どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第13回「家康、都へ行く」

2023/04/03

実の兄弟のようであった――と後付けで雑に説明された宿敵・今川氏真に勝利した徳川家康。

「北条に味方しただと!」

武田信玄は、家康が氏真を北条に渡したと聞いて激怒します。

今度は徳川が武田に攻められるかも……と、ざわつく徳川家臣団。謎のスタンディング軍議してないで、座りましょう。

穴山梅雪のグリーンと、信玄のレッド。補色が辛い武田家臣団。

このドラマは妙に人物アップの描写が多いですが、立っている場面の所作がきちんとできないからでしょうか。

どうやら来週は休みのようで……それがさして気にならないのが悲しい。神の君の物語が今週も始まりま〜す。

 


あらすじ:おじさん構文バージョン

ヤッホー( ^ω^ ) かわい子チャンたちは元気にしてたカナ^_^

ついに家康チャンが、上洛、ダヨ( ´ ▽ ` )オイラも、修学旅行は、京都だったから、わかりみありまくりwww

オイラも、新京極で、ムフフな体験したヨネ♪(´ε` )ヌードボールペンを思い出すww

京都と、いえば、聚楽第だけど、「聚楽よ〜ん」っていう、エッチなコマーシャルも、思い出したりしてwww

話を大河にしなくちゃ、ゴメンヨ(^_^;)

家康チャンは、上洛して、セクシーなお姉さんと、出会ったり。信長様相手に、ドキドキしたり、お市チャンと再会したりしてwww

そうそう!最低だけど最高じゃんねwww

あの伝説の、神大河『いだてん』から、金栗四三が、駆けつけたヨ( ´ ▽ ` )ナンチャッテ、茶屋四郎次郎でしたww

でも金栗まんまでウケるwww走る場面、欲しいヨネ( ^ω^ )

足利義昭が、白塗り無様で、ウケるwwww爆笑wwww毎回神回ダヨネ( ^ω^ )

浅井長政がなんか、うざいし、こんな夫だったら、市チャンも、そりゃ、家康に、未練タラタラだよなwww

光秀が、胡散臭くて、ワロスワロスwww

『麒麟くるくる詐欺』が、おかしかっただけだよねww駒もウザかったし、気取ってるだけで、セリフに漢字多いし、マジ、つまんかったww今年と大違いwww

はい、顔文字終わり。

なお、私にとっての戦国大河の最高傑作は『麒麟がくる』です。

 


どうする今川と北条の同盟

オープニングからして、家康の一存で氏真が北条に移ったような誘導でした。

糸チャン(早川殿)を癒し要員にして、今川家を支えていた寿桂尼なんて全くとりあわず。

北条を徹底してぞんざいに扱ってやることがウケると思っているのでしょうか。

今年の大河は逆張りが大好きなようで、昨年の主人公である「北条(と、戦国期の後北条は別ですが)をディスればウケるww」とでも思っているかのようです。

早川殿
早川殿の生涯|武田・徳川・北条に翻弄され今川氏真と共に歩んだ流転の生活

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どうする上洛

それにしても、家康が「京都に修学旅行に行くぜ!」というノリで上洛宣言するあたり、わけがわかりません。

2020年に『麒麟がくる』を放送しておいて、今年は一体なんでしょう。上洛の軽すぎる……というか、視聴者にはその意味が全くわからないような気がします。

そしてここで自称・三河一の色男(大久保忠世)が作法は知っているなんて言い出す。

いくらフィクションだからといて、フザけるにも程がありませんか。

まるで「京都のコンパならモテ男の俺が知ってるぜw」とでも言いたげで、しかも笑いにもならない。

「ウホホッww 新京極でエロエロ体験wwヌードボールペンww」

そういうノスタルジーすら浮かんできて、ただただ頭を抱えたくなります。

本作って「聚楽よ〜ん」のセンス(※昭和のエロテレビコマーシャル)で作っているドラマですよね。

『麒麟がくる』では、足利家に仕える最後の幕臣・三渕藤英(谷原章介さん)と細川藤孝(眞島秀和さん)が見事でした。

画面に出てくるだけで、所作が美しく、教養があるとわかってきた。

そこからわずか数年……一方で今年はどうしても昭和エロを思い出すセンスになっています。

 


