どうする家康感想あらすじレビュー

どうする家康感想あらすじ

『どうする家康』感想あらすじレビュー第4回「清須でどうする!」

2023/01/30

いよいよ信長と再会する元康。

果たしてその運命はいかに――って、もうクライマックスかのようだ!

 


あらすじ:網浜奈美さんリスペクト版

私なりにドラマ版『ワタシってサバサバしてるから』を見ながら考えていました。

ワタシはまだネチネチしててサバサバ感が足りねえ! おっしゃ、ビール飲みながらあらすじをたどってみよ!

ちーっす、サバサバしたドラマ通の網浜っス!

元康チャンは、イケメンドS魔王の信長様が待つ尾張・清須城へ向かっちゃった!

思い出すよね。攻め気質の信長が、まだ幼い元康チャンに迫ってたことをさ〜! ここで相撲を取らされんだよぉ〜!

そしたらさワタシでも知ってる激レアSSRカードの豊臣秀吉……名前ちがってたって? 出てくんだよ!

やっぱSSR同士で出会った方が盛り上がるよね。『麒麟がくる』だったかなー。ジミなモブキャラの駒と秀吉が出会ってたやつ。ああいう駒みたいなあざと女ウザいよね。わかるぅ〜www

イケメンがボディタッチってやばくね?

ボーイズがラブしてるwww マジかよwww ウケるwww

『信長の野望・天翔記』※かよっ!

※特定の武将同士で相撲を取らせると性的なセリフが表示される

そしたらさ、謎の覆面武将が出てきて飛んでマジでつええの!

しかもそれが信長の妹・お市だし! ありえなくね?

んで、このお市って元康チャンの初恋の相手なんだってさ! マジか!

とか思ってたらさぁ、瀬名チャンが今川氏真から「愛人になれ」って迫られてさ〜。

ワタシならあんなイケメンならホイホイついてくけど、瀬名チャンは奥手だし、プププ、ウケるw

寝室で危うい場面はもう、瀬名許しちゃえって声援送っちゃったわ。日曜夜8時からエロってやばくね?

まっ、『大奥』ではオンナ向けエロ満載なんでしょ? だったら大河でもいいよなっ!

でもま、そのせいで元康チャンがマジになって今川潰すってw イケメン同士のバトルがマジ熱いよな!

なんかさあ、ちょっとあらすじからズレるけどさ。

今年のこんなファビュラスな大河にネチネチケチつけるやつ〜〜〜! マジうざくね?

いざ大河が真面目に史料準拠でやったらさ〜、どうせ「再現ドラマみたいでお堅くてつまんない」「史実を見たいわけじゃない」とか言うくせにさ。

ごめんね〜、ワタシ、サバサバした毒舌キャラだからさぁ〜。みんな言いたくても言わないこと言っちゃったぁ♪

ま、そもそもさ。昔起きたことなんて見てきた人はもう生きてないじゃん? ならわかるわけないしwww

フィクション排除してできる限り「史料」準拠した大河ドラマ作るなんてはなから無理。

そうやってネチネチケチつけて、自分は歴史にくわしいってマウント取りたいだけっしょw すごくねーからww

子孫に失礼とか言う奴もいてさ〜、マジ話にならねーって思ったよね!

フィクションなんだから別にお市と元康チャンにラブがあってもいいじゃん。

みんな、なんだかんだでイケメンと美女のイチャラブが目当てっしょw

ラブとエロがある今年の大河はマジサイコー❤︎

わかんねえやつマジ終わってんなwww

 


どうする“魏徴系サバサバ女子”

大変失礼しました。

あんまり煽りが高すぎるなりきりをそのままにしてもまずいので、網浜さんの天敵こと早乙女京子さんを「歴女」設定にしてザックリ反論させていただきます。

いますよね、大河を庇うあまり、歴史学そのものを全否定して侮辱される方。

昔あったことはわからない――。

この一点突破をされますが、それはどうでしょう。

ならばなぜ我々人類は歴史を学ぶのか。

史料なり、文学なり、伝説なり、芸術なり、さまざまな証拠は残されています。

それを組み合わせて再現するところに、歴史劇の醍醐味はあるでしょう。ドラマ通にパラメータが振られすぎて歴史学は完全に無視されているかのようです。

ごめんなさい、私も毒舌もとい魏徴(ぎちょう※)系サバサバ女子なので❤︎

※中国史上最大の名君とされる唐太宗の名臣で容赦ない諫言が特徴

貞観政要
家康も泰時も一条天皇も愛読していた『貞観政要』には一体何が書かれているのか

続きを見る

しかし、網浜さんのおっしゃりたいことはわかりました。

歴史考証系のツッコミも適度に混ぜながら、ドラマとしてどうダメなのかを解説してみろ、という挑戦ですよね。

挑まれるのは嫌いじゃありません。特に、今回の第4回放送はコンプラ違反疑惑がてんこ盛りでした。

と、その前に疑問に思うことがあります。

「歴史オタは史実に忠実じゃなければ貶す」って、ソースはあります?

