鎌倉殿の13人感想あらすじ

鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第8回「いざ、鎌倉」

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鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー第8回「いざ、鎌倉」
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景時を自軍に誘う義時

義経よりも頭が複雑な義時は海を見ています。

姉たち一行を迎えに行くため出発。

りくが夫の居場所を尋ねると、聞くのがずいぶん遅いと実衣がチクリ。義時は武田のところへ向かっていると言いますが、政子がこう言い出した。

「待って! こんなみすぼらしい格好でお会いしたくない!」

ゲーッ!!!

着替え、湯浴み、化粧と、次々に要求を繰り出す北条政子。りくも北条時政の妻がこんな格好で言い訳がないと言い出します。実衣もついでにと言い出すわでてんやわんや。

「平六〜!」

義時がまたも義村に泣きつくと、力のある豪族から借りる案を出します。向こうには梶原景時がいると重忠。

あいつは敵だ!と例の調子で義盛は猛りますが、義時は梶原邸へ向かいます。

梶原景時は、衣装を用意してくれると即答しました。

聞けば、大庭と袂を分かったところで、良い頃合いだったと言うのです。

「なんと!」

「粗暴な男は苦手でな……」

すかさず、是非我が軍にお越しいただきたい!と誘う義時。

気持ちが上がって気づいていないでしょうが、政子が実衣に言っていた理由と同じようなことを景時は言っています。

政子も、景時も、粗暴な坂東武者よりも洗練された相手が好きなのです。

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頼朝も一度降伏したものには寛大だと太鼓判を押し、ましてや梶原殿ならば喜んで迎え入れる――そうハキハキと語る義時と、じっと見る景時。

景時なりに測っているのでしょう。

義時は裏表が現時点ではないし、嘘はついていないようだ。

相模入りで先頭を務めた者は畠山重忠。そう分かりきっているからこそ、女物の装束三着だと確認しつつ、用意する卒の無さがある。

そして場面は頼朝と政子の再会へ。

「お見えになりました!」

「御台所の到着にございます!」

そう告げられ、大姫を抱いた政子が輿から降りてきます。

「待っておったぞ、政子!」

と、政子の横顔が映し出される。これまた映像技術を極め、一番美しい小池栄子さんを形にとどめようとしたような、見事な一瞬です。

「佐殿!」

政子は最愛の夫に抱きつきます。沿道の人々も感動しています。今回はエキストラさんもよい味を出していて盤石。

「美しい眺めですね」

政子はそううっとりとして鎌倉の景色を眺めます。

頼朝は鶴岡八幡宮を建立するといい、都に攻め入り、平家を滅ぼすち語ります。そして政子に、早く後継を頼むと言うのです。

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わしの跡を継ぐ立派な男子を産むようにと言います。

「はい!」

そう答える政子。

理想的な夫婦像のようで、ここでジトっとした目をした亀がいるからたまらない。チャールズ皇太子とダイアナ妃の結婚式に、カミラさんがいたことを連想してしまいます。

このあと和田義盛と畠山重忠が出陣したそうです。

義時は疲れていて少しゆっくりしています。本当に、こんなに疲労感に満ちた大河主人公もそうそういない。

すると義村が走ってくる。

呼ばれていくと、伊藤祐清が縛られていました。

なんでも鯉名から船で平家に助けを求めていたところを捕まえたとか。すぐに縄を解こうとする義時が優しい。こういうちょっとした場面って流しそうになるのですが、彼は本当に優しい。

尋問するとか、凄むとか、殴るとか、そういうことはしません。まず相手の苦痛を和らげることがアタマにある。

覚悟はできていると言いながらも、祐清は父のことを心配しています。

和田と畠山がめざしているのは伊東の館。そこには八重もいる!

「八重さんが?」

義時はハッとします。

祐親が八重の命を奪いかねないと祐清が懸念すると、義村も「爺様ならやりかねんな」と同意する。

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そのころ八重のそばには江間次郎がいました。

なぜ戦いに行かないのか。

そう尋ねる八重に対し、小刀を抜こうとする江間次郎。彼女は一体どうなるのか? 緊迫のクリフハンガーです!

