挙国一致して幕府を転覆させる!
と、尾高惇忠が吠え、坂下門外の変についての一報を聞いた栄一が、走る、走る、走る!
栄一は、尾高長七郎の定宿に飛び込み、江戸行きを止めました。
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そんな栄一には、父になる日が迫っています。
猛烈に走って産屋に駆け込み、我が子を抱く千代に喜びます。幸せに満ちた渋沢家です。
慶喜が将軍後見職に就任
けれども世間は騒々しい。
尊王攘夷を掲げていれば、天子様が夷狄を踏み潰すのだと、血洗島の青年たちは信じています。
作り話でもなく史料準拠だと丁寧に示されます。
ここで家康が登場です。いよっ、待ってましたぁ!
なんでも徳川慶喜が復活し、将軍後見職になったそうです。
薩摩の島津久光が上洛したからで、慶喜が失礼なほどに論破しまくっていますね。
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美賀君はそんな夫を労っています。
イチャイチャラブラブです。
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我が子を亡くしてしまった栄一……
栄一はまた走っている。
しかし、なんだかおかしい。千代が寝込んでいます。
「そんな……あぁ!」
「うそだ……うそだ」
なんと我が子が亡くなってしまいました。悲しむ栄一と千代。原因は江戸時代に何度も大流行した麻疹ですね。
この時代はとにかく乳幼児の死亡率が高い。栄一の母にも、そう慰められる千代です。
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それでも世の中は動きます。
尊王攘夷カルトにはまった渋沢青年たちが、何か話あっています。
と、思ったら、なんと横浜焼き討ちを計画!
京都も治安が悪化していて大変で、慶喜も公家の三条実美から攘夷をしろと迫られています。
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そんな慶喜のもとに平岡円四郎がやってきました。
熱い主従関係の復活!ってやつですかね。
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一方、横浜焼き討ちを計画をすすめる栄一と喜作は武器を集めます。
そしてついに、父に向かって栄一は自身の勘当をお願いするのです。
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千代は新たに子を産んでいて……家族も栄一に落ち着いて欲しいと説得しますが、結局、父も理解を示します。
仕方ありません、だって、志士だから――。
総評
面白いことに気づきました。
『青天を衝け』で検索をかけると、ついこの間までは
『麒麟がくる』
『真田丸』
あたりが関連語として出てきました。前の歳の作品が出るのは想定内です。
それが現在は
『西郷どん』
『花燃ゆ』
あたりが上位に来ます。
幕末大河だから? それとも……?
本作に関するニュースそのものも減少傾向にあるようです。
SNSに目を向けてみても、
「今年の大河主演はイケメンですよね。主演だけでなくイケメンパラダイス! 女優も美形だし、イチャイチャしているし、いいんじゃないですか」
「そうだね。でも私は……」
といった感じで、そこまでウケていない様子が感じ取れます。
視聴率も第10回放送では『麒麟がくる』を下回るようになり、減衰傾向ですね。
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そして『小吉の女房2』の番宣を見ていて思ったのですが、短い時間だけでも、こちらのほうが格段に洗練されています。
所作指導、時代劇に適した役者など盤石の布陣のようで、脚本家の体制もどうなっているのでしょう。
本作のツッコミどころや史実が気になる方は先に進みましょう。
そもそも「尊王攘夷」とは何か?
尊王攘夷とは?