今年の大河は嫌いだけど、男女逆転した『大奥』を絶賛している歴オタは多いと思いますよ。

ネチネチした歴オタが「史料」から1ミリたりともズレたことを許せないとしたら、男女逆転版『大奥』の人気は説明がつきません。

歴オタは、事実かどうかというより、歴史的知識の量に惹きつけられる。

例えば『忍たま乱太郎』なんて子ども向けの漫画ですよね。

しかし、作者の尼子先生はこんなにも知識が豊富だから話に深みが出て、物語が面白くなるから愛されます。

◆「乱太郎」原作者が明かす土井半助のモデル 金吾と父は鎌倉殿?(→link

さあ、どうする網浜さん!

 

どうする衣装と小道具

まだ序盤なのに、早くもクオリティが粗くなっておりませんか?

藤吉郎を綺麗にしたくないせいか、やり過ぎ感が酷い。

大河の小道具は現代的なタッチになるのがお約束といえます。とはいえ、あの信長の似顔絵はもうなんなのか。

『鎌倉殿の13人』の和田義盛書状が懐かしい。

ドラマの設定を取り入れつつ、それっぽく作られていました。

明治時代の店舗に、どう見ても贋作の「風神雷神屏風」があった『青天を衝け』のようだ。

いちいち細かいミスだらけに思えますが、突っ込む気力も湧いて来ない。

 


どうする倫理観

今週の放送は、21世紀現在、コンプライアンス遵守ができていないと思える場面だらけでした。

確かに舞台は戦国です。

殺人謀略が通じる世界観になるのは当然のこと。

といっても、倫理観まで疑わせてはよろしくない。

相変わらずの老人演技で笑いをとりに行くセンスや、暴力でしか感情表現できないパワハラ信長。

はたまた藤吉郎がいきなり尻を蹴られて喜んでいたり、家康がいちいちバカにされたり。

悪辣ないじめにしか見えず、ただただ苦しい。

ハラスメントじみた描写を面白そうにしているって、たとえヤンキー漫画だとしても「嫌われキャラの悪行」として描かれるのではないでしょうか。

 

どうするカメラワーク

『青天を衝け』の第1回冒頭で、今年はハズレだと思いました。

ガクンとカメラが不自然な落ち方をしたのに、それをそのまま流していたのです。

今年もカメラワークが悪い。

アングルが悪いといった問題でなく、ブレブレです。

どうしたカメラスタッフ。心配になってきます。

 

どうするセキュリティ

松平家臣のみなさん。

大声で「信長ぶっ殺す!」とか言ってますけど、悪意ある誰かに聞かれただけで処断ものじゃありませんか。

このドラマは思ったことをそのまんま喋る。

いちいち妻子を心配してるアピールに余念がない元康がそう。彼は自分の妻子のことばかりを考えています。

そんな家族愛をモロに出していると、この時代は危険です。

例えば『鎌倉殿の13人』は非常にシビアでした。

あのドラマの源頼朝は、源義経の行動を梶原景時に報告させています。

仮に弟が可愛いから、といった理由で景時の進言を却下していたら、身内贔屓が強くて不公平な将だとして信頼を失います。

三谷幸喜さんのドラマはギャグが多いだの軽いだの言われますが、その辺の感覚をしっかり整えた上で、ふとした折にちょっとした笑いを入れていたから安心できた。

いわば基礎の部分が堅強だった。

一方、このドラマはふにゃふにゃです。現代人、しかも昭和とか平成の感覚で描いているからわけがわからない。

高校生が戦国時代にタイムスリップしたような錯覚があります。

んなもん、大河でやる必要がありますか?

 

どうするVFXと地理感覚

今回、清洲城を見ていて思いました。

VFXは技術が低いだけの問題ではない。

RPGかMMOのような、敢えてファンタジー感のある絵にしようとしていませんか?

日本の城の構造を踏まえると、空間が広すぎておかしい。やけにのっぺりとしていて嘘くさい。

そして、なぜかいつも天候不良ですよね。

魔王の城! ドヤ!

