足利義昭の拠点として着々と進む二条城の建設。
近隣の国々から人や物資を集めてきた織田信長は、京都のめぼしい寺社からも庭石や調度品を出させていたのでした。
そのうえで自ら陣頭に立ち工事を進めています。
二条城建築を急ぐ信長の危うさ
東山・慈照寺の庭石を持ち出したかと思ったら、馬場には桜が欲しいから名木を持って来いと命じている。
信長の人心蹂躙という悪癖が出てきましたね。誰かがそのものに思いいれがある、そういう【心情】を平気で踏んづけてしまう。
現代人だって、家族がコレクションを売り払ったことで深刻な対立が生じています。信長は、勝手にメルカリで誰かのコレクションを売っ払うタイプですね。
歴史においても、こういう集め方で怨恨が生じた例がいくつもあります。
ナポレオンはイタリア遠征で美術品を奪い、エジプトではロゼッタストーンを持ち去った。
大英博物館には、略奪したものが大量にある。
『水滸伝』に出てくる北宋・徽宗は、芸術を愛しすぎるが故にいろいろ珍しいものを集めてしまい、政治を衰退させたと批判対象とされている。
日本だって、朝鮮出兵でさんざん仏像だの美術品を持ち帰り、遺恨として残っている。
庭石や襖絵で腹は膨れない。けれども、それを奪えば怨恨が募ってゆく。
信長は実に危ういことをやり始めたのです。
けれども、その危険性をどこまで認識できているのか。老公卿たちに丁寧に頭を下げる信長は、不敵な笑みを浮かべます。
この笑みひとつとっても、だんだんと信長はおそろしくなってきました。
自分なりにうまくできている。お行儀はちゃんとしている。すごく、ものすごく、自分はいいことをしている!
そんな自信がみなぎっていますが、周囲でその危うさに気づく者はいないのか?
案じる藤孝に対し光秀は「仕方がない」
光秀が調度品の目利きを任されていました。
彼が教養の持ち主だとわかります。そういう教養を横顔だけで見せてしまう、長谷川博己さんが絶品だということは毎週主張したい。
そこへ細川藤孝がやってきて苦い声音になります。
見覚えのある襖絵だと思っていたら、我が家の隣の寺にあるものなんだとか。
しかし光秀は「仕方がありますまい」と言い切る。四月までに城を作るとなれば、出来合いのものを使うしかないのだそうです。
それでも藤孝は案じています。
いささかやりすぎの感はある。
幕府の中には、信長が将軍の威光を借りて、金目のものを掠め取っているという噂が流れているとか。眞島英和さんは、こういう困惑の顔がお上手です。
光秀は親友である藤孝に、ますます突き放したようなことを言う。
言わせておけばいい。将軍の城を作ろうとしなかった者など、もってのほか!
と、光秀がまたキツいことを言い出しました。それって幕臣の藤孝や三淵藤英にも刺さる嫌味になりかねない。
まずは藤孝の言い分に理解を示してもよいところですが、光秀はやはりどこかカチコチで、ズレているところはあるのです。
少年向け【ズレているがゆえに純真でカチコチ生真面目】枠が『鬼滅の刃』主人公・炭治郎ならば、大人向けはこの光秀のような気がするんですね。
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腐敗しきった幕府と宗教勢力
光秀はそんなカチコチ真面目な個性を、怒りにして吐き出します。
寺社と手を組み、金儲けをしている幕臣がいる。調べれば調べるほど醜い! 寺と幕府の汚い結びつきの根本には、摂津晴門がいる。光秀の怒りは収まりません。
こんな宗教絡みの汚さを誰が断ち切るのか?
もう答えはわかっておりますね。織田信長です。
信長が宗教の腐敗と戦う、その特異性をこのドラマは追及するらしい。けれどもそれは爽快感と、残酷さ、両方を備えていると、先週の石仏で示されました。
石仏と信長について言えば、母・土田御前との逸話が持ち出されたからといって、無理に母子関係に収束させるのは違うと思います。
前回指摘しましたが、信長の一家でも父はむしろ熱田神宮信仰に篤かった。
桶狭間の時に、帰蝶が熱田神宮のことを持ち出すだけで、信長は露骨にしらけきって馬鹿にした態度でした。
それが解けたのは、帰蝶がその名を口にしたのが信仰由来ではないと理解したからです。
信長は、猜疑心が旺盛だ。
世間が信じているから。それが常識だから。暗黙の了解。そういうものを断固否定する。帰蝶との祝言の日ですら、池に潜む妖怪退治が気になってそちらを優先したほど。
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本当なのか? それは確かなのか? 俺は、俺の目で見るまで信じない!
