鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第14回「都の義仲」

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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第14回「都の義仲」
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二桃殺三士「二つの桃が三人の勇士を殺す」

また『三国志』を持ち出します。

諸葛亮は「梁父吟」という歌を口ずさんでいました。

そこに「二桃三士を殺す」という話が出てきます。

ざっと見てみますと……。

斉景公のころのこと――宰相・晏嬰(あんえい)は増長する三人の勇士を危惧していました。

そこで三人に、主君の名義で二つの桃を贈ることにしました。功績を配慮し、食べるようにと。

三人いるのに桃は二つ!

彼らは話し合いをしているうちに揉めてしまい、ついには桃のことで言い争ったことを恥じて、全員が自害してしまったのです。

かくして三人の危険な人物を、二個の桃で排除した。

ちなみに西洋ではトロイア戦争を引き起こした「不和の林檎」が有名です。こちらは三人の女神に向かい、一番美しいものへ贈るとあったから揉めた。

このように、恩賞を与える際に人間が揉めるということは認識としてあります。

わざとか?

それとも深く考えなかったのか?

鎌倉殿の13人の舞台では、後白河法皇の無茶苦茶な恩賞のせいで、源平の武士たちは死屍累々になってしまいました。

このあとも後白河法皇は恩賞をちらつかせ、誰かを破滅へ追いやることでしょう。

今週と来週あたりは、まさにこの桃を贈って勇士を殺す世界そのものになると思えるのです。

『麒麟がくる』の斎藤道三でも織田信長でも思い出してください。

彼らは桃の価値を否定していた。斎藤道三は血筋だのなんだの、そんなものはお守り札だと言い、土岐頼芸を追い出しました。

織田信長は足利義輝官位云々の話をすると途端に興味を失う。

蘭奢待を切り取った時は大興奮でも、正親町天皇への愛着が薄れてゆくとどうでもよくなっていく。

桃を贈られても自害しないようになるためには「こんな桃、そもそもいらねー!」と突っぱねる必要があります。

信長はバットをフルスイングしながら、桃を打ち返すか潰す奴になった。

そういう桃を拒否する先駆者として、本作の義時も存在するのかもしれません。

義時は桃に張り付いた策を見抜き、粉砕できる奴なのか? その攻防が楽しみでなりません。

 


鎌倉イケメンパラダイス

木曽義高がイケメンすぎて、みんなメロメロになっていました。

ここで本作のイケメンのことでも考えてみましょう。

畠山重忠:顔の良さだけでなく、道徳心も美と考えているのか。言動に優しさが溢れています。自分の見た目ではなく、心で相手を惹きつけたい。そんな誠意が輝いています。

源義経:自分の顔がよいことをいまいち理解していないのか、顔芸をし、叫び、美貌を無駄にする。無駄な美形。美貌を使って何かしようという意識はないようだ。

三浦義村:薄々自覚はあって、女遊びをするカードとして使ってやろうじゃねえかと考えているような。でも、そういう心のドス黒さが顔にも出ているかも?

個性的ですね。

言動と総合的に考えると、義高と重忠はともかく、残りの二人はおすすめできないタイプとみた。

イケメンだからといって何もかもが許されるわけではありません。

義時は、小栗旬さんならばイケメンに決まっているけれども、むしろ誠意が先に立つ。これは凄いことだと思いますよ。八重さんデリバリーサービスがおかしかったこともあるけれど。

 


美少年にメロメロになるのは女だけか?

補足しておきましょう。

顔のいい男にメロメロしているのは、女だけでもないのが中世です。

そもそも武士だって「警備してくれるからにはイケメンがいいよね♪」と露骨に顔採用されがちでした。

法皇にも平家の情報を流してくれる理解のある彼ピッピ・近衛基通がいました。清盛の六女・完子の夫です。そのおかげで平家の情報が筒抜け。

「もうマジ、君臣合体極めた感じィ!」(意訳)

田中直樹さんが演じる九条兼実、『玉葉』にそう記したってよ。文才を感じますね。

大河はポリコレに対抗する最後の砦だなんて意見もネットではありますが、さてどうでしょうか。こと性的な描写ではもう“配慮”されているでしょう。男色がらみが抑制されています。

中世の落書きや祈祷文を見ていくと、一番多いのは成人男性が美少年と思いを遂げたいものなんだとか。

「ハアア〜〜美少年といやらしいことしたいです!」

恋愛のお願いではこういうものが一番多い。

しかも街中で美少年を見かけたり、意中の彼のことを思うと、興奮が止まらないので脇差を太腿や腕にブスブス刺していたとか。

そんな過激な描写を大河で見たことがありますか?

ないですよね。それが配慮というものです。

 

義経の個性

義経は鞍馬の修行に意味があったかわからないと言いました。

こういう細かいセリフで、義経伝説を崩す今年の姿勢。

義経は鬼一法眼という天狗から、唐渡り(中国)の兵法書『六韜三略』を授けられたという伝説があります。

大河『義経』でも鬼一法眼が出てきました。

そういう伝説を全否定しないものの、義経の天才性はそうして得た後天性ではないという示唆に思えるのです。

義円は『孫子』を暗誦していた。

義経はそれに苛立って脅威を感じていた。

自分にない、後天性で身につけた才能を義経は嫌ったのでしょう。

妖術だの魔術だの、当時理解できなかったものはそう呼ばれました。

このドラマの義経は、先天性の才能と災厄を持つと設定されているのでしょう。

どうして義経をこんなに嫌な性格にするのか理解できないという感想は見かけます。『麒麟がくる』の信長もそうだったとか。

人間の多様性を考慮しているのでしょう。

三谷さんの『真田丸』で物議をかもしたヒロイン・きりを思い出してください。

きりはもっと無難な造形にできた。それをああも個性的にした。

“普通”で“無難”な人間だけがこの世界にいるわけではない。性格の個性を描いた結果でしょう。

 


視聴率計測は古くなる

スマートフォンやタブレットでもNHKが見られる。

そんなNHKプラスアプリが、テレビ接続デバイスにも対応しました。Amazon Fire Stick等を用いて、バンバン大河が見られるようになったことを意味します。

これから何が起こるか?

海外と同じ基準での計測がなされるようになるということ。

海外は視聴率ではなく、視聴者数や再生数で換算します。

既にこうした計測手段は反映されておりまして、昨年放映された朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』は再生回数が多いとされています。

ゆえにこれからは、視聴率は重視されなくなります。

『鎌倉殿の13人』の視聴率はそこまで高くありませんが、視聴回数とのかねあい、反響等評価されることでしょう。

NHK横浜は気合を入れていて、「拝啓鎌倉殿!」も反響が高まってきました。さらに各地でポストカードを配布しているとか。

そうした評価基準には、この小栗さんの試みも是非とも入れて欲しいところ。

韓国映画『パラサイト』はアカデミー賞を獲得し、話題となりました。

のみならず、あの作品はキャストとスタッフの労働環境を遵守したことでも特別なのです。

『鎌倉殿の13人』には、そんなところでも特別であって欲しい。

鎌倉幕府が評価される点として、撫民仁政がある。

承久の乱】はやらかすわ、ともかく血生臭いけれども、民を慈しんだことは確か。

そういうところを、歴史から学んで欲しいと私は願っております。

◆小栗旬 大河でハラスメント講習、撮影時間厳守…映画業界の醜聞報道前から突出していた“先進性”(→link

※著者の関連noteはこちらから!(→link


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◆鎌倉殿の13人キャスト

◆鎌倉殿の13人全視聴率

文:武者震之助(note
絵:小久ヒロ

【参考】
鎌倉殿の13人/公式サイト

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