そんな風に言いたげな曇り空で、常に不穏な空気を漂わせたいアピールが辛い。

いつでも桜が舞い散っているファンタジー日本を舞台にした映画『47 RONIN』を思い出します。あれとはベクトルが逆方向のおバカ日本でつらい。

VFXではなく、ロケ地ですら、どうも尾張とは思えないような場所を使っているようです。地理感覚もおかしくて、尾張にない地形をせっせと作っています。

『麒麟がくる』の駒がファンタジーだとネチネチ突っ込まれていましたが、あれは「稗史」目線から抽出された人物であり、つまり当時の一般人を表したものでした。

ファンタジー度なら、今年の方が上です。

 

どうする格闘シーン

映画『47 RONIN』といえば長崎の地下闘技場ですね。

ご覧になられてない方には意味不明でしょうから説明させていただきます。

あの映画は一言でいえばファンタジー忠臣蔵です。

そしてその世界では、長崎に謎の地下闘技場があり、バトルが行われていました。

47 Ronin
ジャイアントゴーレムも登場の忠臣蔵~映画『47 RONIN』がなぜか熱い!

続きを見る

『どうする家康』の相撲シーンを見ていて思い出したのは、まさにそれ。

イメージとしては漫画やアニメの地下闘技場ですね。あるいはプロレスの金網デスマッチあたりでしょうか。

しかし……基本的な話として、相撲はそもそも土俵でやるものでは?

なんなんでしょう、このダメなハリウッド映画のジャパンもどきは!

 

どうする殺陣

木製薙刀を持って元康の前に現れた信長の妹・お市。

あの動きからしてワイヤーアクションを使っているようでしたが、映画『マトリックス』が衝撃的だった2000年代の感覚です。

ワイヤーアクションは1990年代に香港映画で流行し、それをハリウッドが取り入れ、世界的になりました。

武侠ものの「軽功」という、宙を舞う術を表現するための技法です。

しかし今では古臭くなりました。使うとしても限定的な場面になり、例えば『麒麟がくる』では桶狭間の戦いで使用されましたが、毛利新介が今川義元を討ち取る非常に衝撃的なシーンでの話です。

一方、本作は清須城での稽古に過ぎません。歴史が動くような場面ではない。それなのに、いかにも見せ場のように出してくる感覚が辛いのです。

『マトリックス』はもう20年以上も前の作品ですよ。

 

どうするジェンダー観

このお市、いかにも昭和あたりの「男勝り」でがっかりしました。

女は相撲できないとか、その手の話で「女の壁」を表現するっていつの時代ですか。近代のジェンダー観で止まっていますね。

よくあるじゃないですか。

剣の腕前で男より上だった幼なじみの女の子。でも15くらいになったら「もう勝てない! だって私は女だから!」って泣き出すやつ。既視感ありませんか?

ここで令和を代表する少年漫画『鬼滅の刃』の胡蝶しのぶでも、思い出してみましょう。

彼女は小柄で非力なぶん、毒物を開発して活躍します。知能で腕力差を埋めているのです。

胡蝶しのぶ
胡蝶しのぶと蝶屋敷はシスターフッドの世界なり『鬼滅の刃』蟲柱

続きを見る

大河にもそんなヒロインはいます。

『麒麟がくる』の帰蝶を思い出してみましょう。彼女は未婚時代こそ、袴を履いて馬に乗っておりました。

しかし結婚後は女性の服装になります。そのうえで父・斎藤道三と夫・織田信長の会見をセッティングをし、鉄砲の取引においては「織田家の実質的な取引相手はあのお方だ」と言われるくらい活発にしていました。

武器を振り回すのではなく、知性と政治力で帰蝶は合戦の手引きすらしたのです。

彼女が買いつけた武器で命を落としたものも少なくない――と考えれば、かなりの武力に等しい働きでした。

あるいは『鎌倉殿の13人』の北条政子もそうです。

彼女は強く賢明な女性でしたが、これみよがしに男装などしていません。

『平清盛』の政子と衣装やメイクを思い出してください。時代の変化が見て取れます。

『平清盛』の政子像は、猪を抱えていたり、髪の毛がボサボサだったり、毛皮を身に纏っていて、当時の「男まさり」な女性像でした。

しかし『鎌倉殿の13人』での政子は女性の衣装を着て、書物を読み、知性を磨き、政治力を身につけることでリーダーとしての器を見せつけました。

なぜ北条政子像は時代によってこうも描き方が違うのか「尼将軍」評価の変遷

続きを見る

男だろうが、女だろうが、一振りの剣で勝てる相手は限られています。

本気で戦なり世を動かしたいのであれば、男女問わず知性と政治力が肝要。

『麒麟がくる』の帰蝶や『鎌倉殿の13人』の政子はそれができていました。

彼女らの素晴らしい活躍を見た後、なぜ、このお市を見なければならないのでしょうか?