徳川斉昭はじめ、本作の人物が高らかに掲げるこの言葉の出典は中国です。
周王朝を重んじ、夷狄を打ち払うという意味。
水戸学の根本思想には、儒教の陽明学がありました。明・王陽明が提唱した一派です。
ただ、日本の需要の場合、気をつけねばならない点があります。
幕府が朱子学を採用しており、多くの藩でもそのテキストを用いておりました。これに対し、アンチ幕府として陽明学が発展してきた点も重要です。
「明治維新を成し遂げた志士は陽明学を学んでいた」
そんなこともよく言われますが、そうした背景を知っておくと理解度が変わってくるでしょう。
中国由来の「尊王攘夷」を掲げた水戸学は、徳川以外の権威を求め、朝廷を重視します。
好色で悪名高い斉昭が側室を置かず妻を重視した背景には、現代人が考える夫婦愛以上に、尊王思想があったことは重要です。
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この尊王と攘夷がセットとなったことで、話がややこしくなります。
尊王=攘夷
徳川=開国
そんな単純な分類でよいのか? もっと真面目に政治や外交を考えた方がいいのでは? そう言いたくもなりますが、こういう図式が栄一はじめとする志士の間ではセットになったのです。
この国のために命を賭ける。
本作では予告でこんなテロップを流していましたが、栄一とその仲間たちがどこまでそう熟慮していたのか。ここは重要でしょう。
別に横浜を焼き討ちしようが、外国人を殺傷しようが、舐め腐った態度の老中を襲撃しようが、外国の学問に詳しい人を暗殺しようが。
そんなことをしても国は助からないどころか、賠償金を請求されて困るだけです。
事実、幕府だけじゃなく明治政府もこれに悩まされました。
しかし、暴れる者たちはそこまで考えておりませんし、仲間内で「ウェーイ!」できればよかったのでね。
栄一とも親しい幕末史を見届けた江間政発は、次のように核心をつく振り返り方をしています。
「尊王攘夷って、結局、アンチを叩き潰すための口実でしたよね」
会津藩士・山川浩も否定的に振り返っております。
「尊王攘夷って、神風吹けば勝てると信じる。そういうレベルのヤバいオカルトだった」
根底に愛国心があってもなくても、だから何だというのでしょうか。SNSで過激な発言をして問題視される人だって、「この国や社会をより良くする」という使命感を持って投稿していることが往々にしてあります。
尊王攘夷があったから、明治維新が成功したとは言えません。
むしろ賠償金問題が発生した。佐久間象山ら才能あふれる人材なども、多数犠牲になりました。
それなのに、その危険性や問題点を追及されず、幕末の青春であるかのような扱いをされるのは、結果論でしょう。
明治維新を成し遂げた側。渋沢栄一のような成功者。
彼らがはまっていたのだから、青春の煌めきとしてありなんじゃないかな……そううっすらと思われている。
だからこそ、実写映画完結篇が控えている『るろうに剣心』も通じるのだと思えます。
十代で思想洗脳を受けて連続殺人鬼を行なった人物って、少年漫画の主人公に適切かと問われると、私は何とも言えません。
それでもその思想が“尊王攘夷”だと、幕末らしいし、それはそれでありだと思えてしまう。
そんなマジックを感じます。
2021年にもなって、日本代表する大河ドラマが流していてよいかどうか。
イデオロギーの対立、こと内戦は、国家や社会に致命的な大打撃を与えます。
アメリカ南北戦争。メキシコ革命。ロシアの内戦、中国の内戦、スペインの内戦。アンゴラの内戦。朝鮮戦争。
幕末から、戊辰戦争を経て、西南戦争で終結を迎える動乱も、十分血生臭いものでした。
それでも明治が成功したとすれば、いくつもの多層的な幸運に支えられてのこと。
危険なイデオロギーの種が水戸学という形で蔓延し、悲惨な流血を引き起こしたことは否定できません。
「七つまでは神のうち」
今週は栄一と千代の子が亡くなりました。
江戸時代以前の乳幼児が、凄まじい死亡率であることは弊サイト・馬渕まり先生の記事がありますのでご参照ください。
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今回は出産について考えてみたいところがあります。
千代の出産後、栄一がドタドタと騒がしく産屋に入ってきました。
これはどうしたものでしょうか?