 

MVP:源義経と弁慶

私事で申し訳ありませんが……人生で最初にハマった歴史上の人物は源義経でした。

子ども向け『義経記』を読み、あの衝撃と感動は上書きできないんじゃないかと思うほどです。同時に、そんなことではいけないという気持ちもずっとありました。

若い頃に好きだったアイドルを今更好きというのは照れ臭い。

そんな思いがあった自分にとって、やっと思い出を上書きする義経が見られて感無量です。

ネットニュースでは好意的意見ばかりを切り取るためわかりにくいけれども、「義経になんてことするんだ!」と苦い顔の方もきっと多いでしょう。

行動も半端ないけれども、菅田将暉さんがものすごく高度な演技をしている。

中川大志さんの重忠と比較するとさらによくわかる。

重忠は織り目正しい綺麗な所作をして、それこそ精緻な人形のような表情をする。歯を剥き出すようなことはありません。

それが義経はもう『ダーウィンが来た』状態だ。

野生動物が獲物を狩って、血まみれの口を開けて得意げにしているような顔。

生まれつき、先天的にどう狩ればいいのか理解していて、考えることもなくできてしまう。

生まれながらの狩人だから、何か気になるものがあればそちらに走っていってしまう。

人類の群れの中には、こういう天才狩人が数パーセントいて、導かれるままに冒険をして生息域を広げていったのでしょう。

三浦義村も似たタイプでしょうが、彼には義澄という父がいて指導にあたりました。

義村が野生の狩人じみたことをしてしまうと「そういうことをすると周囲は困るし、お前を嫌うようになるぞ!」と叱ってくれた。

彼は父の言うことにはしおらしく従うこともある。自分にはできない協調性を発揮できるとわかっていて、それに従う方が良いと学ぶことができました。

しかし、義経は?

天才狩人は周囲を不安にします。それのみならず、梶原景時のような秀才、後天性の才知ある人を苛立たせる。

景時は書物を読むなり、人と接して、あとから吸収した才能があります。ルールやセオリーがあって、こうすればよいと自身の中で順序を決めている。

そんな理論的な人物からすれば、一切合切を無視して成果をもぎとる先天性の天才は目障りに思えるものです。

描き方や解釈をどう変えたとて、義経の生涯は変えられません。

ただ、彼が討たれるとすればそれには理由があると、この作品は示すものになると思います。

『麒麟がくる』では、明智光秀が織田信長を討たねばならない理由を描きました。

心理的な齟齬。信長が光秀を消耗させ続けた様が描かれました。

そんなストレス源のような、天才と天災が一体化した信長を演じた染谷将太さんは、つくづく素晴らしかったと思う。

菅田将暉さんは、そんな彼に対抗し得る同年代の逸材として、満を持して選ばれたのでしょう。

ただ見た目がよいだけではない。そのよい見た目や従来の像を破壊し尽くしても、そのあとに立っていられる。そういう強い人だから選ばれたのだと思います。

もう、この義経には期待しかありません。

 

総評

鎌倉について海外向けに説明するとしたら、日本版キャメロットでいいんじゃない? ふとそんなことを思いました。

キャメロットというのはアーサー王の治めていた王国で、架空のものだし実態はわからない。

それでも漠然と夢の国として引き合いに出されます。

鎌倉のどこがそんな夢の都なのか、と思われるでしょうか。

けれども、今回の「いざ鎌倉」で示される土地って、そんな甘美なものであると思えます。

みんなでワイワイとしていて盛り上がった。これから先の悲劇なんて想像すらできなくて、とても楽しかったな。そういう青春時代の部室というか、甘ったるいノスタルジーがあるのでないかと思う。

「いざ鎌倉!」という言葉も残っていますし、やはり夢とロマンがあったのでしょう。

同時にそこには破綻や亀裂もあったはず。

ワイワイと楽しいようで、このドラマにはそれが見えています。

例えば阿野全成の術です。

星を読んで占いって面白い……と言ってもよいのかどうか。呪術というのは中世ともなると危険です。当時は呪っただけで有罪とされます。

源義経は?

彼は奪うことと殺すことの天才です。梶原景時の折り目正しさを踏まえると、その対立構図も見えてきます。

お育ちがちがう――そう皮肉っぽく言い放つ三浦義村はクールでひょうひょうとしているようで、腹の底には、坂東武者に対する西の見下す目線への反発がありました。

伊東祐親や他の坂東武者にもある。

彼らが西から脅かされたとき、何をするのが正解なのでしょう?

義時と政子は偉大で歴史を変えたかもしれない。

でも、そのためには、これほどまでに苦労をせねばならないのかと、笑って楽しんでみたあとで考えてしまう。そんな作品です。

 

権三ロス、発生せず

先週は亀の夫・権三が死んだものと思われます。長狭常伴は三浦勢に討たれておりますので。

それよりも気になったことは、あの悲惨な場面をお笑いにする空気が蔓延していることが驚きでした。権三には何の罪もないのに……。

◆鎌倉殿の13人:頼朝“第三の女”が鮮烈デビュー 江口のりこ“亀”「ついでにうちの人も討ち取って」で爆笑誘う(→link

“ロス”ブームはどこいったーー?