 

どうする貿易

織田家は力があるから好きにできる。

そうアピールするように、テーブルと椅子もあります。

そんなわけないことを私たちは『麒麟がくる』で学びましたね。『鎌倉殿の13人』にも関係があります。

・海路
・貿易港の整備
・貿易船の確保
・経済力

このあたりが大事だからこそ、『麒麟がくる』の信長は堺を欲しがっていた。

『鎌倉殿の13人』では平清盛も源実朝も、港の整備を考えていました。

「力があるからなんでも手に入る!」って、そういうことじゃないってば!

そしてこれが薄っぺらい戦国ものあるあるのミス。

当時、海外交易で莫大な利益を上げようと思ったら、どこの国を意識するでしょうか?

ポルトガル?

いいえ、明です。

明は当時世界一の大国であり、彼の国の商人はこう言いました。

「日本人マジちょろいわ。うちの国のものって言ったらなんでも買うぞ!」

『麒麟がくる』で松永久秀が鑑定していたのも明渡来の茶器でしたし、『鎌倉殿の13人』でも宋磁が出てきましたね。

日宋貿易
銭を輸入するだけで清盛ボロ儲け!日宋貿易が鎌倉に与えた影響とは?

続きを見る

そんなことはわかっている人は「いまさらいうな」レベルの話なのですが、ゲームあたりだけで勉強しているとこうなる。

「信長っていえばマントに西洋甲冑じゃん。やっぱり南蛮グッズだよな!」

『麒麟がくる』はそこを逆手にとって、南蛮人コスプレをするのが光秀という変化球を投げてきたんですけどね。

信長が南蛮貿易だのなんだの言い出したのは、桶狭間の戦い直後などではなく、もっと先だと思いますが、本作はイメージ重視なので仕方ないのでしょう。

ちなみに徳川家康の政治的実績のひとつとして、秀吉の【朝鮮出兵】で断絶した明と朝鮮との国交回復があります。

本作がこんな調子で今後も進むなら、ワインを飲む信長は出てきても、家康の外交は期待できません。

今のままでは、ウィリアム・アダムスが出てきたらマシというレベルですね。

三浦按針ことウィリアム・アダムスの生涯|関ヶ原直前の家康に何をもたらした?

続きを見る

 

どうする「側室」

戦国時代の女性については黒田基樹先生の書籍がおすすめです。

以下のレビューで挙げられている本を読めば、このドラマが一から十まで間違いだとわかります。

黒田基樹の戦国女性三部作
戦国時代の女性に正当な評価を!どうする家康を楽しむための書籍3冊

続きを見る

例えば今川氏真の周辺がおかしい。

義元亡き後の今川家を支えた寿桂尼だけでなく、氏真の正室である早川殿も出てきません。彼女は無双シリーズにも出ていて人気と知名度が結構あると思うのですが、なぜなのか。

もしも氏真が側室を持つのであれば、正室である早川殿の許可が必要になると考えられます。

早川殿は甲相駿三国同盟の一環として、北条家から豪華な花嫁行列で嫁いできました。

北条家にとっては大事な姫であり、そんな正室を無視してホイホイ側室を迎えたら、最悪の場合、北条と今川の同盟すら壊れます。

そもそも正室と側室の使い方からして、江戸時代以降の認識ありきで引っ掛かります。側室は愛人ではなく、正室が認めた「私の代わりに子を産んでもよい女」という枠です。

『麒麟がくる』では配慮がありました。

信長は【桶狭間の戦い】へと死を覚悟して向かう際、それまで正室である帰蝶に報告していなった奇妙丸(のちの信忠)を侘びながら彼女に託します。

愛人との間に子どもができちゃってた!という描き方ではなく、報告の順番を忘れていたような信長の態度であり、帰蝶は冷静でした。

誰が産んだ子であれ、今後、正室である彼女の管理下に置くならば、自分の地位は保たれると思っていたとわかりましたから。

本作では、そういう認識ができていないんですね……。

瀬名は家臣の娘ですし、ああも頑強に抵抗されるならば、身の危険を考えて遠ざけて当然です。

戦国大名の場合、子を増やすことで家の安泰を高めることが第一。美人だから愛人にしたいという欲求は、江戸時代以降の春本(エロ本)ネタですよ。

 

どうする「遊女」

「側室=遊び女」というセリフが出てきましたね。

母親がああいうことを言うことにも違和感があります。相手は殿であるわけですし、どうにも感覚がおかしい。

ここでの「遊女」というのは、近世的な発想です。

都市ができて、男が余る。女を定住させて、性を売り買いするビジネスが定着する。

性を売り買いする女はいたと思いますが、あの言い方はどうにも江戸期以降の「遊女」のような使い方に思えなくもない。

「遊女」とは金銭で不特定多数と性的関係を持つということでは?