見た上で、評価せずとなったらば破壊することも躊躇しない――そういう態度は一貫している。だからこそ、将軍相手だろうがたいしたことがないとわかれば、簡単に足蹴にできるのです。
データ重視の孫子→曹操→道三→
ちなみに、乱世の英雄でこういうタイプもいます。
『三国志』の曹操です。
曹操は、日本が邪馬台国の時代以前の人物ながら、露骨なまでに迷信や予言を軽視していました。
劉備、孫権、息子の曹丕すら、予言を重んじた形跡があるのに、曹操は一切信じていない。そんなくだらんものを信じている暇があるなら、証拠を突き出せ! そう求め続けた人物です。
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どうやら人類には、有史以来、断固として証拠を求め続け、信心の類を踏み付けにするごく少数の例外が出現するらしい。
偉大なのか? 邪悪なのか? 歴史が必要とした結果なのか? そんな少数派の放つ輝きを、見ていきましょう。
なんで曹操持ち出すんだよ! と思われるかもしれませんが、もちろん理由はあります。
曹操は忙しい最中にせっせと注釈をつけるほどの『孫子』マニアでした。
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『孫子』もまさしく、予言だの神様だの信じている暇があるならデータ解析しろとつきつけるものです。
そういう『孫子』大好きな人が本作にもいた。
斎藤道三ですね。
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そんな斎藤道三が認めたのが、織田信長ですから。
孫子
│
曹操
│
斎藤道三
│
織田信長
糸はつながります。
摂津晴門の小芝居
幕府内の政治が如何ほど腐敗しているか。
摂津晴門と寺社の結びつきが見えてきます。高僧たちが足利義昭に直訴に来ています。
「恐れ多くも公方様の御前ぞ」
晴門はそう言い、金子を差し出されても受け取るわけにはいかんと怒鳴りつける。その上で何事も恨みがましきことではいけないと言い出す。
典型的な【トーンポリシング】です。
訴えの内容や正義の所在ではなく「なんか感じ悪いよね〜言い方もっと考えろよな〜」と絡んでくるやつですわ。
高僧は訴えます。
織田信長様にこうしてお願いするしかない、我らの窮状をお察しくだされ!
こちらの寺では襖戸を全て召し出され、寺の形を留めておらず、悲嘆に暮れているとか。
「何卒、お返しいただきたく!」
うーん、信長には届かない訴えかも。
信長は宗教そのものに疑念がある。神様っているかわからない。仏様と襖絵って関係あるのかよ。そう言いかねない信長には通じない理屈だ。
じゃあ、義昭は?
「公方様、かかる訴えを直々にお耳に入れねばならぬ我らの苦衷をお察しくだされませ!」
義昭はもう悲しそうな八の字眉になりそう。
そこにいるだけで、雨に打たれた犬のようにどこか悲しい。これぞ、滝藤賢一さんの存在意義だなぁ。
高僧はさらにこう訴える。このままでは都中の寺社が信長を恨み、恨みの矢が公方に向かう。このことをいかが思し召されるかと問われ、義昭は困り果てます。
信長殿はわしの上洛を叶えてくれた恩人。此度のことも、我が身を案じてのこと。それを今更よせとも言えぬ。
そう困り果て、ある意味最悪の決断をしてしまいます。
信長殿とて、いつまでも京にいるわけではない。いずれ岐阜に戻るであろう。
その折を見て、各寺の品々を少しずつ返すのにやぶさかではない。京都には織田の家臣たちが数多残る。一度に返せば角が立つ。目立たぬようにじゃ。そういうソフトランディング案を出しました。
摂津晴門は名案だと言い、かつて興福寺一条院門跡であられた公方様のお言葉じゃと太鼓判を推します。
「そうであろう?」
そう念押しをされて、高僧は納得を見せる。
「ははっ、一縷の望みが見えた心地がいたします」
この高僧、発声がいいと思っていたらベテラン声優・緒方賢一さんでしたか。納得です。
見ているだけで霧が晴れるような、高度な演技合戦です。こういう名前もない役まで、めっぽう本作はうまい。
そして義昭は、また悪いことを言い出す。摂津晴門に「あとはよしなにはからえ」と言ってしまうのです。
このあと、晴門は金子の袋を持ち、ニタリとするのでした。
権限の分散システムを機能させないと……
義昭は悪人でもないけれど、いろいろとやってはならんことをした。
最大最悪の要因は、家臣に丸投げしたこと。リーダーとして厳しく目を光らせねばならない立場なのに、そうしない。となれば組織は腐敗あるのみ。
ダメなトップあるあるをやらかしています。
ちなみにこういう政治腐敗構造は、本作でも皆が貿易したがっている明朝の宿痾でもありました。
初代皇帝・洪武帝がなまじ皇帝権限を強くしすぎたため、業務量が大変なことになる。決裁だけでオーバーワークになるのです。
そうしてオロオロしてしまう皇帝に、側近や宦官が「代わりに我らがいたしまする」と囁き、政治がどうしようもなく腐り果ててゆく。
宦官が悪いというよりも、政治システムに欠陥があるのですね。これは現代でもありえる構造でしょう。
信長とも比較しますと……彼はなんでも自分でやりたがる。インテリアまで選び、城の工事までやろうとする。だから信長がよい――という単純なものでもありません。
では誰がベストの答えを見せてくるか?