どうするスイーツ大河

信康と五徳が、まんじゅうごときで喧嘩するシーンには思わずガッツポーズしましたね。

「まんじゅう」からの「こんふぇいとぅ」で。

瀬名と田鶴も回想シーンで甘いものを食べていましたが「女は甘いもの好きだよなww」というノリのゴリ押しです。

これで今年の大河を正々堂々「スイーツwwww」と呼ぶことができる。

「スイーツ」とは蔑称であるし、狭い界隈のネットスラングだし、ミソジニーが根底にあるので使いたくはなかったんですけれども……。

萌え萌えキュンキュンする下手な恋愛描写。

現代人受けを重視しすぎたデザインセンス。

低くした難易度。

語彙力の低いセリフ。

あやふやな時代表現。

この手の大河は「脚本家が女だからw」「主人公が女だからwww」と散々言われてきました。

でも今回でハッキリしています。

男性脚本家で、主人公が男性でも、こうなってしまう。

そもそも日本のテレビ業界は圧倒的な男性社会であるにも関わらず、失敗すると少数の女に責任を押し付けてきたわけですね。そこからまず直視せねばならないでしょう。

スイーツwwwww

 

どうするステレオタイプ

京都の描写がとにかくズッコケるしかありません。

民衆を徹底してコケにしまくってるようですし、極めつけは公卿の描写でしょう。

いつの時代の貴族でしょうか。

本作は、あまりにもステレオタイプに頼りすぎていて、歴史観を更新できていない。

『麒麟がくる』で本郷奏多さんが好演した近衛前久のあと、こんな往年の民放時代劇じみたお公卿様を見せられても、全てを台無しにされた辛さしか残りません。

 

どうする茶屋四郎次郎

本作は“リベンジ”に偏重しているのでしょうか。『いだてん』の主演を務めた中村勘九郎さんを茶屋四郎次郎に起用したあたり、情けが深いですね。

だって放送前のニュース見出しに「凱旋」ですよ。成功する前提でしたよね。

◆「どうする家康」中村勘九郎「いだてん」以来4年ぶり大河凱旋!豪商・茶屋四郎次郎役 大河主演経験4人目(→link

しかし、演技プランまでマラソンランナーに合わせる必要はありましたか?

中村勘九郎さんの真骨頂は『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』だったと思います。

あちらに近づけた方がよかったのでは? 中村仲蔵は江戸っ子なので、そこは調整が必要ですけれども。

こんなせわしないマラソンランナーみたいな京都人、おかしいでしょうよ。

反論する時、手をかざしておりましたけど、そういう仕草ひとつとっても、全くもって京都人らしくない。

本作が、京都人を嫌っていることはなんとなく伝わってきました。

ぶぶ漬けでも、どうどす?

そう言われるのがお似合いの東夷(あずまえびす)ぶり。『鎌倉殿の13人』では描けていた京都が、今年は全く駄目ですね。

そのうち『いだてん』をオマージュして、マラソンしたり、冷水浴びて叫んだりしそうで恐怖しかありません。

◆『どうする家康』中村勘九郎が出演! “いだてん“効果で「逃げ足が速そう」の声(→link

本作の情け深さはよくわかりました。

ならば、大河で準主演を果たしながら、今は休業中のあの大物俳優にも役を用意してはいかがでしょうか?

『花燃ゆ』からおにぎりだけを推すのは、物足りない話です。

◆消えた俳優・伊勢谷友介は今――私物オークション&12万円超アクセ販売で「成宮寛貴化」(→link

 

どうするエロエロ

京都では、とにかく“女遊び”にからんだようなシーンが目立ちましたね。

徳川家臣団の頭の中はどうなっているのでしょう?

「おどろおどろしい清須城が、家康から見たらあのように映っていた」

というエクスキューズが通用するならば、京都でやたらと遊女に注目したり、それで徳川家臣団がオロオロエロエロするのは、彼らの頭の中がそればかりだからでしょう。

福沢諭吉が見たらどう思うことやら。

「は? 三河武士がエロエロ? 明治政府元勲の長州閥と間違えてない?」

本證寺でもナンパして、京都でもナンパして。毎回、デロデロしている連中なんて暗殺三昧で楽勝ではありませんか。

本多忠勝が急に「女の匂いで頭が痛くなる」なんて言ってましたが、本證寺で榊原康政と於大の方をナンパしたときに、そんな素振りは一切ありませんでした。

それが急にどうしたんですか? 京都だから?