『鎌倉殿の13人』で、源義経の死後庇護を失った静御前が「遊女」になったということならばわかる。

しかし、特定の相手である氏真だけを、金銭を仲介せずに相手にすることを「遊女」ですか?「妾」ならばわかりますが。

当時の今川はそういう状態だったのでしょうか?

ちなみに『麒麟がくる』の伊呂波太夫は、そういうサービスを売り買いしていることがそれとなくわかる設定でした。

定住しないで芸を売り歩く。といっても、そこは美女なのだから……そんな含意があるわけです。

遊郭
吉原遊郭のリアル|鬼滅の刃でも話題になった“苦海”はどんな場所だった?

続きを見る

 

どうする「性的合意」

伊呂波太夫は、妻を亡くした松永久秀から、後妻にならないか?と誘われます。

彼女はそれをキッパリと断り、久秀は寂しそうでありながらも、そんな気の強い相手にますます惚れているような粋な場面でした。

戦国の梟雄代表格とされる松永久秀でも、同意がなければ性的なことはしない。

NHKはコンプライアンスを考えていると思えたものです。

◆必ず知っておきたい「性的同意」の話。紅茶におきかえた動画を見てみよう(→link

いくら戦国時代だろうが、劇中で性的合意のない行為を描いたら問題視されます。

梟雄・松永久秀だってきちんとできているぞ! そういう意味で、実に素晴らしい配慮でした。

「そんなのめんどくさいし〜、強引に迫る方がいいじゃん!」なんて感覚は滅びつつありますから。

たびたび言及している超過激なHBO制作ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』ですら、性的同意を取らずに強引に行為に及ぶ場面は、批判が殺到しています。

NHKはその辺をわかった上で放送したのでしょうか。

確かに氏真と瀬名は未遂とはいえ、性的合意のないまま行為に及ぼうとしていた。

私が心配しているのは、演じた役者さんのことです。あんな性犯罪加害未遂の場面をよりにもよって大河で流されてしまう。その心のケアが心配です。

インティマシー・コーディネーターなんてどうせいないんでしょう?

◆インティマシーコーディネーターとは? 性的シーンの撮影で俳優を“守る”役割。日本でも起用始まる(→link

 

どうするコンプライアンス違反

あの一連の場面で、本作は炎上にさらされるのではないか?

そんな私の心配をよそに、本作の作り手はノリノリだったようで、今回放送の見どころとして「側室にされそうな瀬名!」と宣伝していました。

これぞまさしくセクハラ感覚でしょうよ。しかも昭和おっさんの発想だ。

当時は「歴史は難しいから楽しむのは男だけだ! エロ全開でいくぜー!」という感覚で、戦国大名が側室とイチャイチャするだけの作品が実に多かったんですね。

居酒屋に貼ってあった水着美女ポスターの感覚ですよ。

美男美女だし、側室にするかどうかなんて、物語のエッセンスとして解釈してくれるかもしれないと思っているのでしょうか。

 

どうする手紙での脅迫

『鎌倉殿の13人』はかなりグロテスクな大河ドラマでした。

今年は、瀬名の目の前で女を斬り捨てたり、信長がいつでもパワハラ全開だったり、いきなり藤吉郎が蹴られたり……なかなかバイオレンス三昧のようで、実際には非現実的すぎて「ふーん」としらけてしまいます。

痛みとか、物理的な法則とか。そういうことを考えずに、インパクトだけを重視しているからなのでしょう。

今週ならば血文字の手紙がそうです。

血というのは意外と文字にして書きにくいですし、実用的でもありません。漫画チックにもほどがあります。

手紙で効果的な脅迫ならば、人体欠損でしょう。切った指や耳を入れればいいだけのことです。

指はヤクザ映画のようだと思うかもしれませんけれども、ああいう指詰めは歴史が長い。戦国時代ならば大いににありえます。江戸時代の遊女は作り物の指を贈ったという話もありますね。

幕末期にも、人体を欠損させて屋敷に放り込むは定番の手法でした。

そういう発想に至らないところが、日頃歴史とあまり親しんでいないようで悲しくなるのです。

人体がダメならばペットという手段もあります。

『麒麟がくる』では、斎藤道三が土岐頼芸の飼っている鷹を殺し、脅迫しています。映画『ゴッドファーザー』では競走馬殺害で脅迫させた場面を連想させました。

グロテスクにするにしても、もっとリアリティや工夫がないと!

