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【『光る君へ』感想あらすじレビュー第34回「目覚め」】
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中宮様のお心が開かねばどうにもならない
まひろが藤壺の局で執筆していると、疲れた顔をした道長が姿を見せます。
気遣うまひろに「たいしたことはない」と返す道長。
せめて中宮と帝が仲睦まじくしていれば疲れも吹き飛んだかもしれませんが、まひろも「お渡りはある」としか言えません。
敦康親王に会い、物語の話をする――されど道長が期待しているような懐妊はないどころか、帝が中宮の手を触ることすら、まだないとか。
道長はたまりかねたように、なんとかならぬかとまひろに訴えかけます。
「おそれながら、中宮様のお心が帝にお開きにならないと、前には進まぬと存じます」
まひろがそう返すと、道長は「それにはどうすればよいのだ」と返してきます。
お急ぎぬならぬようにと答えるものの、皇后定子が身罷られてからもう六年経過していて、焦らずにはいられないと道長は訴えます。
まひろは手は尽くしているというものの、実質執筆だけのようにも思えます。
それでも道長は猜疑心が薄い性質で、かつまひろを信じています。
「お前が頼みだ! どうか頼む!」
そう言い、執筆を邪魔したとまで言い、頭を下げます。
なんていい人なのでしょう。
まひろはソウルメイトとはいえ、女房に過ぎません。それでもこう腰を低くしています。
用件を終えたようで、道長ははたと気付きます。
まひろに弟がいたことを尋ねると、「任官まで時間がかかったものの、中務省の内記をしている」と答えが返ってきます。左大臣にもお目にかかったことがあるとか。
道長は「そうか」と納得し、その場を去ってゆくのでした。
この道長と藤式部の関係は、女房の間で噂になっています。
足を揉む仲かはわからないけれど、ヒソヒソ、ヒタヒタしている……そう語られているんですね。
実際にこの二人の関係は判然としませんが、こうして語り合う女房がいたことは確かなのでしょう。
そんな話の種が書き留められて伝えられたからこそ、今でも定期的にこの二人の関係は話題にのぼる。
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さらにいえば、この二人の仲が歴史になんの影響もないところもポイントかもしれません。
日本では家柄に箔をつけるため、不義密通の噂すら利用する世界的にも変わった文化があります。
島津家の祖が、源頼朝との不義密通の子というのがその典型例です。
ゆえに自由度が高い、盛りやすい関係といえます。
道長は気遣いの達人
さて、そのころ土御門では源倫子が四女・嬉子を出産し、寝込んでいました。
六度目の出産ながら寝込むことが珍しいのですから、倫子は頑健な肉体の持ち主ともいえます。
長寿の血統なのか。本人のみならず、道長と倫子の間に生まれた子は、皆当時としては驚異的な長寿でした。
場面変わって、藤原斉信がひどく落ち込んで、呆然としています。
なんでも屋敷が焼けたとか。家のものは無事だったと公任が言い、道綱も風が強かったし運が悪かったと慰めます。
よかったらうちに来てもいいよ、と言葉をかけますが、別邸はあるからそっとしておいてやれと公任は言うのでした。
「そうだね」
道綱もそう答えますが、斉信は虚無の顔のまま覇気がありません。
道長から「中納言のお着替え」である直衣一式が届き、道綱は気の利く弟に感激しておりますが、斉信はそれどころではないようです。
その道長は、帝と人事について語っていました。
なんでも蔵人に三名の欠員が出たため、伊周の嫡男・藤原道雅を任じたいと希望を伝えます。
道長は表立って阻止するわけでなく、道雅が若いことを理由に、年長者も入れてはどうかと言います。
そしてここで、まひろの弟である惟規をあげると、帝は「それでよい」と返します。
道長の政治家としての能力があがってきました。
伊周の嫡男、道雅は怒れる青年に育っていた
藤原伊周は、自邸で道雅任官の件を聞き「帝は我が家を引き立ててくれる」と喜んでいます。
そして息子に対し、心して勤めるよう説くのですが、道雅は素っ気なく嬉しくもないと不満そうな表情を浮かべながら「やることはちゃんとやる」と答えます。
この機を生かすようにと伊周が続けると、こう返す。
「この機を生かすってなんですか? 父上の復讐の道具にはなりませんから」
道雅の母である幾子もおり、ハラハラとした表情。
幼少期に父の伊周と叔父の隆家が失脚する様を目の当たりにした道雅は、色々と心が荒んでしまったようで、バイオレンス貴公子として歴史に名を残しております。
初回から、まひろの母・ちやはを殺害し、話題をさらった藤原道兼がおりました。
彼はドラマで描かれた殺人とは無縁です。
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しかし道雅はそうでもないのです。
ドラマで描かれたように謀略のせいで出家してしまった花山院には内親王がおりました。
内親王であっても父がああも数奇な運命をたどれば、娘にも暗い影を落とし、中宮彰子に出仕することになります。まひろの同僚というわけです。
この内親王にアプローチして叶わなかった貴公子として道雅がおりました。
そして師走に事件は起こります。
藤壺に強盗が入り、女房の一人を攫って逃げたのです。
金目のものである衣装を剥ぎ取り、女房は路上に残されました。灯りもない暗い平安京をさまよい歩く彼女は水路に落ち、助けを求めるも得られず、凍死。
その遺骸は都の死体処理係とも言える野犬が食い散らしてしまい、内親王の遺骸は黒髪以外ほとんど残っていなかったそうです。
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犯人は自白してきたものの、世間はこう噂しました。
「黒幕は道雅様じゃないのか? フラれて逆恨みしてたじゃない……」
「あの人ならやりかねないわ!」
そう言われるだけの悪辣さが道雅にはあったのです。
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果たして『光る君へ』ではこのまひろ同僚惨死事件を扱うのかどうか。
私は出る可能性はなかなか高いと考えております。
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