『麒麟がくる』では、斎藤道三が敵の閨のことでも知っていると豪語していました。

何度でも言います。あの道三ならば、三河武士団をハニートラップに仕掛けて全滅させるくらい、余裕でこなせるでしょう。

ドラマの作り手としては、この手の描写を「センスいいw」と思っているのかもしれませんが、2020年代には地獄の片道切符を手にしているようなものです。

認識を改めた方がよいでしょう。例えばこういうツイートをしていた方も、ウケ狙いで、重大深刻な結果になるなんてきっと思っていなかったはず。

◆「ぷりっぷりの女子中学生と…」東京藝術大学に合格した乃木坂46・池田瑛紗に「職権濫用」発言でクビになったスタッフ、「セクハラは偉大な文化」“異常ツイート”連発の過去(→link

 

どうするショッカー織田軍団

洛中で人を殺しまくる織田家臣団。

やはり本作は、歴史に興味関心がないのでは?と思ってしまいます。

軍隊がどこでも殺傷をすると、京都の人々が警戒してしまう。だからこそ、どうか甲冑をつけずに上洛していただきたい――『麒麟がくる』の明智光秀は、信長とそんな交渉を重ねていました。

武力の誇示は、人心掌握の上で逆効果のときもあり、何か不測の事態も起きかねないものです。

その点『麒麟がくる』の方がはるかに上手でした。

そもそも京都の治安維持は、あの上洛時点で織田がそこまで勝手にできましたか?

風紀を守ると言いながら、街中であんなド派手に殺しをしていたら、怖くて出歩けません。

出来の悪い二次創作みたいな展開ばかりしますよね。

 

どうするアップと絶叫頼り

漫画原作の実写化。

漫画ばかりをインプットしたクリエイターの映像作品。

昨今、そうしたものの弊害を感じます。

叫ぶとか、アップにするとか、大仰な演出とか。

これを漫画で読めば迫力があったのだろうけれども、映像にするとただただ陳腐でしつこい――その典型例が今年の大河ですね。

やりすぎて幼稚で、説明セリフだらけで、もう無茶苦茶です。

漫画を映像化するにしても、モノローグにあたる部分をナレーションでかぶせるという手法があります。

それを今年は妙なツッコミにして、序盤に入れると縛ったせいで、機能していない。

大河のナレーションって特徴的で、海外ドラマだとないことも多いもの。強みを自ら捨てているんですね。

 

どうする所作指導の差

所作指導が全体的に崩れている一方、できる人はできていて、戸惑いを感じます。

浅井長政は比較的ちゃんとしていました。

彼を見ていて『落ち着きあるな……』と感じた視聴者の方も少なくなかったでしょう。

同時に所作が大事な理由も見えてきます。美形度や気品が数割増すんですね。

逆に、それができていないと、よりダメに見えてしまい、俳優が可哀相になってきます。

わざと崩しているのではなく、単に知らないのでしょう。

せっかくの役者さんたちを潰さないでくれ……と願うばかりです。

 

どうするグローバルヒストリー

織田信長が地球儀を見る場面も、あまりに陳腐で使い古されたシーンで、悲しくなりました。

日本史の弱点として、東洋史の要素を捨てすぎたことがあげられます。

明治以降、脱亜入欧を掲げ、劣るアジアとの関連性を捨てる方向に向かってしまい、それではいかんぞ!と東洋史もある。しかし、軽んじられています。

受験科目の人気として、日本史が世界史を上回ることは長く続いています。

そこに脱亜入欧が加わることで「もうアジア、どうでもいいじゃんw」と思ってしまい、結果、日本史の理解までもがおかしくなってしまうのです。

織田信長がマントだったり、地球儀をおもむろに見る場面は、まさにそれが凝縮されている。

地図を見て、なぜ南蛮ばかり向かいますかね。

「うおおお、明って、デカッ!」

となっても全くおかしくないですし、世界史的に見て、当時の明・江南地方は最大の経済地帯です。

日本人だって、明の茶、書籍、文物などなど、ともかく欲しくてたまらなかった。それをすっかり忘れているか、あるいは作り手が全く知らないか。

『麒麟がくる』ではそこができていました。信長は、まず明と交易したくてたまらなかったんです。

茶屋次郎も金平糖を手に入れてきましたが、あれってただのスイーツ需要ですよね?