それは今後、徳川家康の言動片鱗に見えてくることでしょう。
なんだかんだで家康は、太平の世を固めました。先人のトライアンドエラーを横目で見ながら、彼なりの最善を見出すのでしょう。創業と守成の違いをきっと見せてくれる、そんな風間俊介さんに期待だ!
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義昭の夢を叶える資金は?
そんな義昭は、一転して笑顔になってどこかへやってきます。
待たせたと謝っているのは、なんと駒でした。
駒はお待ちしている間に、お団子を一皿いただきましたと挨拶をします。その程度のお菓子を出せるぐらいのお金は流石にあります。
当時は糖分=財力。駒にとってはおいしい息抜きでしたね。
うまかったか?と聞いて、相手の答えに喜びつつ、よう来てくれたと義昭ははしゃいでいます。
そんな義昭の用件は、駒にこれからの都作り計画をお披露目することでした。
重い病の者を収容する施薬所を作る。池を作り、花を植える。表門には貧しい者をもてなす、古の悲田院の如きものを作ると言い出します。
誰でも入れる。貧しい子どもから年老いた者までそうできると義昭は言う。要するに【鰥寡孤独(かんかこどく)】ですな。
鰥=61歳位以上、配偶者と死別した男
寡=50歳以上、配偶者と別れた女
孤=16歳以下の親がいない子ども
独=61歳以上、子どものいない者
昔は実力主義で、困っている人を見捨てていたという誤解もありますが、そんなわけがありません。古代だろうが国家はそんなぶん投げ方してません。平安時代にはこういう救済対象者が定められていました。
理想の施設を作りたい……そう願ってきた義昭。大和国に作りたかったものの、そんな話は夢じゃと笑われたそうです。
「だが今ならできるやもしれぬ。わしは将軍じゃ。命じれば土地くらい手に入る」
そう言い切るのですが、医者にせよ、働くものにせよ、集めるには金がいるのです。それは悩みだそうです。
金がなければ小屋ひとつ建たん。今の幕府には、そのようなゆとりがない。城も織田信長の才覚に頼るしかない。
「金がないのじゃ」
義昭は現実逃避をしている。
いろいろな人が出入りするものを作るというけれど、セキュリティはどうするつもりなのか? 将軍が施しをする前には、治安の安定が必要なのです。
順番がおかしい。本当に将軍が強力で、威光が及ぶのであれば、金だってなんとかなる。金の方から集まって来るかもしれない。
駒はそんな義昭に、はじめから多くはおやりになれない、悲田所を一つ作ってみてはどうかと提案します。
それならいかほどお金がかかるか?
1000貫!(1億5千万円!)
その値段でできるのかと駒は言う。義昭が驚き大変だと言っても、駒は前向きなのでした。
駒の下剋上
東庵は、何やら自宅でゴソゴソしております。
ここの動きだけでユーモラスであるところが、堺正章さんの本領発揮です。
そこへ駒が帰ってきて、こう言い切ります。
「先生、今懐にお入れになったものをお出しになってください」
東庵は、見られたかと苦笑いしながら「あっ、誰かがこんなに」なんて言いながら銭を取り出します。
駒は、東庵が時々行き先も言わずに出かけることから、また双六仲間ができたのかと案じていたのでした。
それに対し東庵は苦しい言い訳をする。
丸薬作りで自分の仕事が減って、手元が不如意なのだとか。だから駒が生活費を渡しているそうです。駒が完全に会計を握るような立場に逆転してしまいましたね。
駒はここで貯金の金額を確認します。
今はだいたい200貫ほどだとか。大金だけど、1000貫にはまだ足りない。
駒はここで、今井宗久の助言を思い出します。
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仕事場をもっと広くする。労働者を5倍増やす。そうすれば商いもうまくいく――。
東庵がそんなに稼いでどうするのかと聞くと、1000貫貯めると言い出す駒。蔵が3つ建つ大金だと東庵は驚いています。
「将軍様から大層良いお話を伺ったのです」
駒はキッパリと言い切りました。
彼女の話がなかなか面白くなってきましたね! 金儲けに消極的だったけれども、目標を設定されて俄然やる気が出てきました。
そしてこのお金の描写がおもしろい。
経済とは権力と関係がある。
駒は東庵に対して、下剋上を果たしました。
現在においても男女の賃金格差は深刻ですが、結局のところ権力の問題なのでしょう。女の下剋上を、男は許したくない。
もうひとつ、駒は登場からかなり年月が過ぎました。
当時の結婚適齢期は過ぎている。それでも恋愛の気配すらなく、結婚を考えてもいないようです。
結婚は女の本能でも、根本的な欲求でもなく、経済的な理由ゆえにするものだとも解釈できませんか。駒は光秀への淡い憧れ以来、そういう感情を見せません。
恋愛に溺れず、技術と知識で金を稼ぎ、目標達成に邁進するヒロイン――いよいよ大河の新時代が訪れていたようです。
前関白・前久との出会い
光秀が工事現場にいると、少年が何かを渡してきます。ここから先、光秀の行動に注目です。
光秀が草履を履いて歩く足元が映るのですが、ここも唸ってしまった。
不思議なことに、足の指まで綺麗に見えた。芯が入っているように見えた。
そうして光秀が歩いていくと、舞う女たちがいます。軽業師もいる。
こういう芸能考証は非常に大変で、この数秒のためだけによくやるものだなぁと思います。技術継承ですね。
そこへ、伊呂波太夫がゆらりと登場。結いあげた髪に油が光るようで、髷がよくお似合いで、今週も妖艶な姿です。
