どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第30回「新たなる覇者」

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『どうする家康』感想あらすじレビュー第30回「新たなる覇者」
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どうするのか旭姫のことを

家康はこういうことを言っていましたね。

「マザーセナのあとは正室は置いていないんだ!」

「秀吉はわしが倒す」

で、その後にやることは、秀吉の妹・旭姫を正室に迎えること……いやいや、最低すぎるでしょうよ。

しかもこのドラマのことだ。『青天を衝け』のようなロンダリング技術はなく、下手すりゃ旭姫ともほっこり恋バナを無駄にねじ込みますよ。

「旭チャンはその天パがコンプレックスなの? そんなことないよ、かわいいよ♡」

という感じで『平清盛』の後白河院と滋子のパターンを繰り返すんですね。

つまり、世間では醜いとされる癖っ毛を愛するなんて素敵♡そういうノリだ。磯CPがきっとそういうのが好きなんでしょう。

こんな予感、当たって欲しくはないですけど。

 

どうするファム・ファタール茶々

本作は全体的に時代劇の演技指導がなっていない。

毎度申し上げていますが、子役を見るとよりはっきりとわかります。

彼らは経験がないぶん、大人よりあらわになります。

今週、特に厳しかったのは茶々です。

あの状況で、色っぽい微笑みをするお茶々が不愉快極まりないものでした。

描写の仕方が「性犯罪者目線では?」とすら思えました。1994年の映画『レオン』――鮮烈な美少女ぶりを発揮してデビューしたナタリー・ポートマンはこう語っています。

◆ ナタリー・ポートマン、出世作『レオン』には「控えめに言っても不快な描写がある」(→link

上記の記事から該当部分を引用させていただきます。

『レオン』は、悪徳警官に家族を殺された少女が同じアパートに住む殺し屋の中年男性に保護を求め、師弟関係となるなかで親密な関係を築いていく様が描かれる。

ナタリー演じる少女マチルダが、男性目線で性的対象として描かれていることが問題視され、特にマチルダがマドンナやマリリン・モンローの真似をしてセクシーに振る舞うシーンは物議を醸している。

ナタリーは、「今も愛される作品ですし、皆さん、私が他に出演したどの作品よりも興味を持ってくれています。それに私にキャリアを与えてくれました。ですが今見直してみると、控えめに言っても不快な描写があります。ですから、私にとっては複雑な思いのある作品です」と語る。

彼女は以前にも、この映画がヒットした後、人々から性的な視線を向けらるようになり、幼くしてセクハラの対象となったと訴えていた。

大人の妄想を子役に演じさせることが、どれほど重荷になるか。

小悪魔少女というアイコンが、どれほど有害か。

1994年ならば、まだそれがクールで通じたのでしょう。

しかし、2023年にこういうセンスであることそのものが、時代錯誤であり、性犯罪者のような認識だとみなされかねません。

『レオン』の監督であるリュック・ベンソンが、性犯罪で訴えられたことを踏まえるとますます洒落になっていません。

性犯罪者とは往々にして「あっちが誘ったんだ」という、妄想を展開しますから。

それを彷彿とさせる表現が大河ドラマで放映されるだけでなく、このタイミングで公式SNSが堂々と投稿する。

https://twitter.com/nhk_ieyasu/status/1688163007308709893?s=61&t=LO19T4SKIH0XXbLpq78V2A

「不敵な笑みを浮かべる茶々!」って、あんまりでしょう。

まだ13歳で、母と義理の父が死んだばかりの少女が、あんな堂々たる振る舞いができますか?

怯えて震えて泣いていてもおかしくないのではありませんか?

親を悼む気持ちすらないのですか?