宇治茶の方がありえるのではないでしょうか?

京都の宇治は「明の本場と変わらない!」という触れ込みで盛り上がっていましたからね。

『麒麟がくる』で3歩進み、『どうする家康』で30歩下がったような認識。

そしてこれこそが本作の寿命を縮めることにもつながっています。

歴史総合が目の前に迫っています。あの科目は近代以降のグローバルヒストリーを重視するとはいえ、だからといってそれ以前を無視できない。

これから先、グローバルヒストリー、東洋史目線で日本史を見られないコンテンツは寿命が短くなります。

『麒麟がくる』は時代を先んじていて、教育効果もあるドラマとして歴史に残ってもいい。

一方、『どうする家康』は時代錯誤の象徴として刻まれることでしょう。

大河で作品を作るのでしたら、スタッフは『中国史とつなげて学ぶ 日本全史』(→amazon)ぐらいは読んでほしい。

むろんNHK全体がダメではありません。

Eテレもありますし、『麒麟がくる』も『鎌倉殿の13人』も『大奥』も、グローバルヒストリー対応済みでした。

今後、本作のようにグローバルヒストリーを無視した歴史ドラマに価値はないでしょう。

 

どうする砂糖

このドラマは、歴史における砂糖の役割をどこまで理解しているか。

砂糖は莫大な金になります。

この時代、砂糖を食すということは、いわば金をそのまま食べるような感覚でした。

日本で安定的な流通が整うのは、江戸時代が熟してからのことです。

そんな貴重品だからこそ、戦国大名は砂糖をともかく食べました。

信長が家康を接待した御膳を見た時、私はあまりの甘み尽くしに歯が粘りつくんじゃないかと思いました。

織田信長(左)と徳川家康の肖像画
信長御膳の豪華な中身|信長が安土城で家康に振る舞った究極のグルメとは?

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三英傑にも、甘いお菓子のエピソードがそれぞれあります。

そんなこと、大河スタッフなら当然知っているかと思いきや、本作は

「スイーツ喜ぶのって女だけでしょwww」

とでも言いたげで嘆かわしい。

大河で砂糖に触れるのでしたら、岩波ジュニア新書の定番名著『砂糖の世界史』(→amazon)あたりは押さえておいて欲しいところです。

信長・秀吉・家康~天下人に愛された和菓子の歴史 そして甘美は全国へ広まった

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どうする「ガチャのSSR」感覚

本作は、ソシャゲのガチャ感覚で進むかのようです。

市と茶々と光秀並べて「すげーーーー! SSR揃った!」とでもやりたいように思える。

私の脳内では『麒麟がくる』の光秀が微笑んでいて、本作との落差が絶望的につらい。

SSRカードが揃ったと言っても、出来のいいゲームと、リリース直後に過疎ったゲームでは、ありがたみが全然違います。

お市が上洛して家族水入らずでウキウキって……ホテル聚楽にやってきた昭和の家族ですか?

「子育てで気が滅入る」って、無理矢理現代と絡めようとしていて意味がわかりません。

乳母がいるでしょうよ。

昨年『鎌倉殿の13人』で乳母をきっちり描いておいて、今年はこれですか。

 

どうする暗君描写

将軍・足利義昭をバカっぽく描きたいのは、誰が見てもわかりますが、家康の発声もグダグダなのでどうしようもない。

あれでは、居酒屋で見かけた、ダメ上司とダメ部下じゃないですか。

シーズン2を待っている『大奥』との落差があまりにもキツいです。

『大奥』には、“小便公方”という気の毒な呼び方をされた徳川家重が出てきます。

不自由な発声から、そう言われる理由がわかる。それでも実は聡明だとも伝わってくる。秀逸な描写でした。

しかしこの義昭は、飲み過ぎて倒れる寸前のアホ部長でしかありません。

本当に、戦国時代の京都ですか?

戦国時代がコンセプトの居酒屋では?