光秀は太夫がこんな文を寄越すとはゆくゆくのことと言い出す。
つまらく策を弄したと自嘲的な伊呂波太夫に、光秀は会わせたい方は誰かと聞きます。
近衛前久です。
三好一党との繋がりを疑われ都から姿を消していたものの、お戻りになられているとか。
光秀は困惑しつつ、自身が義昭様の側に仕える者だと懸念します。
しかし伊呂波太夫は、それゆえ、会うていただきたいと言うのですが……。
実は、その場で鼓を打っていた者が近衛前久でした。この装束の本郷奏多さんもいいですねえ。
前久は、光秀に、鼓の心得があるか聞いてきます。光秀は叔父・光安から手解きを受けたと返します。
ほほう、あの光安叔父がそんなことを。
鼓を打つ光秀
「打ってみよ」
前久の求めに応じて光秀が鼓を打ちます。
よくもこんなめんどくさい場面を撮影したと思います。ここまでできるとなると、もう今週も池端さんは遠慮なく全力を出せますな。
まず、光秀の鼓を打つ所作と掛け声が綺麗でなければいけない。
どの音をどの指で打つか。そういうことを調べねばならない。コロナでこういうところにむしろ準備が使えたのかもしれませんし、ハセヒロさんがやはりえらい。
そしてどうして鼓を打たせたのか?
前久なりの誠意の確認かもしれない。光秀がカッコつけて嘘をついていたら、鼓をきちんと打てないのです。それがむしろうまい。
うまいことを自慢するわけでもないし、嘘も言わない。謙虚で人間性もできているという判断材料になる。そんな試し方はいやらしいように思えるけれども、なかなか大事でして。
東洋の文人は、琴棋書画(琴・囲碁・初動・絵画)をこなすことが理想とされる。
なんでそんなにマルチタレントにならなきゃならんのよ……そういうツッコミは入れたくなりますが、「精神性がそうしたものにあらわれるからマスターしてこそだ」という考え方があります。
楽器を奏でることで、精神の音色もわかるかもしれない――そういうとんでもなく高度なヤリトリなんですね。
前久は、光秀の誠意を確認できたのか。
摂津たちから追われておる内幕を語ります。
なんでも、義輝暗殺に関与していることにされた。背後にいるのは二条晴良。邪魔者を追払い、近衛領を得るつもりだというのです。
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そして上杉輝虎と話したことを言い出します。
立派な武将である輝虎は、今の幕府は己の利しか頭にないと言う。天下のために働くものがおらぬという。それゆえ、いつまでも世がおさまらぬと。
そのうえで、前久はそれができるのは織田信長だと思うておる、あの上洛ぶりをみてそう思うたと言うのです。駒と今井宗久がプロデュースした上洛演出は成功でした。
蔑ろにされたままの御所
自身の苦境のみならず幕府への不満を隠そうとしない前久に対し、光秀は尋ねます。
なぜ私にそんな話をするのか、と。
前久が説明するには、将軍の側にいて信長にも憚りなく物を申せるだけでなく、摂津を嫌っているから――。
消去法ながらも幕府再興を託される人材になったのですね。
本作の光秀は賢く、気品があり、性格もよろしい。けれども「さすが十兵衛じゃ!」みたいなわかりやすく安っぽいおだて方は、そこまでされない。
真実を真っ直ぐ見通す目。人と人を結びつける暖かさ。そういうところが評価されています。
「タの音がよかったぞ。薬指かな」
そう言い残すと、伊呂波太夫にあとを任せて去ってゆく前久。
伊呂波太夫が、もっとお話があったはずなのではと問いかけると、こう言いきります。
「命乞いまではしたくない」
いい強がりです。
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前久が去ったあと、伊呂波太夫はこういうことも言いたかったと説明します。
この都には、公家や武家、私のような町衆がいて、そして帝がおいでです。帝も御領地を奪われ、大層お困りと聞きます。
今の帝のひいお爺様(後土御門天皇)は、お弔いの費用もなく、二月放っておかれたと言います。それを助けるべき幕府は手を差し伸べず、見て見ぬふりをした。御所をご覧になればよくわかります。帝がどれほどお困りか……。
冠婚葬祭費用すらない、そんな帝の窮状。日本人がいついかなるときも天皇を崇拝していたというのは史実でもない。そういう問題提起をしてきましたね。
いい取り組みですよね。大河の罪業を反省するよい機会。
幕末は、明治天皇の出生時に、その費用すら孝明天皇が出せなかったほどであるし。孝明天皇のおわす御所が襲われた【禁門の変】は、襲撃側の長州藩過激派が無理矢理美化されるし。
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そういう天皇がらみの不都合な史実も、日本史の勉強としてきっちりやるべきだとは思っていました。
個々人の不敬だとかそういうことでなく、歴史から見た権力のありようとして興味深いところです。
藤吉郎の不気味さはどこから来る
信長の寝所・妙覚寺に光秀が向かうと、木下藤吉郎(豊臣秀吉)が声を掛けてきました。
公方様のお城がなんとかなりそうだという仕事の進捗確認から会話がスタート。藤吉郎は、城の工事にも関わっています。なんでも信長から、今後の京のことを任されているとか。
光秀が「信長様に申し上げたき儀がある」と言うと、藤吉郎は近衛前久の件か?と確認してきます。
公家衆の動向はだいたい掴んでいる。京を治めるためには、公家の機嫌を取らねばならないのだと。
こ、こいつ……怖い!