 

どうするポリアンナ

ポリアンナとは?

パレアナは“よかった探し”が大好きな少女。日本ではアニメ版から「ポリアンナ」という読み方が有名。

転じて些細な点でもよかったところをみつけ、現実逃避する心理状態をさす「ポリアンナ症候群」の由来となった。

そんなポリアンナを探してみましょう。

◆「どうする家康」馬のCGのひどさに馬術指導者も「少し残念」 「松潤が馬に乗れない」説はデマ(→link

この記事は叩きのようで、奥歯に物が挟まったような物言いです。

何か事情でもあるのですか? いつもは切れ味が鋭いはずなのに。

他にも大量にあります。

◆「どうする家康」“岡田信長”がスゴすぎて生き残る説浮上(→link

◆松潤主演NHK『どうする家康』は「シン・大河」になる? 大ヒット大河ドラマ“勝利の方程式”とは | 2023年の論点(→link

◆ 「どうする家康」松本潤と脚本家の絶妙すぎる相性(→link

◆松本潤「どうする家康」でいわくつき乗馬シーン激減 視聴者早くも〝馬ロス〟(→link

◆ 大河ドラマ『どうする家康』を“どうする松潤”!? 不良、ヒモもどき、クセ強弁護士…なぜ松本潤は強烈キャラを演じさせればさせるほど最高なのか(→link

特筆すべきは以下の記事ですかね。

主演の松潤さんが桶狭間の戦いの舞台を自ら自転車で移動していたという話ですが……。

◆『どうする家康』で描かれる「戦国→平和」の物語。「ここまでやるか松本潤!?」 この熱量がすごい! 【どうする家康 満喫リポート】「待ちきれない」編(→link

A:桶狭間合戦の場面では、大高城(愛知県名古屋市)から岡崎城に逃げるまでの行程を松本さんがマウンテンバイクに乗りながら、ずいぶん長い距離移動していました。

この場面を見て正直「ここまでやるか」とびっくりしました。

桶狭間の関連史跡は私たちも取材をしたことがありますが、さすがにこんな周り方はしていない。

確かに自転車に乗り慣れていないと、36キロはすごい距離に思えるのでしょう。

しかし実際は、慣れていれば2時間かからないでしょう。長距離を走る自転車イベントは、50キロ以上はないと「ロングライド」に分類されません。徒歩にせよ、10~11時間ぐらいで歩ける距離ですね。

『鎌倉殿の13人』では関連番組として『チャリダー!』があり、あちらの方が距離が長かったと思われます。三浦半島を走る「ミウライチ」コースはおよそ80キロで設定。

山本耕史さんは鍛え方が半端ない。しかも猪野学さんの出演が発表される豪華な回でしたね。

◆チャリダー 「“鎌倉殿の13人”スペシャル」(→link

そして何が驚きかって、叩きからポリアンナに転じるメディアです。

◆『どうする家康』に早くも“反省会タグ”出現…CG、演出にツッコミ続出で懸念される“朝ドラの二の舞”(→link

◆松本潤 殿特製「家臣シール」作成&岡田准一から必殺技指導!『どうする家康』秘話5(→link

叩き専門の日刊ゲンダイまでこんな調子ですから、もう本当にテキトーだな、と。

◆ 「どうする家康」喜ぶのは松潤ファンだけ? 紅白に続く“年配層切り捨て”で「どうなるNHK」(→link

◆NHK大河ドラマ「どうする家康」も好調! 歴史作家・加来耕三氏に聞く徳川家康の楽しみ方(→link

叩きと持ち上げの記事を交互に投下して、PVのテストでも行っているのかもしれません。

 

どうする責任転嫁

歴史作品では、主人公などの悪行を誰か別の人物になすりつけ、無理にクリーンなイメージを植え付ける手法があります。

要は責任転嫁ですね。

それを大きく取り違えた、こんなニュースもありました。

◆『どうする家康』で汚れ役を担った「於大の方」の暴言に説得力があったワケ 「妻や子を平気で捨てる」家康の非情なイメージを薄める丁寧なストーリー展開(1/5)(→link

上記のメディアは、字数もさほどないままにやたらとページを分割することから、とにかくPVを狙っているタイプだと思うのですが、この記事に関しては冒頭から素っ頓狂な分析がされていると感じます。