そもそもこの対面って、古田新太さんの義昭を小馬鹿にして「ウケるww」と笑うだけだったんですね。趣味が悪いと感じるのは私だけでしょうか。

 

どうするお花畑愛情描写

瀬名がだんだんと気持ち悪くなってきましたね。

親が田鶴のせいで死のうが、その田鶴が死のうが、お花の冠をかぶってキョトンとしているだけ。

『鎌倉殿の13人』は、あっけらかんと明るい人物が多かったものです。

それでも北条政子は、時に隠せぬ悲しみや弔う気持ちがふっと見えた。

本作では、そうした感情が全く感じられない。

この瀬名は一体何なのでしょう?

彼女が亡くなったあとでも、家康ははしゃいでいそうですよね。

このドラマは、致命的なまでに、人物同士の細やかな愛が見えてきません。先週の今川氏真と糸(早川殿)でもそれを痛感しました。

足のことで糸を散々罵倒していた氏真が、ちょっとスッキリして足を気遣う。マイナスがゼロになっただけ。それで感動しろと言わんばかり押し付けがましさが痛々しい。

私は、演者の演技力を比較しないようにしていますが、あの小池栄子さんでも、この脚本ならどうにもならなかったでしょう。

瀬名はわざとらしく花冠をつけています。尼将軍となった北条政子に花は不要でした。座る姿が牡丹そのものでしたから。

◆「第31回橋田賞」に小池栄子と長澤まさみ 目黒蓮は橋田新人賞を受賞(→link

小池さん、おめでとうございます。

 

どうする「むしゃくしゃしてやった」

マナー違反程度で処罰されそうになる家康。

人の命を、令和の企業の人事感覚で描きますよね。たとえ成敗するにせよ、もっと手続きがいるでしょうし、そんなことしても信長には損しかない。

「むしゃくしゃしてやったw 家康でもよかったw」

本作の人物は、その程度の動機で動く。

ゆえに愚かとしか思えません。

で、そういう生命軽視の悪趣味なノリに迎合する記事も出てくるので、どうしようもありません。

◆どうする家康:武田軍で春の首桶まつり 信玄、昌景、梅雪も! 開けたり閉めたり“中身”を確認「エグい」(→link

 

どうする劇団☆新感線俳優

古田新太さんは、色物快演系が多くなっていてどうにも切ないものがあります。

殺陣でも所作でも動けるし、もっと表現の幅も広いと思います。

同じ劇団☆新感線出身ですと、『おんな城主 直虎』で近藤康用を演じた橋本じゅんさんが素晴らしかった。

彼の個性を活かしつつ、さらにひとひねりを加えてきた。直情径行なだけではない狡猾さがあった。あの小野政次を死に追い詰めた。

それでも憎めない――絶妙な役柄が実に素晴らしかったものです。

森下佳子さんは、役者の魅力をうまく引き出す、そういう力があります。

私は古田新太さんを、森下さんが脚本を書く『大奥』で見たかった。もっと素晴らしい姿が見られたでしょう。

とにかく残念でなりません。

『大奥』には劇団☆新感線出身者から橋本じゅんさんや、粟根まことさんが出ることを期待しています。

 

どうする「天下一統」に滲む、お粗末歴史観

『麒麟がくる』の織田信長は秀逸でした。

天下一統という志を、持っているのか持っていないのか、わからない。ただただふりかかる目の前の火の粉をふり払って、自分のしたいように振る舞うと敵が増えていく。

なぜじゃ! そう悩む信長が悲しく、斬新でした。

現実も、そういうものだと思います。確かに織田信長は日本史に残る異端者といえるけれども、はなからそうするつもりはなかったのでしょう。

『三国志』の曹操は、後年、若い頃の自分はただ漢の将軍として名を残したいだけだったと振り返っています。

「天下を統一するぞ! 歴史を動かすぞ!」なんて、最初から気合を入れていた英雄が、果たしてどれだけいたのか。

歴史を学ぶ上で、そういう逆算をしないことは基本だと思います。

年号やトリビアをひけらかすことが歴史なのではなく、「疑い、思考し、推論する」というのが歴史的な思考ではありませんか。

今年は、作り手からして、その基本が抜けているようで辛いのです。

本作については「今はつまらないけど、今後、史実を追えば期待できる」とする記事もあります。

◆『どうする家康』が現状つまらないのは仕方がない! ここから史実をなぞれば人気爆発間違いなし!?(→link

「いやいや、最初から面白いものを作ってくれよ」とツッコミたくなりますし、歴史を扱う姿勢そのものが壊れているからには、何も期待できないのではありませんか。

一方、次の記事は、このドラマがつまらない本質を捉えていると感じます。

◆『どうする家康』の家康像に異議あり! ナイーブで臆病なキャラ設定に「現実味」がないと感じるワケ(→link

根本的な描写が壊れているため、違和感ばかりになるのです。

 

どうする甲冑

大河ドラマや時代劇で使う衣装をご覧になったことはありますか?