言ってる本人が、後に公家にとって垂涎の的である関白になる。
あんなふうに子どもを使い、工作をしていたのに。
光秀は、木下殿が京の奉行だと確認し、将軍家が信長を裏切らぬよう動向を探り、私のことまで調べているのかと確認します。
まさか!
そう藤吉郎は笑い飛ばすのですが、もう、こいつが心の底から嫌ですね。笑顔で嘘つくんじゃないよ!
光秀は尾行をされているのはいい気がしないと返します。それに対し佐々木蔵之介さんの目の底がギラリと光ると、頭を壁に打ちつけたくなる。おそろしいほどの不気味さが続きます。
藤吉郎は、明智様も信長の御意向で近々奉行になると聞いていると話し、そんなお方を畏れ多くて尾行しないと続けるわけですが。いやいや、尾行しそうじゃん。まるで気にしていないでしょ。
そして藤吉郎はこうも付け足す。
公家は寺とも繋がっている。油断すれば足を掬われる。それだけでも申し上げたかったと。
「ではこれにてっ!」
去ってゆく藤吉郎。
うーん、権力者が自分を神格化する心理がわかった気がする。
気持ち悪いナルシシズムの果てだと思っていたけれども、自分を権威化して、他の宗教勢力の上に置いたら、いろいろ便利で楽なのではないか? 秀吉の気持ちはわかりませんが、のちに彼自身が神社で祀られるようになるわけです。
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幕府の腐敗をただすのは信長の役目にあらず
信長は光秀の話を聞き、豪快に笑い飛ばします。
藤吉郎はそういう奴だと。光秀は尾行されてよい気がしないと戸惑っています。
信長の性格の危うさよ……まずそこは光秀に謝るとか、不安を和らげることはできるでしょうに。
それなのに、わしが調べろと命じたら、犬の尻の穴まで調べてくる、それゆえ信頼できると笑い飛ばすのです。
何かと使える男ゆえ、うまく使うて、幕府の役に立てていただきたいとも。
このセリフも怖い。
というのも秀吉の所業を知っているんですね。
ご存知の通り、秀吉は信長後継者であるとして天下を取る。その過程で茶々を己の側室にする。信長の姪をそうする。茶々がどれほど美人であったかとか、そういうことが問題ではない。
本気で信長を主君とみなしていたならば。主筋と尊敬していたのであれば。その姪を側室にするものかどうか。
秀吉の女好きはユーモラスな描かれ方もするけれど、性欲ではなく支配欲を感じて、ゾッとしてしまう。今年の三英傑、なんでこんなにいちいち怖いんだ……。
光秀はこう切り出します。
「その幕府ですが……」
「腐り果てておるのであろう」
そう明るくキッパリと断言する信長。カラッととしていて豪快ではあるものの、自分の目の前でずっと続けられると辛いかも。相手の言葉を遮るというか、先走って捉えることを繰り返させると、疲弊がたまります。
信長は続けます。
皆口を揃えて、幕府の非道を責め、わしになんとかしろと言うてくる。しかしわしは将軍ではない、幕府のやることにいちいち口出しはせぬ。
それに対し光秀は、口を出すべきだと言います。
城だけを作れば都が安泰というわけにはいかない。
4月に岐阜に帰ると聞きつけ、光秀は焦っていて、その前に幕府の方々を全て入れ替えたいと訴えるのです。
しかし信長の返答は、にべもないものでした。
将軍の側にいるそなたの役割だと放り投げたのです。
そのうえで越前のことを言い出す。
三好の一党が出入りし、留守中に美濃を攻めるつもりだと。美濃を失えば京都も危うい。帰って戦支度じゃと告げます。
それゆえ、光秀、権六(柴田 勝家)、藤吉郎を奉行に据えたと言うのです。
信長が話を続けます。
昔、幼き頃、父・信秀に尋ねたことがある。
この世で一番偉いのは誰か?