歴史的に見ても、この時点で茶々がこんな振る舞いをすることそのものが妄想としか思えません。

彼女が数多くいた秀吉の妻の中で突出したのは、望外の妊娠をしてからのこと。そんなことをわかっているように振る舞っているなんて、いったい何なのでしょうか。

秀吉が勝ち、天下を取るかどうかもまだわかりません。

むしろ母の姿を見ていて「有力者の妻になるということは、敗北すれば破滅するということなのかもしれない」と不安になってもおかしくないでしょう。

本作に登場するのは、歴史上の人物をソシャゲのカードか何かと勘違いしたような描写だらけ。

淀の方はSSRだから最初から強いんだ!とでも言いたげです。

大人が持つべき「子どもを守る」という最低限の良識が感じられず、「ネタとして使えるならOK」という描写が目立ち、子どもたちには見て欲しくない思うばかりです。

 

どうする某中古車販売業のような精神性

今、日本全国を騒がせている中古車販売業と、『どうする家康』と掛けてとく。してその心は?

そんなお題で遊べる気がしてきました。

あれは中古車をゴルフボールを用いて痛めつけることで、利益を得ようとしていました。

このドラマは歴史上の人物を「史実だ!」という言い訳を用いて痛めつけ、利益を得ようとしているのでは? そのことを批判すると「大河を愛する人に対する冒瀆(ぼうとく)だ」と言い出されかねない空気まで蔓延しています。

◆「従業員を刑事告発」「ゴルフ愛する人に…」 ビッグモーター社長が連発したズレた発言 急成長企業のひずみなのか(→link

そういう既存の資源を傷つけながら利益を得るシステムが、この大河ドラマにもあるようで……一旦そう思ってしまったら、秀長役の方が脳内でこう呼びかけてくるようになってしまい、辛い。

「大河を見るなら、どうする家康!」

「大河を信じるな、どうする家康!」

◆佐藤隆太も大迷惑…「車を売るな!」ビッグモーターの過去CMを使ったMAD動画が乱立(→link

 

どうして岐阜県

前回のことについて謝りたいことがあります。

酒向芳さんが岐阜県出身で、「くそたわけ」はじめアドリブ連発だったそうです。誤認してしまい、申し訳ありませんでした。

◆「どうする家康」徳のない男・明智光秀“くそ童”に刺されたワケ 酒向芳アドリブ連発!演出絶賛の怪演裏側(→link

本作は、家康の徳を強調するために、光秀の徳の無さを強調したかったという。

しかし、家康から人徳など窺えないため、光秀はマイナスになってしまったのでしょう。

結果、徳を下げているのは大河ドラマという貴重な枠。

なぜ、彼が岐阜出身と気づかなかったのだろう?

そう考えていて、原因はわかりました。

・私の岐阜県出身の友人は、「くそたわけ」といった罵声を私に投げかけてきたことがない。そのため、聞き慣れていなかった

・地元出身の英雄を貶す感覚が想像できなかった

・地元の方言で罵倒する言葉を押し出す感覚が理解できなかった

最初のことは個人的な話なのでさておき、後の二つを考えてみましょう。

・地元出身の英雄を貶す感覚が想像できなかった

『麒麟がくる』で細川藤孝を演じた真島秀和さんが、以下の記事で

◆「麒麟がくる」眞島秀和インタビュー!「現場ではいつも、みなさんすごいなぁって思うことの連続なんです」(→link

鬼玄蕃こと酒井了恒を演じたいと語っていました。

庄内藩の武士で戊辰戦争で西軍を叩きのめす――山形では知られた人物で、さすが地元愛があると感動しました。

酒井了恒(酒井玄蕃)
戊辰戦争で鬼玄蕃と恐れられた酒井了恒は敵も驚くイケメン武将だった

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彼に限らず、大河ドラマは地元愛の世界という一面もあるでしょう。

真島さんの出身地である山形県は、『独眼竜政宗』についてはなかなか複雑な感情があり、『天地人』には怒りが渦巻いていたそうです。

そういう地元愛を軽視するスタンスは、大河が本来やるべきことではないと私は思います。

『信長の野望』は歴史知識を上げる?義光の「顔グラ・能力値」に注目

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・地元の方言で罵倒する言葉を押し出す感覚が理解できなかった