出産時、男性は役に立たないから付き添わないことが当然だという認識は、それこそ昭和まであった。
そういう認識が欠けていると言わざるを得ません。配慮もない。
出産後の負担は今も相当なものですが、当時となればさらに重い。それなのに、千代はわざとらしいメイクで結構元気そうでした。
しかも、出産直後から働いている。栄一も周囲もニコニコしている。
もちろん、渋沢家のように使用人がいない貧しい家であれば、パール・バックの『大地』のように、出産当日に働いていてもおかしくはありません。
しかし、あれほどの豪農の世継ぎが誕生して、ちょっとおかしいのではありませんか。
あえて辛辣に指摘させていただくと、栄一の無自覚すぎる行動を見ている限り、子供が夭折しても仕方ない環境だったのでは?と感じました。
確かに幕末のパンデミック(麻疹)についてのナレーションは入りましたが、それが関係ないと思わされるぐらいの雑配慮。
昨年の大河で医学考証スタッフが働きすぎたものだから、今年は休みをとっているの?とすら考えたほどです。
「産後の肥立ちが悪い」
今ではちょっと古い言い回しもあります。
当時は産後死亡率がそれだけ高かった。
それなのに、栄一は寝込んだ千代の元へドタドタと駆け込む。
しかも第一子の悲劇があったのに、第二子出産のあとがあの行動です。
思いやりが全くないとしか言いようがない。
「雌鶏歌えば家滅ぶ」
渋沢栄一の女性観がどう描かれるか?
これも気になるところです。
ただ、漢文教養豊かな彼が、妻だろうが女性の言うことで大志をまげないであろうことは指摘しておきたいところです。
◆『青天を衝け』勇ましくなってきた栄一、過激な思想にも触れ…千代が抑止力に(→link)
こちらのレビューによれば、要するに千代への愛が抑止力になっているということですが、今週の放送で呆気なくそうではないと示されてしました。
なぜこのような誤解が生じるのか。
というと、本作が当時の価値観に対する理解がなく、視聴者へのウケ狙い重視で、現代の価値観にストーリーを収めようとしているからではないでしょうか。
同じ脚本家の朝ドラ『あさが来た』でも、同様のテクニックが使われていました。史実から見るとかなり雑で、モデル(広岡浅子)への侮辱のような描写も多かったのですが、世間的にも話題となり、ヒット作として認識された。それを大河でも流用しているのでしょう。
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しかし、当時の価値観からすれば、女の抑止力で行動が止められるなんて、相当恥ずかしいこと。
ジェンダーで歴史を見る難しさなのですが、女性の言いなりにならないという発想は、むしろ太平の世が続くと強固になります。
『麒麟がくる』での信長は、妻である帰蝶の助力を得ていました。ヒロインの駒が動きすぎるという根強い批判もあった。
しかし、戦国と幕末を比較すれば、むしろ前者の方が女性の発言権があっても不思議ではないということです。
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話が長くなりましたが、そういう幕末において、女が抑止力になるなんてまずないと考えた方がよいでしょう。
そんな時代でも意思を通したからこそ、篤姫なり和宮は特別で偉いといえる。
しかし、本作ではただのイチャイチャ要員です。気が強く、夫と不仲だった美賀君も、癒し系になった。
『花燃ゆ』ではできなかった高みを本作は目指しているようです。
ついでに言っておくと、こんな古臭い昭和の妄想じみたヒロイン像は、女性のエンパワメントに無関係どころか有害です。
今週の演出チェック
今週も演出がパワフルで、いろいろ不安になりました。
栄一はやたらと走る。妻が寝込んでいようが走る。口半開きで走って美貌が台無しだろうが走る。
しかし人には限界ってものがあります。
ずーっとあんな風に走るよりも、馬を探しに行けばよいでしょう。お金はあります。
さらに宿屋にもハァハァ息を切らしながら飛び込みますが、一体どういうことでしょう?
