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【青天を衝け第40回感想あらすじレビュー】
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髀肉の嘆
劉備が劉表のもとにいたころ、こんな話があります。
馬に乗り、戦場に立つこともなく、ブヨブヨする自分が悲しい。中年太りが悲しいというだけではなく、功名が立たないことが悔しかったんですね。
肉がついたのに! 功名が伴わない! これぞまさに髀肉の嘆!
そんなことを思い出すのが、このニュースです。
◆【青天を衝け】吉沢亮が全身全霊で挑んだ栄一の生涯 91歳役で8キロ増「年を取ったなと(笑)」(→link)
◆青天を衝け:吉沢亮、栄一役で最終的に8キロ増 「めちゃくちゃパンパン」「すごく体が重い」(→link)
薄々と気づいておりました。顔がパンパンのムクムクになっていったなと。回想場面を見ると落差を痛感させられます。
ただ、それで加齢ができていたかというと、全くそうではない。いつでもイキイキ、鬼舞辻無惨状態。他の役者さんと比較すると辛いものがあります。
太ったのに、その肉にふさわしいものは得られていない。これぞまさしく、髀肉の嘆でしょう。
色々心配になります。
どうも彼は寝る前にドカ食いやアルコールを飲むのが増量手段のようで。
『西郷どん』の時の鈴木亮平さんは精悍さを保った増量をしていたものですが、今年はどうもそうではない。渋沢栄一に精悍さはないから、そこは仕方ないのかもしれませんが。
心身の健康面が大丈夫なのか。色々と不安が募るばかりです。
善く行くものは轍迹(てっせき)なし
儒教ばかりでなくたまには老荘思想でもどうですか?
善く行くものは轍迹(てっせき)なし。
スムーズにうまくやる奴は、跡は残さないもんよ。
『老子』
老子ならこういうインタビューを見たらダメ出ししそうです。
2004年「新選組!」以来の大河出演で、大隈重信を演じている大倉。元首相、早稲田大学創設者のイメージしかなく、資料で研究したというセリフの語尾「であ~る」が話題となったことに「(大隈の)口癖であるというのはもちろん知っていた。どこまでやるのかは現場次第と思っていたが、監督から際立たせてほしいとリクエストがあった。これでいいのかなと思ってやらせてもらった」と打ち明けた。
やはり。
本作関係者の発言をたどっていくと、どうしようもない大河の現場が判明しました。
時代考証担当者によるSNS投稿によれば、大隈がドラマで最初にこの言葉を言った時期は、実際に「である」という語尾の定着より早かったとのこと
↓
それでも脚本家は出したいと言う
↓
考証担当者は「少しだけなら……」と許可を出した
↓
それを監督が「際立たせて欲しい」と言う
↓
役者が応じる
↓
時代考証の存在意義が崩壊
本作は、監督が妙な演出をしていると思える場面が実に多い。
それもそのはず時代考証よりもウケ狙い(しかもセンスが古い)を重視するからこうなるんですね。
過去の大河でもよくありました。
時代考証担当者は脚本家と話しても、それ以上はなかなか話が通らないと推察できることが多い。ゆえに現場で演出や監督の意図が通り、時代考証を台無しにすることがある。
本作は、大河が考証担当者を苛立たせる構図を、みんなでよってたかってバラしました。
俺が、俺が、俺が!
と、跡を残しまくった結果、点と点を繋げば現場がぶっ壊れていると証明されたのです。
こんなしょうもないことは、今年でやめにしてください。見る側も、大河の時代考証を鵜呑みにするのは止めねばなりませんね。
明哲保身
明哲保身
『詩経』「大雅 烝民」
ものごとの道理に通じていれば身を守れる。
私はこのドラマを褒めたくはありません。つまらないし、好みに合わないということも、むろんありましょう。
しかし、それ以上に倫理の問題なのです。
本作は毎回のように悪質な嘘をつく。そういう嘘を誉めたら、あとで恥をかきかねない。
嘘を誰かに広めたら、それは悪徳といえる。
恥と悪徳を回避するには、誉めないことが一番です。けしからんと言われたところで、私には如何ともしがたい。
最終回前になって、ようやく、このドラマが恥ずべき嘘つき装置だという認識が広まりつつあります。
最低限の歴史学すら放置すればそうなるでしょう。
問題は、どうしてそんなことをしたのか?それに尽きます。
やっとこの嘘つきとも来週でお別れだと思うとスッキリします。
みなさんもご注意ください。
NHKも、なりすまし詐欺に騙されないようにニュースを流しておいて、大河という看板でこれでは……明哲保身に思いを馳せる誰かがいればよいのですが。
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
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◆青天を衝け感想あらすじレビュー
◆青天を衝けキャスト
◆青天を衝け全視聴率
文:武者震之助(note)
絵:小久ヒロ
【参考】
青天を衝け/公式サイト