はい、もう手遅れかもしれませんね。視聴者の感覚が中世に片足突っ込み始めたのではないでしょうか。

『ゲーム・オブ・スローンズ』の視聴者のように鍛えられてきた証拠でしょう。

◆「ゲーム・オブ・スローンズ」のスーパーボウルCMにファンは大混乱! 「なんと残酷な!」[動画あり] (→link

えらいことになってきました。

最終回までに、我々はどうなってしまうのでしょう?

 

大河ドラマの時代考証とは

興味深い記事がありました。

◆『鎌倉殿の13人』時代考証を務めるはずだった研究者が番組に喝!「新垣結衣演じる八重との恋仲に疑問符」(→link

実に、挑発的なタイトルです。しかし、中身を読めば「喝!」と言うほどではない。なぜこうなるのか?

Web媒体はPVが重視されますので、針小棒大、大仰なものをつけたがります。

三谷幸喜さんはかなりしっかりと調べている脚本家ですが、ご本人がフランクで穏やかな方であるせいか、どうせふざけておちょくって書いているという批判をされます。

それこそ『新選組!』のころから散々やられてきました。

三谷さんがふざけていい加減なことをしているから、エライ先生からすれば「喝!」を入れたくなるはずだ――そんなPV狙いで記事が作られるから、このようなタイトルになる。

歴史にも歴史フィクションにもさして詳しくないライターに任せた。ゆえにツッコミどころが目立つ。

はっきり申し上げまして、これは研究者ではなく、ライターと媒体の問題です。

■頼朝と義時が出会う描写はウソ

毎回、放送を見ている呉座氏には、第一話から微妙な “違和感” があったという。

「頼朝(大泉洋)と義時(小栗旬)の最初の出会いがコミカルに描かれていましたが、そもそも2人の出会いを記録した史料は存在しません。ドラマでの描写は完全なフィクション。実際には、年少の義時はもっと頼朝に敬意を払ったと思いますが、ドラマではあえてコメディ調にしたのでしょう」(呉座氏・以下同)

ウソも何も、史料に残っていなければ創作するしかありません。

それがドラマや映画です。

逆に、史料に残っている場面を大きく変えるような描写は問題があるでしょう。

具体例を挙げますと『青天を衝け』での徳川斉昭の死もそうでした。

便所で倒れた急死で、暗殺の噂すら流れたほどの状況。死因は心臓病です。

にもかかわらずドラマでは吐血した上に、妻に感謝してキスをしながら息絶えていました。

■八重が実在したかどうかは不明

流罪となった頼朝が八重(新垣結衣)と恋仲になることにも疑問符がつくという。

「八重は『曽我物語』などの軍記物には登場するのですが、史書である『吾妻鏡』によれば、頼朝が最初に結婚した相手は北条政子(小池栄子)です。

じつは八重が実在していたことを示す確実な史料はないのです。史実どおりなら、新垣結衣さんはドラマに登場しなかったかもしれません」

この理屈でいくと、この先とんでもない難題が発生します。

北条泰時の母って、結局、何者かわからないのです。

史実通りにするから泰時がいきなり発生するようにしたら、ドラマとしては通用しないでしょう。

フィクションであるドラマならば、伝説に登場する人物や架空の人物を出してもよい。

しかし、この理屈だと『三国志』フィクションにおける貂蟬、シェイクスピア『ヘンリー4世』のフォールスタッフもダメということになりかねません。

それに過去の大河では、『三姉妹』や『獅子の時代』のように架空の主人公もいたわけです。

『麒麟がくる』の駒をやたらと執拗に叩いている方もおられますが、大河はそもそもがそういう枠。

時代劇の本数が減りすぎて誤解が生じているのかもしれません。

■武家政権を築く志はなかった

北条宗時(片岡愛之助)ら、坂東武士が「俺たちの独立国を作ろう」と気炎を上げるシーンがあったが、これも史実とは異なるようだ。

「実際は、平家と平家に与して威張っている武士たちが目障りというレベルの話でしょう。

ドラマでは宗時たちは、京都から独立して関東に武家政権を作るために頼朝を神輿として担ぎ出しますが、そんな明確なビジョンはなかったというのが、最近の学説です。政権樹立の大志があったことにして、ストーリーを盛り上げたかったのでしょう」

