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【高御座の生首】
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高御座にまつわる事件やエピソード
事件とは他でもありません。
花山天皇が女官を引き摺り込み、高御座で性行為に及んだというのです。
その間、冕冠(べんかん)の珠が揺れていたとか、かなり生々しい記録が残されています。
ただし、【寛和の変】のように異常な経緯で退位をさせられた天皇には、後ほど、あくどい逸話が捏造されることもあり、その点は注意が必要です。
ともかく花山天皇は型破りであり、その後のエピソードも事欠きません。
例えば花山院は、兼家の子である三兄弟に肝試しをするよう命じたことがあります。
道隆は豊楽院。
道兼は仁寿殿。
道長は太極殿。
それぞれ目的のスポットへ出向くだけ……と思いきや、怯えて逃げ帰ってきた兄二人に対し、道長だけは高御座の削りクズを持ち帰り、豪胆さを示したとされます。
『大鏡』に掲載された話ですから、道長の豪胆さを賛美したいのでしょう。
しかし、道長の日記を読むと、律儀な性格が見てとれるとか。
リアルな姿と、誇張された姿には隔たりがあるのですね。
衣装にも注目を
一条天皇が即位をするとき、冕冠(べんかん)を身につけていました。
幼い一条天皇にあわせ、わざわざ作った手間を考えると実に貴重。
中国由来の冠であり、孝明天皇まで用いられています。
明治以降は中国風を改めるため廃止したのですが、実はこれがなんとも中途半端であります。
というのも即位を含め、今上天皇に至るまで身につける最高位の「黄櫨染御袍」(こうろぜんのこうほう)は、唐の皇帝由来なのです。
中国の人からすれば、天皇の即位礼は古代中国の色が見られる貴重な機会になるのだとか。
★
高御座の生首で話題をさらった第11回。
現代の視聴者からすれば、その生首にショックを受けるのでしょうが、当時の価値観を踏まえてみましょう。
『大鏡』は、生首すら知らぬふりをする兼家の豪胆さを褒めています。
同じく肝試しの段では、高御座を削り取る道長の豪胆さを称賛しています。
『大鏡』にあった藤原氏称賛が見られたのが第11回でした。
しかし、『光る君へ』はそれだけではありません。
輝く藤原氏の影で、苦悩する藤原為時一家の悲運が描かれました。
『光る君へ』というドラマには、まばゆい光と悲しい影があるようです。
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◆ドラマレビューはこちらから→光る君へ感想
文:小檜山青
※著者の関連noteはこちらから!(→link)
【参考文献】
倉本一宏『敗者たちの平安王朝』
倉本一宏『一条天皇』
山本淳子『源氏物語の時代』
『大鏡』
郭浩『中国の伝統色』
他