宿の中であんな物騒なことを大声で話していては、どれだけ危険なことか。
そんなわけで、今週も奇妙な動きを見ているだけでムズムズさせていただきました。
本作を見ていると、何か間違った楽しみ方を見出している自分がいます。出来の悪いゲームのバグで遊んでいると言いましょうか。
にしても、すごかったですよね。公家の「攘夷の日にちを決めなされ!」ムーブと、慶喜のヤレヤレ顔スマイル。慶喜が棒読みなのは、サイボーグじみた性格ゆえにそうされているのか。
そして円四郎がぼやきながらやってくる。
貧乏くじとか言いますけど、このドラマは幕末の価値観がよほど嫌いのようで、作り手が幼少期に読んだ漫画を再現したいらしい。
こんなラフで馬鹿げた君臣関係を描いて何がしたいのでしょう。
堤真一さんにも、しょうもねえスマイルをさせないでいただきたい。
他にも、美賀君の無茶苦茶ぎこちない背後からの抱きつきとか、藤田小四郎くんの煽られムーブとか、熱かったです。
やたらと叫び、掴みかかり、距離を縮めれば熱いと思っているらしい。
誰も迷惑を考えていなくて、あまりに自由ですね。
Mアノンが大暴れし、史実は端折られる……
今週はいろいろと主人公周辺が熱かった。
Mアノン(※水戸学を身につけた危険思想)がすごい。
このドラマを語るうえで「日本近代資本主義の父」だの「聡明な渋沢栄一」だの、やたらと枕が入りますが。
「天子様が夷狄を踏み潰してくださる! うおおおおおお!」
「城を奪うぞぉぉぉ!」
「武器を集める!」
「焼き討ちだ!」
そんなことを叫ばれ、テロ計画を練られ、これで聡明と言われても困惑しかありません。カルトにハマる!という啓発ドラマなら、わかるのですが。
なんでダラダラ栄一の子が生まれて夭折、また生まれることに尺を割くのかわかりました。じっくりこのあたりを描くと危険なのでしょう。
そのせいで、あまりに雑な西日本情勢・薩長の描写になりましたが、大丈夫なのでしょうか。
マイナーかつ悪名高い三島通庸が出てくるあたり、ちょっとよくわかりません。
このドラマは「茶歌ポンが斬新!」とか「歴史の勉強になる!」だの言われておりますが、あの描写だけで理解できるのは幕末上級者だけでは?
まさか『花燃ゆ』や『西郷どん』よりも、歴史背景をすっ飛ばすとは思いませんでした。せっかく慶喜と栄一をダブル主人公にしたのに、これでは意味がない。
そうそう、酒場で藤田小四郎に向かって「父を超えろ!」とさらっと焚き付ける栄一の極悪非道ぶりにもシビれました。
「父をも超える大義をなしてみせる!」
「おう頼もしい、そうだいその意気だい!」
未来のことはわからないから仕方ないかもしれない。しかし、このあとのことを知っていると恐ろしくなります。
『おちょやん』砲が炸裂し、女性を敵に回す2021年春
朝ドラ『おちょやん』はテロップに指導者がずらずら並びます。
役者さんがすごい。
若手の杉咲花さんが着物で雑巾掛けをし、袖を帯に挟む。
東野絢香さんは和服で素早く正座から立ち上がり、相手に掴みかかる。
成田凌さんはだるそうに懐手をしてぶらぶら歩く。
こういう動きって実はものすごく大変です。
それをこの年齢でこなしていて、半端ないものを見て、毎朝「眼福や……」と拝みたいほど。脇を固める舞台系の役者さんは言わずもがなの動きです。
そして思ってしまった。
『青天を衝け』で、特に若手役者が立ったり座ったり動かないのは、所作指導が甘いのではないかと。
そして今週、その朝ドラ砲が直撃したのではないかと思われる展開がありまして。
◆ 朝ドラおちょやん、テルヲを超えてしまった一平…あさイチ・鈴木アナ「ドアホ!」にネット共感「あなたは代弁者」(→link)
糟糠の妻であるヒロイン・千代がいるにも関わらず、夫・一平が若い女優と浮気した挙句、子までできて離婚するという地獄みのある展開。
視聴者はそらもう罵倒しまくりよ。
ここを包み隠さず描いたのは、画期的なことですわな。