ビジョンのあるなし問題ですが。

あったかどうかなんて、本人でもなければわからない。

心理的動機を想像して肉付けするのが、歴史フィクションの醍醐味です。

『麒麟がくる』は、明智光秀が織田信長を討った理由が特定できないからこそ、そこを掘り下げることができた。

動機なんて当人の心理で表には出ない、わからないブラックボックスなのに、そこを「ありえない」で切り捨てたら、歴史フィクションなんて存在できなくなります。

■20年間「打倒平氏」を思い続けるのは無理

頼朝は以仁王(木村昴)の令旨を得て奮起したように描かれるが、実際はすぐには乗り気にならなかったという。

「史実では、令旨を受け取ってから挙兵までの期間が空きすぎているのです。政子と結婚して幸せな生活を送っていた頼朝にとって、以仁王の命令はいい迷惑だったはず。

また、伊豆での20年間、打倒平家を心の中で誓っていたという設定ですが、本気ならもっと早く動くでしょう。その間、何をしていたんだと(笑)」

これはライターさんが取り上げてはいけないものではないでしょうか。

というのも、劇中での頼朝は、以仁王の令旨を受け取った時点では、頼朝は迷っているし、迷惑だったとちゃんと描写されていました。

あとで頼朝は「何もしないで討伐されるくらいなら挙兵しておけばよかった!」と叫んでいます。

伊豆での二十年間何をしていたのかと言いますが、そもそも流刑時はまだ幼い。

行動を起こすにせよ、好機を待つことは歴史上往々にしてあります。

くずぶっていた思いが好機を得て燃え盛ることもある。そういう心理描写があったはずです。

■挙兵は清盛に討たれるという勘違いから

いざ挙兵するシーンも、史実とは異なるという。

「頼朝は、結果的に武士の時代を切り開いたわけですが、挙兵段階では武家政権を作るという意識はまったくなかった。

平清盛(松平健)に監禁されていた後白河法皇(西田敏行)を救出して、院政を復活させることが挙兵の目的とされていますが、それすら後づけの理屈だと思います。

決起を促した以仁王が討たれ、源頼政(品川徹)が敗れ、さらに清盛が諸国の源氏を討とうとしているという誤った情報が入ってきて、それを事実と勘違いして頼朝は一か八か挙兵を決断したのです。逃げるか戦うかという状況に追い込まれた結果です」

ここもちゃんと、三善康信の勘違い由来だと描かれています。

そのウッカリを強調するためにわざわざ硯をひっくり返す場面まで入れていたのに、この記事の書き手(あるいは編集者)が見落としたか、あるいは意図的に無視したのか……。

研究者の発言を悪意を込めて切り取ったようにしか思えません。

事前チェックもなしにいきなり記事が公開されたとあれば、気の毒です。

はじめから叩きありきで記事を制作するぐらいなら、大河愛にあふれた小島毅先生を呼び、その声をもっと広めて欲しい。この前、やっと書かれていて嬉しかったんですよね。

歴史フィクションは創作が許されています。

それは当たり前のことで、フィクションの中身が悪質であると問題視されます。

例を挙げましょう。

・現代への過剰な忖度と歴史修正

『いだてん』の後半主人公であった田畑が、ベルリン五輪でヒトラーに嫌悪感を露わにしました。

あれは現代人への忖度だと思いました。

枢軸国の仲間である日本人はヒトラーを英雄として崇拝礼賛していましたし、ユダヤ人迫害を問題していたのは杉原千畝のような例外的な人物ぐらいです。

ましてやヒトラーはオリンピックを成功させたロールモデル。あの嫌悪感はアリバイに思えます。ただ、この手のアリバイは、戦後本人も書き残していたりするから厄介なのですが。

一世紀後のフィクションで、日本人が「おそロシア」といったネットミームではしゃいでいたとか。プーチンが日本から贈られた秋田犬と戯れる姿を喜んでいたとか。そんなことが消されるとしましょう。

あの描写はその手の忖度を感じました。

・現実のイベントとリンクさせ、人を侮辱しかねない

『いだてん』では、関東大震災被災者の悲願がオリンピックだったと過剰に演出しました。

東日本大震災からの復興として東京オリンピックがあるような、そんな意図を感じさせます。

流石にこれは無神経ではありませんか?