答えはお日様であり、その次は都におわす天子様、帝。
その次は、帝をお守りする将軍様だと。
なんだ、将軍は帝をお守りする門番かと信長は思った。我々はその門番をお守りするため、城を作っているのだと。
「わしの父は不思議なお方でな。近頃の将軍様は帝をお守りすることを忘れていると申して、帝の御所の塀を直すために、4000貫贈った。都に来たがその塀を見たことがない。近頃その塀が気になっておる。奇妙じゃな」
そう面白そうに語る。
でも、父・信秀をここで“不思議なお方”という信長こそ不思議かもしれない。
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“立派なお方”、“たいしたお方”――というような言い方ではなく、“不思議”であると。信長は何かがおかしい。親への敬愛があるのか、ないのか。
ここで光秀は、伊呂波太夫の言葉がよぎります。
「御所をご覧になればよくわかります。帝がどれほどお困りか」
摂津に仕掛けられた罠
数日後、本圀寺に細川藤孝がやってきて、慌てて光秀の部屋へきます。
「十兵衛殿、面倒なことに巻き込まれておりますぞ!」
そう言い切る藤孝。なんでも、東寺八幡宮領一部を横領したので返せと訴えられているとか。光秀は愕然とし、公方様がくだされたのでいただいたと返します。
それから苦しそうかつ、怒りを滲ませ、廊下をドスドスと歩いてどこかへ向かう。
そこにいたのは摂津晴門でした。
光秀は相手に書状をつきつけ、土地のことを迫ります。
公方様から京へ妻子を呼び寄せるために、領地を授けられた。まさか横領した土地とは思わなかった。公方様もご存知なかった! この手筈をつけたのは政所ではないか?
そう問い詰めると、「それで?」としらを切ろうとする摂津は、山城国は土地が広い、八幡宮はどこの誰が横領したか存じてないと答えるのです。
むろん光秀も引き下がりません。公方様のおそばに仕える者が訴えられているのに、政所はどう裁いているのか。
すると摂津は5年か10年掛けて吟味しているとのらりくらり。そもそも寺領を守るのは武士、御礼に預かるのは当然のことと開き直ります。
光秀はそうやって帝の丹波の御領地も味方に与えたのかと、怒りを見せます。誰が横領したのか処断するように迫る光秀をかわし続ける摂津は、詮議をするとは言いつつ「長々とした詮議になりましょうな」とトボけた口調です。
相手の根負け狙った卑劣な手口ですね。そのうえで光秀が去るとこう言い出す。
「困ったお方じゃ。世の仕組みを教えてさしあげたのじゃが!」
いやらしさの境地。いますよね、こうやってえらそうに世の習いだの、そんなことだと世間から相手にされないだの言ってくる相手が。
大抵が余計なお世話であり、卑劣なマウンティングです。
光秀は疲れ果てつつ、伊呂波太夫の元へ向かいます。
鼓打ちこと近衛前久はもういないと伊呂波太夫は返しますが、そんな彼女に光秀は御所への案内を頼むのでした。
温石と帝
二人は、塀すら壊れた御所へ向かいます。
これでもずいぶんあちこち直したと語る伊呂波太夫。それでもまだお公家衆が夜警備するしかない。こうも壊れていては、誰でも中に入れてしまう。子どもが入り込んで木を折ったり、石を投げてしまう。
中に入ってみますかと問いかけ、光秀は躊躇します。
「中に入るとまず小座所がございます」
伊呂波太夫が淡々と語ります。
捨て子だった彼女は、近衛家に拾われた。そのうえで尼寺に預けることを関白様が決めたのだと。
まだ幼い彼女は捨てられるのかと思い、ずっと泣いていた。冬の寒い日のこと。
それでここを歩いていたら、若いお公家様が蹴鞠の稽古をしていた。大層上手で見惚れていたら、彼女に気づいて声を掛けてきた。
そんなに悲しいことがあるのか。そういう顔をしている――。
そう近づいてきて、これをやるからもう泣くなと、懐から温石を取り出し手のひらに載せたのでした。
とてもあたたかい石。焚き火で温めた温石(おんじゃく)。
その石を、今でも大事に伊呂波太夫は持っているのだとか。
あとで、その方が方仁親王、今の帝だとわかったのだった。
あのとき、初めて人の顔を美しいと思った――そう振り返る伊呂波太夫。回想に出てくる彼は確かに美しく、幻のようです。
伊呂波太夫はそれで尼寺に行きたくなくなり、近衛家を飛び出したのでした。
そんな彼女は、この壊れた塀を見ると直さなくてはならない、ここだけも綺麗にしておかねば、そう思ってしまうのです。自分が泥まみれに生きているものだから。そう淡々と語ります。
おおっ、伊呂波太夫……なんという業に塗れた愛なのか!