この記事にあるように、朝ドラは不倫を描くこともあったのです。
ちなみに2018年下半期『まんぷく』に至っては、モデル夫妻は重婚のため法律上婚姻関係不成立です。ドラマではもちろん描いておりませんが。
◆ “朝ドラと不倫”を振り返る!「おちょやん」一平だけじゃない ヒロインが妻子ある男性に惹かれることも…(→link)
ただ……一平がここまで批判され罵倒されるとなると、こちらの栄一はどうなんだ? そう言いたくもなります。
詳細は以下の記事にあります。
「英雄色を好む」だの、#Metoo時代には全く通じなくなった言い訳をしてありますが、妻子に悪影響を及ぼしたと明言されております。
一部、引用させていただきますと。
だが、父の栄一には息子・篤二の所業を真っ向から責める資格はなかった。
栄一自身も女性にはだらしなかったからだ。
ただ、もちろんそれは、現代から見ての話である。伊藤博文にしても、かつての上司・井上馨にしても、さらにライバルの岩崎弥太郎にしても、芸者と遊び、遊郭に出入りし、妾を持っていた。
金や権力を有する者にとって、それはごく当たり前であったし、男としての甲斐性といわれた時代であった。だから栄一もたびたび芸者と遊び、妾も複数かかえていた。
ただ、問題なのは、そんな彼が世間に向けては、道徳を声高に唱えていたことである。
几帳面な栄一は毎日必ず日記をつけており、妾宅に行くときは「一友人」を問うと記していた。
栄一と比べたら、一平にせよ、モデルの二代目渋谷天外にせよ、かわいいものです。
それに『おちょやん』は「英雄色を好む」、偉業達成するなら女遊びくらいいいという甘えも否定している。千代の周囲もそう言ってくるし、千代自身すら夫のスランプをわかってはいた。
けど、それとこれとは話がちゃうやろ!
そう怒り、千代は離婚し、失踪する。それがこれまでの展開です。
そして月曜日からは、そんな千代の不死鳥の如き復活が描かれるわけやね。放送が楽しみや!
と、まあ朝ドラの話を引っ張りすぎましたが、これも大河に関係あるんです。
『おちょやん』の展開は、今後、栄一の下半身暴走で持ち出される言い訳を、先手を打って潰したとも言える。
さらに先をゆき、良妻賢母になっても女の幸せは保証されない。むしろ芸を磨けと見せてくるのです。
まさに2021年のジェンダー感を反映させている。
ついでに言うと一平は最低ですが、父としての母体を含めた我が子への気遣いは栄一よりマシに思えるんだなぁ……。
栄一のやらかしはミニマムにごまかすつもりでしょうけどね。
産後、つらい妻を働かせる!
寝込んでいる妻の元にドタバタ駆けつける!
幼い我が子がいるのに、焼き討ち計画に夢中で飲み歩いている!
そして記事で明かされる下半身事情!
いつ、栄一が一平を最低夫ランキングで追い抜くのか?
そこは楽しみになってきました。
炎上要素で地雷原状態の本作。しかし、私が推察するに、いま最も可燃性が高く、文字通りホットであるのはジェンダーがらみです。炎が、見えてきました。
そしてこういう予測ともなれば、ゲンダイさんが頼りになるんですね。
◆NHK「おちょやん」が不人気 話題にもならないのはなぜか(→link)
『おちょやん』の低視聴率をあげ、話題になっていないとコタツ記事ライターらしく、匿名の関係者トークを使って持ち上げていますが。
ゲンダイさん……このコロナのご時世に、飲み屋で聞いたっぽい関係者トークを混ぜるとかえってリアリティが減りますよ。
Zoomで裏話を聞いていたらそれはそれで大問題ですけどね。
そして案の定、この記事は嘘を書いています。
かなり話題になっています。放映終了前に朝日新聞紙面でまで取り上げられるのは異例のこと。これ以外にも、紙媒体の雑誌でも結構取り上げられています。
◆「おちょやん」で反響、「人形の家」名ゼリフを読み解く(→link)
ではなぜ、ゲンダイさんはこんな書き方をするのか?