私は甲冑を見たとき、こんな軽そうなものがドラマでは重厚に見えるのかと、感心したものです。

しかし、それも役者の動きあってのことかもしれませんね。

今年はペナペナしているように思えます。

動きが軽い。重い甲冑をつけて動いているようには見えない。殺陣そのものが、甲冑の重みや制限をふまえないで作っているようにすら見えます。

甲冑は重いため、逃走中のような速度を重視する局面では脱ぎます。

このドラマでは逃げ惑う今川氏真でもフル装備であるため、どうにもおかしいのです。

甲冑の質感って、そういう演出や演技の配慮あってのものなのだと思えます。そこを踏まえて演じていたまともな歳の大河の皆さんって、素晴らしかったのだなと。

そういうところを手抜きすると、ドラマそのものがペラペラになります。今年がその悪い例。

質感が薄っぺらい。おまけに配色デザインセンスは小学生向けセット教材では、どうしようもありません。

本作のデザインって、こんなセンスですよね。

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どうする露骨な営業姿勢

役者が大河ドラマに出るメリットとは?

まずは圧倒的に知名度アップでしょう。

確かにブレイクを果たした役者さんはいます。

近年ですと、緊急降板の代役から抜擢された、『麒麟がくる』の川口春奈さんがそうでしょう。

しかし、こうも露骨に狙われるとどうかと思います。しかも成功シナリオありきに思えてきます。

◆水着写真集も人気の関水渚 『どうする家康』でのブレイクで期待される「朝ドラヒロイン」への道(→link

残念ながら本作の田鶴は、あの脚本のため、さして魅力的には思えませんでした。

一方、以下の記事は非常に興味深い。

◆グラドル清水あいり「どうする家康」出演で大バズリ! リハで松本潤とすれ違い聞かれたこと(→link

こちらの部分です。

本当は三河弁で話すのですが、リハーサル日に演出家さんから「役柄を関西出身の設定にしますので、清水さんのいつもの関西弁でお願いします」と言われて、「私にはこれといって取りえはありませぬが、殿がお喜びになることなら、どんなことでも」をいつもの自分のイントネーションで話すことに。

現場の判断基準が弛緩しきっているのが明白ですね。

関西から三河まで、あの時代の女性が移動するのがどれだけ大変だったことか。

事前に関西まで情報が伝わってきていた設定なのか?

あるいは、たまたま三河にいた関西出身の女性なのか?

『麒麟がくる』の菊丸は「神出鬼没の三河農民」とされていました。のほほんと出てくるようで、移動範囲が広すぎて、只者ではないと思えていました。

そういう積み重ねをせず、本作では、場当たり的にノリで決めているだけ。

あまりに粗雑な現場ではありませんか。

おそらく話題性だけ集めればいいと開き直っているのでしょう。

 

どうする女性名

ふと気になったのが、このドラマの女性名です。

瀬名の母が「巴」。

早川殿が「糸」。

巴は『鎌倉殿の13人』。

糸は『軍師官兵衛』に同名女性がいます。

かぶっているのは偶然?

ちなみに三谷幸喜さんは、義時の妹・実衣については『ムーミン』のリトルミィから。

善児の後継暗殺者・トウは豆板醤から。

個性的なセンスを発揮しておりました。

本作では、今回「阿月」という女性が登場しましたが、耳にした瞬間、「あぁ、あれね」と思った戦国ファンも少なくないでしょう。

浅井長政が裏切ったとき、お市が兄の信長に知らせるため「小豆袋を送った」という逸話であり、後世の創作話です。

「阿月」という名は、その逸話が何らかのカタチで触れられる伏線でしょう。

何も知らない視聴者にとっては、驚きの展開になるのか。

「ネット震撼」とかなんとか、そういう見出しでニュースになるかもしれませんね。

 