天皇との恋が叶うなんてありえないのに、その思いに突き進んでしまう。
尼寺という道は、安定を考えれば最善と言えたはず。劇中でそこまではっきりとは描かれないものの、彼女は身を売るようなこともきっとあったとは思います。尼寺に行かないことで、そういうことも味わってしまう。
世間からすれば堕落した女、安い女になってしまう。それでも初恋を守るべく、彼女は突き進んでしまう。塀を作ることが愛のあかしだと思いこみ、危険なことまでして金を稼いでしまう。
駒が義昭に共鳴して、人助けという仁愛に生きるのであれば。伊呂波太夫は、生々しい愛欲に絡め取られて生きている。
聖と俗に振り切ったような、見事かつ対照的なヒロイン像です。その知力と行動力は、男ならばひとかどの武将になりそうだったと言いたくなるけど、それは封じねばならないのでしょう。
この時代を生きる女の像として、彼女たちはたくましく輝いています。
そんな妖艶である伊呂波太夫。圧倒的に見る側を引き摺り込むような彼女には、美しいというよりも“妖姫”という言葉がふさわしいと思ってしまう。
そんな彼女が愛を捧げる正親町天皇がいかに神々しく、天上人としての美を見せつけるか。
坂東玉三郎丈ですよ! もう、ほんとうに見たくてたまらなくなる、説得力のある姿なのです。
二条城の完成
信長は総力をあげて二条城を作り、約束に違わず二ヶ月あまりで完成させました。
各地の大名に、織田信長の底力を示す出来事でした。
義昭は完成した城に喜んでやってきます。
信長を前にして見事な城だ、大した出来栄えじゃと褒め称え、「かたじけない! かたじけない!」と喜ぶのでした。
「皆礼を申せ、信長殿こそ、この都を蘇らせた恩人じゃ、大恩人じゃ!」
そう浮かれる相手に、皆が力を合わせたことだと信長は返す。
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そして藤吉郎に案内をさせます。
「公方様、皆様方も、ずずっと中へ〜」
そう明るく陽気に案内をする藤吉郎。
中身まで明るく見えないと言いますか。ギラギラ明るいようで、中身の暗さを想像させるから、佐々木蔵之介さんはいちいち怖くてすごい……。
大河の秀吉像はたくさんあります。Amazonプライム『MAGI』は、その最高峰・緒形拳さんそっくりな秀吉を、緒方直人さんに演じさせている。
そういう像をどう乗り越えるか?
その一つの答えを佐々木さんが毎週見せてくる。
そのあと、信長は光秀と藤孝の両名に、苦労をかけたと声を掛けてきます。
そして浅井殿にこの二人を紹介するのです。
浅井殿――つまりは浅井長政は、近江より職人や大工を送り込んできたそうです。妹のお市を送り込んだ甲斐があったと信長は上機嫌。
長政は中を拝見すると藤孝と向かいます。
このドラマ、織田信長のおそろしさを再確認して突きつけてきますね。その妹を嫁がせた相手を、殺してしまうのが織田信長。改めてゾッとします。
歴史知識に血肉を与え、目の前で飛び散らせるドラマ。
浅井長政という命あるものが、織田信長に粉砕された――そんなわかりきったことが、今改めておぞましい。
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信長は、光秀に折り入って話があると言います。
二、三日でよいから、自分の後から美濃へ来て欲しいのだと、越前の朝倉義景について、そなたの話を聞いておきたい。そう言います。
あっ……また怖い。
光秀がこのあと、越前で見聞きしたこと、一乗谷は戦の支度もできていなくてぬるいと明け透けに語ったら。それはそれで、おぞましさを感じることでしょう。光秀の言葉は、かつて彼が暮らした土地の人を殺すのだから。
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かくして二条城を築き、信長は岐阜へ戻ります。次の戦が迫っているのです。
その一方で、光秀は御所の塀を見て何事かを思うのでした。
MVP:摂津晴門
悪とは何か?
