
あわせて読みたい関連記事
江戸期以前の乳幼児死亡率は異常~将軍大名家でも大勢の子が亡くなる理由は?
続きを見る
子供を55人も作った11代将軍・徳川家斉 一体どんな治世だったんだ?
続きを見る
御三家と御三卿って何がどう違う? 吉宗の創設した田安と一橋が将軍家を救う
続きを見る
徳川家康はなぜ天下人になれたのか?人質時代から荒波に揉まれた生涯75年
続きを見る
なぜ徳川秀忠が二代目将軍に選ばれたのか 関ヶ原の遅刻は問題なし?
続きを見る
家光の実母はお江ではなく春日局だった?ミネルヴァ日本評伝選『春日局』が濃厚だ
続きを見る
文/馬渕まり(忍者とメガネをこよなく愛する歴女医)
本人のamebloはコチラ♪
◆拙著『戦後国診察室2』を皆様、何卒よろしくお願いします!
【参考】
EDネットクリニック/バイエル薬品
媚薬/wikipedia
徳川家斉/wikipedia
徳川家斉の伝説(→link)
化政文化/wikipedia
漢方生薬の中屋彦十郎薬局(→link)
国立公文書館(→link)
yomiDr./読売新聞
徳川家康一族縁者/wikipedia