どうする「伏線」

昨今、同一層が朝ドラと大河の感想をSNSに書き込む傾向が強まっています。

そうなると両者の傾向が混ざり合っていく。

好例がこちらです。

◆「オレ達の溝端淳平回」繊細な今川氏真像を演じSNS絶賛【どうする家康】(→link

『おかえりモネ』で、ヒロインの相手役であった菅波につけられた「俺たちの菅波」というトレンドが、演者が同じ『鎌倉殿の13人』北条泰時にたどりつき、今年まで呼ばれたというものです。

なんでも同じ呼び方をすればよいというものでもないでしょうが。

また、朝ドラ発「反省会」というハッシュタグが、今年は大河でも広がり、中国語圏にまで拡大しております。

そんな朝ドラのトレンドを踏まえまして、

◆これを読めば“朝ドラあるある”がわかる!「朝ドラ辞典」<舞いあがれ!完結記念>(→link

便利なこちらでも。

【伏線(ふくせん)】
重要な展開に関わることをあらかじめほのめかしてあるもの。そうとは気づかれないべきところ、近年、バレバレなものが視聴者には好まれる。フラグと混同されている節がある。本来の意味と誤解されがちな用語にはほかに「アドリブ」がある。
類語:フラグ
関連語:アドリブ

そして朝ドラ鑑賞者が、感動した事例がこちらですね。

◆【舞いあがれ!】初回冒頭シーンの“謎”がついに判明!?「全部繋がった」「ミスリードされた」(→link

ネット上では「初回冒頭のシーンを見て『パイロットになる夢叶えて家族乗せるドラマか』って思ったけど…。次々と進む道が変わって迷走してると思いきや、最後に全部繋がったね」「ミスリードされた」「予告の時点で薄々察してたけど空を飛ぶ車のパイロットが舞ちゃんになる展開なんだろうな」とうなずいていた。

どんなに無茶苦茶でも、繋げればこう言ってもらえる。

この朝ドラの初回でヒロインが乗っていたのは大型旅客機で、最終回では「空飛ぶ車」でした。

機体が全く異なるのに、そういうことはどうでもよいのでしょう。

そもそもヒロインは、パイロットになるという触れ込みでした。

それが三菱ジェットをモデルとして展開しようとして、その三菱ジェットが頓挫したため、迷走に迷走を重ねる。

ヒロインが迷走する朝ドラは他にもあるものの、この場合は計画的にそうしたのか、はたまた現実に巻き込まれたのか、判然としないミステリアスさがあったものです。

それでも辻妻合わせをすれば、ネットのドラマ通は感謝してしまい、記事に仕立てれば「ネットでは大ウケ」となるのです。

さしずめ阿月については、こんな記事タイトルになろうか、と作ってみました。

◆【どうする家康】侍女・阿月の“謎”がついに判明!?「全部繋がった」「伏線回収」「騙された」

次週以降、こんなタイトルの記事を見かけたら教えていただければ幸いです。

 

どうする逆張り

本作は、過去大河のオマージュというより「パクリ」や「逆張り」を感じさせます。

時代が近いせいもあってか、『麒麟がくる』が特にひどい。

大河の近作で主役を務めたほどの人物ならば、それなりのリスペクトが欲しいところですがその逆です。

「明智光秀がイケメンで心清らかだと思ってた奴wwww」

「足利義昭ができる人だと思ってた?ww 残念w」

そう草を生やしながら、あえて神経を逆撫でするような人物像にしていると思えます。

『麒麟がくる』は、キャラクターとして捻っていたというよりも、近年の研究をふまえつつ、池端俊策さんが考えて練った像です。

そういう史実準拠でなく、このドラマはただの逆張り、キャラ付けとして描いているように思えます。

そんなことは大河パロディ枠でお願いしたいのです。

プロデューサー曰く、

◆「どうする家康」制作プロデューサーが語る!新たな家康像の魅力(→link

今作の主人公である徳川家康の魅力について、磯さんは「真面目で誠実な人物が最終的に天下人になったことが面白いと思うし、今の人たちに夢を与えられるような気がしています」と語りました。

とのことですが、これ、『麒麟がくる』とかぶるのでは?