そう問われたところで、人は、きっぱりハッキリ答えられるか。
摂津晴門周辺の濁りきった悪を、現代人が悪だと言い切れるか。ここは肝心ではありませんか。
◆SNSで揺らぐ平和意識 戦争容認、簡単に「いいね」:日本経済新聞(→link)
こういう記事がある。
若者だけの歴史認識が歪んでいるということよりも、じわじわと社会全体が【凡庸な悪】に絡め取られているのかもしれない。
第二次大戦中に起きたナチスによるユダヤ人迫害のような悪は、根源的・悪魔的なものではなく、思考や判断を停止し外的規範に盲従した人々によって行われた陳腐なものだが、表層的な悪であるからこそ、社会に蔓延し世界を荒廃させうる、という考え方。(コトバンク)
「でも、摂津さんも家族には優しいかもしれないし……」
「摂津さんのやり口を否定したら、困る人もいるだろうし」
「それで今までやってきたんでしょ」
「和を乱しちゃダメ」
「誰も殺しちゃいないよ」
「摂津さんはいい人。だって光秀が妻子を呼べるように土地くれたんでしょ。それを断る光秀が空気読めないよね」
たとえ上記のような考えがあったところで、別に驚きはしません。
むろん自分とは全く一致しないし、そういうことを言う人と一緒に楽しくご飯を食べる気にはなりませんが。
摂津晴門は、信長のように箱詰め生首を持ってくるわけじゃない。
サイコパス連呼される人間でもない。
だからこそ、私の周囲にも、あなたの周囲にもいるかもしれない。
まさしく【凡庸な悪】です。
彼は誰かを殺したわけではないけれども、そのせいで飢えて死ぬ人はいるかもしれないし、プライドを傷つけられる人、困る人はいます。それでも血飛沫を浴びるわけじゃないし、世の中そういうものだからいいでしょ。
そんな導き方をするとともに、激しい作り手の怒りも感じます。
こんなぬるい腐った空気が蔓延する世の中では、麒麟なんて来ない! そう苛立つ光秀には、リアリティを伴った怒りがありました。
本作は、概念を人のかたちにするのがうまい。絶品です。
陣内孝則さんの今井宗久が、武器商人、戦争を動かす経済ならば、摂津晴門は【凡庸な悪】の擬人化でした。
こういう難役を『軍師官兵衛』で不完全燃焼だったこの二人にやらせる本作は巧妙です。
あ、そうそう。あれは関係ないと思うんですよね。『半沢直樹』です。
あれのことを持ち出されるのも、どういうことか?
あのドラマの解説では「歌舞伎調」とよく言う。歌舞伎というか、昔の日本映画調、伝統手法ということでよいのではありませんか。
映画『柳生一族の陰謀』萬屋錦之介さんの「夢でござーーるーーー!」みたいなものでしょう。
あれは当時ですら古いと言われていたものです。そういう時代劇のお約束回帰で済むところに、いちいち半沢を持ってくる理由がちょっとわからない。ああ、今何かと話題だからですか。
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ともあれ、そんな伝統回帰の台本を渡され、演出され、どう体現するのか。
そう悩みつつも楽しむ片岡鶴太郎さんを想像するだけで頭痛も吹っ飛ぶ。
役者冥利とはこのこと、それを体現した彼はまさしくあっぱれ。役者として、今まさに、一段登った姿が神々しいほどゲスでした。
どういう思いで、役者としてまた高みに登ったのか。片岡鶴太郎さんの心境を、私は知りたくてたまりません。
こんな形で、実力なり今まで積み重ねてきたものを評価されるって、どんな気持ちでしょうね。すごいなあ、ほんとうに片岡さん、すごいですよ!
総評
毎回毎回、圧倒的で極上だと思える本作。
視聴率云々ではなく、伝統の継承だとは思います。ですので、こういう関係者証言が本物かどうかわからない記事はどうでもよいかと。
「麒麟がくる」放送再開も苦戦 関係者が明かす“3つの要因(→link)
そりゃ、越年してもフルでやりますって。
NHK大河「麒麟がくる」最終回は来年2・7 越年放送を正式発表!話数縮めず予定通り全44回(→link)
今週も悪酔いしそうではあった……この世界で一番おもしろくて、わけのわからんものは、人間だと示される。人間の心理がどう面白く複雑なのか、そこをぐっと近づいてみせるドラマです。
信長の屈折、藤吉郎の奥深さ。のみならず、駒の聖なる愛や、伊呂波太夫の悲しい愛も素晴らしいものがあった。
人間そのものがおもしろいと示す本作は、只者ではない。それに、こうでなくてはVOD時代に勝てない。
そうそう、本作とセットで見て楽しめるドラマをAmazonプライムで見つけました。
『三国志 Secret of Three Kingdoms』(→amazon)です。
猜疑心をギラギラさせる曹操周辺と、とある別勢力の攻防を描いています。
このドラマは、時系列的に【官渡の戦い】から始まるのに、戦場は会話のみででてきて、宮中での陰謀が進行します。
時代劇でも、ダイナミックな合戦より陰謀劇がメインとなること。
歴史書からこぼれ落ちてきた女性の語り手を増やすこと。
そういうトレンドがあるんですね。いつまでも『太平記』の話だけしていたら、それは池端さんに失礼ってものです。
『麒麟がくる』は、シャープで緻密な会話劇を主軸とした、世界のトレンドをふまえた作りです。
帰蝶様が出てこないのはなぜ?
あのタレントは結婚で出番が増えるの?
どうでしょう。
本作の作り手は、そういう芸能界の古臭いルールやニーズより、もっとはるか先を見据えていると感じています。
Yahoo!ニュースの本作関連記事に「駒や東庵など架空の人物はいらない」と書き込んでいては、見えなくなってしまうことも多々あるのではないでしょうか。
なお、NHKは何を血迷ったのか『コウラン伝』という最低クラスの中国時代劇を買い取り、編集吹き替えまでして放送しています。
が、あんなものより中国時代劇の平均レベルははるかに高いので、ご注意ください。
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【参考】
麒麟がくる/公式サイト
