大河ドラマで有名になった方言フレーズがあります。

『花燃ゆ』の「せわぁない」で、「どうということはないよ」という意味です。

八重の桜』の「さすけね」も「大丈夫だよ」という意味です。「さすけねぇか?」という疑問形もあります。

『花燃ゆ』はドラマの出来が悪いので、地元でも愛されていないようですが、『八重の桜』は会津まつりに毎年綾瀬はるかさんが呼ばれるほど。

彼女が植えた桜が会津若松城にはあるそうです。

そんな綾瀬さんが「さすけねぇか?」と呼びかけると、地元はわーっと盛り上がるとか。

そんな綾瀬さんを無駄遣いした映画『レジェンド&バタフライ』は本作と同様に度し難い作品だったと思いますが、それはさておき。

レジェンド&バタフライ
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話を方言に戻しますと、人は、あたたかみのある、ほっとするような気遣いの言葉に、愛着やこだわりがあると思いたい。

それが岐阜の「くそたわけ」にこだわるという時点で、何もかもが信じられません。

岐阜県名物の五平餅を目の前で踏みつけられたような絶望感と不快感とでも申しましょうか。

なぜ、こんな酷い扱いをするのでしょう。

それでも光秀は貶められてあの結果だからまだマシかもしれない。

今週のお市は、持ち上げようとしてあの出来ですからね。過去作品で最低の人物像が更新されてゆきます。

私は徳川家康の大河ドラマが決まったと知り、真島秀和さんに出て欲しいと思ったことがあります。

地元の誇りである最上義光上杉景勝直江兼続あたりで。

けれども、今は逆です。

最上も上杉も誰一人として出て欲しくない。

兼続は無理でしょうけれども、真島さんは別の作品で地元山形の英雄を演じる日が来ることを切望しています。

最上義光の鉄棒を振り回す姿が見たいですね!

 

命は天に在り

命は天に在り。『史記』「高祖本紀」

歴史を学ぶということは、信じがたいような愚行を知る機会でもある。

人間とは危機に陥ると、最善の行動どころか最悪の行動を取ることがしばしばあります。これも天の意なのか。

◆ジャニーズ性被害問題 “数百人巻き込まれたか” 国連作業部会(→link

このニュースと同じ日に『どうする家康』新キャストが能天気に発表されていて、天意のようなものすら感じました。

◆ 国連会見直前に発表《さすがにバーターが過ぎる》NHK大河「どうする家康」に4人目ジャニーズで視聴者ゲンナリ(→link

前代未聞の被害だとして国連がわざわざ会見を開き、「これまで不祥事を隠してきたメディアにも責任がある」と痛烈な言葉を投げたにもかかわらず、相も変わらぬスタンスでいる本作の制作陣。

今回の『どうする家康』では、まだ13歳の茶々をファム・ファタールとして描き、まるでNHKが性犯罪を問題視していないかのようなスタンスに見えてきます。

あのジャニーズが4人も出る。

13歳の少女が大人を誘惑する。

ジャニーズのことも軽視しているうえに、少女から大人を誘惑するという、少年性愛者定番の言い訳を補強するかのような描写を放映した。

これはもう間が悪いなんてものじゃない。

天にある運命なり意思が、降りてきているのではないか?

そう愕然としてしまいました。そうしたら視聴率も2桁を割るとは……。

戦国武将に危機管理技術を学んでもらいたい。『真田丸』の真田昌幸ならばきっとこう言い、ジャニーズ新キャストを防いだのではありませんか?

朝令暮改の何が悪い! より良い案が浮かんだのに、己の体面のために前の案に固執するとは愚か者のすることじゃ!

私が真田昌幸なら、こう啖呵を切って、中川大志さんを秀頼役に再登板できないか探りますけどね。

誰であろうとよいのじゃ、この際、ジャニーズでなければな。

※以下のリンクからNHKへ意見を送ることができます。

◆NHK みなさまの声(→link

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文:武者震之助note

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【参考】
どうする家康/公式サイト

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