真面目で誠実な人物が最終的に謀反を起こしてしまう。

その信念は決して無駄ではなく、泰平の世をもたらした。

今の人たちに、そんな夢を与えられる『麒麟がくる』――そう語られるなら、納得できますが。

 

人生意気に感ず、功名誰か復た論ぜん

人生意気に感ず、功名誰か復た論ぜん。魏徴『述懐』(※魏徴作かどうか諸説あり)

作品の良し悪しは、グッと感じるところがあるかどうか。視聴率? キャストスタッフの知名度? そんなことはどうでもよい。

貞観政要
家康も泰時も一条天皇も愛読していた『貞観政要』には一体何が書かれているのか

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漢詩名言から始めましたが、心理学用語【ハロー効果】でも説明できます。

ある対象を評価する時に、それが持つ顕著な特徴に引きずられて他の特徴についての評価が歪められる(認知バイアス)現象のこと。

例えば、ある分野の専門家が専門外のことについても権威があると感じてしまうことや、外見のいい人が信頼できると感じてしまうことが挙げられる。Wikipediaより

今回の大河って、ともかく「脚本家がすごいから褒めろ」という圧力が漂っているように感じます。

提灯ネットニュースなどは、脚本家の過去作品をずらずら並べたりしている。

典型的な【ハロー効果】狙いですね。

しかし、その効果はいつまでもつのか。映画は苦しいようです。

◆木村拓哉『レジェンド&バタフライ』興収30億円に届かず…終映間近も話題消滅!(→link

今年はどうにも、脚本の時点で疑問を感じる描写が目立ちます。

そんな思いを抱えつつ、Amazonプライムを見ていたところ、大河脚本家が手がけた新作ドラマのバナー広告が出てきました。

大河と、このドラマを手がけるとなると、作業量が多すぎるのでは?

『麒麟がくる』のように、脚本家がチーム体制ならまだわかりますが、心配になってしまったほどです。

大失敗とは、得てしてこういうノリに乗った時に起こるもの。ますます不安感が募ります。

どんなに妙な展開だろうと、脚本の【ハロー効果】頼りならば、周囲は意見がしにくくなります。

諫言なんてできなくなって、むしろ先回りして忖度する。誰かの顔色を伺い、それに合致することが成功だと思うようになる。

組織はそうしてダメになってゆく。みんなが同じ方向に進めばこそ、完成度は高くなる。それが昨年で、今年はバラバラなのでしょう。

◆三谷幸喜「みんなが同じ方向に向かって進んでいった結果の完成度」 小栗旬と対談 きょう発売写真集で(→link

そんな気配を感じるのです。細かい描写がどうこうではなく、決定的に何かがずれている。

『どうする家康』はペース配分がヤバい?1983年の家康大河と徹底比較

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このズレは、大河に向いていないことが根本にあるように思えます。

具体的に言いますと、民放テレビマンの感覚を持ち込み、大河でも成功させてやろうという野心ですね。

こういう記事にあるような感覚です。

◆カンニング竹山「なぜ抗議する?」 ペンギン池落下騒動に持論「炎上から謝罪までの“仕組み”気持ち悪い」(→link

◆カンニング竹山にテレビマンから「よく言った!」の声 ペンギン池落下で持論(→link

ペンギンの池に落っこちる――その感覚そのものがつまらない、というか見ていて辛くなるから炎上したのに、完全な逆ギレ。

「笑わない方がおかしい!」「ネット民が悪い!」というような理論を展開する。

日刊ゲンダイですらつっこんでいます。

◆テレビはなぜ腐ったのか…元テレビ朝日“中の人”がえぐる闇と問題点、そして未来(→link

 ──なぜこうもテレビが衰退したのでしょうか。

「テレビ局内にあるいくつものピラミッドからくる“思い込み”だと思います。

テレビの世界は、キー局が一番偉い、局員が高給取りで偉い、男社会でプロデューサーに女性は極端に少ない。

テレビを支えるCMのメイン商品は女性のためのものばかりなのに、ピラミッドの頂点のオジサンたちの思い込みで制作されています。

トレンドに皆が飛びついたバブル時代と異なり、これだけ多様化した今、十把ひとからげに“女性に人気”“Z世代に刺さる”というのも無理な話。

ユーチューブやSNSに負けるのも無理はないと思います」

感覚がズレていて、つまらないからこそテレビ離れも進んでいるだけ。

ごくごくシンプルなことで、本作『どうする家康』の作り手にも熟読していただきたいところです。

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文:武者震之助(note

【参考】
どうする家康/公式サイト

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武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-どうする家康感想あらすじ

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