周明(光る君へ)

画像はイメージです(五代南唐『 文苑図』周文矩作/wikipediaより引用)

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『光る君へ』宋の周明(松下洸平)とは何者か?紫式部の知力を強化する存在?

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周明
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健康オタクの実資

周明がなぜ『光る君へ』に登場したか?

その役割を考えると、さらに大きな意味があると見えてきます。

平安時代の人だって、

「祈祷ばかりではなく、もっと真っ当な治療法はないだろうか?」

と考えることは当然あります。

劇中でロバート秋山さんが演じる藤原実資は、唐物(中国輸入品)マニア。

現代であれば健康オタクであり、わざわざ太宰府にまで唐人医の処方による薬を求め、手に入らないと歯軋りしている様が、彼の日記『小右記』に残されています。

きっとドラマでも「薬が買えん!」と嘆き、それを盛大に愚痴り、周囲からは「日記に書けばいいでしょ」と言われる様子が描かれるでしょう。

実資は長生きです。90歳という、当時としてはありえないほどの長寿を保ちました。

そんな実資にはお気に入りの女房がいます。

藤原彰子に仕える藤原為時の娘――すなわち紫式部(まひろ)です。

越前に出向いたまひろが、現地で周明と知り合い、医療に関する様々な知識を得たとすれば、健康マニアの実資としてはたまらない逸材となるでしょう。

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「宋の言葉」を学べる絶好の機会

藤原道隆の息子である藤原隆家は、目を負傷した際、太宰府で【唐人医】の治療を求めました。

もしもこの【唐人医】として周明が出てくるとすれば、松下洸平さんは後半まで出番があってもおかしくありません。

更には、まひろが彼を隆家に紹介すれば、ドラマとしてはおいしい展開となるでしょう。

周明は、まひろに「宋の言葉」を教えるようです。

『光る君へ』の第9回放送では、まひろの父である為時が、自作の漢詩を中国語読みする場面がありました。

発音としては到底通じそうにない、限界を感じさせるものですが、もしもまひろがネイティブから中国語を習えるとすれば、素晴らしいポテンシャルが生まれます。

日本人が【漢詩】を詠む際は、印を踏まねばなりません。

当時の貴族は【韻書】というテキスト頼りで韻を把握していました。

その韻の当てっこゲームとして【韻塞ぎ】があり、『枕草子』や『源氏物語』にも出てきます。

つまり、ききょう(清少納言)も、まひろも、中国語の韻を重視していたということです。

ドラマでは、まひろが中国語学習を経験することにより、ききょうを大きくリードできます。

あの女はやたらと漢籍教養を誇っていたけど、大したことないもんね――そんな『紫式部日記』の記述にも、説得力が生まれてきますよね。

第9回を思い返せば、オリジナルキャラクターの直秀が衝撃的な退場を迎え、大いにその死を惜しまれたものでした。

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次のオリジナルキャラクターには、満を持して周明がやって来ます。

直秀が死であるならば、医者である周明は生を司どるのかもしれません。

設定の時点で、まひろに大きな影響を与えると思われる周明――松下洸平さんが演じるこの魅惑的な宋人の登場に期待が膨らみます。

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文・小檜山青
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