以下の記事のように、マリエさんの事件を「女は根に持つから」と収めにいくような、古臭い価値観ベースだからですよね。
◆マリエ枕営業騒動にみる「根に持つ女性」の賢いあしらい方(→link)
なんという反面教師でしょうか。
毎度毎度、ゲンダイさんの節操の無さには逆に感心するほどです。
“初夜”と取捨選択
本作『青天を衝け』関連のニュースを調べていると、ふんどしだの初夜だのがやたらと出てきて、ため息をついてしまいます。
一体何なのでしょうか。まだ言ってます。
◆橋本愛、“初夜”シーン全カットを改めて謝罪「楽しみにしてくださってた方々には申し訳ない」(→link)
こちらも一部抜粋させていただきましょう。
橋本:良いシーンというか、「これから栄一と千代はどうなっていくんですか?」っていうインタビューを受けてて、「キュンキュンするシーンが結構出てくるんですよ」って言ったら、「例えばどんなシーンですか?」って言われて、「結婚初夜とか」っていう、具体的なワードを出してしまって。
天野:うんうん。
橋本:そしたら、それがニュースの見出しになっちゃったんです。
天野:「結婚初夜がある」と!
橋本:私が大々的に宣伝したみたいになっちゃって(笑)。ファンのみなさんが楽しみにというか、ドキドキする準備をしてたら、丸々カットになってしまって。
さて、このドラマ名物のポリアンナ記事(※無理やり褒める記事)も見ておきましょう。
◆放送10回で平均視聴率15・8% 苦肉の編集作業も…NHK大河「青天を衝け」次回みどころ(→link)
というわけで、残念な結果に終わったのだが、その後、橋本が「でも、仕上がり、素敵でした」とつづっていた。
ハッとした。取材して原稿を書くのに似ている。
多くの材料から取捨選択し、身を切るようにして執筆した原稿の方が、後で読み返したら面白いということが多い。逆に少ない材料を小手先で無理に引き伸ばすと、どうしても物足りなくなる。
まずは十分な取材成果、そして放送時間に入りきらないほどの場面が必要だということだ。
このドラマがまるで入りきらない部分を、苦労して捨てているような書き方はどうなのか。
本作は「そこは省いてはいけないでしょ」という要素をバンバン省いています。
今週は、新選組をもっと大きく出してもよいはずと思ったら、13回からですか。遅い。
本作はいつもセンスがありませんし、出演者のインタビューを読んでも、どうにも史実理解が甘いように感じます。
これは彼一人ではなく、ベテランも含めて皆そういう傾向がある。昨年と比較してはよろしくないとは思うのですが。
新選組描写ひとつとっても、
「有名人だからイケメンで出しちゃえw」
という思いありきで、誰もが史実の整合性を考えていない現場なのだろうと思えてきます。
『青天を衝け』について言えることは、撤退戦、退き口だということ。
このドラマで名をあげようとか、活躍しようとか、主演だろうが脚本家だろうが、思わない方がよいでしょう。
他の時代劇や来年にいい材料は引っ張られるのでは。NHKに戦略があるならそうする。
今回はもうコロナもあって短縮もありですし、捨て駒扱いをされていると思われます。
退き口ですべきことは、損害を抑えて生き延びる。それだけです。
しかし燃える材料はいくつもあります。このドラマにはまったく期待をしませんが、来年以降まで延焼させることだけは避けて欲しい。
あと、幕末史を勉強したいなら、このドラマのことは忘れて真面目に本を読みましょう。
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【参考】
青天を衝け/公式サイト