・宗教描写のミスや改悪

『軍師官兵衛』では、かなりあやふやなカトリック描写がありました。

実在した仏教徒をカトリックにするような、無神経な描写です。

宗教はデリケートですから丁寧に取り扱わねばなりません。

『八重の桜』では、同志社大学がチェックを入れて盤石の体制を整えていたのですが。

・資料がしっかり残っているにも関わらず、偏った利用をする

平安末期から鎌倉時代の『鎌倉殿の13人』ですと、資料不足があってこういう問題は発生しにくいのかもしれません。

問題は近代史以降です。

幕末史は大量の証言が出てきます。

『徳川慶喜公伝』なんて刊行された時点で「嘘ばかりだ!」と論争になったのに、それをそのまま使う『青天を衝け』は悪質の範疇に入るでしょう。

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・国際問題に発展しかねない

主に近代史が問題視されます。

『青天を衝け』では、日米開戦の理由で日本側の問題を消し「アメリカが日系人を迫害するからだ」と誘導していました。

逆のことをされたらどう思うでしょう。

・事実を悪質な誤認へと導く

『青天を衝け』では、関東大震災後、過激な活動家が金持ちを襲っているというセリフがありました。

そういう事実はなく、そういうデマを流して官憲が活動家を逮捕殺害したのです(「亀戸事件」等)。

NHKの大問題である五輪特番字幕に隠れていますが、これも下手したらBPO案件にも感じます。

◆NHK五輪番組の虚偽字幕問題 河瀬直美さんは市民団体の公開質問状に回答せず(→link

・差別を隠蔽、美化する

『西郷どん』では、島妻・愛加那とのロマンスを甘ったるく描きました。

薩摩藩と奄美大島の関係は搾取する側とされる側であり、島妻制度はその象徴。

それを甘ったるく描かれるとさすがに抵抗感があります。

白人奴隷主人男性と黒人奴隷女性のロマンスを甘ったるく描く――というドラマをアメリカで作ったらどうなるのか。そんな想像を喚起されて空恐ろしくなりました。

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・人の手柄を横取りさせる

『青天を衝け』では、池田屋に遅れて到着した土方歳三が、無双して大活躍!という場面がありました。

創作ありの歴史ドラマだとしても、フィクションの域を完全に逸脱しています。

池田屋は活躍度で報奨金も出ているし、そんなもの嘘だと即座にバレるもの。

あの土方が、近藤勇や永倉新八の活躍を掠め取る悪夢でしかありません。

・動機の過剰な美化

『青天を衝け』では、まるで戦争未亡人を救うために愛人を作ったような描き方でした。

エロいから愛人作りました、ではいかんのですか?

『鎌倉殿の13人』で、頼朝のゲス不倫をこんな風に描くようなものです。

「安房で偶然であった寂しげな漁師の妻・亀。なんとDV夫・権三に殴られているじゃないか! 身も心もイケメンな頼朝様は助け、そのままラブラブに……」

主人公補正を無理にするから、事実を大いに歪めることになる。

全てを受け入れて、それでも魅力ある主人公を描けばよいと思うのです。

・悪事を責任転嫁する

『青天を衝け』では、天狗党の処刑を慶喜が止めたのに、田沼意尊が独断で行ったように描きました。

これまた『鎌倉殿の13人』の場合だ、こんな展開になるようなものです。

「本当は優しいお兄ちゃんの頼朝は、義経を殺したくなんかなかったの! でも梶原景時が勝手に殺しちゃって……ひどいよ!」

こんなことされたら許せませんよね。

万が一こんな風に描かれたら「兄に討たれた義経」の悲劇の特性も台無しにしちゃってます。

・改変した結果がつまらない!

これに尽きます。

前述の天狗党の処刑だって、慶喜が迷いに迷い、苦渋の決断をする様を重厚に描いたら、それはそれで興味深かったと思います。

そうでなくて「勝手に死んじゃった! あわわわわ!」って、単なる無責任で幼稚な対応で、史実での慶喜が持つ聡明さをも消してしまってます。

改悪以外の何物でもありません。

上記に挙げた作品は「お前の嫌いな大河ばっかりじゃないか!」と突っ込まれたら、その通りです。

嫌いな理由が、悪質な歴史改ざんをしているからなのです。

私は『47 RONIN』だろうが『グレート・ウォール』だろうが愛せます。

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確かにトンデモ映画ですが、悪質ではありませんからね。

原作をかなり変えている『アンという名の少女』だって好きです。

例に挙げた作品が近代以降に集中しているのは、資料の残存状況や国際問題への影響等を踏まえた結果です。

その点、近代史を扱う朝ドラにも、中々ひどい改悪がありますが、このあたりで終わりにしておきます。

※著者の関連noteはこちらから!(→link

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◆鎌倉殿の13人感想あらすじレビュー

◆鎌倉殿の13人キャスト

◆鎌倉殿の13人全視聴率

文:武者震之助(note
絵:小久ヒロ

【参考】
鎌倉殿の13人/公式サイト

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