以下の部分です。

「妻や子を平気で捨てる」家康の非情なイメージを薄める丁寧なストーリー展開

前述のように、こんなもの斬新な手法でも何でもありません。

例えば『独眼竜政宗』では、伊達政宗が弟・小次郎を殺害したことの言い訳として母の義姫と伯父の最上義光を悪者に仕立て上げました。

こうした捏造は江戸時代からあったものであり、現在では否定説が強いものの、放映当時はそうでなかった説でもあります。

大河ドラマ『独眼竜政宗』
大河ドラマ『独眼竜政宗』は渡辺謙さんの出世作で名作だ!同時に悲しき誤解も産んだ

続きを見る

あるいは豊臣家の失墜もそうでしょう。

かつては北政所(秀吉の正妻)と淀の方(お市の方の娘で秀吉の側室)が対立し、それが足を引っ張ったため豊臣家は滅亡へ向かったとされてきました。

しかし現在は、むしろこの両者は協力しあっていたとされます。

2016年『真田丸』ではそうした見方で描かれており、「女と女のドロドロ!」という古臭い見どころは回避していたものです。

主人公を持ち上げるために周囲を下げる。しかもその相手が女であればさらに効果的。こんなものは手垢がついていて差別的な手段です。

それをわざわざ記事にして細かくページ分割されて解説されたところで、何を言いたいのかわかりません。

そのためにわざわざ『利家とまつ』の主演まで務めた松嶋菜々子さんを呼んだのでしょうか。

こんなことをしているとオファーを断られるようになりますよ。

本作は、大河主演をSSRカードのように揃えていますが、ドラマとソシャゲは別物。主演を揃えれば勝てるものでもないでしょ。

大河ドラマ『利家とまつ』
大河ドラマ『利家とまつ』レビュー 昭和平成の良妻賢母は現代社会にどう映る?

続きを見る

そしてこの責任転嫁手法は、ドラマの批判者にも及ぶようでして。

 

どうする“実はイヤなやつ”

なかなか挑戦的な記事がありました。

◆「やっぱり酒井忠次ってさ」NHK大河『どうする家康』を巡るそんな会話をする人が実はイヤなやつである理由 歴史上の人物に詳しいと評価されると思ったら大間違い(→link

なんだか歴史“痛”とでも言いたげな、辛辣な語り口でして。

徳川家康の話をしているときに、その程度の名前は誰でも知っててあたり前という口調で「やっぱり酒井忠次ってさ」と言い出す人は、けっこうイヤなヤツです。

遠慮がちに「そのころに酒井忠次っていう人がいたんだけど」と説明してくれたとしても、「それがどうした」としか思いません。

歴史上の人物に詳しいことで、プラスの評価を得られると思ったら大間違い。

尊敬のまなざしを集めるどころか、ちょっとイラっとされたり、「おいおい、無理しなくていいよ」と憐れみのまなざしを向けられたりするのが関の山です。

上記の記事には、根本的な疑問があります。

歴史好きで誰かと話したい――そう思っている方が、この記事の著者のような人物に語りかけるでしょうか?

そもそも「歴史を知っていても役に立たない」とでも言いたげな論旨は非常に危ういと思います。

現在の国際問題や社会問題は、歴史でつながっていることが非常に多い。

ゆえにどこの国だって自国や世界史が学びの場で提供されているのでしょう。

「知っていて得する」というより「最低限知っておかないと危険なこともある」という意味もあるのではないでしょうか。

一例として何度でも蒸し返しますが、『青天を衝け』の描写を信じてレオポルド2世を称えようものなら、相手によっては悲しい結果になりかねません。

レオポルド2世とコンゴ自由国
手足切断が当たり前だった恐怖のコンゴ自由国|レオポルド2世の鬼虐待

続きを見る

上記の記事が掲載されているメディアでは、同時に

◆『徳川家康の人間関係学』(→link

なる連載まであるのに、まったくもって不思議でなりません。

かつてのビジネスマンは司馬遼太郎や山岡荘八の話ぐらいしていましたが、それが無くなってしまうことが人間性の成熟なのでしょうかね。

 

どうするNHK……

NHKは毎年、大河の関連番組が多く放送されます。

ですので今年は家康に絡んだ番組が増えていますが、一方で、妙な感じがするのは出演者のトーク番組です。

なんだか『鎌倉殿の13人』や『大奥』のものが多いように思えます。

『どうする家康』に対する熱量が薄いというかなんというか、気のせいですかね。

◆『鎌倉殿』公式HPとSNSが2月7日で終了「ロスが未だ癒えてません」「寂しくなります」(→link

昨年の作品に対し、熱心なファンからロスの声が上がること自体は珍しくないですが、まだ4回の放送が終わったばかりで「今年はダメだが来年は大ヒットだ」なんて言われてしまったら辛いですよね。それが以下の記事です。

