藤原惟規

こちらの画像はイメージです/『紫式部日記絵巻』/wikipediaより引用

飛鳥・奈良・平安 光る君へ

なぜ藤原惟規は姉の紫式部と違い出来の悪い弟とされる?光る君へ高杉真宙

こちらは2ページ目になります。
1ページ目から読む場合は
藤原惟規
をクリックお願いします。

 

紫式部のマイペースな弟

寛弘6年(1009年)の大晦日、中宮御所に盗賊が押し入るという事件が起きました。

大変だ!

いやしかし、これを取り押さえたら手柄となる。

あの場所には弟もいるはず、活躍したかな? ドキドキ……。

と、紫式部は期待していたようですが、果たして結果は?

藤原惟規はさっさと退出していました。この大事なときに、要するに早期退勤していたということで、姉の紫式部はガッカリしたとか。

性格については、姉がシャイで内向的、人の目を気にする性格であった一方、弟の惟規はマイペースで、自由気ままに振る舞うおおらかな性格であったことが日記等から伺えます。

そんな性格の違いもあって、姉は弟への評価が辛くなってしまうのかもしれません。

しかし、考えてもみてください。

わざわざ弟のちょっとしたことでも書き記すということは、「困った子だなあ」と苦笑しつつも、愛着があったのではないでしょうか。

ドラマの人物像はその辺も踏まえた可愛らしさがあるような気がします。

ただ、それにしても単にノーテンキな人物だったとも思えません。

 

父・為時とともに越後に赴き夭折

藤原惟規は、姉が日本史上に名を残す秀才であるため、評価が下がっている部分も大きいのではないでしょうか。

経歴を見ると、決して悪くありません。

若くして文章生(もんじょうしょう)となり、その後も順調に出世を遂げています。

長保6年(1004年)には少内記(しょうないき)となり、位記の作成を担当。

以降も、兵部丞(ひょうぶしょう)、六位蔵人(ろくいのくろうど)、式部丞(しきぶしょう)となり、寛弘8年(1011年)には従五位下に叙爵されています。

官位と位階
モヤッとする位階と官位の仕組み 正一位とか従四位ってどんな意味?

続きを見る

これに伴い、蔵人式部丞を離れ、越後守に任ぜられた父・為時と共に越後へ赴任します。

しかし、越後の地で早々に亡くなってしまいました。

父・為時、姉・紫式部の嘆きはどれほどのことであったか。

為時は任期一年を残し越後守を辞め、長和(1014年)に都へ戻っています。

惟規は、『惟規集』という歌集を残しており、勅撰和歌集にも9首収められました。

藤原為時の子のうち、漢籍知識が最も豊かであると見なされているのは、やはり紫式部です。

知識量は書いたものに反映されます。

源氏物語』をはじめ、紫式部の著作は圧倒的なまでに漢籍からの引用が多いのです。

だからといって、他の子たちが劣ると見なされるのは不条理。惟規についても、夭折したため、残せるものが少なかったことも影響しているのではありませんか。

ただし『光る君へ』で描かれる世界の中で、このきょうだいの対比はまだ温和な方かもしれません。

最上位の上流貴族ともなれば、兄弟や親戚間で権力闘争が勃発。

誰が世継ぎとなるか?

関白や大臣の座を占めるのはどの一族か?

などなど骨肉の争いは至るところで起きていて、そうした厳しい関係と比較すれば、この姉と弟はやさしく微笑ましいとも言えるでしょう。

『光る君へ』で描かれる藤原惟規と紫式部のきょうだい像を今しばらく楽しみたいところです。

あわせて読みたい関連記事

◆ドラマや平安時代など全ての関連記事はこちら→(光る君へ

◆以下、名前をクリックすると各人物伝の記事へ飛びます

紫式部
まひろ
藤原為時
まひろ父
藤原惟規
まひろ弟
藤原宣孝
まひろ夫
藤原道長
兼家三男
藤原兼家
道長の父
藤原道兼
道長の兄
藤原道隆
道長の兄
藤原時姫
道長の母
藤原寧子
道綱の母
藤原道綱
道長の兄
高階貴子
道隆の妻
藤原詮子
道長の姉
一条天皇
66代天皇
藤原定子
道隆の娘
藤原彰子
道長の娘
源倫子
道長の妻
源雅信
倫子の父
藤原穆子
倫子の母
赤染衛門
女流歌人
藤原公任
道長の友
藤原斉信
道長の友
藤原行成
道長の友
藤原実資
ロバート
藤原伊周
道隆嫡男
藤原隆家
道隆四男
清少納言
ききょう
清原元輔
藤原頼忠
公任の父
安倍晴明
陰陽師
源明子
道長の妻
円融天皇
64代天皇
花山天皇
65代天皇
藤原忯子藤原義懐
朱仁聡
宋の商人
周明
宋の医師
三条天皇
67代天皇
藤原顕光
兼家の甥
藤原頼通
道長嫡男
藤原為光
忯子の父

◆配役はこちら→光る君へキャスト

◆視聴率はこちらから→光る君へ全視聴率

◆ドラマレビューはこちらから→光る君へ感想

コメントはFacebookへ

文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link

【参考文献】
NHK出版『光る君へ 紫式部とその時代』(→amazon

TOPページへ

 



-飛鳥・奈良・平安, 光る君へ
-

×