◆松本潤『どうする家康』が苦戦も…吉高由里子の来年大河『光る君へ』が大ヒット間違いナシの皮算用(→link

記事内では

「今年はもう諦めた。来年の大河に期待する」

とか

多くの芸能・ドラマ関係者たちも、「来年の大河の成功は間違いない」と太鼓判

なんて調子で、サラリと強めのダメだしがされてます。

だからなのか。今年はNHK上層部あたりから、役者が「挑戦しているから」「あたたかい目で見守って」とおねがいモードを発動しています。

◆「どうする家康」初回 まさかのBL展開?台詞回しやCG“新しい大河”NHK会長も評価「価値ある挑戦」(→link

◆『どうする家康』大森南朋、宴会芸シーンは「優しい目でご覧いただきたいです」(→link

こういうことを言う時、人は往々にして不満や不安を胸のうちに秘めているものです。

でも、それで、お願いされたからって何なのでしょう。

プロならプロの仕事をして「後は自由に評価してくれ!」というのが正しい姿ではありませんか。

 

どうする「歴戦の腐女子」

萌えますか? 信長と家康のカップリング。

パワハラセクハラ上司は、顔がよくても最悪です。本作の信長はまさにこんな感じで、イケメン同士だろうが全然萌えない――そうお嘆きのあなたに朗報です。

◆大ヒット作「陳情令」が見放題配信!! &2月の見放題配信スタート作品解禁(→link

今年は「イケメンの松潤プリンスぶりに女性もメロメロ!」という事前予測があったんですよ。

そのスタンスって、作り手も受け手も20年遅れていませんか?

若手からベテランへと上り詰めつつある――そんな小栗旬さんのように扱えませんか?

顔だけでなく演技力で評価すればいいのに、『花より男子』なんてもう15年前ですよね。

本物の若いイケメンが好きな女性には、韓流や華流時代劇があります。

しかもブロマンスとなると、相手を思い合い、傷つけるようなことはないので、ストレスが溜まりません。

『陳情令』はおすすめです。

忘羨
“忘羨”こそ最上の幸福! 陳情令と魔道祖師は“知音”の世界だった

続きを見る

 

過ちて改めざる是を過ちと謂う

と、今週も色々書いてきましたが、これです。

◆「どうする家康」プロデューサーが語る 戦績55点の家康の「リカバリー力」とは(→link

リカバリー力を発揮すべきは、家康ではなく、ドラマの作り手自身でしょう。

「どうかポリアンナになって大河を誉めて!」

仮にそんな発注をしたところで、どこまでリカバリーできるのか。

『鎌倉殿の13人』は画期的でした。

海外ドラマを見ているような層も大河に引き込んだ。彼らは今回の性的同意のないセクハラ全開に不快感を募らせているのでは?

とりあえず今回の卑劣なやらかしは、反省が欲しいところです。

家康なんて側室まみれなのだから、そうでないと今後手痛く跳ね返ってきますよ。

いい言葉があります。

過ちて改めざる是を過ちと謂う。「論語」「衛霊公」

ミスをして、それを認めないことこそがミスである。

ミスを認めて改善すればOKと前向きにも受け取れる。

どうか小手先で誤魔化すような、つまらない一手だけは避けて欲しいものです。


あわせて読みたい関連記事

お市の方の肖像画
なぜお市の方は逃げずに死を選んだのか?浅井長政に嫁ぎ勝家と共に自害した信長の妹

続きを見る

徳川家康の肖像画
徳川家康の生涯|信長と秀吉の下で歩んだ艱難辛苦の75年を史実で振り返る

続きを見る

築山殿
築山殿の生涯|息子の信康と共に殺された家康の正室 夫には重たい女だった?

続きを見る

石川数正
石川数正の生涯|なぜ秀吉の下へ出奔したのか 豊臣政権の崩壊後はどうなった?

続きを見る

本多忠勝の肖像画
本多忠勝の生涯|家康を天下人にした“戦国最強武将”注目エピソード5選とは?

続きを見る

【参考】
どうする家康/公式サイト

TOPページへ


 



リンクフリー 本サイトはリンク報告不要で大歓迎です。
記事やイラストの無断転載は固くお断りいたします。
引用・転載をご希望の際は お問い合わせ よりご一報ください。
  • この記事を書いた人
  • 最新記事

武者震之助

2015年の大河ドラマ『花燃ゆ』以来、毎年レビューを担当。大河ドラマにとっての魏徴(ぎちょう)たらんと自認しているが、そう思うのは本人だけである。

-どうする家康感想あらすじ

右クリックのご使用はできません
目次